更新日:2026年05月18日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「睡眠の薄毛への影響は?」「睡眠を改善すれば薄毛は治る?」と不安に感じている方もいるかもしれません。睡眠不足は髪の成長を妨げる要因になりますが、睡眠の改善だけで薄毛を治すことは困難です。
この記事では、睡眠と薄毛の関連性、髪の健康を支える理想的な睡眠時間や睡眠習慣、日中の過ごし方などを解説します。薄毛の適切な対処法にも触れますので、ぜひご一読ください。
睡眠の改善だけで薄毛を治すのは困難です。しかし、睡眠は体の回復や成長ホルモンの分泌に不可欠で、髪の健康にも関係するため、薄毛の原因によっては睡眠の改善が症状の軽減に役立つ可能性があります。
ただし、睡眠習慣を変えるだけで薄毛が元通りに治るわけではありません。薄毛は遺伝、生活習慣、ホルモンバランスなど複数の要因が絡み合っているため、医療による治療も含めて総合的な対策が必要です。
特にAGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症などは、積極的な治療を行った際も、再発を防ぐ「完治」ではなく、症状をコントロールし進行を遅らせることが現実的な目標となります。

睡眠時間を確保することや質の良い睡眠を取ることは、心身の健康を維持するために大切です。寝不足や生活リズムの乱れを自覚している人は改善してみましょう。
睡眠不足と薄毛の関連性については、以下に挙げる理由が考えられています。ここでは、睡眠不足がどのように薄毛に関わるのか、主な理由を確認していきましょう。
髪の成長に必要な成長ホルモンは、睡眠中に多く分泌されます。特に入眠直後の深い眠り(ノンレム睡眠)のタイミングがピークです。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは、IGF-1(インスリン様成長因子1)などを介して組織の修復や再生に関与しています。しかし、睡眠時間が不足したり眠りが浅かったりすると、このホルモン分泌のリズムが乱れます。結果として髪の修復や再生がスムーズに行われなくなり、髪の成長サイクルが停滞する原因となることがあります。
慢性的な寝不足は全身の血流を悪化させ、頭皮の血行不良を引き起こします。髪の成長に必要な酸素や栄養素は血液によって毛根へ運ばれるため、血流が滞ると栄養供給が滞り、毛母細胞の活動が低下します。
また、眠っているときは副交感神経の活動が活性化し、縮んでいた血管が広がって、身体のすみずみまで酸素や栄養が届きやすくなりますが、睡眠時間が短いとその時間も限定的になってしまいます。
その結果、細胞の活動が鈍ることで髪の成長サイクルが乱れ、健康な髪が育つ前に抜け落ちる現象が増えてしまいます。
睡眠不足は体にストレスを与え、コルチゾールというホルモンの分泌を増やします。コルチゾールは、肝臓で糖を作り出したり脂肪の分解やさまざまな代謝を行ったりするなど、生体維持に必須です。そのほか、抗炎症および免疫抑制などにも関与するため、人体に必要不可欠のホルモンですが、過剰になると不眠やメンタルの不調、生活習慣病のリスクを高めます。
こうした心身のストレスは、休止期脱毛などの急な抜け毛を誘発する一因にもなります。睡眠不足によるストレスホルモンの増加は、間接的ではありますが、髪の健康に悪影響を及ぼしてしまうことがあります。
良質な睡眠は薄毛の改善に役立つ可能性があります。ここでは、髪の健康をサポートするために、今日から取り入れられる睡眠の質を高めるコツを紹介します。具体的な睡眠習慣について確認していきましょう。

成人の適正な睡眠時間は人によっても異なりますが、厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、最低6時間以上確保することを推奨し、6~8時間の睡眠が適切とされています。日中に強い眠気を感じる場合は、睡眠時間だけでなく質にも問題があるかもしれません。平日の不足分は蓄積されて睡眠負債となってしまいますが、週末の「寝だめ」で補うのではなく、毎日安定したリズムで眠ることが大切です。
就寝直前に食事をすると、消化活動のために胃腸が活発に動き続け、脳や体が十分に休まりません。また、体内時計のリズムにも影響を与える可能性があるため、寝る2〜3時間前までに食事を終えるのが理想的です。
どうしても夕食を摂るのが遅くなる場合は、夕方におにぎりやバナナなどの軽食を摂って空腹を防ぎ、夜は消化に良いものを少量選ぶといった工夫をしてみましょう。空腹のまま眠ってしまうのも、睡眠の質を低下させる原因になるため、バランスが大切です。
入浴によって一時的に上がった体温が、就寝前のタイミングで下がっていくと自然な入眠が促されます。手足の皮膚血流が増加することで体温が外部に放散されて、深部体温が低下し始めるときに人間は眠くなるためです。
お風呂は、40度前後のぬるめのお湯に15分ほど浸かるのがおすすめです。熱すぎるお湯は交感神経を刺激して目が冴えてしまうため、気を付けましょう。
また、シャワーだけでなく湯船につかることで、より深いリラックス効果が期待できます。
厚生労働省の「知っているようで知らない睡眠のこと」でも触れられているとおり、質の良い睡眠をとるためには、就寝の1時間前からスマートフォンやパソコンの使用を控えることが推奨されています。
スマートフォンなどから出るブルーライトは、眠りを促す「メラトニン」の分泌を妨げます。また、画面を見ることで脳が興奮するのも、眠りの質を下げる原因になります。
就寝前にスマートフォンを見てしまいがちな方は、「寝室に持ち込まない」「通知を切っておく」「ブルーライトカットモードを使用する」といった工夫も有効です。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、1日のカフェイン摂取量の合計は400mg未満が推奨されています。また、夕方以降はカフェインを含む食品や飲料の摂取を控えることが望ましいとされています。

質の良い睡眠は夜の過ごし方だけで決まるものではありません。朝の目覚め方や日中の活動習慣が、夜の眠りの深さにも影響します。ここでは、良質な睡眠サイクルを作り出すための朝と日中の習慣を紹介します。
毎日決まった時間に起床すると、良質な睡眠サイクルを維持しやすくなります。規則正しい生活は体内時計を安定させ、自然な眠気と覚醒のサイクルを生み出します。
休日に昼過ぎまで寝ていると、平日との睡眠時間のズレから「ソーシャル・ジェットラグ(社会的時差ぼけ)」を招き、平日の夜に眠れなくなるなどの悪循環に陥りかねません。
体内時計をリセットするには、起きてすぐに朝日を浴びるのが効果的です。朝の光は、睡眠を促すメラトニンの分泌を抑える一方で、覚醒を助けるセロトニンの分泌を促します。結果、夜の適切な時間に自然な眠気が訪れやすくなります。
朝起きたらまずは窓際へ行くか外に出て、10分程度日光を浴びる習慣をつけましょう。曇りの日でも屋外の光は室内照明より明るいため、十分に効果が期待できます。
朝食は、体内時計を調整するためのスイッチです。決まった時間に食事を摂ることで「一日の活動が始まった」という信号が脳や体に送られ、リズムが整います。
また、バランスの良い朝食は夜の眠りを誘うメラトニンの生成をサポートします。メラトニンの原料となるセロトニンは、必須アミノ酸のトリプトファンとビタミンB6から作られるため、これらを朝に摂取すると良いでしょう。トリプトファンは乳製品や卵、大豆製品に、ビタミンB6は赤身の魚や肉類に多く含まれています。
たとえば、ヨーグルトと果物に全粒粉パンを合わせるなど、手軽なメニューでも睡眠の土台作りにつながります。忙しい朝でもバナナやゆで卵など、すぐに食べられるものを活用して朝食を習慣化しましょう。
日中の活動量も、眠りの深さや質に直結します。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」の「運動、食事等の生活習慣と睡眠について」でも、運動習慣がない人は睡眠による休養感が低い傾向にあることが示されています。ウォーキングやジョギングといった有酸素運動は、深い睡眠を促し、日中の覚醒度を高めるのに役立ちます。また、筋力トレーニングも良質な睡眠につながるため、無理のない範囲で取り入れてみましょう。
ただし、就寝直前の激しい運動は避けてください。体温が上がり交感神経が活性化するため、かえって寝付きが悪くなる可能性があります。運動は就寝の2〜3時間前までには終えるのが理想です。
運動の時間が取れない場合は、階段を使う、一駅分歩くなど、日常の活動量を増やす工夫をしましょう。
参考:厚生労働省「身体活動・運動の推進」
薄毛の症状が気になるときは、セルフケアだけでなく専門医にアドバイスを求めましょう。医療機関を受診すれば、薄毛の原因がAGA(男性型脱毛症)なのか、あるいは脂漏性脱毛症や円形脱毛症なのかを正確に診断してもらえます。原因に応じた適切な対処法を知ることで、不安の解消にもつながるでしょう。
本記事で紹介した睡眠習慣の改善は、健やかな髪を育む助けとなりますが、それだけで薄毛の進行を止めるのは困難です。睡眠の質を上げつつ、医師による薬物療法などを組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
症状に合わせた治療を提案してもらえるだけでなく、相談が早いほど、治療の選択肢も広がり、進行を抑えられる可能性も高まります。一人で悩まずに、まずはAGAクリニックや皮膚科などを受診してみましょう。
薄毛と睡眠には深い関わりがありますが、睡眠の改善だけで薄毛を完治させるのは困難です。睡眠不足は成長ホルモンの分泌低下や血行不良を招き、髪の成長を妨げる要因となります。そのため、睡眠環境を見直すことは薄毛対策の大切な基盤といえます。
まずは6〜8時間の睡眠を目標に、就寝前のスマホ利用を控え、寝室を暗く静かに保つなど、深く眠れる環境を整えましょう。カフェインやアルコールの摂取量を見直すのも良いでしょう。また、朝日を浴びて体内時計をリセットし、適度な運動を取り入れることも睡眠の質向上に有効です。
生活習慣の改善とあわせて、薄毛が気になる場合は早めに専門医へ相談しましょう。特にAGAは進行性のため、医学的治療と良質な睡眠を組み合わせる総合的なアプローチが、改善への効率的な近道となります。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
厚生労働省「知っているようで知らない睡眠のこと」
厚生労働省「節度ある適度な飲酒」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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下記の表のとおり、コーヒーや紅茶以外の飲料にもカフェインが含まれていることがわかります。
| 食品名 | カフェイン濃度 |
|---|---|
| カフェインを多く 添加した清涼飲料水 | 32~300mg/100mL |
| インスタントコーヒー | 1杯当たり80mg |
| コーヒー | 60mg/100mL |
| 紅茶 | 30mg/100mL |
| せん茶 | 20mg/100mL |
| ほうじ茶 | 20mg/100mL |
| ウーロン茶 | 20mg/100mL |
| 玄米茶 | 10mg/100mL |
カフェインの影響は個人差がありますが、日常的な水分補給はカフェインレスの飲み物に切り替えるなど工夫すると良いでしょう。
アルコールは一時的に寝つきを良くし、睡眠前半では睡眠を深くするといわれていますが、睡眠後半の眠りの質は顕著に悪化し、飲酒量が増加するにつれて中途覚醒回数が増加すると報告されています。
そのため、寝酒や大量のアルコール摂取、毎日の飲酒はおすすめできません。厚生労働省によると「節度ある適度な飲酒」は、1日平均純アルコールで約20g程度とされています。仕事の付き合いなどで飲酒する機会が多い方は、下記の表を確認して飲酒量を見直してみましょう。
| お酒の種類 | アルコール度数 | 純アルコール量 |
|---|---|---|
| ビール (中瓶1本500ml) | 5% | 20g |
| 清酒 (1合180ml) | 15% | 22g |
| ウイスキー・ブランデー (ダブル60ml) | 43% | 20g |
| 焼酎(35度) (1合180ml) | 35% | 50g |
| ワイン (1杯120ml) | 12% | 12g |
参考:厚生労働省「アルコール」
質の高い睡眠を確保するためには、自分の体型や寝ているときの姿勢に適した寝具を選ぶことが大切です。体に合わない寝具は、特定の部位に力が偏ることによる血行不良や、不自然な姿勢による体への負担を招き、睡眠の質を低下させる原因となります。
マットレス選びでは、硬さとサポート性がポイントです。硬過ぎると骨が圧迫されて痛みが生じやすく、柔らか過ぎると体が沈み込んで姿勢が崩れてしまいます。理想的なのは、立っているときと同じように、背骨が自然なS字カーブを描く状態を維持できるものです。
また、枕は首のカーブにフィットし、頭部から背中までのラインを一直線に保てる高さのものを選びましょう。
睡眠を促すメラトニンは就寝の約2時間前から分泌されます。スマートフォンや照明の強い光はメラトニンの分泌を妨げるため、夜間は部屋を暗くし、遮光カーテンなどで光を遮断しましょう。
また、騒音も眠りを浅くするため、耳栓やホワイトノイズを活用して静かな環境を保つのも良いでしょう。
室温は、夏場はエアコンなどを活用して涼しく、冬場は18℃を下回らないよう調整し、快適に感じる温度を探ってみましょう。
スムーズに入眠するにはリラックスして、脳の興奮を鎮めることが不可欠です。就寝前の1時間は仕事や家事、勉強などを終わらせ、ストレッチや読書など自分に合った方法で心身を解きほぐしましょう。スマートフォンなどの使用もできる限り控えてください。
また、翌日の予定を軽く整理しておけば不安が和らぎ、安心して眠りにつけます。落ち着いた状態で深く眠る習慣は、髪を育む成長ホルモンの分泌を促し、薄毛対策の土台になるでしょう。
参考:厚生労働省「睡眠対策」
厚生労働省「健康・医療」
厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~「睡眠」
厚生労働省 「健康日本21(アルコール)」