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更新日:2024年01月31日

バイアグラを飲んではいけない人は?自己判断で服用するリスクも解説

この記事のまとめ
  • バイアグラの主な作用は血管拡張による勃起促進である
  • バイアグラを飲んではいけない人は、併用禁忌の薬剤を服用している人など
  • 自身が飲んではいけない人か分からないにもかかわらず、バイアグラを服用すると危険
  • 自己判断でバイアグラを服用せず、クリニックで受診してから服用することが重要

バイアグラの服用を検討している方の中には、飲んではいけない人について気になっている方もいるのではないでしょうか。バイアグラを飲んではいけない人は、硝酸薬などの併用禁忌薬を服用している人や、半年以内に脳血管疾患や心筋梗塞を発症した人、低血圧・未治療の高血圧の人です。

本記事では、バイアグラの作用や、飲んではいけない人について解説します。また、自己判断でバイアグラを服用する危険性や、副作用が出たときの対処法についても解説します。

バイアグラの作用

バイアグラは、PDE5(ホスホジエステラーゼ)阻害薬と呼ばれており、血管拡張作用のある薬剤です。

勃起の発現は、陰茎海綿体の血管内皮細胞から一酸化窒素(NO)が放出されることでcGMP(サイクリックアデノシン一リン酸)が産生され、cGMPが陰茎海綿体にある平滑筋を弛緩させ陰茎に血流が流入することで起こります。

そして、cGMPがPDE5により分解されることで、勃起が終息していきます。EDを発症している方はPDE5の活性が強く、勃起が発現しづらくなります。バイアグラを内服すると、有効成分であるシルデナフィルがPDE5の働きを阻害することでcGMPの分解が抑制され、勃起の発現や維持する効果が期待できます。

このようにバイアグラには血管拡張作用があり、血管が拡張すると血圧が下がっていきます。そのため、降圧作用のある薬剤を服用していると、相乗効果により血圧が下がりすぎるリスクがあります。

バイアグラの効果について詳しく知りたい方は、「ED治療薬であるバイアグラの効果や服用方法・副作用・注意点について解説」も参考にしてみてください。

バイアグラを飲んではいけない人

バイアグラを飲んではいけない人は、下記に当てはまる人です。

  • 硝酸薬を使用している
  • アミオダロンを使用している
  • リオシグアトを使用している
  • 低血圧・未治療の高血圧である
  • 心血管疾患を発症している
  • 重度の肝機能障害にかかっている
  • 脳梗塞や脳出血を6ヵ月以内に発症した
  • 網膜色素変性症を発症している
  • バイアグラにアレルギーがある
  • 未成年者である

それぞれ解説します。

硝酸薬を使用している

硝酸薬は、平滑筋細胞内で一酸化窒素を放出させることで、血管の平滑筋を弛緩させる働きがあります。血管平滑筋の弛緩により静脈が拡張されると、静脈の血液の保たれる量が増えます。静脈に保たれる血液量が増えると、心臓に戻る血液量が減少し、心臓の負担が軽くなり血圧を下げる作用があります。

硝酸薬をバイアグラと併用すると、相乗効果により血管拡張作用が強くなり、血圧が下がりすぎてしまう危険性があるため、併用は禁忌とされています。

もし併用してしまい血圧が下がった場合は、立ちくらみやめまい、頭痛、動悸、胸痛、失神などの症状が起こるおそれがあります。最悪の場合は命に関わる可能性があり、実際に命を落とした事例が報告されています。

硝酸薬の主な名称は、二トロールやフランドル、硝酸イソソルビド、ニコランジルなどがあります。各メーカーによって硝酸薬の名称が違うため、自分が飲んでいる錠剤の種類を把握しておきましょう。

なお、ED診療ガイドラインによると、硝酸薬を使用していてバイアグラの内服を希望した場合、42%の医師が硝酸薬の使用を中止できると回答したとしています。硝酸薬を使用中で、バイアグラの内服を検討している方は、硝酸薬の使用を中止できないか、主治医に相談してみるとよいでしょう。

参考: J-STAGE「クエン酸シルデナフィル(バイアグラ)」 日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

アミオダロンを使用している

アミオダロンは、不整脈治療薬です。バイアグラと同じED治療薬のバルデナフィルと併用した際に、失神やQT延長と呼ばれる心臓の不整脈が起こった事例があり、かつシルデナフィルでも軽度のQT延長が認められたことから、バイアグラも併用禁忌とされています。

QTとは、心臓が収縮を始めるQ波から心臓が弛緩するT波までの時間のことです。本来心臓は同じリズムで収縮と弛緩を繰り返していますが、QT延長が起こると、心臓のリズムが不規則になり、心室細動などの命に関わる不整脈を起こします。

アミオダロンを使用している方がバイアグラを併用すると命にかかわるため、服用はやめましょう。

参考:医薬品医療機器総合機構「調査結果報告書

リオシグアトを使用している

肺動脈性肺高血圧の治療薬であるリオシグアトは、sGC(可溶性グアニル酸シクラーゼ)という受容体を活性化して、cGMPの産生を増加させる働きがあります。

勃起の発現に必要なcGMPが増えるため良い効果に思えるかもしれませんが、cGMPの分解を阻害するバイアグラと併用するとcGMPが増加しすぎてしまいます。cGMPは血管拡張作用があり、増えすぎると血圧低下を引き起こすおそれがあるため、併用禁忌とされています。

バイアグラの併用禁忌薬については、「バイアグラと飲み合わせてはいけない薬とは?併用禁忌薬を種類別に解説」でも詳しく解説しています。

低血圧・未治療の高血圧である

低血圧の方は、血管拡張作用のあるバイアグラを服用することで、さらなる血圧低下のリスクがあるため、ED治療薬は禁忌となります。低血圧とは、血圧が90/50mmHg未満の方です。

また、高血圧を発症していてかつ未治療の方は、性行為を行うとさらに血圧が上昇し心筋梗塞などの心疾患を起こすリスクがあるため、バイアグラを服用することはできません。高血圧は、収縮期血圧(最高血圧)が170mmHgを超える、もしくは拡張期血圧(最小血圧)が100mmHgを超える場合のことです。

EDを発症している方の多くは高血圧を併発しており、海外の研究によると41.2%が高血圧を合併していたと報告されています。そのため、問診によって高血圧が疑われる方は、検査をする必要があります。

高血圧であっても、治療を行い血圧がコントロールできている場合は、医師の判断によってバイアグラの服用が可能です。ただし、高血圧の治療薬には、降圧剤などバイアグラと併用注意の薬があるため、必ず医師に相談しましょう。

参考: ヴィアトリス製薬株式会社「バイアグラ添付文書」 日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

心血管疾患を発症している

心不全や狭心症、心筋梗塞などの心血管疾患を発症している方は、性行為そのものが危険な行為にあたるため、バイアグラの服用は禁忌となります。

性行為は脈拍の増加や血圧上昇など心臓に負担のかかる行為です。心血管疾患を発症していると心臓の機能が低下しているため、性行為に臨むと心臓は負荷に耐えられない可能性があります。

心血管疾患を発症後、リハビリに取り組み運動負荷試験に耐えられるようになったら、医師と相談してバイアグラの服用を検討しましょう。

重度の肝機能障害にかかっている

重度の肝機能障害にかかっていると、肝臓の役割である薬剤の代謝・排泄がうまく行えません。代謝・排泄ができない状態になると、体内におけるバイアグラの成分であるシルデナフィルの血中濃度が上昇してしまいます。

血中濃度が高い状態が続くと、副作用が出やすくなったり、効果が出過ぎたりするなどのトラブルを起こす危険性があります。そのため、重度の肝機能障害にかかっている方は、バイアグラの服用はできません。

脳梗塞や脳出血を6ヵ月以内に発症した

脳は、血流が少なくなる虚血状態とならないように、血圧の変動に応じて脳の血流を調節する機能が本来備わっています。しかし、脳梗塞や脳出血を発症した方は、自動調節機能が障害された状態にあります。

脳梗塞や脳出血を6ヵ月以内に発症した方がバイアグラを服用すると、血圧低下作用により、血流が悪くなり脳の虚血状態を起こす可能性があるため、発症後6ヵ月以内は飲んではいけないとされています。

脳梗塞や脳出血を発症して6ヵ月が経過したら、かかりつけ医にバイアグラを服用できるか相談してみましょう。

網膜色素変性症を発症している

網膜色素変性症とは、眼の中の光を感じる組織に異常が見られる疾患です。夜に見えづらくなったり、視野が狭くなったりする症状からはじまり、失明にいたる可能性もあります。

網膜色素変性症の原因の一つとしてPDE6の変異が挙げられます。PDE6は、光の信号を神経から脳へと伝達する役割を持つ酵素です。PDE6が阻害されると視界が悪くなり、網膜色素変性症が悪化するおそれがあります。

バイアグラはPDE5を阻害する作用が主ですが、PDE6を阻害する作用もあるため、網膜色素変性症を発症している方は服用できません。

バイアグラにアレルギーがある

以前バイアグラを服用し、蕁麻疹やかゆみなどのアレルギー症状が出た経験がある方は、バイアグラを服用できません。バイアグラを服用すると、再度アレルギー症状が出るおそれがあるためです。

アレルギー反応が強く出ることをアナフィラキシーショックと呼び、血圧低下や意識障害、呼吸困難が起きることがあります。アナフィラキシーショックを起こすと、早急に医療機関で治療する必要があり、最悪の場合、命を落としてしまう危険性があります。

バイアグラには、シルデナフィルという有効成分以外にも、添加物である青色2号などが使用されています。有効成分のアレルギーではなく添加物のアレルギーの場合は、アレルギーとなる添加物を使用していないED治療薬を使用できる可能性があるため、医師に相談してみましょう。

未成年者である

バイアグラは成人の患者を対象として開発されたED治療薬です。未成年者に対する臨床試験が行われておらず、安全性が確立されていないため、未成年の方は服用できません。

自己判断でバイアグラを服用するのは危険

バイアグラを飲んではいけない人に該当するケースは多岐にわたるため、自己判断でバイアグラを服用するのは危険です。

日常的に血圧を測定する機会は少なく、健康診断のみという方も多いのではないでしょうか。数ヶ月前に血圧を測定したときは異常がなくても、現在は低血圧や高血圧を起こしているかもしれません。

低血圧を起こしている場合、バイアグラを服用すると血圧が下がり、ふらついたり、失神したりする可能性があります。

自分ではわからないうちに、先ほど解説したバイアグラを服用してはいけない人に該当している可能性があるため、医師の診察を受けて問題がないことを確認してから服用しましょう。

また、バイアグラの正規品を購入するには医師の診察が必要です。インターネット通販でバイアグラを購入することもできますが、バイアグラなどの医療用医薬品を日本の通販で販売する行為は、法律違反にあたります。

さらに、インターネットで手に入れたバイアグラは偽薬の可能性があります。偽造ED医薬品四社合同調査によると、日本のインターネット通販で購入したED治療薬の43.6%、タイでは67.8%が偽薬であったと報告されています。

偽薬には、本来含まれていない成分や不純物が含まれており、服用すると重篤な副作用が生じるリスクがあります。バイアグラをインターネット通販で購入し、自己判断で服用するのは止めましょう。

バイアグラの個人輸入については、「バイアグラの個人輸入や輸入代行は違法?安全に入手する方法を詳しく解説」でも詳しく解説しています。

参考:ファイザー株式会社/バイエル薬品株式会社/日本イーライリリー株式会社/日本新薬株式会社「偽造ED医薬品四社合同調査

副作用が出たときの対応

バイアグラの主な副作用として下記が報告されています。

  • ほてり
  • 頭痛
  • めまい
  • 消化不良
  • 眼症状

ED診療ガイドラインによると、上記のなかでも頭痛は12.74%、ほてりは10.19%とおよそ10人に1人が感じており、バイアグラの用量に比例して副作用を感じる方が増える傾向にあります。

副作用は、軽度の症状で一過性であることが多いとされています。そのため、バイアグラを服用して副作用が出たときは性行為を中断し、安静に過ごせば治まることが多いでしょう。

しかし、非常にまれではあるものの重篤な副作用で日本でも報告例があるものとして、持続勃起症があります。

持続勃起症は、性的な刺激を受けていない状態でも勃起が発現しており、陰茎海綿体の血流が入れ替えができなかったり、常に血流が流入し続けたりする状態のことです。

血流が入れ替えられず6時間以上勃起が続く場合は、海綿体が壊死する危険性があります。海綿体が壊死した場合は、体の機能が不可逆的に障害されることで起きる器質性EDとなるため、すぐに治療する必要があります。4時間以上勃起が続いている場合は、すぐに受診しましょう。

また、先ほど解説したバイアグラを飲んではいけない人に該当する方が、バイアグラを飲んでしまい重篤な副作用が出た場合も医療機関で受診しましょう。

副作用により自分で動けない、もしくはアナフィラキシーの症状と感じた方は、すぐにパートナーに救急車を呼んでもらいましょう。

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]」

まとめ

バイアグラを飲んではいけない人は、併用禁忌薬を服用している人、循環器疾患・脳血管疾患を発症している人、網膜色素変性症を発症している人などです。また、バイアグラの副作用には頭痛やほてり、めまい、消化不良、眼症状などがあります。

飲んではいけない人に該当している方が自己判断で服用すると、最悪の場合命に関わります。バイアグラの服用を検討している方は、副作用や注意事項を理解するとともに、服用が問題ないか医師に確認してから服用を始めましょう。

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この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会