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更新日:2024年01月10日

AGAとは?抜け毛・薄毛が進行する男性型脱毛症について分かりやすく解説

この記事のまとめ
  • AGAとは、男性に発症する進行性の脱毛症である
  • AGAの発症には、男性ホルモンのDHT(ジヒドロテストステロン)が関係している
  • AGAであるか判断するには、生え際や頭頂部の毛髪の状態をチェックすると良い
  • AGAは治療が可能で、内服薬・外用薬・メソセラピーなどさまざまな治療方法がある
  • AGA治療は通院はもちろん、オンライン診療を実施しているクリニックも多い

「最近薄毛が進行しているような気がする」「抜け毛が増えた気がする」など、自分の髪の毛や頭皮の状態に悩んでいる男性も多いのではないでしょうか。薄毛の原因は、AGAと呼ばれる男性型脱毛症である可能性があり、AGAは治療により進行を抑制することが可能です。この記事では、発症のメカニズムからAGAの見分け方、治療方法を詳しく紹介します。抜け毛や薄毛に悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

AGAとは

AGAは「Androgenetic Alopecia」の略称で、男性型脱毛症と呼ばれる進行型の脱毛症です。徐々に抜け毛・薄毛が進行し、前頭部や頭頂部の毛髪が薄くなっていくのが特徴です。日本では、約1,200万人の男性が抜け毛・薄毛に悩んでおり、そのほとんどがAGAを原因としたものだと言われています。

AGAの多くは成人以降の男性に発症しますが、稀に10代の若年層でも発症することがあります。 日本皮膚科学会のガイドラインによると、発症頻度は、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降で約40%と、年齢とともに高くなることが報告されています。

発症には、さまざまな要因が関連していますが、遺伝や男性ホルモンの影響が大きいと言われています。また、一度発症してしまうと徐々に薄毛が進行してしまうので、早めの治療が大切です。

参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

AGAの原因

AGAは、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが関係しています。ジヒドロテストステロンは、テストステロンというホルモンが5αリダクターゼという酵素と結合することで生成されます。生成されたジヒドロテストステロンが、アンドロゲンレセプター(受容体)と結合すると、脱毛因子であるTGF-βが増加し、毛髪の成長を妨げ、抜け毛や薄毛を引き起こします。

5αリダクターゼの活性度は人によって異なり、活性度が強い人は、AGAを発症しやすいことも分かっています。5αリダクターゼの活性度は遺伝によって受け継がれるとされており、家族や親族に薄毛の方がいる場合は、発症する可能性が高いといえるでしょう。

また、AGAの発症の原因はは男性ホルモンや遺伝のみではなく、頭皮環境の悪化も挙げられています。頭皮の血行が悪かったり、皮脂・汚れの詰まりがあったりすると、毛髪の成長に悪影響を及ぼしAGAの発症原因となることがあります。

5αリダクターゼについては、「5αリダクターゼとは?AGAとの関わりや抑制する方法について解説」で詳しく解説しています。

AGAが引き起こすヘアサイクルの乱れ

通常、毛髪は生え始めてから2〜6年の成長期を経て退行期へ移行し、脱毛するというサイクルをたどります。その後、3〜4ヶ月の休止期を経てまた新たな毛髪が生えるといったサイクルが通常のヘアサイクル(毛周期)です。

AGAを発症すると、ヘアサイクルの乱れを引き起こします。脱毛因子TGF-βの作用の高まりによって、髪の成長期が数ヶ月〜1年と短くなってしまうのです。毛髪が十分に育たないまま、退行期に移行し、脱毛が起きてしまうため、抜け毛・薄毛が進行していきます。

AGAの進行パターン

AGAは薄毛の症状によって進行パターンが分類されています。現在日本では、欧米で主流である「ハミルトン・ノーウッド分類」に、「高島分類」を組み合わせた方法が一般的に用いられています。

この分類は、まず、額の生え際の後退のレベルによってI型〜VII型に分類されます。I型〜III型までは生え際のM字の後退のみで頭頂部の毛髪は残っていますが、IV型以降は頭頂部の薄毛も起きている状態を指します。

また、生え際の後退レベルはII型・III型でも、頭頂部の薄毛も同時に起こっている場合はII Vertex型、III Vertex型と分類されます。M字の後退に加えて、額中心も後退し前頭部全体の薄毛が進行する状態は、進行度合いによりIIa型〜Va型の4つに分類されます。

AGAの進行パターンを分類することで、薄毛の進行度合いを正確に診断することができ、適切な治療選択が可能になります。正確な診断は医師による診察が必要ですが、自分の頭髪状態を把握するためにこの分類は参考になるでしょう。

頭頂部・生え際・前頭部のイラストイメージ

AGAの見分け方

AGAか見分けるためには、医師による正確な診断が必要ですが、セルフチェックである程度AGAかどうかを見分けることができます。下記の項目を参考にしてみてください。

生え際・頭頂部の状態

AGAの場合、生え際や頭頂部において、抜け毛・薄毛が症状として現れます。生え際や頭頂部の状態を日々観察してみましょう。定期的に写真を撮り、進行しているかどうかチェックするのがおすすめです。また、前述のハミルトン・ノーウッド分類の進行パターンを参考に、自分が現在どの状態になっているか確認してみるのも良いでしょう。

生え際の産毛については、「生え際の産毛はAGAの初期症状?治療法とセルフケアについて解説」を参照してください。

抜け毛の本数

以前より抜け毛の本数が増えている場合も、AGAを発症している可能性があります。排水溝に抜け毛が溜まりやすくなっていたり、ドライヤー後の床に落ちている毛が増えていたり、以前に比べて抜け毛が増えたと感じたりする場合には、AGAを疑って良いかもしれません。

毛の太さ

抜け毛や薄毛が目に見えて進行していなくても、毛髪の太さや質感に変化が見られる場合、AGAの可能性があります。毛髪が細くなったと感じたり、ヘアセットしても髪の毛が立ち上がりにくくなったり、これまでと違うと感じる場合には注意が必要です。

AGAの治療方法

AGAは専門のクリニックで治療が可能です。クリニックにより治療の内容は異なりますが、ここでは代表的なAGA治療について紹介します。

内服薬治療

AGA治療の中で最も一般的な治療が内服薬治療です。AGAの発症に関わるジヒドロテストステロンの生成を阻害する薬剤を服用することで、AGAの進行を抑制します。

使用する薬剤は、厚生労働省の承認を得ているフィナステリドやデュタステリドといった医薬品が一般的ですが、クリニックによっては、海外で使われている医薬品を輸入して処方しているケースもあります。

一方で、内服薬は外用薬に比べて副作用が発現しやすい傾向があります。内服薬で認められている主な副作用として、勃起不全や性欲減退などがあるので、服用する場合は、副作用について医師に十分確認することが大切です。

外用薬治療

AGAの外用薬による治療には、ミノキシジルという発毛・育毛成分が配合された薬剤が主に使われます。ミノキシジルは、毛乳頭細胞に作用し、毛母細胞を活性化させることで発毛効果を発揮します。

ミノキシジルを含む医薬品はドラッグストアでも購入可能です。ただし、ドラッグストアで販売されている外用薬は、クリニックで処方される外用薬に比べて濃度が低いので、より効果を期待するのであればクリニックにて処方してもらうと良いでしょう。

また、外用薬では頭皮のかゆみやかぶれといった副作用が出ることがあります。万が一副作用が出た場合は、医師に相談するようにしてください。

AGA治療薬の種類については、「AGA治療薬の種類・効果・副作用について、ガイドラインに基づいて解説」でも詳しく解説しています。

自毛植毛

自毛植毛は、自身の後頭部などに生えている毛髪を、周辺の皮膚組織ごと採取し、薄毛の箇所へ植え替える施術です。自身の組織を植え替えるため拒絶反応などのリスクが少なく、植え替えた先で将来にわたり毛髪が生え続けることが期待できます。

日本皮膚科学会のガイドラインによると、自毛植毛の定着率は80%以上と高いため、内服薬や外用薬での治療で効果が見られない場合には、十分な経験と技術を有する医師のもとで自毛植毛を行うことを勧めています。

参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版

注射薬による治療(メソセラピー)

メソセラピーとは、頭皮に極細の注射針で薬剤を注入する治療です。5αリダクターゼの働きを阻害する成分を使用したり、毛髪の成長を促す成長因子を使用したり、またはそれらを組み合わせることもあります。頭皮の細胞に直接薬剤を届けられるので、内服薬や外用薬よりも早期に効果を実感できるケースが多いようです。

LED・低出力レーザー治療

LEDや低出力レーザーといった特殊な光線を照射する治療方法もあります。臨床試験において、発毛効果の有用性を示す報告もあり、今後さらなる効果の検証が期待されています。LED・低出力レーザーは発毛効果は認められているものの、AGAの進行を抑制する効果はないため、内服薬との併用治療を行うことが多いようです。

AGAの治療方法のまとめ

AGAの治療に関して、効果や費用についてまとめました。治療選びの参考にしてみてください。

内服薬外用薬自毛植毛メソセラピーLED/低出力レーザー
効果AGAの抑制発毛促進発毛促進AGAの抑制
発毛促進
発毛促進
効果発現時期3〜6ヵ月3〜6ヵ月4〜6ヵ月2〜3ヵ月6ヶ月〜
費用※3,000円〜8,000円/月3,000円〜/月300,000円〜1,200,000円/総額20,000円〜50,000円/回10,000円〜20,000円/回

※費用に関しては、自由診療のため各クリニックによって大きく異なります。目安として参考にしてください

AGA治療の始め方

本格的にAGA治療を始めようと思う場合、クリニックを受診する方法とオンラインで診察を受ける方法の2つがあります。それぞれの特徴を紹介します。

AGAの診療を受け付けているクリニックを受診する

皮膚科や内科、AGA専門のクリニックなどを受診し治療を行います。定期的な通院が必要になりますが、頭皮の状態をしっかり確認したうえで治療方針を相談できるのが特徴です。

治療の流れは、一般のクリニック受診と同様で、受付後に問診票などを記入し、その後医師の診察を受けます。その後、薬剤の処方や治療を行い支払いをして終了です。

毎回頭皮の状態を直接チェックしてほしい、という方はクリニックを受診する方法が向いています。

オンライン診療を受診する

オンライン診療とは、スマートフォンやタブレット、パソコンを使用したビデオ通話にて、診察を行うシステムです。AGA治療においては多くのクリニックでオンライン診療を取り入れています。

一般的なオンライン診療の流れは、以下のとおりです。

  1. Web上で診察の予約をとる
  2. 予約日時になったらビデオチャットまたは電話を繋ぎ、診察を受ける
  3. 症状に合わせた薬剤を医師に処方してもらう
  4. Web上で支払いを行う
  5. 処方された薬剤を郵送で受け取る

オンライン診療は、定期的な通院に時間を取られたくない方や、人目が気になり受診に抵抗がある方に向いている治療方法です。実店舗がない分、治療費も安価になるため、手軽にAGA治療を始めてみたい場合はオンライン診療を利用してみると良いでしょう。

まとめ

抜け毛や薄毛を引き起こすAGAという病気について紹介しました。AGAは進行型の脱毛症のため、治療せずにいると症状が悪化する可能性があります。また、薄毛が進行してから治療を開始しても新たな毛髪が生えるまでには時間がかかります。AGA治療は、症状が深刻化する前に治療を開始し進行を抑えることが重要です。すでに薄毛が気になっている、家族親族に薄毛の方が多く将来が不安、という方は、専門医へ相談してみることをおすすめします。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会