更新日:2026年01月14日
アボルブカプセルは、前立腺肥大症の治療薬として承認された医薬品
アボルブカプセルの有効成分はザガーロと同じだが、AGA治療目的での使用は不可
アボルブカプセルの適応外使用は、有効性や安全性が保証されず救済制度の対象外
アボルブカプセルの有効成分は皮膚からも吸収されるため、女性や子どもが触れるのは危険
AGA治療を検討するなら、医師に相談して自分に合う治療薬を処方してもらう方法が安全
「アボルブカプセルはAGA治療に使えるのだろうか」「ザガーロと同じ成分なら効果は同じなのでは?」と考える方もいるかもしれません。アボルブカプセルとザガーロは同じデュタステリドを含有していますが、治療目的は異なります。本記事では、アボルブカプセルの効果や副作用、服用時の注意点を紹介します。AGA治療目的ではアボルブカプセルを服用できない理由にも触れているので、知識を身につけて安全に使用しましょう。
アボルブカプセルとは、前立腺肥大症の治療に用いられる薬で、グラクソ・スミスクライン株式会社によって販売されています。
アボルブカプセルの有効成分デュタステリドは、AGA(男性型脱毛症)治療薬であるザガーロと同じものです。デュタステリドは、前立腺肥大やAGAの原因物質とされるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制する作用を持ちます。
なお、アボルブとザガーロはどちらも先発医薬品です。アボルブとザガーロのジェネリック医薬品には、デュタステリドの名称が使用されています。ジェネリック医薬品の種類を見分ける際は、名称の末尾に記載されているアルファベットを確認しましょう。前立腺肥大症の治療薬は「AV」、AGA治療薬は「ZA」の名称が末尾についています。
アボルブカプセルは、前立腺肥大症の治療薬として用いられる医薬品です。有効成分はデュタステリドで、男性ホルモンのテストステロンがDHTに変換されるのを阻害する働きがあります。
DHTは前立腺の肥大に関わるホルモンであるため、産生を抑えることで肥大した前立腺を縮小させ、前立腺肥大症の症状を改善します。アボルブカプセルの服用によって改善が期待される症状の例は、以下のとおりです。
頻尿や夜間頻尿
残尿感
尿線途絶
尿意切迫感
尿勢低下
なお、アボルブカプセルは、1日1回経口投与によって服用します。服用後に効果を実感できるまでには、一般的に数ヶ月〜6ヶ月ほどかかるとされています。アボルブカプセルを服用して前立腺肥大症を改善するには、継続した服用が必要なため、自己判断での中断は避け、医師の指示に従い治療を続けましょう。
アボルブカプセルの有効成分デュタステリドは、AGA治療薬ザガーロと同一です。有効成分が同じという理由から、AGA治療を検討している方の中には、「ザガーロではなくアボルブカプセルを服用したい」と考える方もいるかもしれません。
国内で認められた医薬品は、承認された「効能・効果」以外の目的で使用することは原則として認められていません。そのため、前立腺肥大症の治療薬であるアボルブカプセルを
AGA治療の目的で服用するのは、適応外使用に該当します。AGA治療薬としてアボルブカプセルへの切り替えを考えている方は、ザガーロのようにAGA治療薬として承認された薬を医師の指導のもとで服用しましょう。
AGA治療薬について詳しく知りたい方は、「AGA治療薬の種類と効果、副作用とは?」を参考にしてみてください。
前述のとおり、アボルブカプセルとAGA治療薬ザガーロは、どちらもデュタステリドを有効成分として含みます。この二つの薬剤の違いは、厚生労働省によって承認された「効能・効果(使用目的)」です。
アボルブカプセルは「前立腺肥大症」の治療、ザガーロは「AGA」の治療を目的にそれぞれ厚生労働省によって承認されています。同じ成分であっても治療目的が異なることから、それぞれ別の医薬品として扱われるのです。そのため、AGA治療を目的としてアボルブカプセルが処方された場合、保険適用外となるだけでなく、後述する公的な救済制度の対象外になります。
ザガーロについては、「ザガーロ(デュタステリド)の効果と副作用を解説」も参考にしてみてください。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構の「制度の概要」によると、医薬品を正しく服用したにもかかわらず重篤な健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度によって医療費や年金などの給付を行うとしています。医薬品副作用被害救済制度は承認された適応で適正に使用した際に生じた健康被害の場合のみ給付を行うため、アボルブカプセルをAGA治療目的で服用して健康被害が生じた場合は対象になりません。
そのため、アボルブカプセルの服用後に健康被害が発生しても公的支援は受けられず、全額自己負担となります。健康被害のリスクを避け、安全に治療するためにも、AGA治療薬は承認された薬を服用するのがおすすめです。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「医薬品副作用被害救済制度」

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
アボルブカプセルの服用にあたっては、まれに副作用が現れる可能性があります。副作用はすべての方に発生するわけではありませんが、発現した際に適切に対処するためにも、知識として持っておくべき情報です。
以下の表では、KEGG MEDICUSの「医療用医薬品 : アボルブ」をもとに、アボルブカプセルによる副作用の例をまとめました。
| 副作用の種類 | 主な症状 |
|---|---|
| 生殖系および乳房障がい | 勃起不全や射精障がい、精巣痛、乳房障がい |
| 精神神経系 | リビドー減退や浮動性めまい、抑うつ気分、味覚異常 |
| 皮膚 | 脱毛症や多毛症 |
| 消化器 | 腹部不快感や下痢 |
| その他 | 倦怠感や血中CK増加 |
発生頻度はまれなものの、重大な副作用として肝機能障がいや黄疸の症状が現れることがあります。アボルブカプセルの服用後に体調の変化を感じた際は自己判断せず、速やかに医師へ相談しましょう。
デュタステリドの副作用については、「デュタステリドとは?効果や副作用を解説」も参考にしてみてください。
参考:KEGG MEDICUS「医療用医薬品 : アボルブ」
ここでは、アボルブカプセルの服用に関する注意点を解説します。安全性を確保して効果的な治療を行うために、以下の注意点を把握しておきましょう。
KEGG MEDICUSの「医療用医薬品 : アボルブ」によると、女性や子どもへの投与は禁忌とされています。これは、有効成分であるデュタステリドが、男性ホルモンに作用する性質を持つためです。特に、妊娠中や妊娠の可能性がある女性が体内にデュタステリドを取り込むと、男性胎児の生殖器の発達に影響を及ぼすおそれがあります。
アボルブカプセルが破損したり漏れ出たりした場合、皮膚からもデュタステリドの成分は吸収されます。アボルブカプセルを服用する際は、女性や子どもの手の届かない場所に保管し、取り扱いには細心の注意を払いましょう。また、デュタステリドは精液中にも微量移行するため、妊娠を希望するパートナーがいる場合は避妊、もしくは使用を控えることが推奨されます。妊娠中や妊娠の可能性がある女性が破損・粉砕したアボルブカプセルに触れた場合は、直ちに洗い流して医師に相談してください。
参考:KEGG MEDICUS「医療用医薬品 : アボルブ」
アボルブカプセルの有効成分デュタステリドは、肝臓で代謝されて体外に排出されます。そのため、重度の肝機能障害がある方が服用すると、デュタステリドの血中濃度が上昇し、副作用のリスクが高まるため禁忌とされています。なお、軽度〜中等度の肝機能障害では慎重投与とされています。
肝疾患の既往歴がある方や、現在肝臓の治療を受けている方は、アボルブカプセルの服用を検討する前に医師へ相談しましょう。また、服用開始後も定期的な肝機能検査を受けることで、早期に問題を発見できます。
肝機能障がいの症状には、倦怠感や食欲不振、吐き気、黄疸などがあります。アボルブカプセルの服用後に症状が現れた場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
アボルブカプセルを服用する際は、ほかの医薬品との飲み合わせに注意が必要です。
有効成分のデュタステリドは、主に肝臓の酵素(CYP3A4)によって代謝されます。アボルブカプセルの服用中に酵素の働きを阻害する薬剤を併用すると、デュタステリドの血中濃度が上昇する可能性があります。ただし、臨床的に重大な影響は限定的とされています。
併用によって副作用のリスクが高まる恐れがあるため、現在服用している医薬品があれば、事前に医師や薬剤師に伝えてください。また、処方箋医薬品だけでなく、市販薬やサプリメントとの相互作用も考えられるため、新たに何かを服用し始める際も医師や薬剤師に相談しましょう。
アボルブカプセルの有効成分デュタステリドは、前立腺がんの腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)の値を低下させる作用があります。PSAは前立腺がん発見の指標に使われる腫瘍マーカーであるため、アボルブカプセルを服用する場合は注意が必要です。
デュタステリドを服用すると、6ヶ月以降に PSA値は約50%減少することが知られています。この影響を知らずにPSA検査を受けた場合、実際には前立腺がんがあっても値が低く出てしまい、発見が遅れる危険性があります。
そのため、健康診断などでPSA検査を受ける際は、アボルブカプセルを服用している旨を医師に申告しましょう。事前に申告することで、医師は服用後のPSA値を2倍にして評価するなどの対応ができるので、前立腺がんのリスク評価をより正確に行えます。
アボルブカプセルにはデュタステリドが含まれているため、服用中および服用中止後6ヶ月間は献血できません。
アボルブカプセルを服用していると、献血された血液が妊婦や妊娠の可能性がある女性に輸血され、男性胎児の生殖器の形成に影響を与える恐れがあります。
このようなリスクを避けるために安全を確保する基準があり、体内に長期間残留する特性を持つデュタステリドは、服用中止後も6ヶ月間は献血できないとされているのです。
ここでは、アボルブカプセルに関する疑問に対し、Q&A形式で回答していきます。アボルブカプセルについて知りたい方や服用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
アボルブカプセルは、前立腺肥大症の治療を目的とした薬です。主な効果として、前立腺の肥大を抑え、排尿に関するトラブルを改善することが挙げられます。
アボルブカプセルの有効成分であるデュタステリドは、5α還元酵素阻害薬というタイプの薬剤で、男性ホルモンのテストステロンからDHT(ジヒドロテストステロン)への変換を抑えます。DHTは前立腺の肥大を促進するため、その産生を抑えることで前立腺の大きさを縮小させる効果があるのです。
アボルブカプセルの服用を始めてから効果を実感するまでには、一般的に数ヶ月〜6ヶ月ほどの期間がかかります。医師の指示に従って用法・用量を守り、適切な期間服用することが重要です。
アボルブカプセルは前立腺肥大症の治療薬として承認されており、AGAの治療薬としては承認されていません。AGA治療薬として承認されているのは、デュタステリドの成分を含むザガーロやそのジェネリック医薬品です。
AGA治療を目的としてアボルブを使用することは、適応外使用となります。AGA治療のためにアボルブを服用した場合、有効性や安全性が保証されないだけでなく、適応外使用となるため、副作用が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外となる点に注意が必要です。
AGA治療を検討されている場合は、医師の診断のもと、ザガーロやプロペシアといった適切な治療薬を処方してもらうことをおすすめします。医師との相談を通じて、自身のAGAの進行度や希望に合った治療法を見つけましょう。
女性がアボルブカプセルに触れてはいけないのは、有効成分のデュタステリドが皮膚からも吸収される性質を持っているためです。特に妊娠中や妊娠の可能性がある女性では、男性胎児への影響が懸念されます。妊娠中や妊娠の可能性がある女性の場合、体内にデュタステリドが吸収されると、男性胎児の生殖器の発達に影響を及ぼす危険性があります。
アボルブカプセルが破損したり漏れ出たりした成分に触れてしまうと、成分が体内に取り込まれる危険性があるため、妊娠中や妊娠の可能性がある女性と同居する場合は厳重に管理しましょう。デュタステリドは精液中にも微量移行するため、妊娠を希望するパートナーがいる場合は避妊、もしくは使用を控えることが推奨されます。なお、アボルブカプセルは子どもへの投与も禁忌とされています。女性や子どもの安全を確保するため、アボルブカプセルの取り扱いには細心の注意を払うことが重要です。
アボルブカプセルは、AGA治療薬のザガーロと同じデュタステリドを有効成分として含んでいます。しかし、アボルブカプセルはAGA治療を目的としたものではなく、前立腺肥大症の治療を目的として承認された薬です。アボルブカプセルをAGA治療に使用した場合、適応外使用に該当するため、万が一副作用が起きて健康被害が生じても医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。AGA治療を行う場合は、安全に服用するためにも医師の指示に従い、AGA治療薬として承認された薬を服用しましょう。
アボルブカプセルの注意点として、女性や子どもの服用は禁忌とされています。有効成分のデュタステリドには皮膚から吸収される性質があるので、家族やパートナーと同居している方は、服用時の取り扱いに細心の注意を払いましょう。