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更新日:2024年03月13日

器質性EDは改善できる?原因や治療方法、セルフケアについて解説

この記事のまとめ
  • 器質性EDは、血管や神経の病気が原因となって起こるEDのこと
  • 器質性EDの治療は、EDを誘発している病気の改善とED治療薬の服用がメインとなる
  • ED治療薬は主に3種類あるが、それぞれ効果が異なるため、医師と相談して処方してもらうと良い
  • 生活習慣を見直すことで、EDの改善が見込める

EDは、年齢が上がるにつれて男性の悩みの種として挙がりやすい病気です。特に器質性EDは、糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある方がなりやすいEDとされており、ほかのEDとは経過や対応が異なります。

本記事では器質性EDとはどのようなものなのかについて詳しく解説します。また、器質性EDの治療法やセルフケアについても詳しく解説するため、器質性EDを治したいと考えている方はぜひ参考にしてください。

器質性EDとは

ED診療ガイドラインによると、“満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか、または維持できない状態が持続、または再発する”場合を、EDと定義しています。

EDのうち、血管・神経・内分泌環境などにかかわる病気が原因となって発症するEDを、器質性EDと呼びます。また、原因となる病気によって、血管性・神経性・内分泌性・陰茎性と細かく分類することができます。器質性EDは、体にさまざまな疾患が現れ始める50代の方に多いことが特徴です。

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

器質性EDの原因

器質性EDの原因は、糖尿病・高血圧・動脈硬化など、さまざまな病気が関連します。また、直腸癌や前立腺癌の手術といった医療行為、抗圧剤・消化性潰瘍治療剤・向精神薬などの薬物、さらには喫煙といった生活習慣が原因で起こることもあります。

ここからは、なぜ上記の原因でEDが起こるのか、そのメカニズムを詳しく解説していきます。

糖尿病

糖尿病とEDは関係が深く、EDガイドラインによると、糖尿病患者の約35~90% にEDが発生するとされています。特に、糖尿病の合併症である末梢神経障害が重症EDの発生に関連しているとされており、糖尿病が重度であればあるほど、EDも重症化する傾向にあります。

また、糖尿病ネットワークによると、糖尿病患者では糖尿病ではない方と比べてEDの発生時期が10~15年早く、EDを発症する割合も2〜3倍高いとしています。特に45歳以下の方においては、EDによって糖尿病であることが分かるケースがあります。

糖尿病がEDを誘発する理由は、血管への障害と神経への障害によるものが考えられます。

糖尿病によって高血糖状態が続くと細小血管がダメージを受けます。その結果として陰茎への血流が悪くなり、勃起が起こらなくなってしまうのです。

また、糖尿病によって神経障害が起きることで、性的な刺激を受けても陰茎海綿体に信号が送られず、勃起への反応へとつながらなくなることもEDの原因となります。

参考: 日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]」 糖尿病ネットワーク「糖尿病と性の悩み 糖尿病の男性はED(勃起不全)のリスクが高い

高血圧・動脈硬化

高血圧や動脈硬化といった血管障害もEDと関係が深く、高血圧の患者にEDの発生頻度が高いとされています。

実際に治療を受けている高血圧患者の15%がEDに罹患していたというデータもあり、高血圧はEDを誘発することが考えられます。

高血圧の場合にはEDとなる理由が2つあります。

1つ目は、血圧の恒常性と勃起機能双方の維持に不可欠な、神経・血行動態・生理活性物質などのバランスが崩れてしまうからです。勃起のためには陰茎海綿体に血液が充満しなければなりません。しかし、血管や血流に障害が起こると、陰茎に十分な量の血液を充満させることができなくなります。

また、神経が障害されると、勃起に必要な刺激を脳へ伝達できなくなるため、勃起に至らない、あるいは勃起をしたとしても勃起の維持が難しくなるのです。

2つ目は薬剤による影響です。高血圧と診断されているもののみ治療であった方においては全体の 17%がEDであったのに対して、高血圧で降圧薬を服用している患者では全体の25%がEDという報告がされています。

ほかにも、高血圧によって虚血性心疾患や腎不全などの心血管合併症が発生し、その影響でEDを発症する可能性も考えられます。

動脈硬化においても、陰茎海綿体に栄養を送る内陰部動脈の血管内皮障害が起こるため、血管がうまく伸縮しません。そうすると陰茎の血流が低下してEDとなってしまうのです。

高血圧とEDの関係について詳しく知りたい方は、「高血圧はEDを合併する可能性が高い?薬物療法や生活習慣についても解説」も参考にしてみてください。

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

直腸がんや前立腺がんの手術

直腸がんや前立腺がんの手術によって、その周囲の神経や血管あるいは臓器が傷ついてしまう可能性があります。そのため、これらの疾患の手術後に、器質性EDが発生することが挙げられます。

特に、器質性EDになると考えらえているのが、海綿体神経の損傷です。

また、神経や血管そのものを直接傷つけていなかったとしても、手術中に組織を牽引したり電気メスによって高温の熱が加わったりすることで、局所の虚血や炎症によって神経へダメージが加わり、EDとなる可能性も指摘されています。

特に前立腺癌においては手術をした後、6~68%の方に勃起障害が見られることがED診療ガイドラインにて報告されています。

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

喫煙

さまざまな国の研究において、EDの罹患率とタバコの本数は相関関係にあるといわれています。

喫煙を長期間続けていると、血管内皮障害や陰茎への血流障害といった血管系の障害や、交感神経刺激などによる神経障害などによってEDとなることが考えられています。

また、喫煙は高血圧や糖尿病などEDの原因となる疾患のリスクファクターにもなるといわれているため、タバコが直接EDに関係するのに加えて、EDとなる病気の発症にも関わるといえます。

器質性EDの治療方法

器質性EDの治療は、EDの原因となっている病気を改善させることと、ED治療薬を服用することによって行われます。ここでは、それぞれについて解説します。

原因となる病気の治療を行う

器質性EDは、別の病気が原因となって起こるため、まずは原因となる病気の治療が必要です。かかりつけの医療機関へ相談して、まずは基礎疾患の治療を開始しましょう。

また、現在何も基礎疾患がないという方でも、EDをきっかけに糖尿病や高血圧、動脈硬化が見つかるケースもあります。そのため、EDが気になっている方は、念のため全身の検査を受けることをおすすめします。

ED治療薬を使用する

原因となる病気の治療を開始してもEDが改善するまでは時間がかかる可能性が高いため、EDの治療薬を併用して、EDの改善を目指します。

日本でも使用可能なED治療薬は、バイアグラ・レビトラ・シアリスです。ここでは、それぞれの薬について解説します。

バイアグラ

バイアグラは 世界で最初のED治療薬で、内服後30~60分で効果を発揮します。また、12週の試験期間で76%の方がED改善を認めたとED診療ガイドラインで報告されています。

頭痛・ほてり・視覚異常が副作用として挙げられており、服用中にこれらの症状が見られても、効果がなくなるとともに症状も改善されます。

バイアグラは、食事の影響を受けやすいため服用するタイミングには注意が必要であるものの、ほかの薬剤よりも薬価が安く、費用負担を抑えながら治療が可能である点が特徴です。

バイアグラと食事の関係について詳しく知りたい方は、「バイアグラは食事の影響を受ける?服用のタイミングや注意点について解説」も参考にしてみてください。

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

レビトラ

レビトラは内服後30分で効果を発揮する薬剤です。12週の試験期間で76%の方がED改善を認めてたとED診療ガイドラインで報告されています。

副作用はバイアグラと同様です。他のED治療薬よりも硬さが出せることから重度のEDで使われる傾向にあります。現在、先発医薬品が生産中止となっているため、後発医薬品のバルデナフィルが使用されます。

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

シアリス

シアリスは、内服後30分から効果を発揮し、36時間効果が持続します。この効果持続時間が長いという点が特徴です。

41~81%の服用者が勃起の改善を認めており、さらに性交の成功体験も得ているとED診療ガイドラインで報告されています。副作用は、バイアグラと同様の副作用に加えて背部痛があり、背部痛に関しては約5%の人に認められています。食事の影響も受けにくく、世界的にシェアされている薬剤です。

どの薬剤を処方するかはEDの程度や基礎疾患の有無を考慮して、医師が決定します。

ED治療について詳しく知りたい方は、「EDの治療はどのように行う?ED治療にかかる費用や治療の流れも解説」も参考にしてみてください。

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

器質性EDを改善するためのセルフケア方法

器質性EDの場合、医師による基礎疾患の治療やED治療薬の使用だけでなく、日常生活を見直すことでも改善が見込めます。

器質性EDを改善させるためにおすすめしたいセルフケア方法は、食生活や運動など日常の生活習慣を整えることと、禁煙することです。それぞれについて解説します。

食生活を見直す

EDは、肥満が影響すると考えられています。高カロリー食の摂取を控えることでEDが改善傾向に向かったというデータもあるため、食事内容の見直しは非常に大切です。また、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の改善にもつながるでしょう。

食事はなるべく脂っこいものや高カロリーのものを控えてバランスよく摂取しましょう。

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

運動する

ED診療ガイドラインによると、週に2.5時間以上のランニングがEDのリスクを30%ほど低下させることが示されてます。運動不足と運動習慣がある人を比較したデータでも、運動不足の方がEDとなる可能性が高まっているため、日頃から継続して運動をする習慣をつけておきましょう。運動も、生活習慣病の改善に役立ちます。

さらに、ED治療薬を服用しながら週3回の運動を行った場合、治療薬のみを服用している方よりも改善が優位であることが分かっているため、治療を始めてからも運動を続けることが、早期のED改善が見込めます。

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

禁煙する

タバコはEDのリスクを高めるため、EDで悩まれている方は禁煙をした方がよいでしょう。

前述したように、タバコに含まれるニコチンには血管収縮作用があるため、陰茎の血管も収縮させてしまいます。禁煙をすれば、血流や血管にも影響を与え、EDの改善が見込めるでしょう。

まとめ

器質性EDは、さまざまな病気がもととなり発症するEDです。器質性EDを治療するには、まずは原因となっている病気の治療をすることで改善が見込めます。本記事で紹介した病気の疑いがある方は、まず医療機関を受診して病気の治療や改善に努めましょう。

また、ED薬を取り扱っているクリニックで医師に相談し、ED治療薬を処方してもらうことで、EDの早期改善につなげられます。さらに、生活習慣を見直すことでさらにEDの改善へとつなげられます。

器質性EDを早期に改善したいという方は、ED治療薬の服用と基礎疾患の改善、そして日常生活の改善に取り組むと良いでしょう。

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この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会