更新日:2024年01月24日
ミノキシジルをやめるとAGAは進行する?中止してよいタイミングも解説
- ミノキシジルはAGA治療薬の一種で、発毛を促進する効果がある
- ミノキシジルのみを服用している場合、服用をやめると再び薄毛が進行する可能性がある
- AGA治療薬を併用している場合は、毛量を維持できるケースもある
- 半年以上効果が出ない場合は、医師に相談の上服用中止を検討しよう
ミノキシジルをはじめとする治療薬を服用してAGA治療を行っている方の中には、「十分な効果が得られたから、薬の服用を中止したい」と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 個人の判断で急に服用を中止することで、髪の状態が治療前に戻ってしまうこともあるため、減薬や断薬をしたい場合は医師に相談してから行うことをおすすめします。
本記事では、ミノキシジルをやめることで生じる髪の変化や、服用を止める場合のタイミングなどについて解説します。
ミノキシジルの服用をやめると起こりうること
ミノキシジルの服用をやめた際に起こり得ることは、その時服用している薬の状況によって変わる可能性があります。それぞれのパターンについて、詳しく説明します。
ミノキシジルのみを服用している場合
AGAの治療薬としてミノキシジルのみを服用している場合、ミノキシジルの服用をやめることで再びAGAが進行し、治療前の状態に戻ってしまう可能性があります。
AGAは、進行性の脱毛症です。 ミノキシジルには血流を改善し、毛母細胞を活性化することで発毛を促す作用がありますが、AGAを完治させることはできません。たとえAGA治療によって毛量が回復したとしても、薬の服用を中断すれば、再び薄毛が進行してしまうおそれがあります。
ミノキシジル以外のAGA治療薬を併用している場合
AGA治療では、複数の治療薬を併用するケースもあります。ミノキシジルと併用する可能性があるのは、ミノキシジルと効果(作用機序)の異なるプロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)です。 AGA治療薬を併用している場合に、ミノキシジルのみ服用をやめるのであれば、その時の毛量を維持できる場合があります。
AGA治療薬は、主に薄毛の進行を抑制し本来の生える力を最大化する薬と、より積極的に発毛を促す薬の2つの種類に分かれており、ミノキシジルは後者の働きを持つ薬です。 継続的な治療によって毛量が回復した後は、前者の進行を抑制する薬のみ服用し、現状を維持するという治療プランもあります。
なお、薬を減らすタイミングは自己判断で決めるのではなく、医師に相談して適切なタイミングを決定することをおすすめします。
そもそもミノキシジルとは
そもそもミノキシジルは、高血圧症の治療に用いる血管拡張剤として開発された薬です。 投与された患者に、副作用として多毛症の症状が見られたことから、それを転用し、発毛薬として開発されたという歴史があります。
ミノキシジルには内服薬(飲み薬)と外用薬(塗り薬)があり、効果が異なります。それぞれの効果や副作用について確認していきましょう。
内服薬の効果と副作用
ミノキシジルの内服薬はミノキシジルタブレットという名称で、通称「ミノタブ」と呼ばれています。 血管を広げて血流を改善し、頭皮に栄養が行き渡りやすくなる作用があります。また、髪の生成に大切な毛乳頭細胞の細胞分裂を活発にする作用があり、これによってヘアサイクルを整え、発毛を促す効果があります。
外用薬よりも高い効果があると言われていますが、その一方でさまざまな副作用があることに注意しましょう。 日本皮膚科学会の男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版によると、具体的には、下記のような副作用が生じる可能性があります。
- 多毛症
- 胸痛
- 動悸
- 息切れ
- むくみや体重増加
これに加えて、他のAGA治療薬と同様に、使用から数カ月は初期脱毛が起こることもあります。
ミノキシジルタブレットは2023年10月時点では日本国内で未承認の薬となっています。服用したい場合は医師の説明をよく聞いて、リスクについて理解することが大切です。
外用薬の効果と副作用
ミノキシジルの外用薬は通称「塗りミノ」と呼ばれており、直接頭皮に塗って使用します。こちらは医療機関で処方が受けられるだけでなく、現在では薬局やドラッグストアでも購入することが可能です。
内服薬と同様に、毛母細胞を刺激し、細胞分裂を活発にさせる作用があることから、発毛と育毛の効果が期待されます。
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版によると、ミノキシジル外用薬を使用すると、患部の赤みやかぶれ、かゆみ、フケといった副作用が見られることがあります。内服薬と比較して、比較的副作用は軽いと言われています。
ミノキシジルの効果については、「ミノキシジルの効果とは?副作用や他のAGA治療薬との違いも解説」でも詳しく解説しています。
参考:公益社団法人日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
ミノキシジルと併用可能なAGA治療薬
ミノキシジルは、プロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)との併用が可能な薬です。
プロペシアやザガーロは、AGAの原因となるジヒドロテストステロンの生成に関係している5αリダクターゼを阻害する薬です。血管拡張の作用があるミノキシジルとは異なる作用機序を持っています。
AGAに対して期待される効果も、ミノキシジルは育毛や発毛作用であるのに対し、プロペシアやザガーロの効果は抜け毛予防です。 AGA治療において「守り」の役割を持つプロペシアやザガーロ、「攻め」の役割を持つミノキシジルとして、併用されることがあります。
ミノキシジルと併用可能なAGA治療薬について、詳しく知りたい方は、「フィナステリドとミノキシジル併用の効果や注意点を説明」も参考にしてみてください。
ミノキシジルの服用をやめるタイミング
発毛効果が期待できるミノキシジルですが、以下のような場合には服用をやめたほうが良いでしょう。
- 6カ月以上使用しても全く効果がなかったとき
- 副作用が出たとき
- 薄毛の症状が回復し、気にならなくなった時
それぞれについて、詳しく解説します。
6カ月以上使用しても全く効果がなかったとき
ミノキシジルは、服用を始めてから3~6カ月ほどで効果を実感されることが多いと言われています。 そのため、6カ月以上使用しても効果が全く感じられない場合は、医師に相談をしたうえで服用を中止するか判断しましょう。
特に、ミノキシジルタブレットは血管を拡張させる作用により心臓や肺などの臓器に負担がかかる可能性がある薬です。効果がない状態でむやみに使用を続けることは、リスクになるとも考えられます。
副作用が出たとき
ミノキシジルによって心血管系の副作用が出る可能性があります。特に、心臓や肺などに持病がある方の場合、服用を続けることで命にかかわるような大きな影響が出てしまう可能性もあるため、速やかに服用を中止しましょう。 副作用を発症した際には自己判断で対応するのではなく、必ず医師に相談し、症状に応じた適切な対処法を教えてもらいましょう。
薄毛の症状が回復し、気にならなくなったとき
ミノキシジルの使用により、AGAの症状が回復したときも使用をやめるタイミングの一つです。 薄毛が気にならなくなったときには、このまま使用を続けていくのか、それともミノキシジルの使用をやめてプロペシアやザガーロのみを服用するのかなどを、医師と相談して検討しましょう。
いずれにしても自己判断はせずに、医師との相談により治療方針を決めることが大切です。
ミノキシジルの効果を感じるためにできること
ミノキシジルの効果を感じるためには、まずは6カ月ほど使用を続けましょう。ミノキシジルの使用を開始してからAGAによって短くなった毛周期(髪が成長して抜け落ち、再び生えるまでの周期)が整うまでに3~6カ月ほどかかるとされており、効果を得るには長期的に使用する必要があります。
また、内服薬・外用薬のどちらも適切に服用・使用することが大切です。内服薬であれば1日1回服用し、外用薬は1日の使用回数や1回あたりの量を守って使用しましょう。
外用薬を使用する場合は、髪の毛に塗るのではなく、薄毛が気になる部分の頭皮に塗りましょう。頭皮に皮脂や汚れが多いとミノキシジルが頭皮に浸透しづらくなるため、1日に1回髪を洗い、頭皮の清潔を保ったうえで使用するのがポイントです。
ミノキシジルの効果を得やすくするには、食生活やヘアケアなどに気を配ることも大切です。食事は栄養バランスを意識するとともに、髪の成長に大切な亜鉛やビタミンB2・B6、ビタミンC・タンパク質を積極的に摂るようにしましょう。 ヘアケアで心掛けたいのは、頭皮にダメージを与えないようやさしくマッサージするようにシャンプーをすることです。また、すすぎが不十分だと頭皮トラブルを起こすおそれがあるため、すすぎ残しがないよう頭部全体を3分ほどかけて洗い流しましょう。
まとめ
ミノキシジルをやめると起こりうることやミノキシジルの内服薬・外用薬の効果と副作用、やめるタイミング、効果を感じるためにできることについて説明しました。
ミノキシジルはAGA治療薬の1種で、発毛を促進する効果があります。 AGAは進行性の脱毛症であるため、ミノキシジルの使用をやめることで、再びAGAが進行するおそれがあります。ただし、プロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)など、ほかのAGA治療薬を併用している場合、ミノキシジルのみ使用をやめるのであれば、その時の毛量を維持できる可能性があるでしょう。 毛量を維持したいと考えている場合は、自己判断で服用を中止せず、医師に相談したうえで治療方針を見直すことがおすすめです。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会