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更新日:2024/02/14

漢方精力剤はEDに効果はある?漢方薬の種類やED治療薬との違いを解説

この記事のまとめ
  • 精力剤として使われる漢方には、マムシ・すっぽん・高麗人参がある
  • 医薬品として扱われる主な漢方薬には、八味地黄丸・柴胡加竜骨牡蛎湯・補中益気湯・十全大補湯・半夏厚朴湯がある
  • 個人輸入した漢方薬は、偽薬や健康被害の可能性があるため使用は避けるべき
  • 漢方薬は、効果を感じるまでに時間はかかるが、より自然にEDの症状を改善したい場合に有効

漢方薬は、ED(勃起不全)の症状を改善するにあたり、一つの選択肢となりえます。漢方は薬局やコンビニでも多くの種類が販売されているため、実際に服用しようと思ってもどの漢方を選べばよいか悩む人もいるでしょう。

本記事では、漢方がEDにどのように作用するのか解説し、漢方に使われる成分や、EDへの効果が期待できる漢方を種類別に紹介します。また、ED治療薬との違いについても解説するため、ぜひ参考にしてください。

精力剤の漢方はEDに効果がある?

漢方は、EDを根本的に治療する治療薬とは異なり、​​​​EDの原因となるエネルギー不足や精神的な不調などの症状を身体の内側から改善する効果が期待できます。

また、動物由来・植物由来成分でできており、副作用が少なく、他の薬との飲み合わせに困ることが少ないのが特徴です。できるだけ自然に近い形で症状を改善したい人は、漢方薬を使用するのも一つの手です。

精力剤のEDへの効果については、「精力剤はEDに効果がある?種類や成分・選び方・注意点について解説」でも詳しく解説しています。

精力剤として使われる漢方

漢方は、それぞれ使われる材料によって含まれる有効成分が異なります。したがって、効果も異なるため、どのような成分が含まれているかを確認して使用するようにしてください。

ここでは、漢方の精力剤に使用されている代表的な有効成分について解説します。

マムシ

マムシは、古くから滋養強壮や精力増大を目指す漢方薬として使用されてきました。

マムシには、さまざまな種類のアミノ酸やビタミンが含まれ、血行改善や疲労回復に効果があるといわれています。マムシ自体に性欲増進作用はありませんが、身体の血行改善や疲労回復によって、EDの改善に効果が期待できます。

すっぽん

すっぽんは、主に南アメリカ以外の熱帯地域に生息する、水の中で生息するカメの一種です。中国では3000年以上前から、すっぽんの甲羅や頭、肉、血液などが薬として利用されてきました。 日本でも、すっぽんエキスが顆粒・錠剤・栄養ドリンクなどとして薬局やドラックストアで販売されています。

すっぽんには、良質なタンパク質、血行改善が期待できるアルギニン、疲労回復効果のあるビタミンB群、テストステロンの合成や分泌に重要な働きをする亜鉛など、EDの改善に効果が期待できる栄養成分が豊富に含まれています。

高麗人参

高齢人参は、東洋では2000年以上前から滋養強壮の生薬として使用されてきました。高麗人参には多数の成分が含まれており、特徴的な成分はジンセノサイドと呼ばれる成分です。

ジンセノサイドは、苦味やえぐ味の元となるサポニンの一種です。ストレスへの抵抗性を高め、全身強壮、体力・集中力および記憶力の向上、免疫機能の活性化の効果があるとされています。

また、ジンセノサイドは、NO(一酸化窒素)の分泌を増加させ血管を拡張させるとともに、血管の周りの筋肉を弛緩させることで血液の流れを促す作用があり、それがEDの改善に効果があるとされています。

EDに有効な漢方薬

EDへの効果が期待できる漢方は、日本でも市販薬として多くのものが販売されています。それぞれ含まれている有効成分が異なり、作用や効果もさまざまです。

ここでは、EDの改善効果が期待できる漢方について解説していきます。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

八味地黄丸は、加齢や腎機能の低下による体の機能低下を改善する効果が期待できる漢方です。

八味地黄丸は、8つの生薬から構成されており、地黄(じおう)と呼ばれる生薬が主成分です。八味地黄丸は、腎虚と呼ばれる心身衰弱症を改善する作用があり、特に疲労感・倦怠感・腰や足の冷えやしびれ・痛みなどに効果があるとされています。 EDの原因となり得る身体的疲労や虚弱体質に働きかけることで、EDの改善効果が期待できます。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

柴胡加竜骨牡蛎湯は、柴胡(さいこ)と呼ばれる生薬が主成分の漢方です。高血圧の随伴症状(動悸・不安・不眠)、神経症などに用いられます。 不安感や抑うつなどの精神的な不調が原因で起こる心因性EDの改善にも用いられます。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)

EDは、疲労や加齢などが原因で起こることがあります。そのような時に効果が期待できる漢方が補中益気湯です。 補中益気湯は、疲労が溜まった身体を元気にさせて倦怠感やストレスを緩和することで、EDの改善が期待できるとされています。

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)

漢方では、生命活動のもとになる「気」、体内に栄養を巡らす「血」が不足すると全身の機能が弱まるとされていますが、十全大補湯はそれらを補う働きをする漢方薬です。 十全大補湯は、補血・強壮の薬として疲労や虚弱体質から来るEDへの効果が期待できます。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)

EDは、精神的な不安や緊張・ストレスが原因で起こる場合がありますが、そのような症状を和らげる働きがあるのが半夏厚朴湯です。 半夏厚朴湯は、胃腸の働きを正常化し、神経の働きを落ち着かせることで男性機能の改善につながる可能性があるとされています。

漢方の入手方法の注意点

近年、インターネットの普及により個人の海外からの直接購入(個人輸入)が容易になってきています。しかし、それにより偽造薬が出回り健康被害が発生していることが問題となっています。

厚生労働省の令和2年度インターネット販売製品買上調査でも、漢方と称して、ED治療薬であるバイアグラ(シルデナフィル)を含有する商品が多数確認されています。このような商品は、健康被害や重篤な副作用が生じる可能性があり、大変危険です。購入を控えるとともに服用しないようにしてください。

漢方は、バイアグラなどのED治療薬に比べて即効性は期待できず、長期的に服用することで効果が現れるものです。 もし、漢方を一定期間服用したけれど効果が感じられない場合は、個人輸入による漢方や精力剤を試すのではなく、医療機関で受診し適切な治療を受けるようにしてください。

参照元:厚生労働省「令和2年度インターネット販売製品買上調査

即効性を期待するなら、ED治療薬の使用がおすすめ

EDの改善を図れるとされている漢方は、ED治療薬と違って即効性が低く、効果の程度も個人差があります。漢方の服用を長期的に続けたとしても、効果を十分に感じることができない人もいるかもしれません。 一定期間漢方を飲み続けても効果が実感できない方や、すぐにでも症状を改善したいという方は、ED治療薬の使用を医師に相談してみるのもよいでしょう。

ED治療薬は、主にバイアグラ・レビトラ・シアリスの3種類があり、それぞれ効果発現までの時間や持続時間、食事の影響などに違いがあります。自分に合うED治療薬はどれなのか、医師と相談しながら決めると良いでしょう。ちなみに、レビトラは2023年現在販売が中止されており、使用したい場合はジェネリック医薬品であるバルデナフィルが処方されます。

ED治療薬を処方してもらえる医療機関は、主に泌尿器科のクリニック・病院で、ED専門の医療機関もあります。また、近年はインターネット上で診療や薬の処方を受けられるオンライン診療もあるため、手軽に受診したい方や、忙しくて病院に通う時間がない方は、そちらの利用を検討すると良いでしょう。

ED治療薬について詳しく知りたい方は、「ED治療薬の特徴は?3種類の薬の勃起力や即効性、持続時間・副作用を解説」も参考にしてみてください。

まとめ

漢方は、EDの原因となる症状の改善に効果が期待できるとされています。バイアグラをはじめとしたED治療薬のような即効性はありませんが、飲み合わせてはいけない薬・食品や副作用が少ないのが特徴です。

ただし、漢方は効果の程度に個人差があり、長期的に服用したとしても十分な効果を感じることができない場合があります。EDをすぐにでも改善したい方は、医療機関で受診しED治療薬を処方してもらいましょう。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会