更新日:2026年10月13日

この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
精力剤として漢方は効果があるのか、どの種類を選べば良いのか気になる方もいるかもしれません。漢方は体質を整えることを目的とした医薬品で、ED治療薬のように直接的な作用を持つものではありません。この記事では、精力剤と漢方の違いや主な漢方の種類、注意点、医療機関でのED治療という選択肢を紹介します。性機能の悩みが続く場合は、本記事を参考に医師への相談も検討してみてください。
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精力剤に使われる漢方は、体質を整えることを目的とした医薬品で、ED治療薬のように直接的な作用を持つものではありません。「精力剤」という言葉は俗称で、医薬品・医薬部外品・健康食品が混在しています。
「精力剤」は法律で定められた分類ではなく、滋養強壮や性機能の悩みに使われる製品の俗称です。市場には、効能・効果が承認された医薬品(漢方薬を含む)や、医薬部外品、そして食品である健康食品やサプリメントが混在しています。
漢方薬はこのうち医薬品に位置づけられ、医師が体質に合わせて処方する点が特徴です。一方、健康食品は食品であるため、薬機法上、精力増強や勃起改善といった効能をうたうことはできません。つまり、同じ「精力剤」でも、漢方薬と健康食品では法律上の扱いと期待できる範囲が異なります。

漢方とED治療薬は、目的とアプローチが異なります。漢方は、体全体のバランスや「証」と呼ばれる体質に働きかけ、不調の改善を目指す医薬品です。そのため、漢方は服用してすぐに勃起を助けるような、直接的・即効的な作用や明確な臨床的根拠が確立されているものではありません。
これに対しED治療薬であるPDE5(ホスホジエステラーゼ5)阻害薬は、性的刺激を受けたときに陰茎の血流をサポートし、勃起を助ける働きが確認された薬です。性機能の悩みにどう向き合うかによって、両者の位置づけは変わります。
| 証の分け方 | 見る観点 | 主な傾向 |
|---|---|---|
| 虚証 | 体力の充実度 | 疲れやすく、体力が低下しやすい |
| 実証 | 体力の充実度 | 体力があり、がっしりしている |
| 陰証 | 冷え・のぼせの傾向 | 冷えを感じやすい |
| 陽証 | 冷え・のぼせの傾向 | のぼせを感じやすい |
精力減退やEDに漢方の効果が期待できるかどうかは、その人の体質(証)に合っているかに左右されます。漢方が体質に合わない場合、変化を感じにくいことがあります。また、即効性やエビデンスが確立されているものではない点にも注意が必要です。
漢方は、「証(しょう)」と呼ばれる一人ひとりの体質や状態に合わせて、医師や薬剤師が選ぶのが基本です。証は、体力の充実度を表す「虚証・実証」や、冷え・のぼせの傾向を表す「陰証・陽証」などの観点から総合的に判断されます。同じ精力減退の悩みでも、疲れやすく冷えやすい人と、体力があってのぼせやすい人とでは、適した漢方が異なる点に注意が必要です。
体質に合わない漢方を選ぶと、期待した変化が現れにくいだけでなく、副作用につながることもあります。そのため、自己判断ではなく医師や薬剤師に相談して選ぶことが大切です。
漢方は、ED治療薬のような即効性や、直接的な作用を持つものではありません。体質を整えながら不調の改善を目指す性質上、変化を感じるまでに数週間から数ヶ月かかることがあります。
また、漢方は個人の体質を重視するため大規模な臨床試験になじみにくく、性機能への効果を明確に示すエビデンスは限られているのが現状です。一定期間続けても変化が感じられない場合は、医師に相談し、別の選択肢を検討することもできます。
精力減退やEDに用いられる漢方薬には、体質のタイプごとにいくつかの処方があります。代表的な種類とそれぞれの効能・効果を以下にまとめました。
| 漢方薬名 | 適した体質・タイプ | 効能・効果 |
|---|---|---|
| 八味地黄丸 | 加齢に伴う下半身の衰え、冷えが気になる方 | 陰萎や腰痛、坐骨神経痛、前立腺肥大など |
| 牛車腎気丸 | 八味地黄丸の症状に加え、むくみなどもある方 | 下肢痛や頻尿、むくみなど |
| 補中益気湯 | 胃腸が弱く、疲れや気力の低下が目立つ方 | 陰萎や夏やせ、病後の体力増強、食欲不振など |
| 柴胡加竜骨牡蛎湯 | 精神的な緊張、不安、イライラがある方 | 陰萎や高血圧症、動脈硬化症、慢性腎臓病など |
| 桂枝加竜骨牡蛎湯 | 精神的な緊張、不安、不眠がある方 | 陰萎や神経衰弱、性的神経衰弱、遺精など |
一部の医療用漢方薬は、効能・効果に「陰萎(勃起不全の古い呼称)」と記載されているものがあります。ただし、いずれも「精力増強」をうたう承認を受けているわけではありません。
八味地黄丸(はちみじおうがん)と牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)は、加齢に伴う下半身の衰えや冷えが気になる人に用いられることがある漢方薬です。漢方医学では、成長や生殖に関わる「腎」の機能が低下した状態を「腎虚」と捉え、八味地黄丸や牛車腎気丸の処方は腎の働きを助けるとされています。
八味地黄丸は、医療用の効能・効果に腰痛や坐骨神経痛、前立腺肥大などとともに「陰萎」が含まれます。牛車腎気丸は八味地黄丸に生薬を加えた処方で、下肢痛や頻尿、むくみなどに用いられますが、効能・効果に陰萎は含まれていません。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ツムラ八味地黄丸エキス顆粒(医療用)添付文書」
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒(医療用)添付文書」
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、胃腸の働きが衰え、疲れやすく気力が低下しているタイプに対して選択肢となることがある漢方薬です。漢方医学でいう「気虚(エネルギー不足)」の状態を補い、体力の回復を目指す処方とされています。補中益気湯の効能・効果には、夏やせ・病後の体力増強・食欲不振などとともに陰萎が含まれます。
ただし、効能・効果に含まれる陰萎は体力や気力の低下を伴う場合に用いられるという位置づけであり、精力増強の効果が約束されるものではありません。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)と桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)は、精神的な緊張や不安が関係するタイプに対して選択肢となることがある漢方薬です。これらは「竜骨」「牡蛎」といった心を落ち着かせる生薬を含み、動悸・不眠・イライラなどの精神症状を和らげる処方とされています。
心因性の要素が関係する性機能の悩みに用いられることがあり、柴胡加竜骨牡蛎湯と桂枝加竜骨牡蛎湯の効能・効果に陰萎が含まれているのが特徴です。精神的なストレスが背景にある場合は、こうした漢方薬が選択肢になることもあります。
| 成分 | 法律上の主な区分 | 伝統的な位置づけ | 性機能に関する研究の状況 |
|---|---|---|---|
| マカ | 健康食品(食品) | 滋養強壮 | 研究で見解が分かれている |
| 高麗人参 | 生薬・健康食品 | 疲れやすさや食欲不振に用いられてきた | 直接的な効果を示すエビデンスは限られる |
| マムシ | 食品 | 「精がつく食品」として経験的に用いられてきた | 勃起を直接改善する作用は確認されていない |
| スッポン | 食品 | 「精がつく食品」として経験的に用いられてきた | 勃起を直接改善する作用は確認されていない |
漢方以外にも、精力剤として古くから使われてきたマカや高麗人参、マムシ、スッポンなどの成分があります。いずれも滋養強壮の目的で用いられますが、性機能への直接的な効果を示すエビデンスや直接的な作用を示す根拠が確立されているものではありません。
マカや高麗人参は、滋養強壮を目的に使われてきた成分です。高麗人参は、疲れやすさや食欲不振など虚弱な状態に古くから用いられ、漢方の生薬としても使われています。
マカは健康食品として流通していますが、性機能への効果については研究で見解が分かれており、血清テストステロン値の明確な変化は示されていないとする報告もあります。一方で、軽症ED患者においては性機能改善がみられたとの報告もあり、確立された治療効果は確認されていません。また、健康食品はあくまで栄養補給を目的とするもので、精力増強などの効能をうたうことはできません。
参考:National Library of Medicine「Effect of Lepidium meyenii (Maca) on sexual desire and its absent relationship with serum testosterone levels in adult healthy men」
参考:厚生労働省「健康食品の正しい利用法」
マムシやスッポンは滋養強壮の食品として知られていますが、勃起を直接改善する作用を持つものではありません。マムシやスッポンは良質なタンパク質やアミノ酸を含み、栄養補給の面から「精がつく食品」と伝統的に考えられてきました。
ただし、それは経験的・伝統的な位置づけであり、ED治療薬のような直接的な作用とは性質が異なります。栄養面のサポートという位置づけであり、性機能の悩みそのものの解決を期待するものではありません。
精力剤や漢方を使うときは、製品の安全性と体への影響に注意が必要です。強壮目的の健康食品から医薬品成分が検出された事例が、厚生労働省の調査で報告されています。
ここからは、それぞれの注意点とリスクについて詳しく解説します。
「漢方」や「強壮」をうたう健康食品の中には、表示されていない医薬品成分が検出された事例が報告されています。厚生労働省によると、強壮目的の健康食品からED治療薬の有効成分であるシルデナフィルが検出されました。
こうした製品は承認や許可を受けていない無承認無許可医薬品にあたり、含有量も均一とは限らず、健康被害が生じるおそれがあります。シルデナフィルは硝酸剤との併用が禁忌とされています。成分が分からない製品の使用については、医師や薬剤師にご相談ください。
参考:厚生労働省「無承認無許可医薬品情報」
参考:厚生労働省「医薬品成分(シルデナフィル及び類似成分)が検出されたいわゆる健康食品について」
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」
漢方薬は自然由来の生薬から作られますが、医薬品であり、副作用や飲み合わせに注意が必要です。たとえば、甘草(カンゾウ)を含む漢方薬では、むくみや血圧上昇などを伴う偽アルドステロン症が起こることがあります。
また、複数の漢方薬を併用すると、同じ生薬が重複して影響が強く出る場合があります。すでに別の薬を服用している人は、自己判断で漢方薬を加えず、医師や薬剤師に相談することが大切です。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)添付文書」

海外の精力剤や漢方を個人輸入・海外通販で入手すると、医療機関を通じた処方と異なり、品質管理の状況が確認できない場合があります。
また、個人輸入で入手した医薬品は、成分や含有量を確認できない場合があります。万が一、副作用が生じた際にも対応が難しくなる点に注意が必要です。
さらに、個人輸入した医薬品で健康被害が生じても、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる点にも留意しましょう。入手経路に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
参考:厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
参考:厚生労働省「健康食品の正しい利用法」
精力減退の悩みが続く場合、国内で標準的なED治療は、主にPDE5阻害薬を用いたアプローチが広く知られています。
EDとは、一般に満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、または維持できない状態が続くこととされています。原因は一つではなく、血管や神経のダメージによる「器質性」、ストレスや不安による「心因性」、その両方が重なる「混合性」などに分類されます。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病、加齢、精神的なプレッシャーなど、複数の要因が関わることも少なくありません。原因によって適した対処が変わるため、まず状態を把握することが第一歩になります。

国内で標準的なED治療は、PDE5阻害薬による治療です。性的刺激を受けると、海綿体平滑筋をゆるめるcGMP(環状グアノシン一リン酸)が増え、陰茎への血流が増加することで勃起が起こりますが、これを分解する酵素がPDE5です。
PDE5阻害薬はcGMPの分解を抑え、性的刺激を受けたときの勃起をサポートします。主な有効成分にはシルデナフィル・バルデナフィル・タダラフィルがあり、いずれも医師の診察にもとづいて処方されます。薬を飲めば自動的に勃起するわけではなく、あくまで性的刺激があるときに働く点が特徴です。
ED治療は、対面の受診に抵抗がある場合、オンライン診療を利用する方法もあります。オンライン診療は、カメラ付きのビデオ通話を用いて医師の診察を受ける仕組みで、自宅などから医師に相談することが可能です。クリニックに足を運ぶ必要がないため、これまで受診をためらっていた人にとって相談しやすい選択肢の一つです。処方は医師の診察にもとづいて行われるため、まずは自分の状態を医師に相談してみることが大切です。

精力剤や漢方で様子を見続けた結果、受診が遅れてしまう方は少なくありません。EDは、糖尿病や高血圧などの生活習慣病が背景に隠れていることもあり、原因に応じた対処が大切です。器質性・心因性・混合性のいずれかによって適した対応は異なるため、自己判断で製品を選ぶ前に、一度医師に相談することを検討してみてください。
精力剤や漢方について、よくある質問をまとめました。Q&A形式で回答するので、ぜひご覧ください。
精力剤に使われる漢方はドラッグストアで買えますか?
一部の漢方薬は一般用医薬品としてドラッグストアで購入できます。ただし、医療用と一般用では効能・効果の範囲が異なり、一般用医薬品の効能・効果には陰萎(勃起不全の古い呼称)が含まれない場合があります。体質に合うか不安な場合は、薬剤師や医師に相談して選ぶと良いでしょう。
漢方薬とED治療薬は併用できますか?
自己判断での併用は避けてください。漢方薬もED治療薬も医薬品であり、体質や持病、ほかに服用している薬によっては注意が必要です。漢方薬とED治療薬の併用を考える場合は、必ず医師の診察を受けて判断してもらいましょう。
精力剤の漢方薬に健康保険は使えますか?
医師が病気の治療に必要と判断して処方する医療用漢方製剤には、保険が適用される場合があります。一方、ドラッグストアで購入する一般用医薬品の漢方や健康食品は公的保険適用の対象外(全額自己負担)です。保険適用の可否は診察した医師の判断によります。
「精力剤」は法律上の分類ではなく、漢方薬は体質に合わせて使う医薬品で、ED治療薬のような直接的な作用を持つものではありません。八味地黄丸や補中益気湯など、医療用の効能・効果に陰萎(勃起不全の古い呼称)が含まれる漢方薬もありますが、いずれも体質(証)や状態に合わせて選ぶことが基本となります。
また、強壮をうたう健康食品には医薬品成分が検出された事例も報告されており、自己判断での使用や個人輸入には品質面などの注意点があります。精力減退の背景にEDがある場合は、PDE5阻害薬による治療が一つの選択肢です。性機能の悩みが続くときは、自己判断で製品を選ぶ前に、医師への相談やオンライン診療をご検討ください。
e-Gov 法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ツムラ八味地黄丸エキス顆粒(医療用)添付文書」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ツムラ牛車腎気丸エキス顆粒(医療用)添付文書」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「ツムラ桂枝加竜骨牡蛎湯エキス顆粒(医療用)添付文書」
National Library of Medicine「Effect of Lepidium meyenii (Maca) on sexual desire and its absent relationship with serum testosterone levels in adult healthy men」
厚生労働省「健康食品の正しい利用法」
厚生労働省「無承認無許可医薬品情報」
厚生労働省「医薬品成分(シルデナフィル及び類似成分)が検出されたいわゆる健康食品について」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「シルデナフィル錠 添付文書」
厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
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治療の必要性について
EDは生活習慣病が原因の場合もあるため、放置せず早期に専門医へ相談することが推奨されます。
費用について
ED治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1錠500~2,000円ほど)の他に初診料や診察料がかかる場合があります。
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