更新日:2024年01月11日
つむじハゲの基準と原因とは?セルフケアから治療まで解説
- つむじハゲとは、頭頂部の毛が薄くなっている状態のこと
- つむじハゲの見分け方には、頭頂部の頭皮が透けて見えるや頭皮が赤っぽい、毛が細いなどがある
- つむじハゲの原因は、AGAである可能性が高い
- つむじハゲの対策を確実に行うには、AGAクリニックでの治療がおすすめ
「つむじ周りの地肌が透けて見える」「トップの髪のボリュームが減ってきた」など、つむじハゲ(頭頂部の薄毛)に悩む男性は多いのではないでしょうか。つむじハゲの原因はAGAという進行性の脱毛症であることが多いとされています。この記事では、つむじハゲの基準や原因、対策について紹介しています。つむじハゲを改善したいと悩んでいる人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
つむじハゲとは
まずは、つむじはげの特徴と見分け方について解説します。
つむじハゲの特徴
つむじハゲは、頭頂部の毛髪が薄くなっている状態や、つむじを中心として頭皮が透けて見えている状態を指します。頭頂部は自分ではなかなか見にくいため、気づいたときには薄毛が進行しているということが多いです。
つむじハゲは日本人男性に多い薄毛のパターンで、20代や30代の若い世代でも悩んでいる方はいます。
つむじハゲの見分け方
つむじハゲに明確な基準はありませんが、つむじハゲと判断できるポイントはいくつかあるので、それぞれについて解説していきます。実際に自分のつむじを見るには、鏡を使って明るい場所で自身の頭頂部を観察すると良いでしょう。うまく見えない場合には、スマホなどで頭頂部の写真を撮り観察するのもおすすめです。
つむじ周りの頭皮が透けて見える
つむじ周りの頭皮・地肌が他の部分と比べて透けて見えている場合、つむじハゲが起こっている可能性があります。つむじの中心は通常時も毛が少ないため、中心のみ透けて見えるのは正常ですが、つむじ周りの広範囲に渡って頭皮が透けて見える状態である場合は、注意が必要です。
つむじ周りの頭皮が赤っぽい
正常な頭皮は、白色もしくは青白い色をしていますが、薄毛が進行したつむじ周りの頭皮は赤色や茶色に変化していることがあります。これは、頭皮の乾燥や紫外線による刺激、また血行不良によるうっ血などが原因として考えられており、明らかに正常な頭皮環境ではないことを示しています。頭皮環境の悪化は抜け毛や薄毛を引き起こし、つむじハゲに繋がるため注意が必要です。
つむじ周りの毛が細い
つむじハゲでは、つむじ周りの毛髪がほかの箇所に比べて細かったり短かったりすることがあります。つむじハゲが起こっている場合、ヘアサイクルが乱れて毛髪が十分に育ちきらないまま生え変わります。つむじ周りの毛を1本抜いてみて、他の箇所の毛髪と比べたときに、毛質が違っていたら要注意です。
毛の流れがわかりにくい
正常なつむじは、髪の毛がうずまきのように生え、一目で毛流れが右回りか左回りかわかります。つむじハゲが起きている場合、毛髪が減ったり細くなったりするため、毛の流れがはっきりしなくなります。つむじの毛流れがはっきりせず、ぼんやりしているつむじは、つむじハゲの可能性が高いです。
つむじハゲの原因はAGA
つむじハゲには、AGA(男性型脱毛症)という疾患が関係しています。ここからは、AGAについて詳しく紹介していきます。
AGAとは
AGAは「Androgenetic Alopecia」の略称で、男性型脱毛症と呼ばれる進行性の脱毛症のこと。少しずつ抜け毛・薄毛が進行し、前頭部(生え際)や頭頂部の毛髪が薄くなっていくのが特徴です。日本では、約1,200万人もの多くの男性が抜け毛・薄毛に悩んでおり、そのほとんどがAGAを原因としたものだと言われています。
AGAの多くは成人以降の男性に発症し、発症頻度は、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代以降で約40%と、年齢とともに高くなることも報告されています。
発症にはさまざまな要因が関連していますが、遺伝や男性ホルモンの影響が大きいと言われており、発症してしまうと徐々に薄毛が進行してしまうので、早めの対策が大切です。
参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
AGA発症のメカニズム
AGAの発症には主に、体内のホルモンが関係しています。
体内にある男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結合すると、ジヒドロテストステロンに変化します。ジヒドロテストステロンが頭頂部や生え際付近のアンドロゲンレセプター(受容体)に結合すると、脱毛因子であるTGF-βが生成されます。脱毛因子TGF-βは、毛髪の成長期を短縮させる作用があるため、毛髪が十分に育たず抜け毛・薄毛を引き起こすのです。
通常のヘアサイクル(毛周期)では、毛髪は生え始めてから2〜6年の成長期を経て退行期へ移行し、脱毛するというサイクルをたどります。その後、3〜4ヶ月の休止期を経てまた新たな毛髪が生えてきます。
AGAを発症すると、TGF-βの作用が高まることで、毛髪の成長期が数ヶ月〜1年と短くなり、退行期に移行するようになります。ヘアサイクルに異常をきたし、毛髪が十分に育たないまま脱毛が起きてしまうため、抜け毛・薄毛が進行してしまうのです。
AGAの発症原因
AGAの発症原因には、遺伝が強く関わっています。ジヒドロテストステロンの生成要因である5αリダクターゼの活性度は、遺伝によって受け継がれると言われているため、家族や親族に薄毛の方がいる場合、発症リスクは高いと言えるでしょう。
また、頭皮環境の悪化も原因として挙げられています。頭皮の血行が悪かったり、皮脂・汚れの詰まりがあったりすると、ヘアサイクルが乱れ毛髪が十分に育ちません。
5αリダクターゼついて詳しく知りたい方は、「5αリダクターゼとは?AGAとの関わりや抑制する方法について解説」も参考にしてみてください。
つむじハゲの対策
つむじハゲは、気づいたら進行していることも多いので早めの対策が大切です。ここでは、つむじハゲの対策について、すぐにできるセルフケアからクリニックでの治療まで詳しく紹介します。
セルフケアでの対策
まずは、セルフケアでの対策について解説します。
生活習慣の改善
食事・睡眠・喫煙といった生活習慣の改善は、つむじハゲ対策に有効です。
髪の毛の主成分であるタンパク質は、食事から摂取する栄養を元に作られるため、乱れた食生活の人は健やかな髪の毛の成長を阻害している可能性があります。良質なタンパク質を摂り、3食バランスよく食べることが大切です。タンパク質を摂取するには、毛髪の元になるシスチンを多く含む食品を食べるのがおすすめです。シスチンを多く含む食品の代表的なものは、肉類(特にレバー)、イワシやさけといった魚類、卵や乳製品などがあります。
食事の際は、髪の毛のタンパク質の合成を助ける亜鉛やビタミンBも一緒に摂るとより効果的です。これらの栄養素は、サプリメントで補うこともできます。
また、睡眠不足は、頭皮の血行不良を引き起こし薄毛を進行させることがあります。髪の毛の成長に欠かせない成長ホルモンは、就寝中に最も分泌されることもあり、十分な睡眠は健やかな毛髪の維持に欠かせません。
ストレスケア
過度なストレスは、毛細血管を収縮させ頭皮の血行不良を引き起こします。血行不良が起こると、毛髪の成長に欠かせない酸素や栄養素が行き届かずに抜け毛・薄毛を進行させてしまうことがあります。
ストレスがかかっていると感じるときには、意識して休息をとったりストレス発散をしたりするように心がけましょう。
ヘアケアの見直し
誤ったヘアケアは、つむじハゲを悪化させることがあります。特に整髪料やカラー剤の使用は、頭皮に負担がかかり頭皮環境を悪化させます。
また、過度な力でシャンプーを行うと、頭皮に刺激が与えられ頭皮環境の悪化に繋がり、抜け毛や薄毛の原因となります。シャンプーは、刺激が少なく、かつ洗浄力のあるアミノ酸系シャンプーがおすすめです。紫外線も物理的な刺激の1つなので、つむじハゲで頭皮が見えている場合は、帽子を被ったり日陰を歩いたりするなどの対策も心がけてください。
育毛剤の使用
つむじハゲの予防や軽度のつむじハゲには、育毛剤でのケアが有効です。育毛剤を使用することで、頭皮環境を整え、毛髪が成長しやすくなる効果が得られます。ただ、ドラッグストアなどで販売されている育毛剤では、脱毛が過度に進行している箇所に強い新たな毛髪が生えてくるような発毛効果はあまり期待できません。つむじハゲがこれ以上悪化しないように、予防目的で使用する分には効果が期待できるでしょう。
髪型の工夫
つむじハゲの根本的な対策ではありませんが、髪型を変えることでつむじハゲを目立たなくすることができます。
例えば、前髪をかきあげるオールバックスタイルにすると、頭頂部の薄毛を前髪で隠すことができます。また、ショートモヒカンやソフトモヒカンといった両サイドを短くカットし頭頂部にボリュームを持たせる髪型は、整髪料で髪の毛を立たせるとよりつむじハゲを隠すことができます。美容師に、つむじハゲが目立たない髪型を相談してみましょう。
AGAクリニックでの対策
AGAが原因のつむじハゲは、専門のクリニックで治療することができます。ここでは、クリニックで行われている治療について詳しく紹介します。
内服薬治療
AGA治療の中で最も一般的な治療が、内服薬治療です。厚生労働省の承認を得ているフィナステリドやデュタステリドといった医薬品を使用し、ジヒドロテストステロンの生成を抑え、AGAの進行を抑制することができます。そのほかにも、クリニックによっては、海外で使われている医薬品を輸入して処方しているケースもあります。個人差はありますが、3〜6ヵ月程度で効果を実感する方が多いようです。
内服薬の注意点としては、外用薬に比べて副作用が発現しやすい傾向があることが挙げられます。また、内服薬で認められている主な副作用として、勃起不全や性欲減退などがあるので、服用する場合は、副作用について医師に十分確認することが大切です。
外用薬治療
AGAの外用薬による治療には、ミノキシジルという発毛・育毛成分が配合された薬剤が主に使われます。ミノキシジルは、毛乳頭細胞に作用し、毛母細胞を活性化させることで発毛効果を発揮します。AGAクリニックでは、ドラッグストアなどで販売されているミノキシジルよりも濃度が濃いものが処方されるので、より高い効果を期待することができます。こちらも、個人差はありますが、3〜6ヵ月で効果を実感する方が多いようです。
外用薬治療では稀に、かゆみやかぶれの副作用が起こることがあります。副作用が起きた場合には使用を一時中断し、担当医師に相談しましょう。
自毛植毛
自毛植毛は、自身の後頭部などの健康に生えている毛髪周辺の皮膚組織ごと採取し、薄毛の箇所へ植え替える治療法です。自身の組織を植え替えるため拒絶反応などのリスクが少なく、植え替えた先で将来にわたり毛髪が生え続けることが期待できます。
AGA治療の中では最も高額な治療になりますが、概ね4〜6ヵ月程度で植え替えた先で発毛がみられます。
ガイドラインによると、自家植毛の定着率は80%以上と高く、内服薬や外用薬で効果が見られない場合には、十分な経験と技術を有する医師のもとで治療することとしています。
参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
LED・低出力レーザー治療
LEDや低出力レーザーといった特殊な光線を照射する治療方法があります。臨床試験において、発毛効果の有用性が証明されており、非侵襲性なため副作用が軽微であることが特徴です。LED・低出力レーザーは発毛効果は認められているものの、AGAの進行を抑制する効果はありません。
効果実感は少し遅めで、6ヶ月以降に効果を実感する人が多いようです。
注射薬による治療(メソセラピー)
メソセラピーとは、頭皮に極細の注射針で薬剤を注入する治療です。外用薬としても使われる発毛成分のミノキシジルや毛髪の成長を促す成長因子、またはそれらを組み合わせ薬剤として使用します。
頭皮の細胞に直接薬剤を届けられるので、内服薬や外用薬よりも早期に効果を実感できる人が多い一方で、臨床試験がまだ不十分なこと、安全性の懸念もあることからガイドラインの推奨度はC2で推奨されていません。
ただし、内服薬外用薬が副作用などにより使用できない場合には、メソセラピーが治療の選択肢となることもあります。
メソセラピーについては、「メソセラピーとは?効果や料金、副作用などについて詳しく解説」でも詳しく解説しています。
参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
まとめ
つむじハゲの基準や原因となるAGAについて紹介しました。つむじハゲは頭頂部の薄毛であるため、自分では気づきにくいこともあります。また、薄毛はデリケートな症状でもあるため他人から指摘を受けることも少なく、気がついた時にはすでに進行していることもあります。つむじハゲ・薄毛が気になり始めたら定期的にセルフチェックを行い、進行が早い場合には、専門医への相談がおすすめです。治療を行うことで症状の改善が期待できます。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会