更新日:2026年08月19日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
AGA治療で「注射(注入治療)」という選択肢を見つけ、内服薬や外用薬だけで足りるのか気になっている方もいるかもしれません。注射には複数の種類があり、効果や費用、ガイドライン上の位置づけはそれぞれ異なります。この記事では、メソセラピー・HARG療法・PRP治療の効果や費用相場、副作用を紹介します。注射より先に検討するべき標準治療も説明するので、治療法を選ぶ参考にしてください。
AGA治療の注射とは、有効成分を頭皮に直接注入する「注入治療」のことで、代表的な方法として、メソセラピー・HARG療法・PRP治療の3つがあります。内服薬や外用薬と組み合わせる補助的な治療として扱われる場面が多い方法です。ここでは、注入治療の仕組みと、内服薬・外用薬との違いを説明します。
AGAの注入治療は、発毛をサポートする成分を注射器などで頭皮に直接届ける方法です。なぜこの方法が用いられるかというと、毛根がある頭皮の深い層へ成分をダイレクトに送り込むことを目的としているからです。
注入する成分はクリニックによって異なり、成長因子やビタミン、ミノキシジルなどが用いられます。注射器のほか、極細の針が複数並んだ専用機器を使って広い範囲に注入する方法もあります。注入治療は単独で完結する治療ではなく、内服薬や外用薬を補う位置づけで提案されるのが一般的です。
内服薬・外用薬と注入治療の違いは、成分の届け方です。内服薬は体の中から作用し、外用薬は頭皮の表面から浸透させますが、注入治療は頭皮に直接成分を入れる点が異なります。
一方で、AGA治療の柱となるのは内服薬と外用薬です。注入治療はこれらを補う形で組み合わされることが多く、注入治療だけを単独で行うケースは少ないとされています。
| AGA治療法 | 主な役割 |
|---|---|
| 内服薬 | 抜け毛を抑える、発毛を促す(治療の土台) |
| 外用薬 | 発毛を促す(治療の土台) |
| 注入治療 | 成長因子などを頭皮へ注入し、標準治療の補助的な効果を期待する |
このように、注入治療は土台となる治療があったうえで検討する選択肢といえます。
AGA治療の注射には、主にメソセラピー・HARG療法・PRP治療の3種類があります。注入する成分や仕組みがそれぞれ異なるため、検討する際は違いを理解しておくことが大切です。ここでは、3つの治療の特徴を順に説明します。
メソセラピーは、成長因子やミノキシジル、ビタミンなどを頭皮に注入する治療です。なぜ複数の成分が使われるかというと、注入する薬液はクリニックが独自に配合したものが多く、内容が施設によって異なるからです。
たとえば、発毛を促す目的でミノキシジルを含めたり、成長因子を組み合わせたりします。配合に決まった基準がないため、同じメソセラピーでも成分や濃度はクリニックごとに違う点を理解しておきましょう。
HARG療法は、幹細胞から抽出した成長因子を中心とした薬液を頭皮に注入する治療です。メソセラピーと異なるのは、使用する薬液の基準が定められている点です。
HARG療法では、日本医療毛髪再生研究会が定めるカクテルを使うとされており、どのクリニックで受けても配合成分が共通するのが特徴とされています。成分が標準化されている分、施設による中身の差が出にくい治療といえます。
PRP治療は、患者自身の血液から抽出した血小板を多く含む成分(多血小板血漿)を、頭皮に注入する薄毛治療です。血小板に含まれる成長因子の働きを利用し、発毛をサポートする目的で行われます。
治療の流れとしては、採血を行い、血液から成分を抽出・濃縮してから頭皮に注入します。採血が必要になる点が、ほかの注入治療との違いです。
AGA治療の注射(注入治療)は、診療ガイドラインで標準治療として推奨されている方法ではありません。ここでは、注入治療の推奨度と、優先される標準治療について説明します。
成長因子導入および細胞移植療法は、日本皮膚科学会の診療ガイドラインで推奨度C2とされています。C2は「行わない方が良い」という評価にあたります。つまり、現時点では積極的に推奨される治療には位置づけられていません。
広告では発毛効果が強調される場合もありますが、ガイドライン上は推奨されていない治療である点を理解したうえで、検討する必要があります。
AGA治療では、注射治療より先に検討すべき標準治療があります。ガイドラインで高い推奨度が示されているのは、フィナステリドやデュタステリドの内服薬、ミノキシジルといった薬剤治療のためです。
注射治療を検討する場合も、まずはこれらの標準治療を土台に据えることが一般的です。注射治療は、標準治療を行ったうえで、補助的に組み合わせる選択肢として考えると良いでしょう。
AGA治療の注射に期待される効果は、頭皮環境を整えたり発毛をサポートしたりすることです。ただし、効果には個人差があり、実感までには一定の期間がかかるとされています。ここでは、効果を実感するまでの目安と、内服薬・外用薬との併用が前提とされる理由を説明します。
AGA治療の注射(注入治療)で効果を実感するまでの期間は、治療開始後数ヶ月~6ヶ月程度が目安とされています。なぜすぐに実感しにくいかというと、髪には成長期・退行期・休止期というヘアサイクル(毛周期)があり、髪が育つには時間がかかるからです。
短期間で結果を求めるのではなく、継続を前提に考える必要があります。なお、注入する成分や施行回数、併用する内服薬・外用薬の有無、AGAの進行度などによって効果の感じ方には個人差があり、必ず効果が出ると保証されるものではありません。
AGA治療の注射(注入治療)は、内服薬・外用薬との併用が前提とされることが一般的です。なぜなら、AGAの進行を抑えるフィナステリドやデュタステリド、発毛を促すミノキシジルが治療の土台となり、注入治療はそれを補う位置づけだからです。
たとえば、内服薬で抜け毛の進行を抑えながら、注入治療で発毛のサポートを狙うといった組み合わせが想定されます。注入治療だけで治療を完結させることは想定されにくく、土台となる薬剤治療とセットで考える治療といえるでしょう。
AGA治療の注射では、施術部位を中心に副作用が起こる場合があります。また、使用される薬剤や機器の承認状況も確認しておくことが大切です。
AGA治療の注射(注入治療)では頭皮に直接針を刺すため、注入部位のかゆみや赤み、痛み、内出血などが生じることがあります。
また、注入する成分によっては、頭皮以外の症状が現れる可能性もあります。これらはほかの医療行為でも起こりうるものですが、施術前に医師から副作用やリスクの説明を受け、納得したうえで判断することが大切です。
AGA治療の注射(注入治療)では、国内で承認されていない薬剤や機器が使われる場合があります。注意が必要な理由は、国内未承認の医薬品等による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度の対象外となるからです。
医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず生じた重い副作用に対して救済給付を行う仕組みですが、対象となるのは厚生労働大臣の許可を受けた医薬品等に限られます。AGA治療の注射(注入治療)を検討する際は、使用される薬剤や機器が国内で承認されたものか、未承認の場合は入手経路や諸外国での安全性情報を医師に確認しましょう。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「Q3 救済の対象となる健康被害とはどのようなものですか。」
AGA治療の注射は、内服薬や外用薬と比べて費用が高くなる傾向があります。種類によって相場が異なり、複数回の継続が前提となる点も押さえておきましょう。ここでは、種類別の費用相場と、継続が必要となる理由を説明します。
AGA治療の注射(注入治療)の費用相場は、種類によって幅があります。一般的な目安を整理すると、次のとおりです。
| 治療の種類 | 1回あたりの費用相場 |
|---|---|
| メソセラピー | 約2万円~5万円 |
| HARG療法 | 約10万円~20万円 |
| PRP治療 | 施設により大きく異なる |
なお、これらは自由診療のため全額自己負担となり、クリニックによって料金設定は大きく異なります。費用は施設ごとに差が大きいため、検討する際は1回あたりの金額だけでなく、必要回数・総額も含めた見積もりを事前に確認することが大切です。
AGA治療の注射(注入治療)は、1回で完結せず複数回の継続が前提とされます。先述のとおり、髪の成長にはヘアサイクルに沿った時間が必要で、1回の施術だけで効果を判断するのは難しいからです。
クリニックでは、月1回程度の施術を数回から十数回続ける方法が案内されることが一般的です。そのため、1回あたりの費用に施術回数をかけた総額で考える必要があります。先ほど述べた1回あたりの相場をもとに計算すると、総額は高額になりやすい治療だといえるでしょう。
AGA治療では、注射より先に検討したい標準治療があります。ガイドラインで根拠が示されている内服薬・外用薬は、治療の土台となる選択肢です。ここでは、抜け毛を抑える内服薬、発毛を促す外用薬、そして手軽に始められるオンライン診療について説明します。

AGAの主な内服薬は、抜け毛を抑える働きを持つフィナステリドとデュタステリドです。AGAは、男性ホルモンのテストステロンが、頭皮の5αリダクターゼによってDHT(ジヒドロテストステロン)へと変換され、このDHTが抜け毛を引き起こすことで進行します。
フィナステリドは5αリダクターゼll型を、デュタステリドはl型とll型の両方を阻害することで、抜け毛の進行を抑える働きが期待されます。AGAは進行するため、まず抜け毛を抑えることが治療において大切です。

ミノキシジルは、発毛を促す働きが期待される外用薬です。現在に至るまで完全には作用機序が解明されていないものの、以下の作用があると考えられています。
ミノキシジルは、頭皮の血管を広げて血行を促し、毛根に栄養が届きやすい状態をサポートするとされています。抜け毛を抑える内服薬と、発毛を促すミノキシジルを組み合わせることで、発毛と維持の両面からAGAにアプローチできます。
また、市販の発毛剤は濃度が5%以下に限られますが、医師の診察を受ければ、国内未承認である5%を超える高濃度のミノキシジル外用薬について相談することも可能です。ただし、濃度が高ければ必ずしも効果が上がるとは限らないため、まずは医師の診断を受けることが大切です。
ここでは、AGA治療の注射に関するよくある質問をまとめました。Q&A形式で回答するので、ぜひご覧ください。
AGA治療の注射は痛いですか?
頭皮に針を刺すため、痛みを感じる場合があります。クリニックによっては、極細の針を備えた専用機器や麻酔を用いて痛みを抑える工夫をしているところもあります。痛みが不安な場合は、施術前に医師へ相談しましょう。
注射だけでAGAは改善しますか?
注入治療は単独で行うより、内服薬・外用薬と併用するのが一般的です。ガイドラインで根拠が示されているのは内服薬・外用薬による標準治療のため、まずはそちらを土台に据えることが推奨されます。
注入治療は保険が使えますか?
AGA治療は自由診療にあたるため、注入治療を含め保険は適用されず全額自己負担です。費用はクリニックによって異なるため、事前に確認しておきましょう。
AGA治療の注射(注入治療)は、有効成分を頭皮に直接注入する方法で、メソセラピー・HARG療法・PRP治療といった種類があります。発毛のサポートが期待される一方で、成長因子導入および細胞移植療法はガイドラインで推奨度C2とされ、標準治療には位置づけられていません。
1回あたりの費用が高額になりやすく、複数回の継続が前提となります。注射治療を検討する場合も、まずは内服薬・外用薬といった標準治療を土台に据えるのがおすすめです。
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独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「Q3 救済の対象となる健康被害とはどのようなものですか。」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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