更新日:2026年03月27日
フィナステリドの作用機序を理解したうえで、AGA治療を始めたい方もいるのではないでしょうか。フィナステリドは5αリダクターゼII型を阻害し、テストステロンからDHTへの変換を抑制する薬です。本記事では、フィナステリドの作用機序と効果について解説します。フィナステリドで報告されている副作用も紹介するので、治療法を検討する際の参考にしてみてください。
フィナステリドは、5αリダクターゼII型という酵素を阻害する働きを持つ内服薬です。
男性ホルモンのテストステロンは、5αリダクターゼと結合するとジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。このDHTが、頭頂部と前頭部の毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体(レセプター)と結合すると、ヘアサイクルの成長期が短縮し、薄毛を引き起こします。
フィナステリドはDHTの変換を抑制することで、乱れたヘアサイクルを正常化し、AGAの進行を抑制します。

フィナステリドはAGAの「進行を抑制」する薬であり、発毛を直接促す薬ではありません。また、フィナステリドを服用した直後に効果を実感できるわけではないことに留意しましょう。
AGAは男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼと結合し、DHTに変換されることで発症します。

ここでは、DHTとテストステロンの違いやDHTとAGAの関係について解説します。
DHTもテストステロンも男性ホルモンの一種です。テストステロンは主に男性の精巣(睾丸)から分泌される男性ホルモンで、骨密度や筋肉量などに作用し、男性らしい体を作る役割を担っています。
DHTは、テストステロンが体内の5αリダクターゼという酵素によって変換されて生じる男性ホルモンです。 前頭部や頭頂部の毛乳頭細胞に運ばれたテストステロンは5αリダクターゼII型の働きにより、さらに活性が高いDHTに変換されて男性ホルモン受容体に結合します。 DHTが結合した男性ホルモン受容体は髭では細胞成長因子などを誘導し成長期を延長しますが、前頭部や頭頂部の毛包においては、毛母細胞の増殖が抑制されて成長期が短縮し、AGAが進行します。
テストステロンについてさらに詳しく知りたい方は、「テストステロンとは?もたらすメリットや増やすためのセルフケアを紹介」もご覧ください。

AGAの仕組みを理解すると、フィナステリドの働きも理解しやすくなるかもしれません。フィナステリドが体にどのような影響を及ぼすのか不安や疑問がある場合は、処方を受ける前に医師に相談してみてください。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」によると、フィナステリドの作用機序は5αリダクターゼII型を選択的に抑制することによりテストステロンからDHTへの変換を阻害するとされています。
この項では、フィナステリドの効果や効果を実感するまでの期間について解説します。 参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「フィナステリド」
フィナステリドを服用すると、すぐに髪が生えてくると期待している方もいるかもしれません。しかし、フィナステリドはテストステロンがDHTに変換されるのを阻害することで薄毛の進行を抑制する薬です。毛量を増やすためには、抜け毛を減らす「守りの薬」であるフィナステリドだけでなく、ミノキシジルという薬が別途必要になります。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
ただし、DHTへの変換が阻害されると乱れていたヘアサイクルが正常化され、成長期が正常な長さになることが期待されます。結果として、細くなっていた髪の毛が太く長くなり、発毛したと実感する人もいるようです。
なお、効果の現れ方には個人差がある点に留意しましょう。

フィナステリドは即効性のある薬ではありません。目に見える結果が即座に出るわけではないことに注意が必要です。また、継続服用が大切であることも認識しておきましょう。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」によると、フィナステリドは「3ヵ月の連日投与により効果が発現する場合もあるが、効果が確認できるまで通常6ヵ月の連日投与が必要である。」とされています。処方医の指示どおりに6ヵ月以上服用しても効果が実感できない場合は、自己判断で中止せず、医師に相談しましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「フィナステリド」
フィナステリドの服用を自己判断で中断したり服用量を増減させたりすると、薬の血中濃度が安定せず期待する効果が得られなくなる可能性があります。また、フィナステリドは継続的に服用することが大切なため、飲み忘れを防ぐことも大切です。
副作用への不安や治療費の負担といった理由により治療法を見直したい場合は、医師に相談しましょう。

効果を判定する時期は服用開始から6ヵ月が一つの目安です。それより前に効果がないと判断するのは時期尚早の可能性があります。効果を実感できない場合は、自己判断で中止するのではなく、まずは医師に相談することが大切です。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」によると、フィナステリドの用法・用量は「0.2mgを1日1回経口投与」とされています。また、同資料によると、「必要に応じて適宜増量できるが、1日1mgを上限とする」とされています。
早く効果を得たいからと自己判断でフィナステリドの服用量を増やすことはせず、医師の指示どおりに服用することが大切です。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「フィナステリド」
フィナステリドを飲むタイミングに指定はありません。独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」によると、フィナステリドの服用に際し食事の影響は認められなかったと報告されています。したがって、食事の有無にかかわらず、服用することが可能です。
ただし、フィナステリドは継続した服用が大切なため、飲み忘れを防ぐために服用する時間帯を決めておくのがおすすめです。たとえば、朝の歯磨き後や夜の就寝前など、日常的なルーティンとセットにすると良いでしょう。

フィナステリドの用法・用量は自己判断で変えないようにしましょう。効果を高めたいと服用量を増やすのも、副作用が心配だからと服用間隔を空けるのも避けるべきです。安全に服用するためにも、気になることがあるときは医師に相談してください。
ここでは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」で報告されているフィナステリドの副作用をまとめました。
| 発現頻度 | 生殖器の副作用 | 肝臓の副作用 | 過敏症の副作用 |
|---|---|---|---|
| 1~5%未満 | リビドー減退 | - | - |
| 1%未満 | 勃起機能不全、射精障害、精液量減少 | - | - |
| 頻度不明 | 睾丸痛、血精液症、男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等 | AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇 | そう痒症、じん麻疹、発疹、血管浮腫(口唇、舌、咽喉及び顔面腫脹を含む) |
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」
なお、同資料によると、リビドー減退や勃起機能不全、射精障害については「市販後において、投与中止後も持続した」との報告があります。また、「本剤の投与中止後に、精液の質が正常化又は改善された」との報告もあります。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」
前述のとおり、フィナステリドによる副作用の一つに、リビドー減退(性欲減退)があります。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」における「有効性及び安全性に関する試験」では、「フィナステリド投与群(0.2mg及び1mg)に認められた主な症状はリビドー減退1.1%(3/276例)」とされています。
フィナステリドは男性ホルモンに作用するため、性機能関連の副作用が発現する可能性はゼロではありません。服用中に体調の変化を感じた場合は、医療機関を受診するのが望ましいでしょう。
AGA治療における副作用について詳しく知りたい方は、「AGA治療の副作用にはどんなものがある?症状や起こる確率、対処法を解説」もご一読ください。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」

副作用の可能性は否定できませんが、臨床データをもとに頻度を把握し、対処法については医療機関でアドバイスを受けるのがおすすめです。インターネット上の個人の体験談など、根拠の不明確な情報だけを参考にするのは避けましょう。
フィナステリドは20歳未満の人や女性に適応はありません。また、妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性の服用は禁忌とされています。
ここでは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」をもとにフィナステリドの注意点をまとめました。
パートナーが妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、フィナステリドの保管等に注意が必要です。粉砕・破損した錠剤に触れると、皮膚から吸収されるリスクがあります。万が一、フィナステリドの有効成分に女性(特に妊活中や妊娠中、妊娠の可能性のある方)が触れてしまった場合は、速やかに洗い流し、医師へ相談するのが望ましいでしょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬 フィナステリド錠」

フィナステリドは、錠剤を割らずにそのまま服用してください。錠剤はコーティングされているため、粉砕・破損せず通常どおり取り扱っていれば有効成分に触れることはありません。パートナーが妊娠中または妊娠の可能性がある場合、取り扱いに特に注意が必要です。
フィナステリドの服用を開始してから性欲減退や勃起機能不全など体の変化を感じた場合は、医療機関を受診することが大切です。症状が強い場合や生活に支障がある場合には、用量の調整や服用方法の変更、別の薬への切り替えなどを検討する可能性があります。
また、フィナステリドの服用開始から6ヵ月が経過したら、効果判定のために受診することをおすすめします。用法・用量を守ったうえで6ヵ月以上服用しても効果が実感できない場合は、治療法の見直しを検討する可能性があります。
また、AGA以外の疾患の治療で新たな薬を処方されたり、妊活を検討し始めたりした場合は、フィナステリドの処方医に伝えましょう。

AGA治療は長期的な継続が大切なため、何か不安があれば処方医に相談しましょう。副作用や体調の変化が気になる場合も、自己判断で服用を中断せず、医師に相談することが大切です。また、効果の判定は通常6ヵ月が目安となるため、焦らず継続することがポイントです。
フィナステリドは、5αリダクターゼII型を選択的に阻害してテストステロンからDHTへの変換を抑制する内服薬です。この作用機序により、乱れたヘアサイクルが正常化されることでAGAの進行抑制を図れます。フィナステリドは、発毛を直接的に促す薬ではない点に留意しましょう。
また、フィナステリドは女性や20歳未満の人への適応がなく、粉砕・破損した錠剤に妊婦が触れると男子胎児の発育に影響を及ぼす恐れがあるため、取り扱いには注意が必要です。作用機序を理解し、適切な用法・用量を守ることで、安全にAGA治療を進められるでしょう。