レバクリ

更新日:2024年03月21日

ED治療薬であるバイアグラの効果や服用方法・副作用・注意点について解説

この記事のまとめ
  • バイアグラは、PDE5の作用を阻害することで陰茎の血管を拡張させて勃起を促し、EDへの治療効果をもたらす
  • 有効成分の含有量によっても異なるが、バイアグラは最長5時間ほど効果が持続する
  • バイアグラは、服用方法を誤ると十分な効果が得られないため、正しく服用することが重要
  • バイアグラの主な副作用は、頭痛やほてり
  • 副作用は基本的に軽度で一過性のものであり、時間の経過とともに落ち着く場合が多い
  • バイアグラには併用禁忌薬があり、特定の疾患の患者は服用できないため、持病がある方は必ず医師に申告する

ED治療薬であるバイアグラにはどのような効果があるのか、くわしく知りたい方もいらっしゃるでしょう。バイアグラは、陰茎の血管を拡張して勃起を促す効果があります。しかし、用法用量を守り正しく服用しなければ、十分な効果が得られないうえ、副作用が強く出る場合もあります。

本記事では、バイアグラの効果や服用方法、副作用、注意点などについて解説します。ぜひ参考にしてください。

バイアグラとは

バイアグラは、米国ファイザー社によって開発された世界初のED治療薬で、有効成分はシルデナフィルです。世界で約3500万人の男性が服用していると言われています。

日本でも1999年に認可され、その有効性・安全性が立証されています。

バイアグラの効果

バイアグラは、服用してから30分~1時間ほどで効果が現れ、最長5時間ほど効果が持続します。ここでは、バイアグラの効果について解説します。

バイアグラの効果・効能・作用機序

バイアグラの有効成分であるシルデナフィルには、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)の作用を阻害し、血管を拡げて血流を良くする効果があります。

男性は通常、性的刺激を受けるとcGMP(Cyclic GMP:環状グアノシン一リン酸)という物質が合成されます。そのcGMPが陰茎海綿体の平滑筋を弛緩させ、陰茎内への血流を増加させることで勃起が起こります。

一方、このcGMPがPDE5によって分解されることで、勃起は収まります。シルデナフィルはこのPDE5の活性を阻害することで、陰茎の血管を拡張させ、勃起を促します。

バイアグラの含有量による効果の違い

バイアグラには、25mg・50mg・100mgの規格がありますが、含有量が異なるだけで、効果そのものが異なることはありません。ただし、効き目の強さには違いがあり、25mgで効果がない場合に、医師の判断により50mgが処方されます。日本国内では、25mgと50mgのみ認可されています。

バイアグラの効果の持続時間

バイアグラの効果の持続時間は、25mgが約3〜4時間、50mgが約4〜5時間です。バイアグラの効果が現れてから最長5時間は、一度射精しても勃起しやすかったり、硬い勃起を得られたりする状況が続くと考えられます。

効果の現れ方には個人差があるため、あくまで目安として覚えておくと良いでしょう。

バイアグラの使用期限

バイアグラの使用期限は製造から4年程度です。使用期限は、バイアグラの包装箱の側面と、錠剤の入っているPTPシートの上部に記載されています。

持ち運ぶためにバイアグラをPTPシートから取り出して別の容器に保管している場合は、通常よりも薬の劣化が早まるため、なるべく早く服用するようにしてください。PTPシートから取り出したバイアグラの使用期限は1年程度と考えられています。

いつ開封したのか忘れないためにも、容器に開封した日付をメモしておくと良いでしょう。また、錠剤がなるべく空気に触れないよう、密閉されている容器で保管することも大切です。

使用期限が切れたバイアグラは、服用しても十分な効果を得られず、健康被害を受けるリスクもあるため服用しないようにしてください。

バイアグラの服用方法

バイアグラは、誤った方法で服用してしまうと十分に効果が得られないため、正しい用法用量を守って服用することが重要です。ここでは、バイアグラの正しい服用方法について解説します。

性行為の1時間前までに水で服用する

バイアグラは、性行為の1時間前に服用するのが効果的です。服用する際は、水またはぬるま湯で服用するようにしてください。牛乳などの脂肪分の多い飲み物はバイアグラの吸収を妨げ、効果が減少するおそれがあるため避けましょう。

また、グレープフルーツジュースでバイアグラを服用しないようにしてください。

通常は、薬を服用すると体内の代謝酵素であるCYP3A4によって次第に分解されていき、薬の効果は弱まっていきます。しかし、グレープフルーツを摂取すると、グレープフルーツに含まれているフラノクマリンという成分が、体内の代謝酵素CYP3A4の働きを阻害してしまいます。これによって薬が分解されにくくなり、薬の成分が余計に体内に吸収され、薬の効果が強く出てしまう可能性があります。

バイアグラの作用が増強するということは、血圧低下などの副作用も増強して起こるおそれがあるため、注意してください。

1日1回の服用方法を守る

バイアグラを服用できる頻度は、1日1回までです。また、次の使用までは必ず24時間以上間隔を空けるようにしてください。

効果が得られないからといって、自己判断で用量を増やすのはやめましょう。用量を増やすと、副作用が強く出るおそれがあります。特に、バイアグラの主成分であるシルデナフィルの過剰摂取は、血圧の急激な低下が起こるリスクを高めてしまいます。適切な摂取方法を守ることが大切です。

空腹時に服用する

バイアグラは、腸から吸収される薬です。そのため、食後に服用するとバイアグラの有効成分の吸収が脂質や油分に妨げられてしまい、効果の発現が遅れたり、効果が減少したりする可能性があります。

したがって、バイアグラは空腹時に服用するようにしてください。食事せざるを得ない場合は、食後2時間以上経過してから服用するようにしましょう。

アルコールは適量にする

アルコールは適量であれば、バイアグラと同時に摂取しても問題ありません。しかし、過剰摂取には注意が必要です。

アルコールは、過剰に摂取してしまうと脳の神経伝達機能を低下させてしまいます。バイアグラの効果により勃起を促そうと脳が陰茎に指令を出そうとしても、そもそも指令が伝わりづらくなってしまいます。

バイアグラの効果が低下してしまう可能性があるため、バイアグラを服用する際は、アルコールの摂りすぎには注意してください。

バイアグラの副作用

ED診療ガイドラインによると、バイアグラの副作用は下記のとおりです。

副作用シルデナフィル(25,50mg)
頭痛12.74%
ほてり10.19%
消化不良0.64%
めまい0.64%
眼症状1.91%

これらの副作用は、基本的には軽度で一過性のものであり、時間の経過とともに落ち着くとされています。バイアグラを使用している最中に副作用が生じた場合、無理に性行為を続けることはせず、一旦性行為を中断しゆっくり休むようにしてください。

バイアグラの副作用については、「バイアグラの副作用は?治療効果と正しい服用方法を解説」でも詳しく解説しています。

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

バイアグラを服用する際の注意点

バイアグラには併用禁忌薬があり、誤って併用してしまうと、健康を害するリスクがあります。また、特定の疾患を持っている方は服用できないことや、バイアグラの入手方法についても注意点があります。ここでは、バイアグラを服用する際の注意点について解説していきます。

併用禁忌薬を服用している人は、バイアグラを服用しない

バイアグラの併用禁忌薬は、狭心症治療薬の硝酸剤や不整脈治療薬のアミオダロン塩酸塩、肺高血圧症治療薬のアデムパスです。これらは絶対にバイアグラと一緒に服用しないようにしてください。最悪の場合、死亡するリスクがあります。

1998年の厚生労働省の発表によると、日本でも不整脈治療中の男性が誤ってバイアグラと硝酸剤(ニトログリセリン)を服用してしまい死亡したという事故が発生しています。

持病の治療のために併用禁忌薬を使用中の方は、注意してください。

バイアグラの併用禁忌薬について詳しく知りたい方は、「バイアグラと飲み合わせてはいけない薬とは?併用禁忌薬を種類別に解説」も参考にしてみてください。

参考:厚生労働省「バイアグラ使用後に死亡した症例について

特定の疾患にかかっている場合は、バイアグラを服用しない

特定の疾患にかかっている場合、バイアグラを服用すると重い副作用が生じる可能性があります。

以下に紹介する疾患は、バイアグラの添付文書にも明確に「禁忌(次の患者には投与しないこと)」と記載されています。何らかの持病を持っている方がバイアグラを服用したい場合は、必ずかかりつけ医に相談してください。

参考:KEDD「バイアグラ添付文書

重度の肝機能障害がある場合

バイアグラは主に肝臓で代謝されるため、重度の肝機能障害がある場合はバイアグラがなかなか代謝・排泄されず、重い副作用を引き起こす可能性があります。

したがって、重度の肝機能障害がある場合はバイアグラを服用できません。

低血圧や、治療による管理がなされていない高血圧を患っている場合

バイアグラには血管を拡張させる作用があるため、服用すると血圧低下を引き起こす可能性があります。 もともと低血圧の人はもちろん、治療が行われていない高血圧の人も急激な血圧低下を招く可能性があるため、バイアグラの服用が禁止されています。

ただし、これはあくまで治療が行われていない高血圧の人の場合です。治療によって血圧コントロールがされていればバイアグラの服用が可能な場合もあるため、高血圧の方でバイアグラを服用したい方は、まずはかかりつけ医に相談してください。

6ヶ月以内に脳梗塞や脳出血を起こしている場合

バイアグラの血管拡張作用が血圧低下を招くことで、脳の血液循環に支障をきたす可能性があります。 そのため、6ヶ月以内に脳梗塞や脳出血を発症した場合にはバイアグラの服用が禁止されています。

網膜色素変性症を発症している場合

網膜色素変性症とは、遺伝子の変異が原因となり、光を感じる組織である網膜に障害が起こる進行性の疾患です。初期症状には、夜盲と視野狭窄を自覚します。

網膜色素変性症は、光の信号を視神経や脳に伝えるPDE6という酵素の遺伝子の異常が要因と言われています。バイアグラは、PDE6に対してわずかではあるものの阻害作用を及ぼすため、網膜色素変性症の人は服用が禁止されています。

心血管疾患があり性行為が不適当とされている場合

性行為をすると、過度な運動をしたときと同じくらい心拍数・血圧・心筋酸素消費量が上昇することがあります。そのため、心筋梗塞や心不全、不安定性狭心症、不整脈などの心血管疾患がある場合は、性行為によって危険な状態に陥る可能性があります。

バイアグラ自体に心臓の負担を増やす作用があるわけではありませんが、性行為自体が不適当であるため、バイアグラの処方が禁忌とされています。

心血管系疾患がある場合は性行為が可能かも含めて医師に相談することが大切です。

バイアグラと心臓の関係については、「バイアグラは心臓に悪い?ED治療薬と心血管疾患との関連について解説」でも詳しく解説しています。

過去にバイアグラでアレルギー症状を起こしたことがある場合

バイアグラの有効成分であるシルデナフィルは、服用すると皮膚やまぶたにかゆみや湿疹などの症状が出る場合があります。過去にバイアグラを服用してそのようなアレルギー反応があった場合は、服用できません。

ただし、バイアグラによるアレルギー反応は、シルデナフィル以外の添加剤で引き起こされている場合があります。その場合は、バイアグラとは別の添加剤で製造されているバイアグラのジェネリック医薬品を服用できる可能性があります。

過去にアレルギー反応があった場合は、自己判断で服用することはせず、必ず医師に相談し、服用可能かどうか確認してください。

バイアグラを服用できない方については、「バイアグラを飲んではいけない人は?自己判断で服用するリスクも解説」でも詳しく解説しています。

個人輸入などで海外製のバイアグラを購入しない

バイアグラを含むED治療薬は、コストや羞恥心の観点から、インターネット上での取引において偽造薬剤の大きなターゲットになっています。

偽造ED医薬品四社合同調査によると、インターネットで販売されているED治療薬を調査したところ、偽薬を占める割合が55.4%であったと報告しています。

個人輸入などによる海外製のバイアグラは偽造薬である場合が多く、健康被害を受ける恐れがあるため、購入は控えてください。

バイアグラの偽物について詳しく知りたい方は、「バイアグラの偽物に多い特徴とは?偽物を服用するリスクについても解説」も参考にしてみてください。

参考:ファイザー株式会社/バイエル薬品株式会社/日本イーライリリー株式会社/日本新薬株式会社「偽造ED医薬品四社合同調査

バイアグラ以外のED治療薬

バイアグラ以外の一般的なED治療薬として、レビトラとシアリスがあります。 ここでは、レビトラとシアリスの特徴について解説します。

レビトラ(バルデナフィル)

レビトラは、バルデナフィルという有効成分を含んだED治療薬です。服用してから30分程度で効果が現れます。バイアグラの効果の持続時間は最長5時間ほどとされていますが、レビトラは、5〜10時間ほど効果が持続します。

しかし、2021年10月、レビトラは発売元のバイエル製薬より販売中止が発表されました。現在は代替薬としてレビトラのジェネリック医薬品であるバルデナフィルが使用されています。

ED診療ガイドラインにおける日本人の臨床試験でのデータによると、副作用としては、ほてりや鼻閉の頻度がバイアグラより高く、頭痛や眼症状の頻度がバイアグラよりも低くなっています。

レビトラについて詳しく知りたい方は、「レビトラの効果や特徴は?副作用の対処法や料金相場まで詳しく解説」も参考にしてみてください。

シアリス(タダラフィル)

シアリスは、タダラフィルという有効成分を含んだED治療薬です。服用後およそ30分で効果が現れ、最長36時間ほど持続します。長時間効果が持続することが、他の2剤のED治療薬との大きな違いです。

また、シアリスは、他の2剤と違って食事の影響を受けにくいとされています。いざというときに、食事に関係なく手軽に服用できるのは利点といえます。

副作用については、鼻閉や背部痛が起こる頻度がバイアグラよりもやや高く、頭痛やほてりが起こる頻度がバイアグラよりも低くなっています。

ED診療ガイドラインによる、各ED治療薬の副作用の頻度は下記のとおりです。

副作用シルデナフィル(25,50mg)バルデナフィル(5,10,20mg)タダラフィル(5,10,20mg)
頭痛12.47%5.59%11.30%
ほてり10.19%15.66%3.50%
消化不良0.64%0.99%2.30%
鼻閉0.00%2.96%1.20%
めまい0.64%0.44%0.00%
眼症状1.91%1.53%1.20%
背部痛0.00%0.00%1.90%

参考:日本性機能学会/日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン[第3版]

まとめ

バイアグラは、日本でも有効性や安全性が立証されたED治療薬です。バイアグラの有効成分であるシルデナフィルが勃起不全に働きかけ、EDの改善が期待できます。 一方、バイアグラは服用方法を誤ると十分な効果が得られません。効果を実感しやすくなるよう、正しく服用することが大切です。 バイアグラは、併用禁忌薬を服用している方や特定の疾患にかかっている方は服用できません。持病がある方は、必ずかかりつけ医に相談した上で服用するようにしてください。

EDの相談や治療は、「周りの目が気になる」「通院する時間を確保できない」といった理由から躊躇してしまいがちです。しかし、インターネットで個人輸入した海外製のバイアグラを使用することは大変危険です。

ED治療を始めたくてもなかなか受診できずにいる方は、通院することなくスマホやPCなどで受診ができるオンラインクリニックで医師に相談するのも一つの方法です。オンラインクリニックは、基本的に予約時間になるとすぐに診察が始まり、自宅で受診できるので通院の手間を省けます。周りの目が気になるなどで悩んでいる場合は、そちらを利用してみるのもおすすめです。

レバクリでは、ED治療薬のオンライン処方を行っています。場所や時間にとらわれずにビデオチャットや電話で診察が受けられ、処方された薬は自宅など好きな場所に届きます。 診察は無料なので、ぜひご予約ください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会