更新日:2026年06月19日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「秋になって抜け毛が増えた気がする」と心配されている方もいるかもしれません。ある論文では、秋になると抜け毛の量が増えるという結果が報告されています。秋の抜け毛には、夏の紫外線ダメージや季節の変わり目による気温差などの原因が考えられます。季節が変わっても改善しない場合は、脱毛症の可能性を考えて専門のクリニックを受診しましょう。 本記事では、秋の抜け毛の原因やセルフケアを解説します。
秋になって抜け毛が増えた気がすると感じる人は、まず正常な抜け毛の量と自身の抜け毛の量を比較してみましょう。
正常な抜け毛の量の目安は、1日50〜100本程度といわれています。日本毛髪科学協会の「毛髪に関する数字」にある28歳女性の1日の抜け毛の量の調査結果でも「ほぼ40〜70本の範囲で、算出値と合致」したと報告されています。
抜け毛の量を確認する際は、朝起きたときの枕元や入浴後の排水溝を見て、いつもとどの程度変化があるかをチェックしましょう。
参考:公益社団法人日本毛髪科学協会「毛髪を知る」
秋は抜け毛が増えやすい傾向があるといわれています。個人差はありますが、National Library of Medicineの「Seasonal changes in human hair growth」によると、健康な白人男性14人を対象とした調査では8月から9月頃の抜け毛の量が冬の約2倍になったと報告されています。
ここでは、秋に抜け毛が増える原因として考えられる5つを解説します。
参考:National Library of Medicine「Seasonal changes in human hair growth」
夏の強い紫外線が髪や頭皮に大きなダメージを与え、髪質の低下を招いている可能性があります。日本毛髪科学協会の「髪への紫外線対策してますか?」によると、紫外線は「キューティクルの剥離」「毛髪内部の空洞化」「毛髪の変色」「毛髪強度の低下」の原因になるといわれています。
夏に受けた紫外線ダメージが頭皮や毛髪へ影響し、髪のパサつきや切れ毛、頭皮環境悪化の一因となる可能性があります。紫外線は1年を通して降り注いでいますが、夏は特にいつも以上の対策が求められます。頭皮や髪を守るために、帽子や日傘などの紫外線対策を心掛けましょう。
参考:公益社団法人日本毛髪科学協会「髪への紫外線対策してますか?」
夏から秋にかけての気温変化によるストレスや睡眠の質低下が、頭皮環境に影響を与える可能性があります。
夏から秋にかける気温の変化で、体温調節の役割がある自律神経が乱れやすくなります。自律神経が乱れると、血行不良や皮脂の過剰分泌を引き起こす場合があり、頭皮環境の悪化につながりかねません。
また、自律神経の乱れにより睡眠不足へとつながると、成長ホルモンの分泌を妨げる可能性があります。睡眠中には身体の修復に関わるホルモン分泌が促され、頭皮環境維持にも関与すると考えられています。自律神経が整うよう生活習慣に気をつけて、良質な睡眠をとることが大切です。
空気の乾燥による頭皮の乾燥で、頭皮環境が悪化する恐れがあります。秋は夏に比べて、空気が乾燥し始める季節です。
頭皮が乾燥すると、皮膚のバリア機能が低下し、フケの増加や炎症反応が起こりやすくなります。乾燥によるかゆみや炎症が続くことで、頭皮環境悪化につながる場合があります
夏の疲労の蓄積と秋の寒暖差によって、食欲が低下した場合、栄養が不足し、髪の成長に影響を与えることがあります。夏は外と室内での激しい気温差により、疲労が溜まりやすい季節です。疲れがとれないまま、秋の寒暖差がやってきた場合、さらに体の負担となるでしょう。
夏バテや秋バテで、食欲が低下する人もいます。髪の成長に必要な栄養素が不足していると、髪質低下につながりかねません。また、夏バテで栄養不足になった影響が秋に遅れてやってくる可能性も否定できないため、夏バテしても最低限の栄養素を摂取するように注意が必要です。
環境の変化からくるストレスが体の負担となり、抜け毛の原因へと発展することがあります。秋は春に次いで人事異動などの環境の変化が発生しやすく、ストレスが生じやすい季節です。
過度なストレスは、自律神経の乱れや睡眠の質低下につながります。自律神経は血行不良、睡眠不足は成長ホルモンの分泌を妨げる可能性があり、結果として抜け毛が生じることがあります。また、強いストレスが続くことで、ヘアサイクルへ影響を与える可能性があります
抜け毛の原因が秋という季節による一時的な症状の場合は、セルフケアで改善する可能性があります。ただし、抜け毛の原因が脱毛症などの疾患の場合は、セルフケアでの改善が困難です。なかでも、AGAは進行性の脱毛症であり、セルフケアのみでの改善は難しいとされています。
抜け毛の原因によって、改善方法が異なる点を理解しておきましょう。ここでは、季節が原因で抜け毛が生じた場合に、髪の健康をサポートするためのセルフケアを5つ紹介します。
なお、セルフケアを正しく行っても抜け毛が落ち着かない場合は、必ず医師へ相談してください。
髪の成長のためには、正しいヘアケアで頭皮環境を整えることが大切です。たとえば、正しいシャンプーで頭皮を清潔に保つことです。正しいシャンプーの方法は以下画像を参考にしてください。
まず、入浴前にクシで髪をとかし、頭皮の汚れを浮かせます。次に、お湯で予洗いし、泡立てたシャンプーで頭皮を優しく洗いましょう。指の腹で頭皮を傷つけないように、もみ洗いすることがポイントです。洗い終わったら、泡が残らないようによくすすぎ、ドライヤーでしっかりと乾かして完了です。
シャンプーの頻度は1日1回を目安としてください。1日に何度も洗髪すると、頭皮が乾燥する可能性があるため、注意しましょう。
適度な休息は、成長ホルモンの分泌や自律神経を整えることにつながり、髪の健康を間接的に支えます。成長ホルモンは、就寝してすぐの深い睡眠時に最も多く分泌されます。睡眠の質が低下していると、成長ホルモンの分泌を妨げかねません。良質な睡眠のために、まずは適度な睡眠時間を確保しましょう。厚生労働省「知っているようで知らない睡眠のこと」によると、働く世代では6時間以上の睡眠時間の確保が推奨されています。6時間以上の睡眠時間が確保できるよう生活を見直しましょう。
また、入浴で全身をリラックスさせて、副交感神経を優位にさせることも大切です。38〜40度のぬるま湯に20分程度入浴すると、全身がほどよく温まり、血行促進が期待できます。これら休息の結果、間接的に頭皮環境に良い影響をもたらすことがあります。
参考:厚生労働省「睡眠」
秋や冬の乾燥から頭皮を守るために、部屋の加湿を行うことが大切です。地域によりますが、秋は夏と比較して湿度が10%以上低下することもあり、空気の乾燥が原因で肌や頭皮が乾燥する場合があります。頭皮の乾燥は、皮膚のバリア機能を低下させることがあるため、注意が必要です。
乾燥を防ぐために、加湿器を使用したり、濡れた洗濯物を部屋干ししたりして、部屋の湿度を適切に保ちましょう。なお、適度な湿度は50〜60%程度といわれています。
栄養不足により抜け毛が発生した場合は、食生活を整えることで抜け毛が落ち着く可能性があります。特に、髪に良いとされている栄養素はタンパク質や亜鉛、ビタミン類、鉄分です。以下の画像で、役割や摂取できる食材をまとめました。
タンパク質は髪の主成分であるケラチンの材料です。また、亜鉛はケラチンの合成を助ける働きがあります。ビタミン類は、頭皮環境を整えることに役立ち、鉄は酸素運搬に関わる栄養素で、不足すると毛髪成長へ影響する場合があります。
これらの栄養素はサプリメントでも摂取できます。しかし、サプリメントだと簡単に摂取できることで、無意識に摂り過ぎてしまう可能性があるため、食材での摂取がおすすめです。偏った食材ばかり摂取するのではなく、バランス良く摂ることが大切です。
ストレスが原因で抜け毛が発生した場合は、ストレスの軽減で抜け毛が落ち着く可能性があります。ストレスの発散方法の例としては、歌を歌う、適度な運動をする、感動する映画を観るなどです。
仕事などでなかなか時間がとれない場合は、深呼吸するだけでも副交感神経が優位になり、リラックスできるといわれています。厚生労働省「腹式呼吸をくりかえす」で紹介されている深呼吸では、椅子に腰掛けてお腹に手を当ててゆっくりと腹式呼吸を行います。空気を吐くことと吸うことをゆっくり3秒ずつ行い、5〜10分間繰り返しましょう。
季節が変わっても抜け毛が減らないときは、脱毛症の可能性があるため、クリニックの受診がおすすめです。考えられる脱毛症として、円形脱毛症や脂漏性皮膚炎による脱毛症、粃糠(ひこう)性脱毛症などがあります。それぞれの症状を以下の表にまとめました。
| 疾患名 | 症状 |
|---|---|
| 円形脱毛症 | 円形または楕円形の抜け毛が発生する |
| 脂漏性皮膚炎による脱毛症 | 脂っぽいフケや赤み、かゆみにより抜け毛が発生することがある |
| 粃糠性脱毛症 | 乾燥したフケや頭皮の乾燥、かゆみに加えて、抜け毛が発生する |
また、男性の場合はAGAの可能性も考えられます。自身の症状がAGAに当てはまっていないか、以下のセルフチェックシートで確認してみましょう。

チェックシートに当てはまる項目が多い方は、AGAの可能性があります。AGAは進行性の疾患であり、放置すると薄毛が進む恐れがあります。自然治癒することもないため、早期発見と早期治療が望まれるでしょう。

AGAによる抜け毛は細く弱い毛が多いのが特徴です。抜け毛の量も大切ですが、抜け毛の質を確認することで、原因の判断材料になります。ただし、自己判断は禁物です。抜け毛が改善しないと不安に思う場合は、必ず医師へ相談しましょう。
秋の一時的な抜け毛の原因は、紫外線のダメージや気温の変化、夏バテによる食生活の乱れ、環境変化によるストレスなどが考えられます。
季節性の抜け毛であれば、正しいヘアケアや適度な休息、栄養バランスの整った食生活などのセルフケアを継続することで、落ち着くこともあるでしょう。しかし、抜け毛が長期間改善しない場合は、AGAなどの脱毛症が隠れている可能性があります。
自身の髪の状態を冷静に観察し、不安が続くようであれば、専門のクリニックを受診しましょう。
公益社団法人日本毛髪科学協会「毛髪を知る」
National Library of Medicine「Seasonal changes in human hair growth」
公益社団法人日本毛髪科学協会「髪への紫外線対策してますか?」
厚生労働省「睡眠」
厚生労働省「こころもメンテしよう」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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仕事中や就寝前に簡単に行えるため、手軽なストレス発散方法としておすすめです。
参考:厚生労働省「こころもメンテしよう」