更新日:2026年08月03日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
抜け毛が増えてきて、原因が気になっている女性はどの年代でも少なくありません。女性の抜け毛は、ホルモンバランスや生活習慣の乱れ、年代特有の変化などが背景にあり、まれに脱毛症が隠れている場合もあります。この記事では、女性の抜け毛の主な原因と年代別の傾向、女性に多い脱毛症、セルフケアや受診の目安を紹介します。
女性の抜け毛が増える主な原因は、ホルモンバランスの乱れや生活習慣など5つに整理できます。加齢や出産、毎日のヘアケア、紫外線、薬の影響などが複雑に関わり、複数の要因が重なって抜け毛につながる場合もあります。それぞれの原因を解説します。
加齢や出産に伴うホルモンバランスの乱れは、抜け毛を引き起こす要因になる可能性があります。女性の健やかな髪の成長には、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンが欠かせませんが、これらのホルモンの分泌量は、一般的に40代ごろから減少する傾向にあります。加齢によって抜け毛が増える場合があるのはそのためです。 また、エストロゲンとプロゲステロンは妊娠中に大量に分泌されますが、出産を機に急激に減少します。髪を抜けにくくしていたホルモンが出産により減ることで、産後の抜け毛へと発展する場合があります。これが分娩後脱毛症です。
ほかにも、子育てによる疲労や睡眠不足が原因の一つといわれています。産後の抜け毛は一時的であるため、過度に心配しないようにしましょう。
食生活や睡眠などの生活習慣が乱れると、髪や頭皮の不調が起こりやすくなります。たとえば、過度な食事制限を伴うダイエットや偏食により栄養バランスが偏ると、健やかな髪の成長に欠かせないタンパク質や亜鉛、鉄分などの栄養素が不足します。髪に十分な栄養が届かない状態が続き、抜け毛や切れ毛の間接的な原因となる場合があるかもしれません。 また、睡眠不足や過度なストレスも髪の健康に影響を及ぼす要因です。これらは自律神経の変化を招き、毛包の環境に影響を与える可能性があります。
健やかな髪を維持するためには、栄養バランスの取れた食事を心掛け、心身ともに十分な休息をとることが大切です。
毎日のヘアケアや髪型の習慣が、頭皮環境の悪化や抜け毛を招く原因となる可能性があります。たとえば、洗浄力の強いシャンプーで必要な皮脂まで落としてしまったり、一日に何度もシャンプーしたりすると、頭皮が乾燥して炎症を招く要因となります。また、カラーやパーマによって髪に過度な負担をかけることも、抜け毛や切れ毛の原因につながることがあります。 そのほか、ポニーテールやお団子ヘアのように髪を長時間強く引っ張って固定するスタイルを日常的に続けていると、頭皮や毛根にダメージを与え、牽引性脱毛症という抜け毛を引き起こす場合があります。
日々の適切なケアや、髪型にも注意してみましょう。
紫外線は頭皮や髪にダメージを与える要因の一つです。紫外線そのものは直接的な抜け毛の原因にはなりませんが、強い日差しによって頭皮に炎症が起こると毛根にも影響を及ぼす恐れがあり、間接的な要因になり得ます。 さらに、紫外線は髪の表面にあるキューティクルを傷め、ツヤの鍵になるタンパク質を流出させてしまう可能性があります。その結果、髪のパサつきが生じる場合があるため、日ごろから頭皮や髪を紫外線から守る習慣づけを意識してみましょう。
薬の副作用が原因で抜け毛が起こる可能性があります。これを薬剤性脱毛症と呼びます。抜け毛が生じる可能性のある薬は、抗がん剤や血液凝固阻止剤などです。ただし、副作用の出方には個人差があり、薬の服用により必ず抜け毛が生じるわけではありません。抜け毛の副作用がある薬を使う際は、事前に主治医と相談しておくのが良いでしょう。抜け毛の副作用がやむを得ない場合は、ウィッグなどの対処法もあります。一人で抱え込まず、対策を考えていきましょう。
女性が1日に抜ける髪の本数は、50〜100本程度であれば自然な範囲とされています。髪はヘアサイクルにそって毎日生え替わるため、ある程度の抜け毛は誰にでも起こります。ただし、抜け毛が急に増えたり、毛が細く短くなったりした場合は注意が必要です。 シャンプー時や排水口を見たとき、起床時の枕元などで以前より抜け毛が目立つと感じたら、ヘアサイクルの乱れや脱毛症のサインの可能性もあります。本数だけにとらわれず、髪の太さや頭皮の状態の変化もあわせて確認しましょう。
女性の抜け毛には、原因や特徴の異なる脱毛症が関わっている場合があります。女性に多い脱毛症の種類と主な原因、相談先の目安は、上の画像のとおりです。このうち、びまん性脱毛症やFAGAは、オンライン診療でも医師に相談できます。一方、甲状腺疾患や鉄欠乏性貧血など全身の状態が関わる脱毛は、内科などでの検査や治療が必要です。以下で、女性に多い脱毛症のうち主なものを解説します。
びまん性脱毛症は主に女性に見られる、髪全体のボリュームが徐々に失われる脱毛症です。特定の部位だけでなく頭皮全体が薄くなるのが特徴で、特に分け目が目立ちやすくなるでしょう。 発症の原因は加齢やストレス、極端なダイエット、ホルモンバランスの変化など多岐にわたり、複数の要因が絡み合っている場合があります。薄毛が全体に広がっていく性質上、異変に気づいたときには、すでに症状が進行していることがあります。
髪が全体的に薄くなったと感じる場合は、皮膚科や婦人科のほか、オンライン診療でも早めに医師へ相談しましょう。
FAGAはAGA(男性型脱毛症)の女性版にあたる脱毛症です。更年期障害などにより女性ホルモンが減少し、相対的に男性ホルモンが優位になることが原因とされています。しかし、ホルモンバランスの影響のみでは説明できない場合もあり、正確な原因は完全には解明されていません。最近では、女性型脱毛症(female pattern hair loss)を略して、FPHLと呼ばれることが多くなっています。 髪全体のボリュームが低下し、分け目が広がって見えやすくなるのが特徴です。薄毛が気になり始めたら、皮膚科や婦人科のほか、オンライン診療でも早めに医師へ相談することが大切です。
牽引性脱毛症は、ポニーテールやエクステなどのように、髪が日常的に強く引っ張られることで生じる脱毛症です。毎日同じ位置で髪を強く結んだり、編み込みをしたりして頭皮に負担をかけ続けると、ダメージが蓄積して抜け毛が発生することがあります。 定期的に髪型を変えることや、結ぶ力を弱めて頭皮への刺激を和らげることが対策です。すでに抜け毛が目立っている場合は、しばらく髪を結ぶのを控えて頭皮を休ませましょう。こうした対策を続けても症状が改善しないときには、早めに皮膚科を受診してください。
女性の抜け毛は、年代によって原因が異なる場合があります。10代から60代まで、年代ごとの主要な抜け毛の原因をまとめました。
10代の女性は、無理な食事制限が抜け毛の原因として挙げられます。自身の容姿を気にして極端に食事制限をすると、タンパク質や亜鉛、鉄分などの髪の材料が不足し、健康な髪の成長に悪影響を及ぼす恐れがあります。 また、夜更かしによる睡眠不足や学校生活でのストレスも、健やかな髪の成長を間接的に妨げる原因になります。
そのほかヘアカラーやアイロンによるダメージが重なれば、切れ毛が発生するかもしれません。 ダイエットは栄養バランスを考え、運動をメインで行うと良いでしょう。また、髪の負担を考えたヘアケアも大切です。
20代は就職や結婚など環境の変化が多く、本人が気づかないうちにストレスを感じ、それが抜け毛に発展することがあります。環境の変化や緊張、睡眠不足などのストレスが蓄積されて自律神経やホルモンバランスが崩れると、成長期にある髪が休止期へと移行し、薄毛が生じる休止期脱毛症などが発症する可能性があります。 環境変化でストレスを抱えないために、日常的に発散させる工夫が大切です。自分へのご褒美や趣味の時間を作るなど、意識的にリフレッシュする時間を取り入れましょう。
30代の女性は、妊娠や出産による急激なホルモン変化や子育ての疲労が抜け毛の原因になる可能性があります。産後に見られる脱毛は分娩後脱毛症と呼ばれ、女性ホルモンのエストロゲンが急減することで抜け毛が増加します。産後の女性によく見られる現象ですので、過度な心配はいらないでしょう。 また、多忙な育児の中で自分のことが後回しになると、栄養不足や貧血になる恐れも考えられます。心身の健康を維持するために、空いた時間に軽食を食べたり横になったりするなど、意識的に休息をとる工夫が大切です。
40代は、更年期障害が始まる方も出てくる時期で、エストロゲンというホルモンが減少することによって髪の成長期が短くなり、細く弱い毛が増えたり、抜け毛が増えたりする可能性があります。また、加齢に伴う頭皮や毛髪の変化により、髪のハリやコシが低下する場合もあるでしょう。 これらの悩みはセルフケアで対策できることもありますが、改善しないときは、医療機関に相談することが大切です。
一般的に閉経を迎える方が多い50代は、エストロゲンの分泌が急激に減少するため、抜け毛や薄毛が気になりやすくなります。 また、相対的に男性ホルモンが優位になる影響から、FAGAを発症する可能性も考えられます。分け目や頭頂部が目立ちやすくなったり、全体的にボリュームが減ったりするのがFAGAの特徴です。
なお、FAGAはホルモンバランス以外にもストレスや栄養不足などの要因が複雑に絡み合っており、正確な原因は解明されていません。更年期から閉経の時期に全体的な薄毛が気になったら、専門のクリニックへの相談を検討しましょう。
60代以降は、加齢に伴う毛髪の変化や血行の滞りによる頭皮の栄養状態の変化などにより、抜け毛や薄毛が目立ちやすくなる可能性があります。代謝が衰えることで髪を作る毛母細胞の活動が低下し、新しい髪が育つのに時間を要する場合もあります。 また、加齢の影響で食が細くなると、タンパク質などの髪の成長を支える栄養素が根本的に不足しがちです。日々の食生活で栄養バランスを整えるのも良いでしょう。

抜け毛の原因には、年齢に関係するものとそうでないものがあります。病気が背景にある場合は自然には改善しにくいため、気になる変化が続くときは自己判断せず医師への相談を検討しましょう。
女性の抜け毛対策では、まず原因を知り、必要に応じて医療機関に相談することが大切です。生活習慣の見直しや頭皮ケアは、抜け毛そのものを直接治すものではありませんが、健やかな髪が育つ土台づくりにつながります。毎日の生活で取り入れやすい対策を5つ紹介します。
食生活の改善は、健康な髪の成長を支えます。特に、タンパク質や亜鉛、ビタミン類をバランスよく摂ることが大切です。
髪の主成分はケラチンというタンパク質で作られているため、健やかな髪には良質なタンパク質が欠かせません。また、亜鉛にはケラチンの合成を助ける働きがあります。さらに、ビタミン類も頭皮や毛髪の健康維持に関わっています。

多忙で食生活に気を使う時間がない場合は、朝ご飯にゆでたまごを1つ足したり、おやつをナッツ類に変更したり、デザートにキウイを選んだりするなど、手軽なもので栄養を補うとよいでしょう。 ダイエットによる過度な食事制限は髪の健康に悪影響を与えるため、控えましょう。
良質な睡眠は、健康的な髪の成長にとって大切な要素です。睡眠中は成長ホルモンの分泌や体の回復が促されるため、健康な髪を維持する土台になります。 寝る前にスマートフォンを見ると、ブルーライトによって脳が覚醒状態になり、良質な睡眠を妨げる可能性があります。厚生労働省「知っているようで知らない睡眠のこと」で記載されているように、就寝1時間前をめどに、スマートフォンなどの使用を控えてみましょう。寝る前のカフェイン摂取を控えたり、寝室を快適でリラックスできる環境に整えたりすることも工夫の一つです。 また、日中の軽い運動やストレッチも、スムーズな入眠の助けになります。良質な睡眠は髪の健康に加えて、全身の健康にもつながるでしょう。
参考:厚生労働省「睡眠」

適切な頭皮ケアは清潔な頭皮環境を維持し、健康的な髪の土台づくりにつながります。頭皮の汚れを落とすことは大切ですが、洗い過ぎて必要な皮脂を流してしまうと、乾燥や炎症を起こすことがあります。洗髪はアミノ酸系シャンプーなど低刺激なものを選び、優しい力で頭皮をマッサージするように洗いましょう。 洗髪のポイントは、指の腹で優しくもみ洗いすることと、泡が残らないようよくすすぐことです。特に、泡の流し残しはフケの原因になる可能性があるため、すすぎを念入りに行いましょう。
頭皮マッサージは頭皮の血行促進を助けます。抜け毛の改善効果は期待できませんが、頭皮のリフレッシュにつながるでしょう。 頭皮マッサージはシャンプー後やお風呂上がりなど、習慣化できるタイミングに行うのがおすすめです。ポイントは、気持ち良いと感じる強さで行うことです。強い力で押し過ぎると、炎症などを引き起こす可能性があるため、注意しましょう。 頭皮に痛みや赤みがある場合は、症状の悪化につながる恐れがあるため、頭皮マッサージを控え、症状が良くならない場合は皮膚科を受診してください。
健やかなツヤのある髪を維持するには、頭皮や髪の紫外線対策が大切です。頭皮や髪は顔と同様に紫外線を直接浴びているため、日焼けなどの影響を受けています。紫外線によって髪の乾燥やダメージが生じることがあります。対策として、日傘や帽子、頭皮用のUVスプレーなどを使ってみましょう。 また、同じ分け目を続けると、頭皮への刺激や紫外線曝露が偏る可能性があるため、分け目を時々変えるなど髪型を工夫するのも良いでしょう。
強いストレスや生活環境の変化は、ヘアサイクルに影響を与える可能性があります。ストレスを溜め込まず、友人との会話や軽い運動など、自分に合ったリラックス方法を見つけて日常的に発散することが、全身の健康と健やかな髪を保つ助けになります。
セルフケアを続けても抜け毛がひどくなり改善しないときは、医療機関への相談が選択肢になります。女性の薄毛には、びまん性脱毛症やFAGAのように医学的な治療の対象となるものもあり、早めに相談するほど対処の選択肢が広がります。受診に踏み切るべき症状と主な治療、相談方法を紹介します。
次のような変化があるときは、医療機関への相談を検討しましょう。セルフケアだけで様子を見続けると、原因の特定が遅れる場合があります。
これらは脱毛症など医学的な対応が必要なサインと考えて良さそうです。気になった時点で、自己判断せず医師に相談しましょう。
女性の薄毛治療では、抜け毛の進行を抑える薬と発毛を促す薬が用いられます。主な薬は次のとおりです。
| 薬剤名 | 特徴 | 薄毛治療薬としての国内承認状況 |
|---|---|---|
| ミノキシジル | 発毛を促す、濃度1%の外用薬 | 国内承認薬 |
| スピロノラクトン | 抜け毛に関わる男性ホルモンの働きを抑える内服薬 | 国内未承認 |
| ミノキシジル内服 | 発毛を促す目的で用いられる内服薬 | 国内未承認 |
このうち、スピロノラクトンとミノキシジル内服薬は、国内では薄毛治療を目的として承認されていない医薬品です。使用する場合は、医師から説明を受けたうえで処方してもらい、指導のとおりに使用する必要があります。 なお、フィナステリドやデュタステリドは、女性、特に妊娠の可能性のある方には使用できません。使える薬や量は人によって異なるため、自己判断を避け医師に相談しましょう。
女性の抜け毛や薄毛の原因についての疑問に、以下で回答します。
市販の育毛剤やシャンプーで女性の薄毛は改善しますか?
育毛剤やシャンプーは頭皮環境を整えるサポートになりますが、薄毛そのものの治療にはなりません。抜け毛が気になる場合は、頭皮ケアと並行して医師への相談を検討しましょう。
女性の抜け毛や薄毛は遺伝しますか?
女性の薄毛には体質や遺伝が関わる場合があるとされていますが、原因はホルモンや生活習慣など複数が絡み合い、遺伝だけで決まるわけではありません。気になる場合は医師に相談すると原因を整理しやすくなります。
ストレスによる抜け毛は元に戻りますか?
ストレスが背景にある抜け毛は、原因が和らぐと回復が期待できる場合があります。ただし、抜け毛が長く続くときは別の原因が隠れていることもあるため、改善しないときは医師への相談を検討しましょう。
女性の抜け毛には、ホルモンバランスや生活習慣、頭皮環境などさまざまな要因が関わります。1日に抜ける髪は50〜100本程度なら自然な範囲とされますが、抜け毛の量や質、頭皮の状態に変化があるときは注意が必要です。びまん性脱毛症やFAGAなどが背景にある場合もあり、セルフケアだけでは改善しにくいことがあります。食事や睡眠、頭皮ケアは健やかな髪を育てる土台になりますが、改善しないときや急な抜け毛が気になるときは、自己判断せず医師への相談を検討しましょう。通院が難しい場合は、自宅から相談できるオンライン診療という方法もあります。
厚生労働省「睡眠」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「医薬品副作用被害救済制度」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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