更新日:2024年02月21日
フィンペシアの初期脱毛はいつまで起こる?副作用やリスクについても解説
- フィンペシアはフィナステリドが主成分のAGA治療薬で、日本では未承認
- 初期脱毛はフィンペシアが効いている証拠ともいえ、1~3ヶ月程度でおさまるのが一般的
- フィンペシアの服用で重度な副作用が起こっても、医薬品副作用被害救済制度の対象外
- フィンペシアの服用に不安を感じる場合には、医療機関に相談して承認薬に切り替えるのも良い
AGA治療薬の1つであるフィンペシアを服用し続けていたら、脱毛が起こった経験がある方もいるかもしれません。この脱毛がフィンペシアの服用による初期脱毛なのかに悩む方に向けて、ここではフィンペシアと初期脱毛について詳しくご紹介します。また、フィンペシアの服用によるリスクについても解説するため、フィンペシアの服用を長期にわたって継続しようと考えている方は参考にしてみてください。
※2023年11月現在、レバクリではフィンペシアの取り扱いはありません。
フィンペシアとは
フィンペシアの主成分はフィナステリドです。そのため、薬の作用機序はフィナステリドを主成分とするプロペシアなどと同様です。
AGAは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素によってジヒドロテストステロンに変換され、受容体と結合した結果起こります。
フィンペシアの成分であるフィナステリドは、5αリダクターゼII型に作用して薄毛の進行を抑制します。5αリダクターゼII型の酵素が男性ホルモンの1種であるテストステロンをジヒドロテストステロンに変換させるのを防ぎ、脱毛を抑制する効果が期待できます。
フィンペシアは、インドのシプラ社が製造販売するAGA治療薬で、日本では未承認の薬剤です。フィンペシアは医療機関で処方されることはないため、手に入れるには個人輸入する必要があります。しかし、個人輸入には後述するリスクがあるため、あまりおすすめはしません。
フィンペシアについては、「フィンペシアとは?効果や副作用、通販で購入する際の注意点」でも詳しく解説しています。
フィンペシアによる初期脱毛とは
フィンペシアを使用すると、服用後10日~1ヶ月ほどで初期脱毛が起こりはじめ、1~3ヶ月ほどで治まるケースが一般的とされています。フィンペシアによって初期脱毛が起こる理由は次のとおりです。
ヘアサイクルが正常化している
フィンペシアの服用によって初期脱毛が起こる理由は、フィンペシアの作用によってヘアサイクルが正常化した影響が考えられます。
ヘアサイクルとは髪が成長してから抜けるまでの一連の流れです。ヘアサイクルには、髪の毛を成長させる成長期、髪の毛の成長が抑制される退行期、髪の毛が生えなくなる休止期の3つがあり、髪の毛はこのサイクルを繰り返して成長をしていきます。
髪の約85~90%が成長期にあたり、一般的に成長期は2~6年程度続きます。一方、髪の約10%程度が休止期であり、休止期は2~3ヵ月続きます。AGAはこのヘアサイクルが乱れ、成長期が短縮されて多くの髪の毛が休止期に入ることで脱毛が発生します。
フィンペシアを服用するとヘアサイクルが正常化し、休止期に入った髪の毛が成長期へと移行します。成長期に移行する際、休止期に入って細く弱くなっていた髪の毛が、新たに成長した髪の毛によって押し出され、その結果、初期脱毛が現れるのです。
初期脱毛とは、別の見方をすると薬が作用し始めているサインともいえ、過度に心配する必要はないでしょう。
初期脱毛が起こらない人もいる
フィンペシアを服用しても初期脱毛が起こらないケースもあります。それは次のような方です。
- AGAがそれほど進行していない方
- ヘアサイクルの成長期の初期にフィンペシアを服用した方
AGA治療薬は、早期に服用を開始していると高い効果が期待できるケースが多いです。特にAGAが進行していないタイミングで治療を開始していれば、休止期によって軟毛化した髪の毛は少ないため、初期脱毛が起こりにくいとされています。
また、たまたまヘアサイクルの成長期の初期にある髪の毛が多い場合、フィンペシアを服用しても初期脱毛がほとんど見られないことがあるようです。初期脱毛が起こらないと薬が効いていないのではと心配になるかもしれませんが、初期脱毛が起こらないこともあるというのを覚えておきましょう。
初期脱毛が収まらない原因
フィンペシアの成分であるフィナステリドの初期脱毛は1~3ヶ月程度で落ち着くとされています。この期間を経過しても初期脱毛が収まらない場合には3つの原因が考えられます。
1つ目は頭皮の状態が悪いということです。頭皮に炎症が起こっていれば、フィンペシアを飲んでもヘアサイクルが整わず、結果として脱毛が続きます。
2つ目は起こっている脱毛が初期脱毛ではないという可能性です。AGAではなく、ほかの病気が原因で脱毛をしていればフィンペシアを服用していても効果はありません。フィンペシアを用法用量を守って服用しているのに脱毛が続くのであれば、一度医療機関で診察を受けるのがおすすめです。
3つ目は生活習慣の乱れです。生活習慣が乱れると、ヘアサイクルも乱れてます。そのため、初期脱毛が長引いてしまうのです。
正常なヘアサイクルを辿るためには、規則正しい食生活を送る、十分な睡眠をとる、適度な運動をする、ストレスをためないということが必要です。
食生活が乱れていたり、ストレスが溜まっていたりすれば血流や代謝に影響して、正常なヘアサイクルに戻りません。初期脱毛がなかなか収まらないという場合には、生活習慣を今一度見直してみると良いでしょう。
フィンペシアによる初期脱毛への対策
フィンペシアによる初期脱毛は少なくとも1ヶ月以上は続くため、周りの目が気になる方もいるかもしれません。フィンペシアによる初期脱毛が気になる場合にどのように対策していくべきかを解説します。
ウィッグや帽子を活用する
フィンペシアによる初期脱毛の量が多く、薄毛が目立つ方はウィッグを活用するのがおすすめです。ウィッグを活用して脱毛部分を隠せば、薄毛を周りに気づかれることなく生活できるでしょう。
また、帽子もおしゃれの1つとして活用しながら薄毛を隠せます。室内よりも室外にいる機会が多い方は帽子を活用して薄毛を隠すのも良いでしょう。
ただし、ウィッグや帽子を長期間かぶりつづけると、蒸れて頭皮環境を悪化させてしまい、結果として薄毛を助長する可能性があります。特に汗をかきやすい夏場では蒸れやすくなるため、通気性が良いウィッグを選んだり、着用時間を短くしたりといった工夫をしましょう。
クリニックへ相談する
フィンペシアの初期脱毛が不安になった場合にはAGA専門のクリニックへ相談するのも良いでしょう。脱毛の量が明らかに多い場合や、3ヶ月以上脱毛が続いているという場合は、クリニックで受診して適切な治療を受けることが望ましいといえます。専門医から説明してもらうことで、納得して治療を受けたり今後について検討したりできるでしょう。
治療薬を変える
治療薬をフィンペシアからほかの薬に変えるというのも、初期脱毛の不安を解消するには良いかもしれません。
同じフィナステリドを使用する薬剤にはプロペシアがあります。プロペシアは日本で承認された薬であり、AGA治療を標榜する医療機関であれば処方が可能です。薬剤を正規のものに変えて治療を進めていくことで、不安が解消できるかもしれません。
フィンペシアによる副作用
ここでは、フィンペシアを服用することで起こる副作用について解説します。
性機能に関する副作用
フィンペシアの主な副作用は、性機能に関するものです。フィンペシアの主成分であるフィナステリドはジヒドロテストステロンを抑えるため、性機能関連の副作用が起こる場合があります。
性機能に関する副作用は主に2つあり、1つ目はリビドー減退です。リビドー減退とは性欲減退という意味で、フィンペシアを服用することで性欲が減退し、性行為に対して消極的になる状態を指します。発症頻度は1~5%未満とされています。
2つ目は勃起不全です。勃起不全と聞くと全く勃起をしないイメージがあるかもしれませんが、全く勃起をしないというケースは少なく、以前に比べて勃起時の硬さが低下した、勃起の持続時間が短くなったという状態が多いようです。勃起不全の発症頻度は1%未満とされています。
肝機能障害
頻度は不明ですが、フィンペシアの服用によって肝機能障害が起こる可能性が指摘されています。そのため、肝臓に疾患のある方は服用に注意が必要です。
フィンペシアの副作用については、「フィンペシアの副作用は?効果と服用時の注意点について解説」でも詳しく解説しています。
フィンペシアを使用する際のリスク
フィンペシアには、副作用以外にもさまざまなリスクがあります。ここからは、フィンペシアの服用そのもののリスクを解説していきます。
個人輸入で手に入れた薬は偽薬の可能性がある
フィンペシアは未承認薬のため、フィンペシアを処方できる医療機関はほとんどなく、フィンペシアを手に入れるためには個人輸入をしなければなりません。
しかし、フィンペシアを個人輸入している場合には偽薬が届く可能性があります。偽薬とは、本来の治療効果を持たない薬のことです。つまり、服用してもフィナステリドの成分が含まれておらずAGAに対しての効果が期待できない可能性があります。
それだけでなく、どんな成分が含まれているかわからないので予期せぬ健康被害が発生する可能性が極めて高くなってしまいます。
AGA治療薬の個人輸入については、「AGA治療薬の個人輸入は危険?AGA治療薬の安心できる入手方法を解説」でも詳しく解説しています。
医薬品副作用被害救済制度が使えない
フィンペシアは国内未承認薬であるため、副作用などが発生したときに医薬品副作用被害救済制度が使えません。医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品を適正に使用したにもかかわらず入院治療が必要な副作用が生じた場合に、公的に救済給付を行う制度です。この制度は国内承認薬のみ適用されるため、国内未承認薬には使えません。
つまり、フィンペシアを服用したことで重度な副作用が起こったり、健康被害を被ったりした場合には、治療費は自己負担となってしまいます。
飲み合わせによって副作用のリスクが高まる
薬にはそれぞれ飲み合わせがあり、飲み合わせによって副作用のリスクが高まる可能性があります。フィンペシアは、グレープフルーツジュースやお酒と一緒に飲めません。
グレープフルーツジュースにはフィナステリドを分解する酵素の働きを阻害する作用があります。フィンペシアとグレープフルーツジュースを一緒に飲むと、体内にフィナステリドの成分が長く残ってしまうため、副作用のリスクを高めてしまうと考えられています。また、お酒は肝臓で処理されて排泄されます。フィナステリドと一緒に服用すると肝臓への負担が大きくなってしまうため、同時に服用ができません。
このように飲み合わせによって体への影響も出るので、飲み合わせについては理解をしたうえで服用しましょう。
検査値に影響を及ぼすことがある
フィンペシアは前立腺がん検査の指標であるPSAの値を下げることがあります。そのため、前立腺がんの検査をする場合は、医療機関にフィンペシアを服用していることを伝えなければなりません。
このことを知らないまま検査を受けていると、前立腺がんの発見が遅れるケースがあります。
まとめ
フィンペシアはフィナステリドを主成分とし、プロペシアと同様に5αリダクターゼII型を阻害して脱毛を抑制する効果が期待できます。フィンペシアの服用によって起こる初期脱毛は、フィンペシアが効いているという証拠であり、悪い影響によって起こっている可能性は低いといえます。
しかし、フィンペシアは日本未承認薬であるため、フィンペシアを服用することによって健康被害が生じても、国の救済制度を活用できず、治療費が高額になるかもしれません。
初期脱毛あるいはフィンペシアの作用や副作用が不安という場合には、クリニックへ相談し、同成分の薬であるプロペシアに変更して治療を継続していくことも検討してみてはいかがでしょうか。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会