更新日:2026年04月15日
「アボルブがAGA治療に使われている」と聞いて、薄毛対策のために服用したいと考える方もいるのではないでしょうか。しかし、アボルブは前立腺肥大症の治療薬であり、AGA治療薬として承認されていない薬です。本記事ではアボルブの効果や副作用、AGA治療にも転用される背景について解説します。アボルブの有効成分や服用・入手に関する注意点なども理解し、適切な治療方法を検討するための参考にしてみてください。
アボルブとは、前立腺肥大症の治療薬として承認されている5α還元酵素阻害薬です。
アボルブの有効成分は、AGA治療薬の先発品「ザガーロ」と同じデュタステリドです。また、デュタステリドはザガーロのジェネリック医薬品の名称でもあるため、アボルブをAGA治療薬と認識している方もいるかもしれません。しかし、アボルブはAGA治療薬として承認されていない点に留意が必要です。
アボルブの有効成分であるデュタステリドは、男性ホルモンのテストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)へ変換する5αリダクターゼという酵素を阻害します。
このDHTは前立腺肥大症に関与する物質です。デュタステリドは、5αリダクターゼがテストステロンと結合してDHTに変換されるのを抑制し、肥大した前立腺の縮小を図ります。なお、5αリダクターゼにはI型とII型があり、デュタステリドは両方を阻害するのが特徴です。
また、DHTはAGA(男性型脱毛症)の発症にも関与します。DHTが頭頂部と前頭部の毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合すると、ヘアサイクルの成長期が短縮し、薄毛を引き起こします。
デュタステリドによってテストステロンがDHTへ変換されるのを抑えて薄毛の進行抑制を図れることから、医師の判断でアボルブを処方するAGAクリニックもあるようです。

AGA治療で使われるのは、ザガーロ(デュタステリド)やプロペシア(フィナステリド)といった治療薬です。どちらも5αリダクターゼを阻害する点ではアボルブと同じですが、AGA治療薬として承認されているか否かが異なります。
アボルブカプセル0.5mg(製造販売元:グラクソ・スミスクライン株式会社)の「添付文書」によると、アボルブで報告されている主な副作用は以下のとおりです。
| 1%以上 | 1%未満 | 頻度不明 | |
|---|---|---|---|
| 精神神経系 | リビドー減退 | 浮動性めまい | 抑うつ気分、味覚異常 |
| 生殖系 | 勃起不全 | 射精障害 | 精巣痛、精巣腫脹 |
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α還元酵素阻害薬 前立腺肥大症治療薬デュタステリドカプセル」
なお、副作用はすべての人に発現するわけではなく、症状の有無や程度には個人差があります。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「デュタステリド」
アボルブの服用を始めてから、一時的に抜け毛が増える初期脱毛が起こることがあります。
アボルブの有効成分であるデュタステリドによって休止期の髪が成長期に移行するため、弱っていた髪の毛が抜け落ち、新しい健康的な髪の毛に生え変わる過程で初期脱毛が発生すると考えられています。
ただし、すべての人に初期脱毛が起きるわけではありません。また、初期脱毛があっても量が少ないため気づかない場合もあります。
初期脱毛について詳しく知りたい方は、「」を参考にしてみてください。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)

初期脱毛は薬が効き始めているサインともいえます。通常は一時的なものですが、脱毛が続く場合は医療機関を受診しましょう。
アボルブの用法・用量は、1回0.5mgを1日1回経口投与するとされています。また、治療効果を評価するためには、通常6ヶ月間の治療が必要となります。
なお、厚生労働省が発行している広報誌『厚生労働』の「特集 あなたは大丈夫? 間違いやすい、誤解しやすい 薬との付き合い方」によると、薬を飲むときは水かぬるま湯で、量はコップ一杯が目安とされています。したがって、アボルブも水かぬるま湯で服用するのが望ましいです。ただし、医師から水分を取り過ぎないように注意されている場合は、指示を守って飲みましょう。
また、同特集によると、薬を飲み忘れた場合、2回分をまとめて飲んではいけないとされています。飲み忘れた場合は、思い出したときに1回分を飲みましょう。ただし、次の服用時間が迫っている場合には、飲み忘れた分は飲まず、次から通常どおりに飲んでください。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α還元酵素阻害薬 前立腺肥大症治療薬デュタステリドカプセル」
参考:厚生労働省「広報誌『厚生労働』」
アボルブを使用する際は、現在服用中の薬との飲み合わせを確認しておくことが大切です。特に、以下の薬との併用には注意が必要です。
| 薬剤名等 | 臨床症状・措置方法 | 機序・危険因子 |
|---|---|---|
| CYP3A4阻害作用を有する薬剤リトナビル、ケトコナゾール等 | これらの薬剤との併用によりアボルブの血中濃度が上昇する可能性がある | CYP3A4によるアボルブの代謝が阻害される |
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α還元酵素阻害薬 前立腺肥大症治療薬デュタステリドカプセル」
常用している薬がある場合は、アボルブとの併用が禁止されている、あるいは制限されている可能性があるため、必ず事前に処方医に確認しましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「デュタステリド」
アボルブは女性や小児、重度の肝機能障害のある患者への投与は禁忌とされています。
アボルブの有効成分であるデュタステリドは、男子胎児の外生殖器の発達を阻害する可能性が示唆されたと報告されています。また、デュタステリドが乳汁中に移行するかは不明とされていますが、授乳婦への投与は禁止です。
そのほか、小児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施されていません。女性や小児は、カプセルから漏れた薬剤に触れないように注意が必要です。漏れた薬剤に触れた場合には、ただちに石鹸と水で洗いましょう。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「5α還元酵素阻害薬 前立腺肥大症治療薬デュタステリドカプセル」によると、アボルブは投与開始から6ヶ月後にPSA値を約50%減少させると報告されています。PSA値は前立腺癌のスクリーニングにおける重要な指標です。アボルブによるPSA値の減少は、前立腺癌の状態を反映していないことがあるため、PSA値を測定する際はアボルブを服用していることを医師に必ず伝える必要があります。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「デュタステリド」
アボルブは前立腺肥大症の治療薬として、医療機関を受診して処方を受けるのが一般的です。AGAクリニックで処方を受ける場合は適応外処方となり、公的な健康保険が適用されません。
アボルブは医療用医薬品のため、入手には医師の診察と処方が必要です。前立腺肥大症の治療薬としては、主に泌尿器科や内科などの医療機関で処方されます。
また、アボルブの海外製品を個人輸入する方法は安全性が保証されず、健康被害のリスクもあるため避けましょう。厚生労働省の「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」によると、個人輸入で入手した医薬品は偽造製品の可能性があるほか、成分などに関する情報が不十分であり副作用等に対応することが困難な場合もあるとされています。
参考:厚生労働省「医薬品・医療機器」
AGAクリニックでアボルブを処方される場合もありますが、医師の判断による適応外処方となります。適応外使用(処方)とは、厚生労働省が承認した効能・効果、用法・用量(添付文書の記載)とは異なる方法で医薬品を処方・使用することです。そのため、公的な健康保険も適用されません。また、AGA治療に適応のある薬剤であっても、AGA治療は自由診療のため、健康保険は使えません。医師の指示どおりに薬を使用したにもかかわらず、副作用によって重篤な健康被害が生じた場合に給付を受けられる「医薬品副作用被害救済制度」も適用されません。
アボルブの処方に限らず、AGA治療はいまのところ保険診療の対象外です。AGAは加齢や遺伝的な要因が背景にある疾患とはいえるものの、厚生労働省からは公的な健康保険がカバーすべき治療が必要な疾患とはみなされていないためです。
アボルブを前立腺肥大症の治療薬として医療機関で処方を受ける場合は、国によって決められた薬価に公的保険が適用されます。3割負担の場合の薬剤料は約550円前後(30日)となります。ただし、実際に薬局などで支払う金額には、薬剤料のほかに調剤技術料や薬学管理料などが加算されます。
AGAクリニックでアボルブの処方を受ける場合は、クリニックによって価格が異なります。保険診療の対象外であるAGA治療において、薬の価格はクリニックが独自に定めるためです。
なお、デュタステリドを有効成分とするAGA治療薬としてはザガーロが承認されています。AGAクリニックでは、ザガーロやザガーロのジェネリック医薬品「デュタステリド錠」などが処方されるのが一般的です。
ザガーロについて詳しく知りたい方は、「ザガーロとは?効果・副作用やプロペシアとの違い、服用前の注意点を解説」もご覧ください。
アボルブは前立腺肥大症の治療薬として承認されている薬であり、AGA治療薬としては承認されていません。しかし、アボルブの有効成分であるデュタステリドはAGA治療薬のザガーロと同じ成分であり、AGAの原因となるDHTの生成を抑制する作用があります。このため、医師の判断によってAGAクリニックでアボルブが処方される場合もあります。
AGA治療薬としては、ザガーロやデュタステリド錠などが処方されることが一般的です。そのほか、AGA治療薬にはプロペシアやミノキシジルなどもあります。いずれにしても、薄毛治療を行う場合には、自己判断ではなく、医師の診察を受けたうえで自分に合った治療薬を選びましょう。
通院に抵抗のある方は、オンライン診療も選択肢の一つとして検討してみてください。