レバクリ

更新日:2024年02月29日

薄毛は睡眠で治る?睡眠と薄毛の関係を詳しく解説

この記事のまとめ
  • 睡眠改善によって、薄毛の症状は改善する可能性がある
  • 睡眠時に髪の成長に必要な成長ホルモンが分泌させるため、十分な睡眠時間と質の確保が重要
  • 日中にできる睡眠改善の方法は、朝日を浴びること、適度な運動をすることなど
  • 寝る前のカフェイン摂取や喫煙、過度な飲酒を控えると睡眠改善が行える
  • 根本治療にはAGAクリニックなどへの受診が必須

薄毛と睡眠には関係があるという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。実際に髪の成長には十分な睡眠時間と良質な睡眠が必要ですし、脱毛症を進行させる要因の1つであるストレスは、睡眠の質や時間と関係があることがわかっています。

この記事では、薄毛と睡眠の関係について紹介していきます。日常生活の中でできる改善の方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

睡眠を改善させることで薄毛は治るのか?

結論からいえば、睡眠を改善させることで、薄毛を改善させられる可能性はあります。

髪の毛は、睡眠時に多く分泌される成長ホルモンによって成長するため、適切に睡眠を取ることが薄毛の改善につながります。また、十分な睡眠を取ることは、脱毛の症状が悪化する要因であるストレスの軽減につながることもわかっており、睡眠を改善することで薄毛の症状改善を行うことができます。

睡眠が不足すると、脱毛症を発症したり、発症済みの場合は症状が悪化したりすることもわかっています。

そもそも、男性の場合、薄毛の原因はAGAである可能性が高いです。AGAは、男性ホルモンの1種であるジヒドロテストステロンが頭頂部や前頭部の男性ホルモン受容体と結合することで脱毛を引き起こす男性型脱毛症です。

AGAの発症や症状の進行には遺伝的要因が大きく関係しているとされていますが、睡眠時間や睡眠の質なども要因の1つだと考えられています。

AGAの原因について詳しく知りたい方は、「AGAの原因は?治療方法や進行を遅らせるための対策を解説」も参考にしてみてください。

睡眠と薄毛の関わり

前述した通り、睡眠時に分泌される成長ホルモンの作用が、薄毛の改善に良い影響を及ぼすと考えられています。 睡眠時に成長ホルモンが分泌される仕組みについて、睡眠のサイクルを踏まえつつ詳しく解説します。

睡眠にはサイクルがあり、眠りの浅いレム睡眠と深い睡眠のノンレム睡眠が交互に繰り返されます。

image1.png

引用元:厚生労働省e-ヘルスネット「眠りのメカニズム

成長ホルモンは、ノンレム睡眠時に多く分泌されます。獨協大学の研究によると、男性の場合、睡眠時全体に分泌される成長ホルモンの約7割が、ノンレム睡眠時に分泌されると報告されており、いかにノンレム睡眠をとるかが成長ホルモン分泌の鍵と言えるでしょう。

ノンレム睡眠とレム睡眠は、一般的に90〜120分周期で交互に行われ、ノンレム睡眠は睡眠時間が長くなるにつれて減少します。さらに、睡眠に入ってから1度目のノンレム睡眠時が一番持続時間が長く、その分成長ホルモン分泌量も多い傾向にあります。

また、年齢はノンレム睡眠時の成長ホルモン分泌量に大きく影響を及ぼす要因の1つであり、男性の場合、30代になるとノンレム睡眠による成長ホルモン分泌量は減少を開始し、50代以降になるとほぼ消失することもわかっています。

参考:日本医事新報社「睡眠時間と成長ホルモンの分泌量

薄毛の改善に効果的な睡眠の取り方

AGAによる薄毛を改善させるためには十分な睡眠時間が重要なのがおわかりいただけたでしょうか。では、実際に何時間睡眠をとれば良いのかと考える方も多いでしょう。十分な睡眠時間の基準値に関しては個人差が大きく、遺伝的要因や環境的要因によって異なります。

そのため、1つの指標として、朝起きたときに眠気や疲労感が残っておらず、日中に我慢できないような眠気が起きない程度の睡眠時間を確保するのが適切といえます。睡眠の質は日中の生活習慣と就寝前の習慣を見直すことで向上させることができます。

薄毛と生活習慣の関係性については、「薄毛は生活習慣で改善できる?薄毛を予防・改善するための生活習慣とは?」でも詳しく解説しています。

日中の生活習慣を見直す

まずは、日中に行える生活習慣の改善方法について紹介します。

起床時に日光に当たる

起床時に日光を浴びることで、睡眠の質の向上を図ることができます。朝に日光を浴びることで、オレキシンや、セロトニンが分泌され、すっきりとした目覚めに導きます。オレキシンは日中の覚醒時間を維持するために必要な神経ペプチドで、セロトニンはストレスの軽減やリラックス効果のあるホルモンです。

また、日光を浴びることで人間の体内時計がリセットされると、オレキシンの分泌量が増え、身体の覚醒度が上昇していきます。夜更かしや徹夜などを繰り返すと体内時計のリズムが崩れ、夜になっても身体は夜になったと認識できず、寝つきが悪くなります。そういった体内時計のずれを、朝に日光を浴びることでリセットし、自然な睡眠と覚醒へ改善することができます。

運動をする

適度な運動は、深い睡眠をとることにつながるとともに、成長ホルモンの分泌量を増やします。定期的な運動習慣がある人は、不眠になりづらい傾向があることがわかっています。また、運動によって筋肉へ刺激を与えることで成長ホルモンの分泌量が増えることもわかっており、適度な運動習慣は睡眠の質の向上と発毛に関して効果的です。

ただし、睡眠の直前に運動すると、逆に脳が興奮し、覚醒状態になってしまいます。就寝3時間以内の過度な運動は避けるようにしましょう。

就寝の2~3時間前に入浴する

睡眠欲求は、脳の温度が低下するときに起こりやすくなるため、就寝の2〜3時間前に入浴し、身体を温めることで、睡眠の質を向上できます。

e-ヘルスネットによると、深い睡眠を得るためには体温を2度程度上昇させるとより効果的ですが、身体への負担が大きいため、体温を0.5度程度上昇させられる入浴方法がおすすめとしています。

体温を0.5度上げる方法としては、38度のぬるま湯に25〜30分浸かる、42度の熱めのお湯に5分程度浸かる、40度程度のお湯で30分程度の半身浴を行う、などがあります。

参考:e-ヘルスネット「快眠と生活習慣

寝る前の習慣を見直す

続いて、寝る前の生活習慣の改善ポイントについて解説します。

カフェインを摂取しない

寝る前にはカフェインを摂取しないことが睡眠の質向上へ繋がります。体に吸収されたカフェインは、約3~7時間で半分の量になるため、目安として睡眠の5時間前には摂取を控えるのが良いでしょう。ただし、カフェインは日常的に摂取している量と頻度によって代謝速度(効果がなくなるまでの時間)が異なり、個人差が大きいので注意してください。

また、カフェインはコーヒーに多く含まれていることが有名ですが、緑茶や紅茶やウーロン茶など茶葉を使用する飲み物にも含まれているため、それらの飲み物も控えると良いでしょう。

スマホを見ない

もともと不眠傾向がある人は、寝る前や布団に入った状態でスマホを見るのを控えることで、睡眠の質が向上します。スマホなどの画面から照射されるブルーライトは睡眠の質を悪化させるといわれていますが、海外の臨床実験ではブルーライトは「もともと不眠傾向にある人」の睡眠の質を悪化させることが示唆されています。

そのため、もともと不眠傾向にある人は寝る前などにスマホを見るのは控えた方が良いでしょう。

National Library of Medicine「The effect of blue-light blocking spectacle lenses on visual performance, macular health and the sleep-wake cycle: a systematic review of the literature

飲酒を控える

過度な飲酒は睡眠の質の低下を招くことがわかっています。

アルコールを摂取すると入眠時間の短縮と入眠直後のレム睡眠時間の短縮が起こります。アルコールを摂取して就寝することを続けると、ノンレム睡眠の時間が減り、睡眠が浅くなっていきます。また、睡眠の後半で中途覚醒の増加や睡眠呼吸障害の悪化などのリスクが増えることもわかっています。

そのため、毎日飲酒したり、寝る直前まで飲酒したりする行為は、睡眠の質と睡眠時間の確保のためにも避けることが望ましいでしょう。

薄毛と飲酒の関係性については、「飲酒すると薄毛になる?アルコールが髪に与える影響を解説」でも詳しく解説しています。

タバコを控える

寝る前の喫煙は、睡眠の質と睡眠時間へ悪影響を与えます。タバコにはニコチンという成分が含まれており、ニコチンには脳の興奮・覚醒作用があります。そのため、寝つきを悪くしたり中途覚醒を増やしたりする可能性があります。

ニコチンは、摂取量や摂取頻度によって身体に耐性ができるため、作用の持続時間は個人差が大きいものです。一概に睡眠の何時間前まで喫煙を控えた方が良いかは明言はできませんが、目安として就寝の1時間前の喫煙は控えると良いでしょう。

部屋の照明を消す

夜になったら照明などの明かりの輝度を落としたり、寝るときは部屋の電気を切ったりすることで睡眠の質の向上を図ることができます。

人間の身体は体内時計によって夜になったと認識すると、メラトニンと言われる睡眠を促すホルモンを分泌します。このメラトニンを利用した医薬品として、不眠症における入眠困難の改善を目的としたロゼレム(ラメルテオン)という薬が存在するなど、メラトニン分泌は睡眠において非常に重要な役割を担っています。

このメラトニン分泌の鍵となるのが、体内時計による認識です。通常自然界では日が落ちて夜になると、周囲は暗くなり太陽や照明のような強い光を放つ物はなくなります。そのため、人間の身体自体は、「周囲が暗くなった=夜=寝る時間」という認識をします。

しかし、夜に強い光を浴びると人間の身体は体内時計が早く進み過ぎて時間がずれていると誤認してしまい、体内時計の時間を遅らせようとしてしまいます。それによって、寝つきが悪くなったり寝ても途中で目が覚めてしまったりなどの睡眠の質の悪化が起こります。

ただ、現代では、日常生活を送るうえで夜に明かりをつけないようにすることはほぼ不可能です。夜になったら部屋の明かりを少し暗くしたり、寝るときは部屋の明かりを消すといったことで、メラトニン分泌を阻害することなく睡眠の質の悪化を防ぐのが良いでしょう。

根本的に薄毛を改善させるには、AGAクリニックの受診がおすすめ

睡眠を改善させることで、AGAによる薄毛を改善させることは可能です。しかし、根本的に薄毛を改善させるためには、AGAクリニックへの受診がおすすめです。睡眠の質の向上と十分な睡眠時間の確保はあくまで薄毛の症状改善の補助であり、根本治療ではありません。

また、薄毛の症状発症にはさまざまな疾患や原因が存在するため、AGAクリニックなどの専門機関に受診することで、薄毛の症状発症の原因究明と適切な治療を行い根本治療を行う必要があります。原因に合わせて効果的な治療薬も処方してもらえるため、AGAクリニックなどへの受診は薄毛改善の非常に有効な手段といえるでしょう。

まとめ

今回は薄毛の症状改善方法として睡眠の質と十分な睡眠時間の確保を主に紹介してきました。睡眠の質の向上と十分な睡眠時間の確保は、薄毛改善以外にも生活の質の向上につながるため、非常に大切です。

また、薄毛を根本的に直すには、AGAクリニックなどへの受診が必須です。睡眠不足で薄毛になったと感じる方でも、まずは専門機関へ受診するのがおすすめです。

レバクリでは、AGAのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会