更新日:2026年02月04日
「市販薬を使っても円形脱毛症が広がり続けている…このままではすべての毛が抜けてしまうのでは?」と不安を感じている方もいるかもしれません。円形脱毛症の進行が止まらない場合、自己免疫疾患やアトピー性皮膚炎の合併、遺伝的要因など、さまざまな原因が考えられます。
本記事では、円形脱毛症の進行が止まらない5つの理由や症状のタイプ別の特徴、進行を促してしまう日常的な行動を解説します。また、円形脱毛症が止まらない場合の効果的な治療法や回復の前兆についても触れているので、ぜひご一読ください。
「市販薬やセルフケアを試したが円形脱毛症が改善せず、むしろ脱毛範囲が広がっている」と悩みを抱えている方もいるかもしれません。円形脱毛症の進行が止まらないケースでは、以下の要因が考えられます。
ここでは上記5つの円形脱毛症の進行が止まらない理由について解説します。
円形脱毛症の進行が止まらない主な理由の一つは、自己免疫疾患を抱えていることです。円形脱毛症自体が自己免疫疾患の一種で、自分の免疫システムが毛根を攻撃することで発生します。
円形脱毛症はほかの自己免疫疾患を併発するリスクがあるとされています。たとえば、全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチなどです。ほかの自己免疫疾患を併発している場合、円形脱毛症の治療が難しくなり進行が止まりにくくなる場合があります。
アトピー性皮膚炎をもっている場合、円形脱毛症の進行が止まりにくい傾向があります。円形脱毛症とアトピー性皮膚炎の両者が免疫機能の異常と関連しているためです。
アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下し、炎症反応が起こりやすくなります。アトピー性皮膚炎によって皮膚のバリア機能が低下している状態では免疫システムが過剰に反応しやすく、円形脱毛症の症状も悪化させる可能性があるのです。
円形脱毛症の進行が止まらない場合、遺伝的な要因が背景にある可能性があります。円形脱毛症が進行している理由のうち遺伝的要因が強い場合、円形脱毛症の症状が広範囲に及んだり、再発を繰り返したりする傾向があります。ただし、円形脱毛症の遺伝的要因があるからといって必ずしも重症化するわけではありません。適切な治療と生活習慣の改善により、円形脱毛症の症状を緩和させることは可能です。
過度なストレスは円形脱毛症の進行が止まらない理由の一つです。ストレスが免疫システムに影響を与え、自己免疫反応を悪化させることがあります。
ストレスが続くと体内ではコルチゾールが分泌され、ホルモンバランスが崩れたり免疫機能が抑制されたりします。その結果、毛包を攻撃する免疫反応が強まり円形脱毛症が広がったり長引いたりする可能性が高まるのです。
ストレスを軽減するためには日常生活の見直しが重要です。十分な睡眠や適度な運動、リラクゼーション法の実践などに取り組みましょう。
円形脱毛症の進行がなかなか止まらない背景には、内臓の疾患が影響している場合があります。たとえば、肝炎や肝硬変などの肝臓の機能低下があると血液の浄化や栄養素の代謝がうまくいかず、毛根に十分な栄養や酸素が届けられません。その結果、髪の成長サイクルが乱れて脱毛が進んでしまうのです。
また、腎臓の機能が低下すると体内の毒素を体の外に排出できません。その結果、新たに髪の成長に必要な栄養素を摂取してもうまく吸収できなくなります。
内臓疾患が円形脱毛症の背景にある場合は頭皮ケアだけでの改善が難しいため、医療機関を受診しましょう。
「円形脱毛症は繰り返す?再発する原因と治療方法、予防について解説」の記事では、円形脱毛症が再発する理由について解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
円形脱毛症には以下のタイプがあります。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
上記5つの円形脱毛症のタイプは、それぞれ進行の仕方や治りやすさが異なります。自分の円形脱毛症の症状がどのタイプに当てはまるのか理解することで、適切な対処法を見つけやすくなります。
単発型の円形脱毛症は頭皮の一ヶ所のみに脱毛斑が現れるタイプです。直径2〜3cm程度の円形または楕円形の脱毛斑として現れ、境界がはっきりしているのが特徴です。脱毛部分の皮膚は炎症がなく、なめらかで赤みもありません。多くの場合、半年から1年程度で自然に回復することが多いとされています。
ただし、放置しているとほかの部位にも脱毛斑が広がる可能性があるため、早めに医師に相談するのがおすすめです。
多発型の円形脱毛症は、頭皮や体の複数の場所に円形の脱毛斑が現れるタイプです。単発型と比べて治療が難しく、進行が止まりにくい傾向があります。
脱毛斑は徐々に増えていき、時間の経過とともに隣接する脱毛斑が融合することで、大きな脱毛領域を形成する場合もあります。脱毛範囲が広くなるほど自然治癒が難しくなるため、できるだけ早めに医師に相談しましょう。
蛇行型の円形脱毛症は、頭の後ろや側面の生え際に沿って帯状に脱毛が起こるタイプです。蛇行型は治療に抵抗性があり、進行が止まりにくい特徴があります。
蛇行型は名前のとおり蛇のように頭部を取り巻くように脱毛が広がります。蛇行型の円形脱毛症は症状が安定するまでに長期間を要することが多いため、根気強く治療を続けることが重要です。
全頭型は頭部の毛髪がほとんど抜け落ちてしまうタイプの円形脱毛症です。全頭型の円形脱毛症になると眉毛や睫毛などの毛も失われる可能性があるため、進行を止めるのが難しい傾向があります。
全頭型の円形脱毛症の場合は広範囲の免疫異常が持続している状態と考えられるため、自己免疫疾患の合併率も高くなります。
汎発型は円形脱毛症のなかで重症とされるタイプで、頭髪だけでなく全身の体毛がほとんど抜け落ちる状態です。眉毛や睫毛、腋毛、陰毛など体中の毛が失われます。
汎発型は免疫系の異常がより広範囲かつ強固に存在することを示しており、治療への反応性も低いとされています。汎発型の発症には遺伝的素因や複数の自己免疫疾患の存在が関連していることが多いです。また、爪の変形や点状陥没などの爪異常を伴うことが多く、予後不良のサインとされています。
円形脱毛症の症状タイプについては、「円形脱毛症を早く治す方法は?初期症状や病型から治療法やセルフケアを解説」の記事でも触れているので、ぜひご一読ください。
円形脱毛症の進行には日常的な行動が影響している場合があります。円形脱毛症の症状悪化を招く行動を理解し、避けることが大切です。以下に円形脱毛症の進行を促してしまう可能性のある行動を紹介します。
頭皮への過度な刺激は円形脱毛症の症状をさらに悪化させる原因になり得ます。特に良かれと思って続けている習慣が逆効果になっているケースも少なくありません。代表的な行動には次のようなものがあります。
上記の行為は頭皮の炎症や毛根へのダメージを蓄積させ、円形脱毛症の回復を妨げてしまいます。円形脱毛症の改善を目指すなら頭皮を守るケアを意識し、やさしく洗浄する・低刺激な製品を選ぶなど、余分な刺激を避ける工夫が必要です。
医師から処方された薬を自己判断で中止することは、円形脱毛症の進行を加速させる原因となります。症状が少し改善したからといって治療を中断すると、せっかくの効果が台無しになってしまうためです。処方薬は一定期間継続して使用することで効果を発揮するよう設計されています。
特に、ステロイド外用薬は急に使用をやめると症状が以前よりも悪化する可能性があるため、注意が必要です。
薬の副作用が心配な場合や効果が感じられない場合は勝手に治療薬の使用をやめるのではなく、医師に相談したうえで投薬量の調整や治療法の変更を検討しましょう。
脂質の過剰摂取といったバランスの悪い食事は、円形脱毛症の進行に影響を与える可能性があります。高脂肪・高カロリーの食事は体内の炎症を促進し、免疫システムのバランスを崩すためです。円形脱毛症は自己免疫疾患の一種であるため、免疫系の乱れが症状を悪化させる場合があるのです。
また、ビタミンやミネラルの不足も毛髪の健康に悪影響を及ぼします。特に亜鉛やビタミンB群、鉄分などが不足すると髪の成長に必要な栄養素が頭皮に行き届かなくなるのです。
円形脱毛症の治療には以下のものがあります。
ここでは、上記4つの円形脱毛症の進行を止めるための治療法についてそれぞれ詳しく紹介します。
ステロイド治療は円形脱毛症の治療法の一つです。ステロイド治療には炎症を抑え、異常な免疫反応を鎮める効果があるのです。ステロイド治療では症状の程度に応じて外用薬や注射、内服薬の3種類が選択されます。
外用薬は比較的軽度の症状に効果的で、安全性が高いという特徴があります。そして、症状が重い場合は注射や内服薬を用いることが一般的です。ただし、皮膚が薄くなったり毛細血管が拡張したりする場合があるため、副作用のリスクも考慮しなければなりません。
局所免疫療法は頑固な円形脱毛症の場合に選択されることがある治療法です。局所免疫療法では皮膚に意図的にアレルギー反応を起こすことで、自己免疫機能を抑制して発毛を促進します。局所免疫療法ではSADBEなどの物質を使用することが一般的です。
局所免疫療法は週に1回の頻度で行われ、患部に接触アレルゲンを塗布します。軽度のかゆみや発赤が生じることは治療の一環であり、これによって免疫反応が正常化されていくのです。
効果が表れるまでに3〜6ヶ月程度掛かることが多く、辛抱強く続ける必要があります。ただし、すべての患者に効果があるわけではなく、一時的に症状が悪化することもあるため医師と相談しながら治療を進めることが重要です。
国民生活センターの「AGA治療、植毛」によると、ミノキシジルはもともと高血圧症に対する薬として開発されました。その後、発毛促進効果があるとされ頭髪治療薬として用いられるようになりました。ミノキシジルには頭皮の血行を改善する効果や抗男性ホルモン作用があります。
ミノキシジルの副作用として不整脈や動悸、息切れなどが起こる可能性があります。また、ミノキシジルの使用を中止すると効果も失われるため、長期的な使用が必要になる点に注意が必要です。
参考:国民生活センター「AGA治療、植毛」
紫外線療法は特殊な波長の紫外線を用いて円形脱毛症を治療する方法です。主にエキシマライトやナローバンドUVB療法が用いられます。紫外線療法は異常な免疫反応を抑制し、毛髪の成長を促す効果があります。
治療は週に1〜2回の頻度で行われ、効果が現れるまでには2〜5ヶ月程度掛かることが一般的です。
紫外線療法は比較的安全な治療法ですが、皮膚の発赤やかゆみなどの一時的な副作用が生じることがあります。そのため、医師の管理のもとで適切な照射量と期間を守ることが重要です。
「円形脱毛症の治療方法とは?原因やセルフケアについて解説」の記事は、円形脱毛症の治療法について解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
円形脱毛症が回復に向かう際には以下の前兆が現れることがあります。
上記の円形脱毛症が治る前に見られるサインを知っておくことで、円形脱毛症の治療効果をより実感しやすくなるでしょう。ここでは、上記3つの円形脱毛症が治る前兆についてそれぞれ詳しく見ていきます。
円形脱毛症の回復の第一段階として、脱毛部分に細く短い産毛が生えてくることがあります。産毛は毛根が再び活性化して毛髪の成長サイクルが回復しつつあることを示しているのです。
産毛は肉眼では見にくいこともあるため、照明の下で鏡を使って観察すると良いでしょう。円形脱毛症の治り始めは産毛が生えたり抜けたりを繰り返すことがあるものの、徐々に産毛の量が増えて密度が高くなります。
ただし、産毛が確認できた場合も治療は医師の指示通りに継続することが重要です。回復の兆しが見えたからといって治療を中断すると、再び症状が悪化する可能性があるからです。
円形脱毛症の回復の第二段階では、最初に生えてきた産毛や白い毛が徐々に黒く太い毛に変化します。これは毛包が正常な機能を取り戻し、メラニン色素の生成が回復してきたことを意味します。
ただし、産毛や白髪が黒髪へ変化しても毛髪の質や密度は完全には回復していないことがあるのです。そのため、引き続き頭皮環境を整えて治療を継続することが大切といえます。
回復の最終段階では、脱毛部分と健康な髪が生えている部分の境界線が徐々にぼやけて分かりにくくなります。これは、新しく生えてきた髪が周囲の健康な髪と同じような密度や質を取り戻しつつあることを示しています。
脱毛範囲と健康な髪の境目が分かりにくくなる工程は、基本的に中心部から徐々に外側へと進行します。円形の脱毛部分が小さくなっていき、やがて周囲の髪と区別がつかなくなるのです。完全に髪が回復すると、円形脱毛になっていた部分を特定できなくなるでしょう。
ただし、円形脱毛症の回復スピードや程度には個人差があるため、焦らず医師の指導に従って治療を続けましょう。
円形脱毛症が治る前の前兆についてさらに詳しく知りたい場合は、「円形脱毛症が治る前兆とは?治りかけの症状を知っておこう」の記事もあわせてチェックしてみてください。
円形脱毛症の進行が止まらない理由には自己免疫疾患の併発やアトピー性皮膚炎の存在、遺伝的要因、過度なストレスなど複数の要因が考えられます。円形脱毛症の症状によって進行の仕方や治りやすさも異なり、単発型から全身の毛が抜ける汎発型まで症状の程度はさまざまです。
円形脱毛症の進行を悪化させる行動として、頭皮への過度な刺激や自己判断による処方薬の中断、脂質の多い食事などが挙げられます。円形脱毛症の進行を止めるためにはステロイド治療や局所免疫療法、ミノキシジル外用療法、紫外線療法など医師による治療を受けることが大切です。
円形脱毛症の回復の兆候は「脱毛部分に産毛が生える」・「白髪が黒髪に変わる」・「脱毛範囲との境目がぼやける」などのサインが現れることです。円形脱毛症の進行が止まらない場合は自己判断での対処を避け、専門医に相談して原因を特定したうえで適切な治療を継続するようにしましょう。