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更新日:2024/01/24

精力剤はEDに効果がある?種類や成分・選び方・注意点について解説

この記事のまとめ
  • 精力剤の効果として、滋養強壮・疲労回復・男性機能改善などが期待できる
  • 精力剤には、一般用医薬品や漢方薬、サプリメントなどさまざまな種類がある
  • 精力剤に使われる主な成分は、テストステロン・タウリン・亜鉛・シトルリンなど
  • 精力剤は、分類・剤形・成分・販売方法に着目して選ぶと良い
  • 精力剤を服用するときは、用法用量を正しく守り、服用後異常がある場合や効果がない場合は医師に相談する

精力剤は、滋養強壮・疲労回復・男性機能改善への効果が期待できます。薬局やコンビニエンスストアで手軽に購入できる一方で、種類が豊富にあり、どれを選んで良いかわからない人もいるでしょう。

そこで本記事では、精力剤の種類や成分、効果、選び方、注意点について解説します。また、EDを発症している場合は、精力剤では改善しないと考えられるため、医療機関で受診することについても紹介しています。ぜひ参考にしてください。

精力剤とは

精力剤とは、身体的・精神的疲労を軽減するための一般用医薬品・指定医薬部外品・サプリメント・ドリンク・食品などの総称です。精力剤の一般用医薬品・指定医薬部外品・サプリメントなどは、いずれも薬局やドラックストアで購入が可能です。

精力剤を服用する一般的な目的は、身体の疲労回復や集中力の向上です。精力剤という言葉から、性行為前に「性欲を高める」「勃起力を高める」といった目的で使用する人もいますが、性機能というよりは身体の活力をサポートするものです。

また、精力剤は、バイアグラなどのED治療薬のようにEDに直接的に作用するわけではありません。EDの原因となる症状(疲労や倦怠感、虚弱体質など)に働きかけ、EDの改善を補助するものになります。

精力剤の種類

精力剤には多くの種類があり、大きく一般用医薬品・漢方薬・サプリメントに分けられます。それぞれ解説していきます。

第1類医薬品

第1類医薬品は、副作用により日常生活に支障が出る可能性のある一般用医薬品です。購入者が正しく使用することができるよう、薬剤師による説明が義務付けられています。

薬局やドラックストアで購入できる精力剤で代表的な第1類医薬品は、男性ホルモンとして作用する、メチルテストステロンを補充する精力剤です。

第2類医薬品

第2類医薬品は、主に副作用・飲み合わせなどの理由で、服用に注意を要するものを指します。滋養強壮や疲労回復が目的の精力剤・漢方薬の多くが、第2類医薬品に該当します。

第2類医薬品は、薬剤師または登録販売者がいる薬局やドラックストアで購入でき、副作用などの説明を受けたうえでの使用が推奨されています。

第3類医薬品

第3類医薬品は、​​第1類医薬品や第2類医薬品に相当するもの以外で、副作用のリスクが比較的低い一般用医薬品のことをいいます。また、第3類医薬品の成分として指定されている生薬や動植物由来成分が含まれています。

薬剤師または登録販売者がいる薬局やドラックストアで購入できる一般用医薬品で、ビタミン類似物質や肝臓加水分解物、熟成ニンニク抽出液などが配合されています。第3類医薬品に関しては、購入者への薬剤師からの説明に規定はありません。

指定医薬部外品

指定医薬部外品は、処方箋や薬剤師からの説明などは必要なく、コンビニや薬局、インターネットで手軽に購入することができます。 指定医薬部外品は、第1〜3類医薬品に比べ副作用のリスクがないのが特徴で、安全性においても特に問題がないとされています。

漢方薬

漢方薬は、エネルギー不足や精神的な不調などの症状を改善する効果が期待できます。

精力に関わる代表的な漢方薬は、八味地黄丸・柴胡加竜骨牡蛎湯・補中益気湯・十全大補湯・半夏厚朴湯などがあり、これらは第2類医薬品に指定されています。薬局やドラックストアでも購入できますが、購入時に薬剤師または登録販売員の説明を受けることが推奨されています。

また、漢方薬の代表的な材料として、牛黄(ごおう)や高麗人参、ロクジョウなどがあります。これらを使用した漢方は、第3類医薬品に指定されています。漢方薬は、動物由来・植物由来成分でできており、副作用が少なく他の薬との飲み合わせに困ることが少ないのが特徴です。 できるだけ自然に近い形で症状を改善したい人には、漢方薬を活用するのも一つの方法です。

精力剤として使われる漢方については、「漢方精力剤はEDに効果はある?漢方薬の種類やED治療薬との違いを解説」でも詳しく解説しています。

サプリメント

サプリメントは、ビタミンやミネラルといった健康の維持増進に役立つ特定成分が濃縮されたもので、健康食品の一つです。精力に関連するサプリメントは、直接精力をアップさせる作用はありませんが、栄養素を補給することで、疲労回復・活力アップが期待できるとされています。

サプリメントは、食品に分類されるとはいえ、過剰摂取してしまうと副作用や健康被害が生じる恐れがあります。そのため、1日の摂取目安量を守って使用してください。

精力剤の効果

精力剤の効果として、滋養強壮・疲労回復・男性機能改善などが期待できます。ここでは、それぞれの効果について解説していきます。

滋養強壮

滋養強壮とは、栄養を補給して強い体を手に入れる、という意味の言葉です。やる気がでない、行動力が低下している、慢性的にだるいなどの症状は精力減退につながると考えられます。

身体の弱った部分に栄養補給して症状の改善を図り、活力や行動力、集中力を向上させることで、結果的に精力アップにつながる可能性があります。

疲労回復

精力剤は、肉体的・精神的疲労を回復する効果が期待できます。不足している栄養を補うことで疲労を回復させ、結果的に性的機能が向上すると考えられています。

男性機能の改善

男性ホルモンであるテストステロンが含まれている精力剤を飲むことで、男性機能の改善効果も見込めます。性欲減退や勃起力低下といった症状の改善に役立つでしょう。

精力剤に含まれる主な成分とは

ここでは、精力剤に含まれる主な成分が、どんな悩みに効果をもたらすかについて解説します。

メチルテストステロン

メチルテストステロンは、第1類医薬品に使われる成分です。効果は、男性性腺機能不全の改善が期待できます。男性性腺機能不全とは、男性更年期障害とも呼ばれるテストステロン低下による疾患で、症状として抑うつ、性機能低下が見られるものです。

また、メチルテストステロンは性欲・勃起機能に作用するため、EDの症状や性欲・精子形成などが改善する可能性があります。

タウリン

タウリンは、肝臓の機能を高める作用があります。肝機能が安定すると代謝がスムーズになるため、滋養強壮や疲労回復の効果が期待できるといわれています。

しかし、タウリンの摂取そのものが、EDの症状を改善させたり性欲を増強させたりするという研究は今の所ありません。タウリンを摂取することで起こる滋養強壮や疲労回復作用が、間接的にEDの症状の改善につながる可能性があると考えられています。

亜鉛

男性ホルモンであるテストステロンは、勃起の促進に関わっています。亜鉛は、このテストステロンの合成や分泌に重要な役割を果たす成分です。そのため、亜鉛を補うことで男性機能の低下を予防できる可能性があります。

シトルリン

シトルリンは、体内の一酸化窒素の産生を促す成分です。一酸化窒素は、cGMPと呼ばれる酵素を産生させ、血管拡張を促します。この血管拡張作用により勃起が促されるため、シトルリンを服用することで精力アップにつながるとされています。

また、血管拡張により血流を改善させることで、疲労や活力低下の悩みにもアプローチできます。

精力剤の成分について詳しく知りたい方は、「精力剤の成分と効果とは?選び方のポイントについても解説」も参考にしてみてください。

精力剤の選び方

自分にあった精力剤の選び方として、分類・剤形・成分に着目する方法があります。ここでは、それぞれの選び方について解説していきます。

分類

前述のとおり、精力剤は、第1〜3類医薬品、指定医薬部外品、サプリメントなどに分類できます。

一般用医薬品は指定医薬部外品やサプリメントと比べ効果が高いものが多い一方で、 副作用のリスクがあります。したがって、用法用量を守り正しく服用することが求められています。

副作用のリスクがあっても効果を求めたい場合は第1類医薬品を、逆に副作用のリスクをなるべく減らしたい場合は、指定医薬部外品や漢方、サプリメントを選ぶと良いでしょう。

剤形

精力剤の剤形は、錠剤・ドリンク・軟膏などのタイプに分けられます。 それぞれ剤形によって特徴があるため、自分にとって続けやすいタイプを選んでください。

錠剤は、持ち運びやすく価格帯も手ごろなものが多いため、服用が継続しやすいのが特徴です。しかし、長期的な服用によって効果が得られるものが多く、即効性には欠けます。

ドリンクタイプは、錠剤よりも比較的即効性があり、服用する際にそのまま飲めるのが特徴です。しかし、瓶入りで販売されていることが多く、持ち歩くには重くてかさばるのが難点です。

軟膏は性器に直接塗布して使用するため、 ドリンクタイプよりもさらに即効性が高いのが特徴です。しかし、軟膏は第1類医薬品に分類されているものが多いため、使用する際は薬剤師の指示を守るようにしてください。

成分

先述したように、精力剤に使われている成分はさまざまです。それぞれの成分で作用や効果が異なるため、悩みに合わせた成分を選ぶようにしましょう。

また、精力剤によって、含まれる成分の配合量が異なります。精力剤によっては、自分が求める成分の配合量が極端に少ない場合もあるため、精力剤を選ぶときは成分だけでなく配合量も確認して購入するようにしてください。

精力剤を服用する時の注意点

精力剤を服用するときに、注意するポイントが4つあります。精力剤の効果を得られるよう、注意点を守り使用しましょう。

1.用法用量や目安量を守る

精力剤は、用法用量や1日の摂取目安量を守るのが原則です。 効果を実感できないと思っていたら、服用方法を間違っていたということもあり得ます。また、精力剤は一定期間服用を継続しなければ効果が実感できないものもあります。

また、より強い効果を期待しようとして、規定量を超えて摂取すると、副作用を引き起こす原因になるので控えるようにしてください。 効果が実感できない場合は、医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

2.基礎疾患がある場合はかかりつけ医に相談する

精力剤の中には、特定の病気に影響のある成分が含まれている場合があります。また、疾患の治療中で医療用医薬品を服薬している場合は、精力剤に飲み合わせの悪い成分が含まれている可能性もあります。そのため、基礎疾患をもっている人はかかりつけの医師に相談するようにしてください。

また、ドリンクタイプの精力剤は、糖分が多く含まれていることが多いです。糖分摂取を制限しなければならない疾患を持っている方は、必ず医師や薬剤師などの専門家に相談するようにしましょう。

3.異常があれば医師に相談する

精力剤には副作用があるため、服用することで身体に異常が見られることがあります。 特にアレルギー体質の方や以前に他の薬やサプリメントなどで副作用を起こした経験のある方は、精力剤を服用することで異常が見られる可能性があります。

精力剤を使用後、気分が悪くなったり、皮膚に湿疹が現れたりなどの異常が見られた場合は、直ちに服用を中止して医療機関で受診するようにしてください。

4.海外製の精力剤を個人輸入で購入しない

精力剤はコンビニや薬局で手軽に購入できるとはいえ、ほかの人の目が気になる方もいるでしょう。その場合は、ECサイトを利用すれば周りの目を気にすることなく購入することも可能です。

ただし、ECサイトで海外製の精力剤を購入するのは避けましょう。厚生労働省の「令和2年度インターネット販売製品の買上調査」では、海外製の精力剤において、バイアグラの有効成分であるシルデナフィルを含有する商品が多数確認されたとしています。シルデナフィルは日本においては医療機関で受診して処方される医療用医薬品にあたるため、診察を受けていない方が服用すると、重篤な副作用を来たす可能性があります。

また、海外製の精力剤には医薬品成分や表示と異なる成分が含まれている可能性があり、健康被害を被る恐れがあるため大変危険です。周りの目が気になるからといってECサイトで海外の製品を購入することは控えましょう。

参考:厚生労働省「令和2年度『インターネット販売製品の買上調査』の結果について

精力剤を使用する以外にできること

精力剤を使用する以外に精力をアップさせる方法としては、生活習慣の見直し・ホルモン補充療法の実施・ED治療薬の使用が挙げられます。それぞれ紹介していきます。

生活習慣の見直し

男性の性欲減退や勃起不全には、加齢に伴うテストステロンの減少が密接に関わっています。テストステロンの減少は、食事・運動・睡眠の3つの生活習慣の改善を心がけることで予防できる可能性があります。

食事では、牡蠣・あさり・うなぎなど、鉄や亜鉛、タウリンといった栄養素が豊富に含まれている食材を摂取することがおすすめです。これらの栄養素は、特に勃起不全などの男性機能改善に効果があるとされています。 運動では、1日1時間程度の有酸素運動や筋肉のトレーニングなどの適度な運動が、テストステロンの分泌を促すとされています。

そして、3つの生活習慣の中でも特に重要なのが、睡眠です。深い眠りであるノンレム睡眠は、成長ホルモンの分泌を促し、疲労した身体を回復させる役割があります。また、ノンレム睡眠が抑制されると、テストステロンの分泌量が低下してしまいます。

ノンレム睡眠をしっかりとるには、眠る2時間前までに食事入浴を済ませる、眠る直前までテレビやスマートフォンを見ない、自分に合った寝具を選ぶなど、良質な睡眠が確保できる工夫をしてみましょう。

参考:厚生労働省「良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと」「快眠と生活習慣 | e-ヘルスネット

ホルモン補充療法の実施

ホルモン補充療法も、精力をつけるための一つの方法です。ホルモン補充療法とは、注射や軟膏などを使用して、体内に直接テストステロンを投与する治療法です。活力が湧いてこない、疲れやすい、性的興奮が少ないといった場合は、テストステロンの低下が原因の可能性があります。

ED診療ガイドラインでは“テストステロン低下を伴ったED患者へのテストステロン補充療法を実施 することを強く推奨する”としています。

特に40歳以降では、男性ホルモンの低下が原因で起こる男性更年期障害(LOH症候群)を発症している可能性もあります。症状がなかなか改善しないようであれば、ホルモン補充療法を見据えて一度医療機関で受診することを検討しても良いでしょう。

参考: 日本性機能学会、日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン第3版

ED治療薬の使用

精力剤は、EDを根本的に改善するものではありません。精力剤を使用してもなかなか効果を感じることができない場合は、泌尿器科などの医療機関で受診しED治療薬の服用を検討してみるのも良いでしょう。

ただし、バイアグラなどのED治療薬は、副作用や併用禁忌薬があります。特に持病がある方は注意が必要なため、必ず医師に相談してから使用するようにしてください。

また、EDはデリケートな悩みであり、医療機関での受診を考えても周りの目が気になり、受診を躊躇している人もいるかもしれません。また、「EDの治療薬が欲しいけれど仕事が忙しく通院する時間がない」「そもそもクリニックが遠くて通院が難しい」といった理由で悩んでいる人もいるでしょう。そのような方は、オンライン診療を利用するのがおすすめです。

オンライン診療とは、クリニックに来院することなく、医師による診察からED治療薬の処方までをスマートフォンやパソコンなどを使って行える診察です。処方されたED治療薬は、自宅や希望した郵送先に郵送してもらえます。来院の必要がなく全国どこでも受診することが可能なので、手軽に受診したい方はオンライン診療を検討すると良いでしょう。

ED治療薬については、「ED治療薬の特徴は?3種類の薬の勃起力や即効性、持続時間・副作用を解説」でも詳しく解説しています。

まとめ

精力剤は、滋養強壮・疲労回復・男性機能改善などの効果が期待できます。

精力剤に使われる主な成分は、テストステロン・タウリン・亜鉛・シトルリンなどで、精力剤によって成分や配合量が異なります。剤形は、錠剤・ドリンク・軟膏などのタイプがあるので、悩みや使いやすさによって選びましょう。

精力剤は、より強い効果を期待したい場合であっても、過剰に服用するのは避けてください。精力剤も分類によっては副作用が強く出る場合があります。精力剤を安全に使用し、効果を感じやすくするためには、用法用量や1日の摂取目安量を守って使うことが大切です。 万が一服用後に副作用や異常を感じた場合は、医師に相談してください。

精力剤を服用してもなかなか症状が改善しない場合は、今一度服用方法と生活習慣を見直し、それでも効果が得られない場合は、医療機関を受診することも検討しましょう。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会