更新日:2026年02月12日
「睡眠不足を改善すれば薄毛は治るの?」と疑問を抱えている人もいるかもしれません。薄毛の原因によっては、睡眠の質と量を改善することで薄毛が治る可能性はあります。
本記事では、睡眠不足で薄毛になる主な原因や、改善するための睡眠習慣を解説します。睡眠の質を高める朝の習慣もまとめているので、ぜひご一読ください。
薄毛の原因によっては、睡眠の質と量を改善することで治る可能性があります。十分な睡眠を確保すれば、ストレスの軽減や血行の改善が期待でき、髪が成長しやすい環境を整えられるのです。
しかし、薄毛にはAGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症といった、遺伝や自己免疫反応が原因となる疾患もあります。疾患が原因の場合、睡眠改善はあくまで補助的な対策であり、それだけで薄毛が完治するわけではありません。
睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌が低下したり、頭皮が血行不良になったりすることが原因で薄毛になる場合があります。ここでは、睡眠不足で薄毛になる原因を見ていきましょう。
睡眠不足が続くと、髪の成長に必要な成長ホルモンの分泌量が減少し、薄毛につながる可能性があります。成長ホルモンは睡眠と関連して分泌され、特に入眠後の深いノンレム睡眠のタイミングで分泌が高まることが知られています。
成長ホルモンはIGF-1(インスリン様成長因子1)などを介して組織の修復や再生に関与します。睡眠不足が続くと、成長ホルモン分泌のリズムが乱れる可能性があり、結果として髪を含む体のコンディションに影響することがあります。
睡眠不足が続くと体全体の血流が悪化して、頭皮の血行不良を引き起こします。頭皮の血行不良は、薄毛になる可能性の一つです。
頭皮の血流は、髪の成長に必要な酸素や栄養素を毛根にある毛母細胞に届ける役割を果たしています。血行が悪化すると栄養の供給が滞ってしまい、毛母細胞の活動が低下するのです。細胞の活動が鈍ることで髪の成長サイクルが乱れ、健康な髪が育つ前に抜け落ちる現象が増えると考えられます。
睡眠不足が続くとストレス反応が強まり、コルチゾールの分泌リズムが乱れる可能性があります。ストレスや体調変化は、休止期脱毛などの抜け毛の誘因となることがあります。
「薄毛を治すにはどのように睡眠をとれば良いの?」と気になる方がいるかもしれません。ここでは、薄毛を改善させるための睡眠習慣を解説します。
胃や腸が活発に働いていると睡眠の質を低下させるので、就寝直前の食事は避けましょう。食事が消化される時間を考慮し、就寝の2~3時間前までに食事を終えるのが理想的です。
質の低い睡眠は、髪の成長を促す成長ホルモンの分泌を抑制し、間接的に髪の成長サイクルを乱し、薄毛の原因となる可能性があります。どうしても食事が夜遅くになりそうな日は、夕方におにぎりやバナナなどの軽食を摂って空腹を抑えましょう。夕食は胃腸の負担を軽減するために、消化の良い食べ物を腹七分目程度にとどめるのがポイントです。
入浴はリラックス効果や入眠の助けに繋がります。結果として生活習慣が整い、髪にとって望ましい状態づくりにつながる可能性があります。
厚生労働省の「知っているようで知らない睡眠のこと」によると、質の良い睡眠をとるためには、就寝の1時間前からスマートフォンやPCの使用を控えることが推奨されています。スマートフォンやPCから発せられるブルーライトはメラトニンの分泌を抑制し、睡眠の質を下げるのです。深い睡眠が減ると、髪の成長に必要な成長ホルモンの分泌も減少する可能性があります。
就寝前にスマートフォンを見てしまう方は、「寝室に持ち込まない」「通知を切っておく」といった工夫が有効です。
参考:厚生労働省「睡眠」
就寝前の軽いストレッチは、質の高い睡眠を促すのに効果的な習慣です。ストレッチは筋肉をほぐし、心身を休息モードへと切り替える役割を果たします。
ストレッチによってこわばった筋肉の緊張が優しくほぐされると、血行が促進し、リラックス・回復時に働く副交感神経が優位になるのです。副交感神経が優位な状態こそが、心身がリラックスし、自然な眠気につながるメカニズムです。ストレッチを取り入れる際は、股関節周りや手足の筋肉を心地良いと感じる程度に伸ばしましょう。
厚生労働省の「知っているようで知らない睡眠のこと」によると、カフェインは覚醒作用や利尿作用があるので、就寝前に摂取すると睡眠の質を低下させます。夕方以降はカフェインを避け、カモミールティーやリラックス効果のあるハーブティーを飲むと、自然な眠気を促進できるでしょう。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
また、アルコールは一時的に入眠を促進する効果がありますが、睡眠の質を低下させます。飲酒量が多いほど、途中で起きてしまう可能性が高くなるでしょう。薄毛を改善させるためにもためにも、就寝前のアルコール摂取は控えるのがおすすめです。
参考:厚生労働省「睡眠」
質の高い睡眠を確保するためには、体に合った寝具を選ぶことが重要です。自分の体型や普段の寝姿勢に合ったマットレスや枕を選べば、特定の部位に体重が集中するのを防ぎ、血行不良や体の沈み込み過ぎを抑えられます。
マットレスが硬過ぎると骨が圧迫されて痛みが生じやすくなり、柔らか過ぎると体が沈み込んで不自然な姿勢となり体への負担が増します。理想的なマットレスは、背骨が自然なS字カーブになるようサポートするものです。
枕の高さや素材は首のカーブにフィットし、頭部から背骨にかけてのラインを一直線に保つものを選べば深い眠りに入りやすくなります。適した枕の高さは人によって異なるので、自分に合った枕を見つけることが大切です。
覚醒を促す光を遮断するとメラトニンの分泌が促進され、自然な眠りに入りやすくなります。就寝時間が近づいたら、部屋の照明を白色や青白色から、暖色系の光に切り替えましょう。就寝直前には徐々に部屋を暗くしていくことで、入眠への準備が整います。
また、光だけでなく、騒音も睡眠の妨げになります。静かで遮音性の高い環境を作れば、深い眠りにつながるでしょう。静か過ぎる環境が苦手な場合は、心地よい程度のホワイトノイズや、自然の音などを活用するのが有効です。
睡眠の質を高めて薄毛を治すためには、毎日規則正しく起床することや、バランスの取れた朝食を摂ることが大切です。ここでは、睡眠の質を高める朝の習慣を解説します。
毎日決まった時間に起床すると、良質な睡眠サイクルを維持できます。体内時計が整えば、夜間の睡眠の質も向上するでしょう。
休日だからといって遅くまで寝ていると、生活リズムが乱れ、ソーシャル・ジェットラグという状態になります。ソーシャル・ジェットラグになると、平日の入眠が難しくなったり、睡眠の質が低下したりするのです。
体内時計をリセットしてリズムを整えるためには、起床時間を一定に保ち、起きてすぐに朝日を浴びるのが効果的です。光の刺激により体内リズムが整い、夜間の適切な時間に自然な眠気が訪れます。
バランスの良い朝食は、睡眠の質に不可欠な眠りを誘うホルモンであるメラトニンの生成をサポートします。メラトニンの原料となるのは、セロトニンです。セロトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンとビタミンB6から作られます。
トリプトファンは乳製品や卵、大豆といった食品に多く含まれています。ビタミンB6が含まれる食品は、赤身の魚や肉、卵などです。これらの食品を朝食で摂取することで、体内リズム作りの観点から睡眠の土台づくりに役立つ可能性があります。
朝に軽い運動をすると、適度な疲労を感じ、寝つきが良くなります。厚生労働省の「知っているようで知らない睡眠のこと」によると、運動習慣がある人の70%以上は睡眠の質が良いことが分かっています。
また、運動はストレス解消にも効果的です。ストレスホルモンの過剰分泌は薄毛の原因になる可能性があるため、適度な運動でストレスを軽減することは髪の健康にもつながります。朝の運動習慣はストレス解消にもつながり、精神的な安定ももたらすので、心身両面から良質な睡眠をサポートします。
参考:厚生労働省「睡眠」
睡眠の改善は薄毛対策として効果的ですが、AGAが原因の薄毛は生活習慣の改善だけでは十分な効果が得られません。AGAはホルモンバランスの影響や遺伝的素因を背景に進行するので、医学的なアプローチが必要となります。
AGAには早期治療が効果的であるため、「もしかしたらAGAかも…」と思ったら迷わず病院を受診しましょう。病院を受診すれば医師による診断で適切な治療法が提案され、薄毛の進行を遅らせたり、改善したりできる可能性があります。AGAについて詳しく知りたい方は、「AGAとは?抜け毛・薄毛が進行する男性型脱毛症について分かりやすく解説」をご確認ください。
質の高い睡眠を確保すれば、薄毛の進行を抑えられる可能性があります。睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌低下やストレスホルモンの増加といった状態に陥り、健康な髪が成長できる環境が損なわれるのです。
薄毛改善を目指して睡眠をとる場合、就寝2時間前までに食事を摂ったり、入浴で体を適度に温めたりすることが重要になります。また、質の高い睡眠には、体に合った寝具の選択や寝室環境の整備も必要です。
朝の習慣としては、規則正しい起床時間の維持やバランスの取れた朝食、軽い運動の実践が効果的です。ただし、AGAによる薄毛を睡眠の改善だけで治すのは難しいため、症状が気になる場合は医師に相談してみましょう。