更新日:2025年05月26日
テストステロンは、男性らしい身体つきや思考をつくるのに欠かせないホルモンです。男性ホルモンの中で最も分泌量が多く、男性の心身に大きな影響を及ぼします。
本記事では、テストステロンの働きや減少する原因、また減少することで起こる症状などを解説します。さらに、AGAや男性更年期との関係、テストステロンを増やす方法などもお伝えしますので、さまざまな不調に悩む方は、ぜひ参考にしてください。
テストステロンは男性ホルモンのひとつであり、筋肉や骨の形成を促し、生殖機能にも大きな役割を果たす性ホルモンです。ここでは、テストステロンについて解説します。
テストステロンは、男性ホルモンの中でも分泌量が多い性ホルモンです。筋肉や骨の成長を促し、男性らしい肉体をつくります。
思春期に分泌量は急激に増え、身体や精神の発達に大きく影響を及ぼすとされます。心身の健康にも大きく作用することがわかっており、健やかな社会生活を送るうえで欠かせないホルモンといえるでしょう。
テストステロンの分泌は、通常、10〜20代をピークに増加し、その後は徐々に減少していきます。ただし、加齢によるものだけでなく、身の回りの環境変化やストレスも関係しているといわれています。40代以降に急激に分泌が減る方もいれば、80代を過ぎても40代のような分泌量の方がいるなど、個人差が大きいのが特徴です。
テストステロンの主な働きは、以下の4つです。
次に、テストステロンの働きを詳しく解説します。
テストステロンの働きのひとつには、骨や筋肉を発達させることが挙げられます。「急激に身長が伸びる」「声変わりが起こる」「ひげが濃くなる」「筋肉質の肉体になる」などは、テストステロンが影響しているためです。
性欲や性衝動を起こさせるのも、テストステロンの働きです。生殖機能と密接に関わっており、精子の生成や性欲をコントロールします。
テストステロンの作用のひとつは、記憶力や集中力を上げることです。脳内の神経細胞の枝を増やし、強いつながりをつくりだす作用があるため、情報のやりとりが活発になります。その結果、記憶力や集中力、決断力がなどの認知機能が上がります。
テストステロンが持つ、心身の不調を予防する働きも見逃せません。
テストステロンは、身体のエネルギーを生み出すミトコンドリアの健康維持に関わります。ミトコンドリアは、イキイキとした活動をするために欠かせない細胞です。また、怒りや不安などの感情を落ち着かせる働きもします。
ほかにも快楽や多幸感、やる気の元となるドーパミンの生成を促し、減少すると気持ちも落ち込みます。
テストステロンが減少する主な原因には、以下の2つが挙げられます。
ここでは、なぜテストステロンが減少するのかについて詳しくみていきましょう。
テストステロンが減少する大きな原因の1つが加齢です。テストステロンの分泌量は、20〜30代がピークで、その後は減少するとされます。20〜30代の性欲が高く行動的なのは、テストステロンの分泌が多いためです。
テストステロンの分泌量は、40代以降、年齢を重ねるごとに減っていきます。モチベーションが下がったり、性欲を感じなくなったりするなど、さまざまな不調を感じる場合があるでしょう。
テストステロンが減少するもうひとつの原因はストレスです。環境の変化や人間関係に過剰なストレスを感じると、年齢を問わずテストステロンは大きく減少することがわかっています。
これは、ストレスを感じると身体を守る役目を果たす抗ストレスホルモンの「コルチゾール」が分泌されるためです。コルチゾールは副腎でつくられますが、副腎ではテストステロンの元となるDHEAも製造されています。
コルチゾールの分泌に副腎が疲弊すると、DHEAがつくられなくなり、その結果、テストステロンが減少する仕組みです。
ここでは、テストステロンの減少で起こる症状を、以下の4つの点から説明します。
どのような症状が起こるのか、詳しく見ていきましょう。
テストステロンの減少により生じる身体的症状は、以下のとおりです。
テストステロンが減ると、同じ食事量でも太りやすくなり、メタボリックシンドロームに陥ります。肥満・高血圧・高血糖・脂質代謝異常などの疾患を生じやすいため、気をつけなければなりません。
また疲れやすく、動悸やめまいを感じるなど、老いを感じる機会も多くなるでしょう。
テストステロンの減少で起こる精神的な症状は、以下のとおりです。
テストステロンが減ると、気分が安定せず、仕事に集中するのも難しくなります。同じ仕事でも、時間がかかったり、思うような結果が出せなくなったりするなど、社会生活に影響を及ぼしかねません。
睡眠も浅くなり、理由もなく不安を感じ、イライラや気分の落ち込みにつながるでしょう。
テストステロンの減少による自律神経に関する症状は、以下のとおりです。
テストステロンが減ると、ホルモンバランスが乱れ、交感神経と副交感神経の均衡を取るのが難しくなります。結果として、自律神経失調症のような症状が出やすくなります。
テストステロンの減少は、性にまつわるさまざまな症状も引き起こします。主な症状は、以下のとおりです。
テストステロンが減ると、若いときに比べて性欲を感じなくなったり、勃起しにくくなったりします。また性交時に中折れし、射精までいかないため、幸福度が低下することも多くなります。このような性的なトラブルも、テストステロンの減少が原因です。
テストステロンが薄毛の原因と思う方も多いですが、実際のところ、これは正解ではありません。
テストステロンが還元酵素「5αリダクターゼ」と結びつくことで、悪玉男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン」になってしまうことが薄毛の原因です。ジヒドロテストステロンは、頭皮の「アンドロゲンレセプター」と結合し、髪の成長を阻害します。
テストステロン自体が直接的に薄毛を招くわけではないので、分泌量が多いからといって心配する必要はありません。
薄毛対策として有効なのは、テストステロンと5αリダクターゼの結合を阻止することです。結合を阻止できれば、テストステロンがジヒドロテストステロンに変換されるのを防げます。
男性更年期はLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)ともいわれ、テストステロンの減少によって生じるさまざまな不調のことを指します。
女性の更年期と比べると認知度はまだまだ低いですが、昨今、男性も更年期があるとの認知は広がりつつあります。ただし女性のように、閉経といったわかりやすい症状を伴うわけではないため、ほかの疾患に間違われるケースも多いようです。
40代で発症する方が多いですが、30代や70代で発症するケースもあり、発症時期や症状もバラバラです。さらに発症後、終わらない症状に長く苦しむ方も少なくありません。
男性更年期の初期症状は、性機能に出やすいのが特徴です。「身体的な疾患はないのに不調を感じる」という方は、一度、クリニックで相談してみてください。
テストステロンは、さまざまな方法で増やすことが可能です。増やす方法としておすすめなのが、以下の6つです。
それぞれの方法をご紹介します。
テストステロンを増やすには、運動や筋力トレーニングが効果的です。とくに大きな筋肉を動かす筋力トレーニングは、テストステロンや成長ホルモンの分泌を促します。
運動が嫌いな方も、自重のみのスクワットなど、気軽にできる運動を取り入れてみてください。代謝が上がり、基礎体力向上も見込め、健康的な身体をつくるのに役立ちます。また、身体がしまると見た目もシャープになり自信につながります。
良質な睡眠は、テストステロン分泌に重要です。深く眠ることで、身体がしっかりと休まり、精神も落ち着きます。良質な睡眠を取るためには、環境づくりも重要です。「疲れたらしっかりと休む」ことを心がけるだけでも、テストステロンの分泌が促されるでしょう。
テストステロンが減少する主な原因は、加齢とストレスであるとされます。ストレスをためないことが、テストステロンを増やすために不可欠です。
熱中できる趣味をつくったり、休日に外に出かけて気分転換を図ったり、自分なりのストレス発散を見つけましょう。
テストステロンを増やす食べ物を多く摂取することで、分泌量の増加を期待できます。テストステロンに関係する食べ物は、以下の3つです。
亜鉛は精子の動きに関連し、海外ではセックスミネラルとも呼ばれています。老化の原因となる活性酵素を除去する働きも期待できるため、若々しい生活を送りたい方は、積極的に摂取するとよいでしょう。
亜鉛を多く含む食べ物には、牡蠣やマイワシ、牛・豚レバー、赤身の牛肉、カシューナッツ、卵があります。クエン酸やビタミンC、動物性タンパク質と一緒に摂ると、摂取効率を上げられるため、やはり栄養バランスのとれた食事が大切です。
タンパク質は筋肉づくりにかかせない栄養素で、男性ホルモンを活性化する働きも期待できます。肉類や魚介類、卵、大豆製品、乳製品などに多く含まれます。
ビタミンAやビタミンD、ビタミンE、ビタミンKもテストステロンを増やす栄養素です。ビタミンは、ほかの栄養素の吸収を助け、身体を整える働きがあります。それぞれのビタミンが多く含まれる食べ物は、以下のとおりです。
漢方もテストステロンを増やすために効果的です。漢方のなかでも、捕中益気湯(ほちゅうえっきとう)や海馬補腎丸(かいばほじんがん)などがおすすめです。
補中益気湯は、病院の処方箋が必要です。海馬補腎丸は、漢方専門薬局で購入できます。これらの漢方は、テストステロンを増やし、疲れ、だるさを解消する効果もあります。
テストステロンを増やす方法として、ホルモン補充療法があります。日本で利用の多いホルモン補充療法は、注射と外用薬の2つです。
注射による場合、エナント酸テストステロンを1〜4週間おきに筋肉注射します。注射のあと1〜4週間でテストステロンの濃度が下がるため、定期的に通院する必要があります。注射時に痛みがありますが、高用量で投与でき、さらに副作用が少なくおすすめです。
外用薬には、テストステロンクリームがあります。このクリームは、テストステロンを皮膚から吸収させる塗り薬です。テストステロンクリームを朝と夜の1日2回、陰嚢や頬、額、脇の下などに塗ります。毎日、少しずつ塗ることで、緩やかな効果を期待できます。
ただしこれらの補充療法は副作用もあり、検討の場合は専門機関での医師への相談が推奨されます。
テストステロンを測るには、クリニックなどの医療機関を受診する必要があります。血液検査で「フリー(遊離型)テストステロン」の値を測ることで、正確な診断が可能です。フリー(遊離型)テストステロンは、起床時がピークで、午後には低下していくため、午前中の検診がよいでしょう。
検査はどの診療科でも可能ですが、専門的なアドバイスがほしい場合は、男性更年期外来やメンズヘルス外来のある病院がおすすめです。
ここでは、テストステロンにまつわる質問や疑問に回答します。ぜひ参考にしてください。
テストステロンは女性も分泌されており、副腎や卵巣でつくられます。男性の5〜10%とわずかですが、このテストステロンにより性欲や性衝動が活性化されます。テストステロンの多い女性の特徴は、行動力がある、物事を自分で判断できる、などです。
テストステロンの影響は、人差し指と薬指の長さを比べることでわかるといわれています。薬指は、テストステロンの受容体が多く影響を受けやすいため、長くなる傾向にあります。人差し指よりも薬指のほうが長い人は、テストステロンの影響を強く受けているといえるかもしれません。
テストステロンの分泌量が多いと、筋肉質な身体になり、判断力や集中力が高くなります。また太りにくい作用もあるため、スリムな男性が多い傾向にあります。バリバリと仕事をこなすシャープな体型の男性は、女性にとって魅力的です。人の好みには個人差がありますが、テストステロンの分泌量が多い男性は、モテる傾向にあるといえるでしょう。
テストステロンは、男性らしい身体つきや思考をつくるのに欠かせないホルモンです。しかし、加齢やストレスで減少することがわかっています。とくにストレスは、テストステロンの大敵です。テストステロンが減少すると、性欲の低下やイライラ、気分の落ち込みなどにつながります。
テストステロンの減少が理由で不調が生じている場合、社会生活を送るのが大変になる方も少なくありません。そこで、このような症状におすすめなのがオンライン診療です。オンライン診療であれば、人目を気にせず診療を受けられます。
テストステロンの減少により、薄毛やEDといった症状が生じている場合はレバクリを利用するとよいでしょう。レバクリのオンライン診療は、診療は無料で、薬も原則即日で配達されます。仕事が忙しく診療時間が取れないという方も、ぜひお気軽にご利用ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)