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更新日:2024年07月11日

低用量ピルとは?効果や種類、服用方法、副作用を詳しく解説

この記事のまとめ
  • 低用量ピルは避妊やPMSの改善に効果がある
  • 低用量ピルの種類は錠数や処方目的、世代、相性などによって分けられる
  • 低用量ピルを服用することで生理日をずらせる
  • 低用量ピルは吐き気や頭痛などの副作用がある
  • 低用量ピルは婦人科に行くかオンライン診療を受けることで入手できる

生理痛や生理不順、PMSなど、月経にまつわる女性の悩みはさまざまです。その中でも、生理痛の軽減など、女性の健康管理に役立つとされる低用量ピルに興味を持っている方もいるのではないでしょうか。

この記事では、低用量ピルの効果や種類、服用方法、副作用を解説します。低用量ピルに興味がある方や服用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

低用量ピルとは

低用量ピルとは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と、黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類の女性ホルモンを配合した錠剤です。1日1錠を21日間内服し、その後7日間服用を中止します。このサイクルを繰り返すことで、避妊や生理痛改善などの効果が得られます。

ピルは卵胞ホルモンの含有量により、中用量ピル・低用量ピル・超低用量ピルに分けられます。中用量ピルは主に生理日の移動に使用され、超低用量ピルは月経困難症などの治療に使用されます。

避妊や月経トラブルの改善を目的とする場合、低用量ピルの処方が一般的です。

低用量ピルの効果

低用量ピルには、次のようなさまざまな効果が期待できます。

  1. 避妊
  2. 生理痛やPMSの改善
  3. 生理不順や月経量の改善
  4. ニキビや肌荒れの改善
  5. 卵巣がんや子宮体がんのリスク軽減

ここからは、それぞれの効果を解説します。

1.避妊

低用量ピルは、卵胞ホルモンと黄体ホルモンの働きによって排卵を抑制します。排卵の抑制により、受精を防ぎ妊娠を予防できます。

日本産科婦人科学会によると、低用量ピルを1日1錠正しく服用した場合、99.7%と非常に高い避妊効果が期待できます。

参考:日本産科婦人科学会「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン (改訂版)

2.生理痛やPMSの改善

低用量ピルは、子宮内膜を薄くすることで、生理痛やPMSの症状を軽減します。生理痛は、子宮が収縮することで起こる痛みです。低用量ピルによって子宮内膜が薄くなると、子宮の収縮が弱まり、生理痛が軽減されます。

PMS(月経前症候群)は、生理前に起こる不快な症状の総称です。頭痛や倦怠感、乳房の張りなど、さまざまな症状が現れます。

PMSの症状の多くは、排卵後に分泌される黄体ホルモンによって引き起こされるとされています。低用量ピルの服用により黄体ホルモンの分泌が抑制されると、PMSの症状が改善されます。

関連記事:PMSとは?症状や判断基準、改善のためのセルフケア、治療法について紹介

3.生理不順や月経量の改善

低用量ピルは、月経周期を安定させ、月経量をコントロールする効果があります。

生理不順や月経量の過多は、ホルモンバランスの乱れによって起こります。低用量ピルによってホルモンバランスが安定すると、これらの症状の改善が期待できます。

低用量ピルを服用しても生理不順が改善しない場合、子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患が原因となっている場合があります。3か月ほど服用を継続しても改善しない場合は、医師の診察を受けましょう。

関連記事:生理不順はピルの服用で改善が期待できる!生理不順の原因についても解説

4.ニキビや肌荒れの改善

低用量ピルは、ニキビや肌荒れの症状を改善する効果も期待できます。

ニキビや肌荒れは、皮脂の分泌を促進する働きがある男性ホルモンの分泌が原因とされています。ホルモンバランスが乱れ、男性ホルモンの分泌が過剰になると、ニキビができやすくなります。

低用量ピルには、男性ホルモンの分泌を抑制する効果があるため、継続した服用でニキビや肌荒れの症状が改善されるでしょう。

関連記事:生理前にニキビはできやすい?原因や対策、改善方法などを詳しく解説

5.卵巣がんや子宮体がんのリスク軽減

低用量ピルは、卵巣がんや子宮体がんのリスクを軽減する効果があるとされています。卵巣がんは、卵巣で発生するがんであり、子宮体がんは子宮内膜で発生するがんです。

卵巣がんや子宮体がんは、女性ホルモンの過剰な分泌が原因の一つと考えられています。低用量ピルによって女性ホルモンの分泌を抑制することで、卵巣がんや子宮体がんのリスクを軽減できます。

低用量ピルの種類による違い

低用量ピルは、錠剤の形状や配合されているホルモンの種類など、以下のような違いで分類されます。

  • 21錠と28錠タイプの違い
  • OCとLEPの違い
  • 世代の違い
  • 1相性と3相性の違い

低用量ピルの理解を深めるために、それぞれの違いを確認していきましょう。

21錠と28錠タイプの違い

低用量ピルは、1シートの錠数で、21錠タイプと28錠タイプの2種類があります。

21錠タイプ

21錠タイプは、21錠すべての錠剤に女性ホルモンが含まれています。21日間毎日1錠を服用し、その後7日間の休薬期間中に生理がはじまります。7日間の休薬期間を終えたら、新しいシートを服用します。

28錠タイプ

28錠タイプは、28日間毎日1錠を服用し続けます。1シートが終了したら、翌日から次のシートの服用を開始します。21日目以降の錠剤は、薬の成分が含まれない偽薬(プラセボ)です。休薬期間にも錠剤を飲むことになるため、飲み忘れを防止しやすいメリットがあります。

OCとLEPの違い

低用量ピルは、服用する目的の違いによりOC(オーシー)と、LEP(レップ)の2種類があります。

OCとは、Oral Contraceptivesの略で、経口避妊薬を意味します。基本的に避妊を目的として処方される低用量ピルです。避妊効果にくわえて、生理痛やPMSの改善などの効果も期待できます。OCを避妊目的で服用する場合、保険適用外となります。

LEPとはLow dose Estrogen Progestinの略で、治療を目的として処方される低用量ピルです。LEPは、月経困難症や子宮内膜症の治療薬として対面診療で処方される場合、保険が適用されます。

世代の違い

低用量ピルは、開発された年代によって配合されている黄体ホルモンの種類が異なり、第1世代から第4世代に世代分けされています。なお、卵胞ホルモンは、共通してエチニルエストラジオールが配合されています。

各世代ごとの黄体ホルモンの種類や主な特徴、該当するピルは以下のとおりです。

世代配合されている黄体ホルモンの種類主な特徴OCLEP
第1世代ノルエチステロン月経トラブルの改善効果が高い
副作用が出やすい傾向がある
シンフェーズフリウェル
ルナベル
第2世代レボノルゲストレル不正出血が起こりにくいトリキュラー
アンジュ
ラベルフィーユ
ジェミーナ(超低用量ピル)
第3世代デソゲストレルニキビ治療が期待できるマーベロン
ファボワール
第4世代ドロスピレノン月経困難症などの治療目的で処方される
避妊目的では服用しない
ヤーズ
ヤーズフレックス
(超低用量ピル)

1相性と3相性の違い

低用量ピルは、1シートにおけるエストロゲンとプロゲステロンの配合量が一定である1相性と、配合量が1週間ごとに変化する3相性の違いもあります。相性は「そうせい」と読みます。

1相性

1相性は、すべての錠剤に同一量のホルモンが配合されています。配合量が一定であるため、体調の変化が起きにくいのが特徴です。1相性の低用量ピルのデメリットとして、3相性より不正出血を起こしやすいとされています。

3相性

3相性は、月経周期にあわせてホルモンの量が3段階に調整されています。そのため、自然なホルモン分泌に近い状態を作り出すことができます。1相性ピルよりも自然な生理周期に近く、不正出血が起こりにくい点がメリットです。

一方で、1週間ごとに錠剤のホルモン量が異なるため、順番を間違えて服用すると、避妊効果が低下したり、不正出血のリスクが高まったりする可能性があります。

ピルの種類ごとの世代と相性は以下のとおりです。

世代相性ピルの種類
第一世代1相性フリウェル
ルナベル
第一世代3相性シンフェーズ
第二世代1相性ジェミーナ(超低用量ピル)
第二世代3相性トリキュラー
アンジュ
ラベルフィーユ
第三世代1相性マーベロン
ファボワール
第四世代1相性ヤーズ
ヤーズフレックス
(超低用量ピル)

低用量ピルの服用方法

低用量ピルは正しい服用により効果を発揮します。ここからは、低用量ピルの正しい服用方法を解説します。

生理初日から服用をはじめる

低用量ピルは、生理初日から服用をはじめるのが原則です。生理初日からの服用により、服用を開始した日から避妊効果が得られます。

生理初日から服用を開始できない場合は、生理開始から5日以内に服用をはじめることも可能です。

この場合、服用を開始した最初の7日間は、ほかの避妊方法を併用する必要があります。

毎日決まった時間に服用する

低用量ピルは、毎日同じ時間に服用することが重要です。服用時間がバラバラになると、避妊効果が低下する可能性があります。

食前や食後といった服用するタイミングに決まりはありません。朝食後や就寝前など、習慣化できるタイミングで服用すると良いでしょう。アラームやアプリなどを活用して、飲み忘れを防止するのもおすすめです。

7日間の休薬期間を設ける

21錠タイプの場合、21日間連続で服用し、その後7日間の休薬期間を挟みます。7日間の休薬期間が終わったら、再び服用を開始しましょう。

休薬期間明けの飲み忘れが不安な場合は、7日間の偽薬(プラセボ)が含まれている28錠タイプを選ぶと安心です。

低用量ピルを飲み忘れた際の対処法

低用量ピルは、毎日同じタイミングでの服用が大切です。万が一飲み忘れてしまった場合、どのように対処すれば良いのか解説します。

1日分飲み忘れた場合

1日分飲み忘れた場合、気づいた時点ですぐに飲み忘れた分の低用量ピルを服用します。その後、予定通りの服用を続けます。

たとえば、通常の服用時間が午後9時で、午前11時に前日分の飲み忘れに気づいた場合は、午前11時に飲み忘れた分を服用し、その日の分を午後9時に服用します。服用時刻になって飲み忘れに気づいた場合は、前日分とあわせて2錠服用します。

1日分の飲み忘れであれば、避妊効果に影響はないとされています。

2日分飲み忘れた場合

低用量ピルを2日分飲み忘れてしまったときは、飲み忘れに気付いた時点で前日分の1錠を服用しましょう。当日分のピルは、通常どおりいつもの時間に服用します。

1日に3錠飲んでしまうと、ピルの成分の血中濃度が高くなり、嘔吐や吐き気などの副作用が生じやすくなるため、1日に3錠飲むのはやめましょう。次の日からは、予定どおりの服用を続けます。

2日飲み忘れた場合、避妊効果が低下する可能性があるため、7日連続で服用するまではコンドームなどの避妊具を併用しましょう。

関連記事:ピル飲み忘れ時の正しい対処法は?避妊効果や不正出血についても解説

低用量ピルの服用中に生理をずらす方法

生理日の移動には、中用量ピルの服用が一般的です。しかし、普段から低用量ピルを服用している場合は、低用量ピルで生理をずらすことも可能です。

低用量ピルの服用中に生理をずらす方法は、以下の2つがあります。実際に生理日をずらしたい場合は、事前に医師に服用方法を確認しましょう。

生理を早める方法

生理を早めたい場合は、早めたい生理のひとつ前の生理がはじまってから5日目までに、低用量ピルの服用を開始します。低用量ピルを10~14日服用して中止すると、2〜3日後に生理がはじまります。

生理を早めるには、事前に生理予定日を把握しておくことが重要です。

生理を遅らせる方法

旅行やスポーツの試合など、生理が来てしまうと困る予定がある場合に、低用量ピルで生理を遅らせることも可能です。

生理を遅らせるには、生理予定日の5日ほど前から低用量ピルを飲みはじめ、生理を遅らせたい日まで1日1錠服用を続けます。低用量ピルを飲んでいる間は生理は来ません。

低用量ピルの服用を中止すると2~3日後に生理がはじまります。生理を遅らせられるのは、1週間程度です。

関連記事:生理を遅らせる方法とは?ピルでできる月経移動

低用量ピルの副作用と対処法

低用量ピルの副作用には、マイナートラブルと呼ばれる軽度な副作用と、重篤な副作用の血栓症があります。それぞれの症状と対処法を解説します。

マイナートラブル

低用量ピルの服用によって起こるマイナートラブル(軽度な副作用)の例は、以下のとおりです。

  • 吐き気・嘔吐
  • 頭痛
  • 乳房の張り
  • 不正出血
  • めまい

吐き気は、低用量ピルの服用で多く見られる副作用です。吐き気がひどい場合は、就寝前や食後に服用すると改善する場合があります。吐き気止めを服用しても良いでしょう。頭痛がひどい場合は、市販の鎮痛剤を服用しても問題ありません。

これらの副作用は、低用量ピルによるホルモンバランスの変化に体が慣れていないために起こります。服用を開始してから1~3か月程度で軽減することが多く、ほとんどの場合、自然に解消します。

もし3か月ほど経過しても症状が改善しない場合は、医師に相談しましょう。

血栓症

血栓症は、低用量ピルの服用で起こりうる副作用です。血栓症とは、血管内に血液が固まって塊(血栓)ができる病気です。血栓が肺や脳などにできると、肺血栓塞栓症や脳梗塞などの命に関わる病気を引き起こすことがあります。

血栓症のリスクは、喫煙者や肥満(BMIが30以上)の人、高血圧・糖尿病などの基礎疾患がある人、家族に血栓症の既往歴がある人などが高いとされています。

血栓症の症状としては、下記が挙げられます。

  • 突然の息切れ
  • 激しい胸痛
  • 激しい頭痛
  • 足のしびれや麻痺
  • 視力障害

血栓症は稀な副作用とされていますが、リスクを避けるためには、禁煙や肥満の解消、十分な運動が必要です。あわせて、定期的に医師の診察を受けましょう。

関連記事:ピルのデメリットとは?副作用の症状や対処法について解説

低用量ピルの処方を受ける方法

低用量ピルの処方を受ける方法には、以下の2つがあります。

  • 婦人科のクリニックに行って受診する
  • オンラインクリニックを利用する

ここからは、それぞれの特徴を解説します。自分の都合の良い方法を選択し、低用量ピルの服用をはじめてみましょう。

婦人科のクリニックに行って受診する

低用量ピルはドラックストアや薬局では販売されておらず、服用するには、婦人科で医師の診察を受ける必要があります。病院やクリニックに行くと対面で診察が受けられるため、安心感を得やすい点がメリットです。

婦人科のクリニックに行って診察を受けた際は、必要に応じて検査が受けられます。血栓症のリスクが心配な場合は、血液検査を行うことで、より安心して服用を開始できるでしょう。

オンラインクリニックを利用する

病院やクリニックに通う時間がない方は、オンラインクリニックの利用がおすすめです。医師の診察をスマートフォンやパソコンを利用して自宅で受けられます。

初診料や薬代が対面診療のクリニックよりも安い場合があり、交通費もかからないため、費用を抑えて低用量ピルをはじめたい方にも適しています。

まとめ

この記事では、低用量ピルの効果や種類、服用方法、副作用を解説しました。

低用量ピルは、女性ホルモンが配合された薬剤です。低用量ピルの服用によって排卵を抑制することで、避妊効果が得られ、生理痛や生理不順の改善、肌荒れ・ニキビの予防などの効果も期待できます。

低用量ピルは、正しく服用することで高い避妊効果が得られますが、副作用のリスクも存在します。そのため、服用を検討している方は、必ず医師の診察を受けて自分の体質や目的に合うピルを処方してもらいましょう。

低用量ピルは、女性のQOL(生活の質)を向上させる有効な手段の1つです。正しく理解して、安全に服用をはじめましょう。

レバクリでは、低用量・中用量ピルのオンライン診療サービスを提供しています。オンライン診療であれば通院の手間や交通費などをかけずに医師に相談することが可能です。診察は無料なので、ぜひお気軽にご相談ください。

この記事の監修:

牧野潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会

※この記事は産婦人科専門医と共同で監修を行いました