更新日:2024年02月29日
カフェインは勃起に良い?カフェインと勃起の関係と摂取量の目安を解説
- カフェインは勃起に良い可能性がある
- 勃起に良いカフェインの摂取量の目安はコーヒー1日2~3杯である
- カフェインには副作用があり摂取のしすぎには注意が必要である
勃起不全で悩む方は、さまざまな情報に触れ、どの情報が本当かどうか分からず不安に思うかもしれません。そのなかで、カフェインは勃起に良いという話を聞いたことがある方もいるでしょう。カフェインは確かに勃起に良い可能性はありますが、副作用もあり注意が必要です。
本記事ではカフェインと勃起の関係や、カフェインが勃起に良い影響を与えるとされる理由、勃起に良いカフェインの摂取量と注意点、カフェイン以外の勃起不全に対する対策を解説します。
カフェインと勃起の関係
アメリカのテキサス大学の研究によると、コーヒー2〜3杯程度(170~375mg/日)のカフェインを日常的に摂取していた人は、摂取していない人と比べ勃起不全を経験する確率が減少したと報告されています。
また、勃起不全のリスクファクターである肥満の方・高血圧の方では、カフェインの効果がよりはっきりしていた一方、同じく勃起不全のリスクファクターである糖尿病の方ではカフェインの効果は見られませんでした。
本研究においては、カフェインが勃起に直接的に良い影響を与えることが証明されたわけではありません。しかし、カフェインが勃起に良い影響を与える可能性があることが本研究によって示唆されています。
勃起の仕組みについては、「勃起の仕組みとは?妨げとなる要因やEDに該当する硬さ・角度を解説」を参照してください。
参考:National Library of Medicine「Role of Caffeine Intake on Erectile Dysfunction in US Men: Results from NHANES 2001-2004」
カフェインが勃起に良い影響を与える理由
カフェインが勃起に良い影響を与える可能性がある理由として、以下の3つが考えられます。
- 血管拡張作用があるため
- 性欲を高める可能性があるため
- ストレスを軽減する可能性があるため
それぞれについて解説します。
血管拡張作用があるため
カフェインが勃起に良い影響を与える1つ目の理由は、血管拡張作用があるためです。
カフェインは、陰茎の血管や平滑筋を弛緩し拡張させる作用があります。勃起は陰茎海綿体に血液が充満することによって引き起こされるため、カフェインが陰茎の血管や平滑筋を弛緩することで、より多くの血液が陰茎海綿体に流れ込み、勃起に良い影響を与えることが期待できます。
性欲を高める可能性があるため
カフェインが勃起に良い影響を与える2つ目の理由は、性欲を高める可能性があるためです。
人は疲労によってアデノシンという物質が体内で産生されます。アデノシンがアデノシン受容体に結合することで、覚醒作用のあるヒスタミンの放出を抑制し、眠気などを引き起こします。
カフェインはアデノシンと構造が似ており、アデノシン受容体に結合しアデノシンの作用をブロックすることで、興奮作用を生じさせます。
加えて、カフェインは男性ホルモンであるテストステロン量を増やす効果があるとされています。テストステロンは、勃起を促す神経伝達物質を増やす作用があります。
カフェインの興奮作用、そしてテストステロンを高める作用によって性欲を高める効果が期待できます。
ストレスを軽減する可能性があるため
カフェインが勃起に良い影響を与える3つ目の理由は、ストレスを軽減する可能性があるためです。
カフェインはアデノシン受容体に結合し、アデノシンの作用を抑制することで、ストレス反応を抑制する可能性があるとされています。
精神的な理由で勃起不全を生じている場合は、ストレスが軽減されることにより勃起不全の改善が期待できます。
ただし、少量〜中等量のカフェイン摂取はストレス軽減作用が期待できる一方、大量のカフェイン摂取は中枢神経系を過度に刺激して不安感を強くする可能性があるため、摂り過ぎないよう注意が必要です。
勃起に良いカフェインの摂取量と注意点
カフェインが勃起に良い影響を与える可能性が示唆されていますが、どの程度の量のカフェインを摂取することが望ましいのでしょうか。
ここでは、勃起に良いカフェインの摂取量とカフェイン摂取の注意点について解説します。
勃起に良いカフェイン摂取量の目安
前述したアメリカのテキサス大学の研究によると、1日170〜375mgのカフェインを摂取した場合に勃起に良い影響がある可能性が示唆されました。
また、農林水産省によると、代表的なカフェインを含む飲料とカフェイン量については以下のとおりです。
飲料名 | カフェイン量 |
---|---|
コーヒー | 60mg/100ml |
エナジードリンク | 32~300mg/100ml |
紅茶 | 30mg/100ml |
ウーロン茶 | 20mg/100ml |
ほうじ茶 | 20mg/100ml |
玄米茶 | 10mg/100ml |
玉露 | 160㎎/100ml |
カップ1杯は約150〜200mlであるため、コーヒーでは1日2〜3杯、紅茶では1日4〜6杯が勃起に良いカフェイン摂取量の目安になります。
参考:農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
カフェインの副作用と注意点
カフェインは、摂取量が多いと副作用を生じる可能性があるため、注意が必要です。
カフェインの代表的な副作用として、心拍数の増加やめまい、震え、不安、下痢などが挙げられます。
副作用が生じるカフェインの量は個人差があります。勃起に良いと言われているコーヒー2〜3杯であっても、人によっては副作用を生じる可能性があります。
厚生労働省によると、カフェインは400mgが1日の最大摂取量です。1日4〜5杯以上のコーヒーの摂取はカフェインの過剰摂取につながることを念頭に置き、飲み過ぎないように注意しましょう。
出典:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取について」
カフェイン以外の勃起不全に対する対策
勃起に良い可能性があるからという理由でカフェインを多量摂取することは、おすすめできません。
なぜなら、カフェインには副作用があるうえ、勃起への作用が研究で証明されているわけではないためです。勃起しづらいことに悩んでいる方は、勃起不全を発症していることを視野に入れて対策を検討することが大切です。
勃起不全の原因は大きく器質性、心因性、混合型、薬剤性の4つに分類することができます。
神経や血管など、体の構造の影響で勃起不全を引き起こしている場合は器質性、ストレスや精神的なトラウマなどが原因で勃起不全を引き起こしている場合は心因性です。器質性と心因性どちらの要素もある場合は混合性、内服している薬剤の副作用で勃起不全を引き起こしている場合は薬剤性になります。
勃起不全は原因を判断し、原因に合わせた治療を行うことが重要です。必要に応じて勃起不全に対する薬物治療をすることも選択肢になります。勃起しづらいことに悩んでいる方は、勃起不全専門のクリニックへ相談してみましょう。
クリニックに行っての受診が面倒、周りの目が気になるという方はオンライン診療で自宅などから勃起不全の相談や必要に応じた治療薬の処方を受けることもできます。
勃起の不調に悩んでいる場合は、これらの医療機関で受診し、適切な治療を受けましょう。
EDの治療法について詳しく知りたい方は、「EDの症状とは?EDの治療法や改善すべき生活習慣も解説」も参考にしてみてください。
まとめ
カフェインは勃起に良い影響がある可能性があります。
カフェインが勃起に良い影響を与える理由は、血管拡張作用があるため、性欲を高める可能性があるため、そしてストレスを軽減する可能性があるためです。 勃起に良い可能性があるカフェインの摂取量の目安は、1日170〜375mgで、コーヒー2〜3杯、紅茶4〜6杯程度です。
カフェインは摂取量が多いと心拍数の増加やめまい、震え、下痢などの副作用が生じる恐れがあります。カフェインの副作用がでる摂取量には個人差があり、注意が必要です。
勃起不全に悩んでいる方は勃起不全専門のクリニックへ相談することも選択肢の一つです。クリニックに行くことが面倒、周りの目が気になるという方はオンライン診療がおすすめです。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会