更新日:2026年08月20日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
朝立ちが減ったり、中折れが増えたりするなど、「これは器質性ED?」と疑問を持つ方もいるかもしれません。器質性EDは血管や神経の障害、内分泌機能の低下といった身体的な原因で起こる勃起障害です。この記事では器質性EDの特徴や原因、心因性EDとの違い、ED治療薬による対処法を紹介します。
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器質性EDとは、血管や神経、内分泌系などに何らかの障害が起きることで勃起しにくくなる状態を指します。 性的刺激を受けると、神経などからNO(一酸化窒素)が放出され、それをきっかけに海綿体内のcGMP(環状グアノシン一リン酸)が増え、海綿体平滑筋が弛緩して海綿体に流れ込む血液が増えることで勃起が起こります。 しかし、器質性EDでは血管や神経、内分泌系の異常が原因でNOの産生が低下したり、性的興奮に伴う神経伝達が障害されたり、解剖的な異常で陰茎への血液流入が不足したりするなどして、勃起しにくい状態が生じています。
器質性EDの主な症状は、性交時に十分な勃起が得られない、性交中に萎えてしまう中折れ、朝立ちの消失などです。 これらの症状は加齢に伴う動脈硬化の進行に加え、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が背景にある場合も少なくありません。症状が続く場合は、原因となる病気の有無を含めて医療機関で確認することが大切です。
参考:厚生労働省「勃起障害のメカニズムと病態生理等」
EDは原因によって、前述の器質性ED、心因性ED、混合性ED、薬剤性EDの4つに分類されます。 心因性EDは心理的なストレスやプレッシャーによって脳の興奮が陰茎にうまく伝わらず勃起障害が起こる状態です。 混合性EDは身体的な要因と心理的な要因が重なって起こる状態で、血管機能の低下やテストステロン分泌の低下に心理的なプレッシャーや不安・ストレスなどが重なっている場合などが該当します。 薬剤性EDは抗うつ剤や降圧剤など、中枢神経や血管に作用する薬の影響で起こる状態です。
器質性EDの原因は、血管障害・神経障害・内分泌機能低下の3つに大きく分けられます。
これらの原因は単独で起こることもあれば、複数が重なって発症することもあります。それぞれどのような状態でEDにつながるのか、順に解説します。
血管障害による器質性EDは、加齢による動脈硬化が影響して起こります。 血管の弾力性が失われると十分に拡張できなくなり、勃起に必要な血液を海綿体に送り込みにくくなります。糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病も動脈硬化を進行させるため、これらの病気と合併する形でED症状が起こることがあります。
参考:厚生労働省「勃起障害のメカニズムと病態生理等」
神経障害による器質性EDは、性的刺激を脳から陰茎へ伝える神経が障害されることで起こります。 代表的な疾患として、糖尿病性神経障害、脳血管障害、脊髄損傷、パーキンソン病などが挙げられます。 前立腺がんの手術など、骨盤内の外科手術によって神経が損傷した場合にもEDを発症することがあります。
参考:National Library of Medicine「The treatment of erectile dysfunction in patients with neurogenic disease」
参考:National Library of Medicine「The treatment of erectile dysfunction in patients with neurogenic disease」
内分泌機能低下による器質性EDは、男性ホルモンであるテストステロンの減少が関与します。 テストステロンは性欲や勃起力の維持に関わるホルモンで、加齢やストレス、喫煙、飲酒などによって分泌量が低下します。 加齢に関連した性機能低下、活力低下などの症状があり、テストステロンの低下を伴う場合は、LOH症候群(男性更年期障害)と呼ばれています。
参考:National Library of Medicine「Investigating the basis of sexual dysfunction during late-onset hypogonadism」
器質性EDと心因性EDは、朝立ちの有無が判断材料の一つになります。 ただし、自己判断には限界があるため、最終的には医療機関での診断が推奨されます。ここでは診断を受けるにあたって自身の症状を見分ける手がかりと、医師による診断方法について解説します。
朝立ちがある場合、精神的なストレスや心理的なプレッシャーなどの心理的な要因で勃起が妨げられている心因性EDの可能性が考えられます。 朝立ちがほとんどない場合は、血管や神経の機能そのものに障害がある器質性EDの可能性が考えられます。
器質性EDと心因性EDは、両方の要因が重なる混合性EDとして併発することも少なくありません。 朝立ちの有無だけで判断するのではなく、糖尿病や高血圧などの既往歴、服用中の薬剤の有無も含めて医師が総合的に診断します。
また、夜間勃起現象(NPT)の測定によって、器質性EDと心因性EDを判別することがあります。 症状に気づいたら、自己判断で済ませず医療機関に相談することが大切です。
器質性EDの治療では、ED治療薬の服用が一つの選択肢となります。 国内で承認されているED治療薬は、バイアグラ(シルデナフィル)、レビトラ(バルデナフィル)、シアリス(タダラフィル)の3種類です。
いずれもPDE5の働きを阻害してcGMPの分解を抑え、陰茎への血流を増やして勃起をサポートする薬です。
バイアグラは性行為の約1時間前に服用し、効果の持続時間は3〜5時間です。 代表的な副作用として、顔のほてり、目の充血、頭痛などの症状が添付文書に記載されています。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
レビトラは性行為の約1時間前に服用し、効果の持続時間は用量により4〜8時間です。 代表的な副作用はバイアグラと同様です。 標準的な食事の直後でも吸収や効果への影響を受けにくいとされています。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」
シアリスは性行為の約1時間前に服用し、効果の持続時間は用量により30〜36時間と他剤より長いことが特徴です。また、食事の影響をほとんど受けないとされています。 代表的な副作用は、頭痛、潮紅、ほてり、消化不良、背部痛などです。 服用当日のグレープフルーツ類の摂取については注意が必要です。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シアリス錠 添付文書」
器質性EDは、原因となる糖尿病や高血圧などの疾患を治療することも大切とされています。 運動、食生活の改善、禁煙、節酒といった生活習慣の見直しは、ED症状の改善だけでなく血管の健康状態を保つうえで大切です。医師の指導のもと生活習慣の改善を行うことが、根本的な症状緩和や予防において重要とされています。
血管や神経の障害が大きい場合、ED治療薬だけでは十分な効果が得られないことがあります。 このようなケースでは、陰茎海綿体注射(ICI療法)や陰圧式勃起補助具(VED)といった治療法が検討されます。 いずれも医師による診察と管理のもとで行われる治療のため、まずは医療機関での相談が必要です。
器質性EDで、よく挙がる疑問について回答します。
器質性EDは治療によって改善が見込めますか?
ED治療薬の服用や原因疾患の治療、生活習慣の改善などの方針について、まずは医師と相談することが推奨されます。ただし、血管や神経の損傷の程度によって効果には差があるため、医師に相談しながら治療方針を確認することが大切です。
器質性EDは何科を受診すればよいですか?
泌尿器科やED治療を行っている医師のいる医療機関での受診が一般的です。糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある場合は、かかりつけの内科とあわせて相談するとよいでしょう。
器質性EDの原因として多い病気は何ですか?
加齢に伴う動脈硬化に加えて、糖尿病や高血圧といった生活習慣病が背景にあるケースが報告されています。これらの病気は血管や神経の障害を進行させるため、器質性EDの原因になります。
器質性EDとわかったら生活習慣の改善は必要ですか?
生活習慣の改善は血管の健康状態を保ち、全体的な健康管理に寄与するとされています。栄養バランスの良い食事や禁煙、節酒などを心がけることで、血管の健康状態の維持につながります。
器質性EDは、血管障害・神経障害・内分泌機能低下といった身体的な原因によって起こる勃起障害です。加齢に伴う動脈硬化のほか、糖尿病や高血圧などの生活習慣病、テストステロンの低下が背景にあるケースが報告されています。
心因性EDとの判別には朝立ちの有無が一つの手掛かりになりますが、混合性EDとして両方の要因が重なることもあるため、自己判断ではなく医療機関での診断を推奨します。治療では国内承認のED治療薬が選択肢の一つとなり、原因疾患の治療や生活習慣の改善を並行して行うことが、身体の健康状態を整えるうえで重要とされています。
気になる症状がある場合は、医師への相談を検討してみてください。
厚生労働省「勃起障害のメカニズムと病態生理等」
PubMed Central「The treatment of erectile dysfunction in patients with neurogenic disease」
PubMed Central「Investigating the basis of sexual dysfunction during late-onset hypogonadism」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バイアグラ錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「バルデナフィル錠 添付文書」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シアリス錠 添付文書」
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ED治療は、「シルデナフィル」・「パルデナフィル」・「タダラフィル」などの成分を含む内服薬で行うのが一般的です。
治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
ED治療は専門医への相談が不可欠ですが、デリケートな悩みであるため、通院の待ち時間や人目が心理的ハードルとなる場合も少なくありません。
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