更新日:2026年07月16日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「デュタステリドは前頭部の生え際やつむじの薄毛に効果がある?」と気になっている方もいるかもしれません。デュタステリドは前頭部や頭頂部の薄毛に対して効果が期待できる治療薬です。それはAGAの原因である、DHTの生成を抑制する作用があるためです。 本記事では、デュタステリドが生え際や頭頂部の薄毛に効く仕組みや効果が現れるまでの期間などについて詳しく解説します。薄毛治療を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
生え際などの前頭部や、つむじと呼ばれる頭頂部はAGAの影響を受けやすいといわれています。その理由は、AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成に関わる5αリダクターゼが前頭部や頭頂部に多く分布しているからです。

5αリダクターゼは男性ホルモンの一種であるテストステロンと結びつくことで、DHTに変換されます。DHTが毛包のアンドロゲン受容体に作用すると、成長期が短縮され、毛包のミニチュア化が進行し、結果として細く短い毛が増えやすくなります。
このプロセスが継続されることで、生え際や前髪が薄くなってM字に後退してきたり、つむじ部分の薄毛が進行して地肌が目立ったりするようになります。
デュタステリドが生え際や頭頂部の薄毛に効く理由は、AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を阻害し、乱れたヘアサイクルを正常な状態へと戻すからです。作用として、以下2点が挙げられます。
5αリダクターゼI型・II型を同時に抑制
DHTの低下と毛包ミニチュア化抑制
ここからは、上記2点のデュタステリドの作用を詳しく紹介しましょう。
デュタステリドの主な特徴は、5αリダクターゼのI型とII型の両方を抑制できる点です。

ほかの代表的なAGA治療薬であるフィナステリドは、主にII型のみに作用するため、両方に働きかけるデュタステリドは、より広範囲にわたる効果が期待できます。
DHTのもととなる5αリダクターゼにはI型とII型があり、それぞれの主な分布部位は以下のとおりです。
I型: 全身の皮脂腺に分布し、頭皮では、側頭部や後頭部に多く存在する
II型: 髭や前立腺などに分布し、頭皮では、前頭部や頭頂部に多く存在する
頭皮の後方にはI型とII型の両方が分布しているため、体質によって、II型を抑制するだけでは頭頂部の後ろ側の薄毛に十分な効果を得られない場合があります。
そのため、フィナステリドで十分な効果が得られなかった場合、デュタステリドへの変更によって改善がみられる可能性があります。
デュタステリドによるDHT低下によって、毛包のミニチュア化の進行抑制が期待されます。
毛包は、毛を包み込む皮膚組織のことです。毛を作り出し、成長させる役割を持ちます。ミニチュア化とは、その毛包がDHTの影響を受け、小さく縮むことです。ミニチュア化した毛包からは、髪の毛が十分に成長しないまま抜け落ち、細く短い毛しか生えてこなくなります。しかし、デュタステリドの作用によってDHT濃度が低下すると、毛包ミニチュア化の抑制が期待できるのです。
ミニチュア化を阻止できれば、髪の毛の成長期も延長され、太い健康的な毛が生成される可能性が高くなります。

DHTを抑制することが生え際や頭頂部の薄毛改善のポイントです。デュタステリドは5αリダクターゼのI型とII型の両方を抑制するため、より広範囲での効果が期待できるでしょう。

医薬品医療機器総合機構の「デュタステリド錠 添付文書」によると、「投与開始後12週間で改善が認められる場合もあるが、治療効果を評価するためには、通常6ヶ月間の治療が必要」と記されています。効果には個人差がありますが、一般的な経過として、3ヶ月、6ヶ月、1年というタイムラインで変化を観察していくと良いでしょう。
ここからは、デュタステリド服用後の経過観察のポイントを紹介します。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「デュタステリド錠 添付文書」
デュタステリド服用開始から約3ヶ月までの間に、一時的に毛が抜ける「初期脱毛」が起こる場合があります。初期脱毛はデュタステリド服用初期にみられる現象で、ヘアサイクルが改善する過程で発生します。ただし、初期脱毛には個人差があり、ほとんどない方や目に見えてわかる方までさまざまです。
また、3ヶ月程度で抜け毛の減少や髪質の変化などの改善がみられる方もいますが、効果発現には個人差があり、添付文書でも6ヶ月間の治療が必要とされているため、焦らずに継続することが大切です。短期的な中止判断は薄毛の改善を遠ざけてしまうため、注意しましょう。
半年以上の継続治療で改善を実感する方が多い一方、効果の現れ方には個人差があります。以下のポイントに注目して、頭皮をチェックしてみましょう。
頭皮の密度
髪の毛の太さ
まず、生え際のM字付近や頭頂部の髪の毛の密度が以前より高まっているか確認します。スマートフォンのカメラ機能などを使って定期的に同じ角度から撮影し、比較すると変化がわかりやすいでしょう。
次に、髪の毛の太さを見てください。指で触ったり、光に反射させたりして、髪の毛が健康的な太さに近づいているかどうかを確認します。
この期間でも個人差は大きく、顕著な改善がみられる方から緩やかな変化にとどまる方までいます。長期的な視点で経過を見守り、不安があれば、医師へ相談しましょう。

デュタステリドの効果を評価する期間としては、半年以降が基本です。少なくとも半年間は服薬を続け、髪の毛の様子をチェックしていきましょう。
デュタステリドは主に脱毛進行の抑制を目的とした治療薬であり、発毛促進作用はミノキシジルほど強くありません。
ここからは、デュタステリドによる単独治療とミノキシジル併用の意義を紹介します。
薄毛の初期段階では、デュタステリドのみの治療でも効果的ですが、すでに薄毛が進行している場合、髪の毛を復活させるには限界があるといえます。
デュタステリドはDHT(ジヒドロテストステロン)を抑えて抜け毛を予防することで、間接的に発毛環境を整えますが、直接的に発毛を促進する作用は限定的です。つまり、今ある髪の毛を守る治療は得意ですが、新しい髪の毛を生やす治療としては、不十分な場合があるのです。
こうした限界を理解した上で、治療目標に応じた適切な選択を行うことが大切になります。医師との相談を通じて、自分に最適な治療プランを見つけましょう。
デュタステリドとミノキシジルの併用は、生え際や頭頂部の薄毛治療において理にかなった選択といえます。これらの薬剤は異なる作用を持ち、お互いを補完し合うからです。デュタステリドがDHTを抑制して抜け毛を防ぐのに対し、ミノキシジルは毛包へ作用し、発毛促進効果が期待されています。
ミノキシジルの特徴は、血管を拡張し、毛包への血流を改善することで、髪の毛に必要な栄養素を届けることです。
ミノキシジルには、内服薬と外用薬がありますが、内服薬は厚生労働省から認可されておらず、国内ガイドラインで推奨されていません。一方、外用薬は認められており、濃度が5%以下であれば、市販薬としても販売されているのが特徴です。なお、5%以上の高濃度外用薬は、医師の処方が必要です。

デュタステリドだけの使用ではなく、ミノキシジルとの併用で改善幅が広がります。治療目標を医師へ相談の上、治療方法を検討すると良いでしょう。
デュタステリドは生え際や頭頂部の薄毛に効果的といわれていますが、なかには効果が得られないケースも存在します。AGA以外の脱毛症や進行具合によって、効果が異なるのです。
ここでは、デュタステリドが生え際や頭頂部の薄毛に効かないケースを紹介します。
デュタステリドはAGAが原因の薄毛に対応する治療薬ですが、AGA以外の脱毛症に対する有効性は確認されていません。AGA以外の脱毛症とは、円形脱毛症や脂漏性脱毛症などです。
円形脱毛症は自己免疫疾患の一種で、男性ホルモンとは無関係に発症します。また、脂漏性脱毛症も同じく男性ホルモンとは関係なく、皮脂の過剰分泌によって抜け毛が増える疾患です。原因はさまざまで、常在菌の異常繁殖による場合もあるでしょう。
デュタステリドの服用前に、抜け毛の原因が何なのかを診断することが大切です。
AGAが長期間進行すると毛包のミニチュア化が進み、治療への反応が乏しくなる場合があります。つまり、進行度が高い部分は治療を行っても、完全な回復が難しい可能性が高いのです。
AGAは進行性の脱毛症のため、「もしかして…」と気になったらすぐに専門のクリニックを受診することがおすすめです。早めの治療であれば、回復する可能性も高まります。

AGAが原因の薄毛を改善するには、進行度によって限界があります。ただし、周辺部分の毛髪維持や部分的な改善などは期待できる場合があります。まずは医師に相談してみましょう。
ここでは、デュタステリドの服用に関する疑問や不安をまとめました。よくある質問への回答を確認することで、安心して治療を進めるための知識が身につくでしょう。
デュタステリドを服用し始めてから前髪がスカスカになった気がします
デュタステリドの服用を開始してすぐに前髪や生え際、つむじ部分が薄くなったと感じる場合、それは「初期脱毛」が起きている可能性が高いといえます。
初期脱毛とは、薬の影響で休止期に入っていた毛包が一斉に活動を始め、古い髪の毛を押し出すことで一時的に抜け毛が増える現象です。
治療開始後に一時的な脱毛増加がみられることがありますが、必ずしも全員に起こるわけではありません。
初期脱毛は、個人差はあるものの、治療開始後2週間〜8週間頃に起こることが多く、3ヶ月程度で落ち着くのが一般的です。
その後に新しく太くて強い髪の毛が生えてくるため、自己判断で服用を中止しないようにしましょう。不安が強い場合は、一人で悩まずに処方を受けたクリニックの医師に相談することをおすすめします。
デュタステリドとフィナステリドは同じ効果ですか?
デュタステリドとフィナステリドは、どちらもAGAの原因となる5αリダクターゼを阻害する点で作用機序は同じです。しかし、デュタステリドのほうが高い効果を持っていると示唆されています。
医薬品医療機器総合機構の「ザガーロカプセル 添付文書」によると、臨床試験における24週間投与時の頭頂部の毛髪数変化量において、明確な差が確認されています。フィナステリド1mg群での増加数が56.5本であったのに対し、デュタステリド0.5mg群では89.6本という結果が出ています。
デュタステリド0.5mgはフィナステリド1mgと比較して、約1.58倍(≒1.6倍)の毛髪数増加効果を示しているといえるでしょう。ただし、デュタステリドでは性機能関連副作用などが報告されており、治療選択時には有効性と安全性を考慮する必要があります。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル 添付文書」
デュタステリドはM字に後退してきた生え際や頭頂部の薄毛に対して、効果が期待できる治療薬です。これは生え際や頭頂部がAGAの影響を受けやすい部位であり、デュタステリドが薄毛の原因となるDHTの生成を抑制するためです。
特に、デュタステリドはDHTのもととなる5αリダクターゼのI型とII型の両方を抑制できるため、II型のみに作用するフィナステリドよりも高い効果が示唆されています。
個人差がありますが、一般的に6ヶ月間の継続服用が必要です。髪の毛の密度や太さの変化が半年〜1年程度で確認できることが多いでしょう。
ただし、抜け毛を抑えるデュタステリド単独での治療には限界もあります。髪のボリュームを増やしたい場合、発毛を促進するミノキシジルとの併用がより効果的です。また、AGA以外の脱毛症や進行度が高い場合は、効果が限定的になることもあるため、早期の治療開始と医師への相談が大切です。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「5α還元酵素1型/2型阻害薬 男性型脱毛症治療薬 劇薬、処方箋医薬品 デュタステリド製剤」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「ザガーロカプセル0.1mg ザガーロカプセル0.5mg 製造販売承認申請書添付資料」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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