更新日:2024年07月11日
女性ホルモンのバランスを整えるには?乱れる原因や症状、整える方法を解説
- 女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類がある
- 2つの女性ホルモンの分泌量を調整しバランスをとることで、心身の健康を保っている
- 女性ホルモンのバランスが乱れたときの症状は、生理不順やPMS、不妊、肌荒れなど
- 女性ホルモンのバランスが乱れるのは、生活習慣の乱れやストレス、老化などが原因
- 女性ホルモンのバランスを整えるには、生活習慣を見直すほか、ピルを服用するのも一つの方法
女性の体は、女性ホルモンのバランスが乱れることで不調を引き起こすことがあります。「病気でもないのに、なんだか体調が悪い」「生理不順が続いている」など、ホルモンバランスの乱れによる不調を感じたことがある人もいるでしょう。
この記事では、女性のホルモンバランスについて解説します。ホルモンバランスが乱れたときに起こる症状や乱れる原因、ホルモンバランスを整える方法についても説明するので、ぜひ参考にしてください。
女性ホルモンとは
人の体からは100種類ほどのホルモンが分泌されており、その中でも女性の体に大きく影響するのが「女性ホルモン」です。
女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、これらのホルモンは卵巣から分泌されます。
エストロゲンは、肌や髪を潤わせたり、女性の丸みを帯びた体をつくったり、代謝を上げたりといった働きをする女性ホルモンです。プロゲステロンは、基礎体温を上げたり、子宮内膜を厚くしたりするなど、妊娠に適した体づくりを行う女性ホルモンです。
女性の体は、エストロゲンとプロゲステロンの分泌量を調整してバランスをとることで、生理周期や情緒の安定、心身の健康を保っています。一般的に、この2種類のホルモン分泌が正常に行われなかったり、分泌量が減少したりする状態のことを「ホルモンバランスが乱れる」といいます。
女性は生理や妊娠、出産などホルモン量が変化するタイミングが多いため、男性に比べてホルモンバランスが乱れやすいとされています。
女性ホルモンのバランスが乱れたときに現れる症状
女性ホルモンのバランスが乱れると体にさまざまな影響を及ぼします。個人差がありますが、現れやすい症状として以下の5つが挙げられます。
- 生理不順
- PMS
- 不妊
- 自律神経失調症
- ニキビや肌荒れ
ここからは、それぞれの症状について解説します。
生理不順
女性ホルモンのバランスが乱れると、生理周期に影響を及ぼします。先述したとおり、生理周期は女性ホルモンの分泌バランスによって調整されるため、ホルモンバランスが乱れることで生理不順になることがあります。
具体的には以下のような場合、生理不順になっているといえます。
- 1ヶ月に2回生理があるなど、前回の生理から次の生理までの期間が短い場合
- 前回の生理から次の生理が始まるまで39日以上空くなど、生理周期が長い場合
- 3ヶ月以上生理がこない場合
ただし、長期間生理が来ない場合は妊娠の可能性も考えられるので、性交渉があった場合は、早い段階で妊娠検査を受けることをお勧めします。
関連記事:生理不順はピルの服用で改善が期待できる!生理不順の原因についても解説
PMS
女性ホルモンのバランスが乱れると、PMS(月経前症候群)の症状が重くなることがあります。PMSの具体的な症状としては、情緒不安定や肌荒れ、むくみ、胸の張り、眠気、過食などが挙げられます。
現状ではPMSの原因は明らかになっていませんが、生理前になると女性ホルモンの分泌が急激に減少するため、脳内のホルモンや神経伝達物質に異常をきたすことが影響していると考えられています。
関連記事:PMSとは?症状や判断基準、改善のためのセルフケア、治療法について紹介
不妊
女性ホルモンのバランスの乱れは、不妊の原因にもなります。ホルモンバランスが乱れると、生理不順や無排卵などを引き起こすため、妊娠しにくい体質になる可能性があるのです。
放置していると、将来的に不妊症になる可能性があるため、不安な場合は産婦人科で診察を受けることをお勧めします。
自律神経失調症
女性ホルモンのバランスの乱れは、自律神経の乱れにもつながります。自律神経は、内臓などの動きをコントロールする働きがあり、自律神経が乱れると自律神経失調症になり、体にさまざまな不調が生じます。
具体的な症状としては、疲れやすい・頭痛・めまい・ふらつき・便秘などが挙げられます。自律神経失調症が女性に多いのは、ホルモンバランスが乱れやすいことが関係しているのです。
ニキビや肌荒れ
女性ホルモンのバランスの乱れは、ニキビや肌荒れなどの肌トラブルの原因にもなります。たとえば、肌に潤いやツヤを出すエストロゲンの分泌が減少した場合は、肌の細胞が生まれ変わるサイクルが乱れて乾燥肌などを引き起こしやすくなります。
一方で、プロゲステロンには肌の皮脂分泌を増やす作用があるため、プロゲステロンの分泌が増加するとニキビができやすくなるでしょう。
女性ホルモンのバランスが乱れる原因
女性ホルモンのバランスが乱れる原因として、主に以下の3つが挙げられます。
- ストレス
- 生活習慣の乱れ
- 老化
ここからは、それぞれの原因を解説します。
ストレス
ストレスもホルモンバランスに大きく関わります。ホルモン分泌の司令塔である脳の視床下部という部分は、ストレスの影響を受けやすいため、ストレスがあると、女性ホルモンの分泌が悪くなります。
特に過度な疲労・ダイエットなどはストレスの原因となり、不調を引き起こしてホルモンバランスが乱れてしまうため注意が必要です。
生活習慣の乱れ
生活習慣は、ホルモンバランスの乱れに大きく関わります。たとえば、栄養バランスの偏った食生活や運動不足、睡眠不足が続くと、次第にホルモンバランスが崩れ、心身の不調を感じやすくなります。
老化
ホルモンバランスが乱れる原因として老化が挙げられます。年を重ねていくと女性ホルモンの分泌量が減少し、50歳ごろになると急激に減少します。
特にエストロゲンが低下すると、体調に変化が起きやすくなり更年期障害などがみられるようになります。
女性ホルモンのバランスを整える方法
女性ホルモンのバランスを整えるには、以下の4つが効果的です。
- 生活習慣を見直す
- ストレスを溜めない
- サプリメントや漢方薬などを服用する
- ピルを服用する
それぞれの方法について解説します。
生活習慣を見直す
ホルモンバランスを整えるためには、生活習慣の見直しが重要です。具体的には、バランスの良い食事を摂る、質の良い睡眠をとる、適度に運動するなどが挙げられます。
特に睡眠に関しては、ホルモンバランスを整えるだけでなく心身の調子を整えるのにも効果的です。睡眠の質を上げるために、入浴して体を温める、寝る前にストレッチやヨガなどの軽い運動をする、寝る直前のブルーライトを避けるなどの工夫をしましょう。
また、適度な運動を行うことで、血流が良くなり脳や生殖器官が活性化するため、女性ホルモンの分泌を促す効果が期待できます。
規則正しい生活を心がけることで、乱れたホルモンバランスの改善が期待できるでしょう。
ストレスを溜めない
先述したとおり、ストレスは女性ホルモンの分泌に大きく影響するため、定期的にストレスを解消することが大切です。
おすすめのストレス発散方法としては、ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動を行うことや、日光を浴びること、趣味を楽しむことなどが挙げられます。
自分に合った方法で気分をリフレッシュし、ストレスを溜めないことが、ホルモンバランスを整えることにつながるでしょう。
サプリメントや漢方薬などを服用する
最近は、女性ホルモンのバランスを整えることを目的としたサプリメントや漢方薬が販売されています。
特に、エストロゲンと似た働きをするイソフラボンのほか、ビタミンB群、ビタミンEなどの成分を含むものは、ホルモンバランスを整えるのに役立つとされています。
また、漢方薬の中でも、加味逍遙散(かみしょうようさん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などは女性ホルモンのバランスを整える効果が期待できます。
生活習慣の改善やストレス解消などを試みても調子が整わない場合は、サプリメントや漢方薬などを取り入れるのも一つの方法です。
ピルを服用する
ピルは、女性ホルモンのバランスを整える効果があります。そのため、ピルを服用することによって、PMSによる気分の落ち込みや生理周期の乱れなどを改善できると考えられます。
また、ピルには、子宮内膜を薄く一定に保つ働きがあるため、生理期間の経血量や生理痛が軽減される効果も期待できます。
ピルを飲み始めると、最初は吐き気や頭痛、倦怠感、不正出血などの副作用が現れることがありますが、大体3ヶ月程度で治まります。
ホルモンバランスを整え、生理痛や経血量を軽減するといったメリットがあるので、つらい症状で悩んでいる方はピルの服用を検討してみるとよいでしょう。
まとめ
女性のホルモンバランスは繊細で、生活習慣の乱れやストレスなどが原因で崩れてしまいます。また、その影響で生理不順など女性特有の症状が引き起こされます。
女性ホルモンのバランスを整えるには、生活習慣の改善やストレス解消などが効果的なので、意識的に心がけてみるとよいでしょう。
また、ホルモンバランスを整えて、生理不順や生理痛などを改善するにはピルが効果的なので、服用を検討するのも良いでしょう。最近は、手軽に受診できるピルのオンライン診療サービスがあるので、そちらを利用してみるのもおすすめです。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会
※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました