更新日:2026年07月13日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「AGA治療薬を飲むと性欲が落ちるかも」と心配な方もいるかもしれません。AGA治療薬であるフィナステリドとデュタステリドは男性ホルモンに関わるため、副作用として性欲減退が起こる可能性があります。しかし、症状が起こる割合は数%程度とされています。副作用に関して不安がある場合、まずは医師に相談しましょう。
AGA治療薬で性欲が落ちる可能性はありますが、頻度は数%程度です。AGA治療薬は、性機能に影響する可能性があるものと、そうでないものに分かれます。AGAは、男性ホルモンの一種であるテストステロンが頭皮の5αリダクターゼという酵素の作用で、DHT(ジヒドロテストステロン)へと変換されて発症するのが特徴です。DHTが毛包のアンドロゲン受容体に作用することで、毛髪の成長期が短縮され、ヘアサイクルが乱れることがAGAの主な発症機序です。
AGA治療薬であるフィナステリド・デュタステリドは、DHTが作られる過程を抑えることで抜け毛を防ぐ仕組みです。

性欲が落ちる可能性があるAGA治療薬は、フィナステリドとデュタステリドです。フィナステリド・デュタステリドはどちらも5αリダクターゼの働きを抑える薬で、DHTの生成を抑制して抜け毛の進行を防ぎます。

フィナステリド・デュタステリドは男性ホルモンに関わる経路に作用するため、性欲の低下や勃起機能への影響が懸念されます。ただし、後ほど詳しく紹介するとおり、実際にこうした症状が起こる割合は数%程度です。
また、フィナステリドとデュタステリドは、服用したすべての人に性機能の変化が現れるわけではないことを理解しておきましょう。
ミノキシジルは男性ホルモンに作用する薬ではなく、性欲減退との関連は明らかになっていません。ミノキシジルは血管を拡張させて頭皮の血流を促し、毛包に働きかけて発毛を促す薬です。

ただし、ミノキシジルにはかゆみや赤み、動悸、めまいなど他の副作用が現れる場合があるため注意しましょう。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「プロペシア錠 添付文書」
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ザガーロカプセル 添付文書」
性欲減退とED(勃起不全)は別の症状です。性欲減退は「性的欲求が弱まっている状態」で、EDは「性的欲求はあっても物理的に十分な勃起が起こらない」または「維持できない状態」を指します。
性欲減退とは、性的な欲求が弱まった状態を指します。「以前より性欲がわきにくい」「性行為に前向きになりにくい」といった変化として現れるのが特徴です。
性欲減退は、AGA治療薬の副作用を調べると目にする言葉ですが、欲求そのものの低下を表すものであり、勃起できるかどうかとは別の問題です。
ED(勃起不全)は、「性的な欲求はあっても十分に勃起しない」または「勃起を維持できない」状態です。性欲減退によって性欲が弱まり勃起しないこともありますが、EDは性欲があっても起こる場合があります。
EDの原因は薬だけではありません。加齢や生活習慣病、ストレスなどの精神的な要因でも起こります。AGA治療中に気になる症状があっても、必ずしも薬が原因とは限らない点も知っておきましょう。
AGA治療薬で性欲減退やEDが起こる頻度は、添付文書の臨床試験データで確認できます。
| 性機能障害 | フィナステリド | デュタステリド |
|---|---|---|
| 性欲減退 | 1.10% | 3.90% |
| ED | 0.7% | 4.30% |
ここでは、薬別に具体的な数値を見ていきましょう。
フィナステリドの先発品であるプロペシアの添付文書によると、性欲減退は1.1%、EDは0.7%です。
このように、フィナステリドで性機能障害が現れる割合は数%程度です。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「プロペシア錠 添付文書」
デュタステリドの先発品であるザガーロの添付文書によると、主な副作用は、性欲減退3.9%、ED4.3%です。
デュタステリドはI型・II型の両方の5αリダクターゼを阻害するため、フィナステリドと比べるとAGA治療の効果が高くなりますが、同時に性機能に関する副作用の頻度もやや高く出る傾向があります。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ザガーロカプセル 添付文書」
AGA治療薬では、射精に関する変化が現れる場合もあります。具体的には精液量の減少などで、フィナステリドでは1%未満、デュタステリドでは1.3%と報告されています。
妊活を考えている場合は、精液量や精子への影響が気になる方も少なくないでしょう。フィナステリド・デュタステリドはいずれも男子胎児への影響から女性への投与が禁忌であり、男性も妊活中は原則処方されません。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「プロペシア錠 添付文書」
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ザガーロカプセル 添付文書」
AGA治療薬による性欲減退やEDが起きた場合、自己判断で休薬せず、医師に相談することが重要です。治療を続けながら副作用に対処する方法として、薬の変更や減量、あるいはED治療薬の併用といった選択肢があります。
性機能の変化を感じたら、自己判断で薬をやめず、まず処方を受けた医師に相談しましょう。自己判断で服用を中止すると、再びヘアサイクルが乱れてAGAが進行する場合があります。
症状が薬によるものか、加齢やストレスなど別の要因によるものかは、医師が状況を確認して判断します。気になる変化があれば、いつごろからどのような症状があるのかを伝えると相談がスムーズです。
AGA治療薬による性欲減退やEDに関して医師に相談すると、症状に応じて薬の変更や減量、いったんの休薬といった対応が検討されます。たとえば、「デュタステリドからフィナステリドへ切り替える」「内服から外用のミノキシジルへ変える」など、治療を続けながら調整する方法が有効です。
多くは中止後に改善しますが、中止後も症状が持続したとの報告もあり、症状が続く場合は医師へ相談してください。
AGA治療中にEDが気になる場合、ED治療薬を併用するのも選択肢の一つです。ED治療薬は陰茎の血流を促して勃起をサポートする薬で、フィナステリドやデュタステリドと一緒に内服できる場合があります。
ただし、持病や服用中の薬によっては併用に注意が必要です。また、ED治療薬にも副作用があるため、持病や服用薬を含めて医師が適応を判断します。個人輸入や自己判断での使用は避け、必ず医師に確認したうえで使いましょう。
ここでは、AGA治療と性欲に関するよくある質問をまとめました。以下で詳しくお答えします。
AGA治療薬をやめれば性欲は戻りますか?
フィナステリドやデュタステリドの性機能に関する副作用は、服用をやめれば改善するとされています。自己判断で中止せず、医師に相談しながら対応しましょう。
個人輸入したAGA治療薬でも副作用の対処はできますか?
個人輸入した薬は偽造品や有害物質が含まれるリスクがあり、健康被害が生じても公的な救済制度の対象外です。副作用が出ても原因の究明に時間がかかってしまう可能性があるため、医療機関で処方を受けることをおすすめします。
参考:厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
ミノキシジルなら性欲は落ちませんか?
ミノキシジルは性欲減退の副作用は報告されていません。
ただし、かゆみや動悸などの副作用が出る場合があります。
AGA治療薬で性欲が落ちる可能性があるのは、フィナステリドとデュタステリドです。ミノキシジルは男性ホルモンに作用しないため、性欲減退との関連は明らかになっていません。
AGA治療薬の副作用による性欲減退とEDは別の症状であり、いずれも臨床試験での発現頻度は数%程度です。万が一、副作用の症状が出ても、自己判断で中止せず医師に相談すれば、薬の変更やED治療薬の併用など対処の選択肢があります。性欲への不安を抱えたままにせず、まずは医師に相談することが大切です。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「プロペシア錠0.2mg/プロペシア錠1mg」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「ザガーロカプセル0.1mg/ザガーロカプセル0.5mg」
厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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