更新日:2023年12月22日
帽子をかぶるとはげる、という話を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ファッションとして帽子をかぶることが多い場合や、仕事で日常的に帽子をかぶっている場合、帽子とはげの関連性が気になる人も多いでしょう。
本記事では帽子をかぶるとはげると言われる理由を解説するとともに、はげを予防する正しい帽子の活用法やセルフケア方法、男性のはげの原因の1つであるAGA(男性型脱毛症)についても紹介していきます。
結論からいうと、単に帽子をかぶるだけでは、はげの直接的な原因になることはありません。ただし、日常的に帽子をかぶっている人は、頭皮環境の悪化により抜け毛が増えることがあるので注意が必要です。
帽子による頭皮環境の悪化には、次の3つの要因があります。
頭皮に存在する常在菌は、皮脂や汗を餌にして増殖します。そのため、帽子によって頭皮が蒸れると、繁殖過多により常在菌のバランスが崩れ、毛穴のつまりや炎症を引き起こしてしまいます。これが抜け毛の原因になるのです。
帽子をかぶると、頭皮が締め付けられて血流が悪くなることがあります。発毛や髪の成長に必要な栄養は血液によって頭皮に届けられるため、血行不良が生じると頭皮に十分な栄養が行き届かず、髪の毛の成長が妨げられる可能性があります。栄養不足の状態が続くと、髪の毛が抜けてしまう原因になるでしょう。
帽子の着脱時に生じる摩擦は、頭皮にダメージを与え薄毛の原因になり得ます。
特に注意が必要なのは、牽引性脱毛と呼ばれる脱毛症です。牽引性脱毛は髪の毛が引っ張られる状態が続くことで、抜け毛が発生する疾患です。毎日帽子をかぶったり、髪を引っ張り上げるような髪型を続けていたりする場合は、牽引性脱毛を起こす確率が高くなります。
牽引性脱毛は、軽度であれば髪に与える摩擦を抑えることで改善しますが、髪の毛を生成し保護する毛包までダメージを受けた場合は、永久に髪の毛が生えてこなくなる可能性もあります。
帽子をかぶることで頭皮環境の悪化を招くこともありますが、帽子はうまく活用すれば、むしろ頭皮を守りはげるのを予防する効果も期待できます。ここでは帽子をかぶるメリットを2つ紹介します。
帽子をかぶることで、紫外線による頭皮へのダメージを抑えることができます。
紫外線は、頭皮に当たり髪の毛を支える毛包のある真皮にまで達すると、髪の毛を作る毛母細胞や毛包幹細胞を傷つけてしまいます。毛母細胞は髪の毛を作る細胞で、毛包幹細胞は髪の毛を構成する組織のもととなる細胞です。これらの細胞がダメージを受けると、髪の毛の成長が抑制され、薄毛になるリスクを高めてしまいます。
帽子により紫外線から頭皮を守ることで、はげるのを予防する効果が得られます。
帽子をかぶることで頭皮の乾燥を防ぎ、頭皮環境を整えることができます。頭皮が乾燥すると、頭皮表面の水分バランスが崩れ、かゆみやフケが発生しやすくなります。乾燥によって頭皮環境の悪化につながり、薄毛の原因となる場合があるので注意が必要です。
仕事で帽子をかぶらなければならない場合や、ファッションとして帽子を楽しみたい場合、どのような点に注意すれば良いでしょうか。ここでは帽子をかぶるうえでの注意点を紹介します。
帽子をかぶる際は、長時間かぶらないことを念頭に起きましょう。長い時間帽子をかぶり続けると、帽子内の湿度が上がり、皮脂や汗の分泌が多くなってしまいます。頭皮の血行不良にもつながるため、休憩時間などには帽子を脱いで、換気することが重要です。
頭皮に存在している常在菌は、汗や皮脂によって増殖します。頭皮環境の悪化を防ぐためには、帽子をかぶることによってかいた汗をそのままにせず、こまめに拭き取り頭皮を乾かすことが大切です。
普段使いの帽子は、通気性がよく速乾性のあるものを選ぶようにしましょう。以下は、通気性に優れた帽子の一例です。参考にしてみてください。
メッシュキャップは後頭部側が網状の素材でできている帽子です。通気性が非常に高く、頭が蒸れにくいという特性があります。そのため、夏の暑さ対策や日差し対策に重宝され、ランニングや野球などのスポーツを行うときにも欠かせません。
サイズ調整部分にスナップバックやベルクロ、バックルなどが使用されることがあり、頭のサイズに合わせて簡単に調整できるのもメッシュキャップの魅力です。
麦わら帽子やリネン素材の帽子は、風通しが良く、ツバの部分が大きいため日除けになります。汗をかきやすい暑い日は天然素材の帽子が見た目にも涼しくておすすめです。
サーモニットとは、サーモ糸という繊維を使用して作ったメッシュ生地のことです。サーモニット素材の帽子はしっかりと日差しを防ぎつつ、通気性が高く蒸れにくいため、春から夏にかけてよく着用されます。
頭皮だけでなく、帽子そのものを清潔に保つことも重要です。洋服や靴下は毎日洗っても、帽子は洗わずに置いておくことが多いのではないでしょうか。長時間被らないことや通気性の良い帽子を意識しても、帽子の汚れを放置したままだと頭皮に雑菌が繁殖してしまいます。
着用後は都度洗濯するか、天日干しをして乾燥させてください。帽子に残った汚れは臭いの原因にもなるので注意しましょう。帽子の生地によっては、クリーニングを利用することで帽子を傷めず清潔な状態が保てます。
日常的に帽子をかぶる場合、毎日頭を洗うことが大切です。しかし、自分に合ったシャンプーを使用しないと、逆に頭皮環境を悪化させることにつながってしまいます。
高級アルコール系や石鹸系のシャンプーは洗浄力が強く、頭皮に必要な皮脂まで洗い流してしまい、頭皮環境が悪化する可能性があります。洗浄力が高いシャンプーは、皮脂の分泌量が多い方やハードワックスをつける方にはおすすめですが、そうでない場合、頭皮に優しいアミノ酸成分を含むシャンプーが良いでしょう。
シャンプーを見直すだけでなく、シャンプーの方法についても見直しましょう。正しいシャンプーの仕方は以下のとおりです。
まずはぬるめのシャワーで十分に洗い流しましょう。汚れの多くはこの時点で流せるため、少量のシャンプーで洗髪することができます。
シャワーで洗い流したら、落としきれなかった汚れや皮脂をシャンプーで落としていきます。500円玉大のシャンプーを手のひらに取り、よく泡立てましょう。洗顔ネットなどを使ってよりキメの細かい泡を作ると一層効果的です。
シャンプーを泡立てたら、シャンプーを頭皮にのせてやさしくマッサージするように洗いましょう。
爪を立ててしまうと頭皮を痛めてしまうので、指の腹を使うことが大切です。
頭皮を洗ったら、次は髪の毛を洗います。髪の内側から毛先に向かって、指でシャンプーの泡を滑らせるようにすることがコツです。髪の毛は泡の力だけで十分に汚れを落とせます。髪を傷めないよう、擦らないように注意しましょう。
すすぐときは頭皮や髪の毛にシャンプーが残らないように、丁寧にすすぎましょう。すすぎ残しのシャンプーは頭皮トラブルの原因になります。
シャンプーが終わったら、トリートメントやコンディショナーを塗布します。トリートメントは、髪の傷んだ部分を補修するものです。特に毛先には念入りに揉み込んでください。髪の毛全体に塗布したら、しっかりと洗い流しましょう。生え際に残りやすいので注意してください。
トリートメントやコンディショナーを洗い流したら、髪の毛と地肌を乾かします。まずはタオルで髪を挟むようにし、やさしく水分を拭き取ってください。その後、ドライヤーで乾かしていきます。頭皮が濡れていると地肌が蒸れてかゆみやフケのもとになるため、しっかり乾かしましょう。
帽子を正しく活用することではげの予防につながりますが、普段からセルフケアを行うことでさらなる予防効果が期待できます。ここでは、はげの予防に役立つセルフケア方法について解説します。
睡眠時、夜10時から深夜2時までは、髪の毛の成長に必要な成長ホルモンが最も多く分泌される時間帯といわれています。なるべくこの時間帯に睡眠を取ることを心がけると良いでしょう。また、起床時には朝日を浴びて体内時計をリセットすることで、規則正しい睡眠習慣を身につけることができます。
睡眠のほかに、食事の栄養バランスも意識しましょう。髪の毛の主成分であるケラチンはタンパク質で生成されています。そのため、豆腐や納豆、牛乳、たまご、肉類など、タンパク質を多く摂取できる食物を積極的に摂ることが大切です。そのほか、ケラチンの合成を助ける作用がある亜鉛やビタミンB2を豊富に含むナッツ類もおすすめです。
ストレスは自律神経の不調をもたらし、血行不良や不眠などさまざまな悪影響を及ぼします。頭皮の血流が悪くなったり、睡眠不足によって成長ホルモンの分泌量が減少したりするため、髪の毛の成長にも悪影響を与えます。そのため、日ごろからストレスを緩和することが大切です。
とはいえ、ストレスの緩和方法は人によってさまざまです。ほかの人にとってリラックスできることでも、自分にとっては返ってストレスになってしまうこともあり得ます。自分にとって心地良いと感じられることを取り入れ、上手にストレスと付き合って行きましょう。
どうしても思い浮かばない場合は、ジョギングなどの軽い運動がおすすめです。そのほか、誰かと話をするだけでもストレスの発散につながります。
喫煙は、ニコチンの作用によって血管を収縮させ、血流を阻害します。血流が悪くなると頭皮に栄養が行き届かず、抜け毛につながる恐れがあるため、なるべくタバコは吸わないように心がけましょう。
アルコールを分解する際、髪の成長に必要な栄養素であるアミノ酸が消費されてしまいます。丈夫な髪の毛を育むためにも、過度な飲酒は控えましょう。
ランニングやウォーキングなど基礎代謝を高める有酸素運動を取り入れることも大切です。新陳代謝が高まり血行が良くなると、健康な髪の毛の成長につながります。
頭皮マッサージをすると頭皮の血流が良くなるため、薄毛や抜け毛の予防に効果的です。
マッサージは、おでこから頭頂部に向かう前頭筋、耳の上にある側頭筋、後頭部の後頭筋の3つをほぐすイメージで行ってください。揉む際は、手の平のふくらんでいる部分や指の腹をマッサージする箇所にやさしく押し当てて、頭皮全体を動かすようにしましょう。
ただし、力をかけすぎたり長い時間やり続けたりすると、毛根にダメージを与え髪の毛の成長を妨げる可能性があるため、注意してください。
薄毛のセルフケア方法については、「はげたくない人は知っておくべき!薄毛の原因と自分できる対策について解説」でも詳しく解説しています。
薄毛は帽子をかぶることで起こるよりも、AGAが原因となっている可能性が高いものです。AGAとは、成人男性特有の脱毛症で、徐々に薄毛や抜け毛が進行する疾患のことです。
AGAは、DHT(ジヒドロテストステロン)が増加することによって発症しやすくなります。DHTは、男性ホルモンの1種であるテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びつくことで生成されます。さらに、頭部にある男性ホルモンレセプターがDHTと結合することで脱毛因子TGF-βが増加し、TGF-βが毛乳頭細胞に脱毛のシグナルを出すことで髪の毛が抜けてしまうのです。これがAGAのメカニズムです。
5αリダクターゼの活性度や男性ホルモンレセプターの感受性は遺伝することがわかっています。このため、AGAは遺伝的要因が大きく影響すると考えられています。
AGAを発症した場合、自然に治癒することはありません。しかし、AGAはAGA専門クリニックで治療可能なので、根本的に薄毛を改善したい場合には受診することをおすすめします。
AGA治療について詳しく知りたい方は、「AGA治療のデメリットとは?後悔しないポイントも解説」も参考にしてみてください。
帽子には、紫外線や乾燥から頭皮を守るメリットがあります。しかし、汗や蒸れにより雑菌が繁殖したり、長時間の着用により血行が悪くなると、抜け毛や薄毛を引き起こす要因にもなります。こまめに頭皮の汗を拭き、帽子を洗うなど清潔に保つことを心がけ、正しく着用することが大切です。
また、睡眠時間の確保やストレスの緩和など生活習慣の改善、頭皮マッサージやシャンプーの見直しなどのセルフケアで薄毛を予防することもできるので、普段から意識してみると良いでしょう。
薄毛が気になる場合、AGA(男性型脱毛症)などの原因がある可能性も高いので、一度専門医に相談することをおすすめします。