更新日:2024年03月06日
AGAは20代で発症する?薄毛の原因や対処法などを解説
- AGA診療ガイドラインによると、20代の日本人男性では約10%の人がAGAを発症する
- 20代でAGAを発症する原因は、遺伝や過度なストレス、生活習慣の乱れなど
- AGAは進行性の病気のため、20代で発症した際はできる限り早めに治療を開始するのが得策
20代で抜け毛や薄毛が気になり始めた方の中には、「AGAを発症しているのではないか」「AGAを発症したらどうすれば良いのか」と不安に思っている方もいるかもしれません。AGAは進行性の病気のため、薄毛の症状が悪化して手遅れになることがないよう、発症した際はできる限り早く治療を開始することが大切です。
当記事では、20代でAGAを発症する割合や原因、対処法を解説します。また、AGA以外で抜け毛や薄毛の原因となる病気についても説明するので、ぜひ参考にしてください。
20代でもAGAを発症する可能性はある
40代や50代の方に比べると少ないものの、20代の方もAGAを発症する可能性があります。
日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(以下:AGA診療ガイドライン)によると、日本人男性の約30%がAGAを発症し、20代では約10%の人がAGAを発症するとされています。
AGAは進行性の病気のため、発症したにもかかわらず放置すると、症状が悪化してしまいます。医療機関で受診し、治療を開始することで症状を改善させることが可能です。
AGAを発症しているかもしれないと感じたら、皮膚科のクリニックやAGA専門のクリニックなどで早めに診察を受けましょう。
参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
20代でAGAを発症する原因
20代でAGAを発症する原因として考えられるのは、主に以下の4つです。
- 遺伝
- 過度なストレス
- 生活習慣の乱れ
- 間違ったヘアケア
それぞれについて解説します。
遺伝
AGA診療ガイドラインによると、AGAの発症には遺伝と男性ホルモンが関与しているとされています。
そもそもAGAは、男性ホルモンの1種であるテストステロンと5αリダクターゼという酵素が結合することにより、ジヒドロテストステロンという男性ホルモンが生成されることで発症します。ジヒドロテストステロンが男性ホルモンレセプターという受容体に結合することで抜け毛の原因となる脱毛因子が生成され、髪の毛が成長しづらくなって髪が細くなったり抜け毛が増えたりします。
5αリダクターゼや男性ホルモンレセプターの活性度の高さは遺伝するとされており、活性度が高いとAGAを発症しやすいといわれています。
参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」
過度なストレス
過度なストレスを受けると、交感神経や副交感神経といった自律神経のバランスが崩れるおそれがあります。
通常、日中は交感神経が優位になり、血管が収縮し心拍数が増えて体が活発に動きます。しかし、ストレスによって自律神経のバランスが崩れ、夜も交感神経が優位になると、血管の収縮が続き、血流が滞ることで頭皮に栄養が運ばれにくくなります。
頭皮に栄養が行き渡らなくなると、髪の毛が育ちにくくなり、薄毛を引き起こすおそれがあるでしょう。
生活習慣の乱れ
食事や睡眠などの生活習慣が乱れていると、髪が成長しづらくなり、薄毛につながる可能性があります。
たとえば食生活では、脂質や糖質の多い食事が続くと、血流が悪くなって、髪に栄養が届きにくくなります。揚げ物や菓子類などは食べ過ぎないようにし、栄養バランスの良い食事をとることを心掛けましょう。
なお、飲酒は適量を守れば問題ないとされていますが、過度な飲酒は血行不良を招いてしまい、髪に栄養が届きづらくなって薄毛を引き起こすおそれがあります。また、就寝前の飲酒は夜中に目が覚める原因となり、睡眠の質を低下させて成長ホルモンの分泌に悪影響を与えるため、いわゆる「寝酒」をする習慣がある人はやめるようにしましょう。
また、睡眠中は髪の成長や体の修復を促す成長ホルモンが分泌されます。
睡眠の時間や質が十分でないと、成長ホルモンの分泌量が減ってしまい、髪が成長しづらくなる可能性があります。
間違ったヘアケア
「頭皮の汚れをとるために」という思いから、シャンプーの際に強い力でゴシゴシと洗う、1日に複数回シャンプーするといったことをすると、頭皮を傷つけたり頭皮に必要な皮脂まで落としたりして、頭皮環境が悪化するおそれがあります。洗髪の際は指の腹で優しくマッサージするように洗い、終わったらすすぎ残しがないよう2~3分ほどかけて頭皮全体を流しましょう。
AGAの原因については、「AGAの原因は?治療方法や進行を遅らせるための対策を解説」でも詳しく解説しています。
20代でAGAを発症した場合の対処法
20代でAGAを発症した場合、対処法として考えられるのは主に以下の3つです。
- 処方薬によるAGA治療を開始する
- 生活習慣を見直す
- 適切なストレスケアやヘアケアを行う
それぞれについて解説します。
処方薬によるAGA治療を開始する
AGAは進行性の病気で自然治癒はしないため、治療を開始しないと症状が悪化してしまいます。
症状が悪化してからAGA治療に取り組むと、効果を実感するまでに時間がかかったり費用が高くなったりする可能性があります。薄毛が気になり始め、AGAを発症しているかもしれないと感じたら、治療を検討したほうがよいでしょう。
AGA治療薬について詳しく知りたい方は、「AGA治療薬の種類と効果、副作用とは?」も参考にしてみてください。
生活習慣を見直す
薄毛の症状を悪化させないために、食事や睡眠、運動などの生活習慣を見直すことが大切です。
食事の際は、栄養のバランスをとるために、主食・主菜・副菜を組み合わせることを心掛けましょう。主食は米やパン、めん類、主菜は魚や肉、卵、大豆製品などを使った料理、副菜は野菜などを使った料理を指します。
なお、髪の毛の成長には、特にタンパク質や亜鉛、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンCが必要です。タンパク質は肉類や魚介類、亜鉛は牡蠣やレバー、ビタミンB2はうなぎや納豆、ビタミンB6はまぐろの赤身や鶏肉、ビタミンCはレモンやブロッコリーなどから摂ることができます。バランスのとれた食事を意識しつつ、これらの栄養素を積極的に摂ることも心掛けてみましょう。
また、髪の毛の成長に大切な成長ホルモンは、良質な睡眠をとることで分泌されます。睡眠の質を高めるために、入浴はできる限り就寝の2~3時間前に済ませる、就寝前の食事や喫煙、カフェイン・アルコール摂取は避けるといったことを実践してみてください。
そのほか、日常生活に運動を取り入れることで、血行不良を改善したりストレス解消を図ったりでき、薄毛の悪化を防げる可能性があります。ウォーキングやジョギングなど自身が取り組みやすい運動を選び、継続的に行うようにしましょう。
参考: 農林⽔産省「ちょうどよいバランスの食生活」 e-ヘルスネット(厚生労働省)「快眠と生活習慣」
適切なストレスケアやヘアケアを行う
適切なストレスケアやヘアケアを行うことも、頭皮環境を改善するために大切です。
ストレスを溜めないよう、運動する、好きな音楽を聴くといった方法でリフレッシュすることを心掛けましょう。睡眠時間を確保し、心身を休めることもストレス緩和のために大切です。
そのほか、頭皮環境を整えるために、頭皮マッサージをするのも一つの方法です。頭皮マッサージによって頭皮の血流を良くすることで、髪に栄養が行き渡りやすくなり、髪の毛が成長しやすくなると考えられます。頭皮マッサージは1日に1~2回、それぞれ3~5分程度行い、毎日取り組むことで頭皮環境の改善につながりやすくなるでしょう。
20代でAGA治療を始めるメリット・デメリット
20代でAGA治療を行う場合、メリットだけでなくデメリットもあります。モチベーションを維持してAGA治療を行えるよう、早めに治療を始めたほうが良い理由やAGA治療の大変だと感じやすい部分を把握しておきましょう。
20代でAGA治療を始めるメリット
20代でAGAを発症した際、早期に治療を開始することで、治療の選択肢を広げられる、費用が高額になるのを抑えられるといったメリットがあります。
AGAの治療方法には投薬や植毛、増毛などがありますが、治療を行わず薄毛が進行してしまうと、投薬治療では効果を得づらかったり自毛による植毛が難しくなったりする可能性があります。また、早期に治療を始めなかったことで重症化してしまうと、その分治療期間が長くなったり費用が高額になったりするおそれがあるため、早めに治療を開始するのが得策です。
20代でAGA治療を始めるデメリット
AGAの主な治療方法である投薬治療を行う場合、薄毛の進行を抑えるには継続的にAGA治療薬を服用・使用する必要があり、長期的な治療にストレスを感じる場合があります。AGA治療薬の服用・使用を開始し、効果を感じられるまでには半年~1年ほどかかります。また、効果を得た状態を維持するには、基本的に薬の服用・使用を続ける必要があり、中止すると再びAGAが進行するおそれがあります。
ただし、早期に治療を開始して効果を得られれば、減薬が可能になることもあるでしょう。治療を開始する際、自身が目指す頭髪の状態を医師に相談し、ゴールを決めて取り組むとモチベーションを維持しやすくなると考えられます。
AGA治療のデメリットについては、「AGA治療のデメリットとは?後悔しないポイントも解説」でも詳しく解説しています。
AGA以外の脱毛の原因
「AGAを発症しているかもしれない…」と思ったとしても、別の病気が原因で薄毛が進行している可能性もあります。
ここでは、AGA以外で脱毛を引き起こす病気について解説します。
脂漏性脱毛症
脂漏性脱毛症は、脂漏性皮膚炎によって起こる脱毛症です。
脂漏性皮膚炎を発症すると、頭皮にニキビやフケなどの症状が出ます。脂漏性皮膚炎によって頭皮環境が悪化すると、抜け毛が増えて脂漏性脱毛症につながってしまいます。
びまん性脱毛症
主に女性に見られる脱毛症ですが、男性も発症する場合があります。
びまん性脱毛症は、栄養不足やホルモンバランスの乱れ、血行不良などが原因で髪の毛が細くなり、抜け毛が起こる病気です。
びまん性脱毛症の場合、薄毛の症状は頭部の一部に起こるのではなく、全体的に髪のボリュームが減るのが特徴です。
円形脱毛症
円形脱毛症は、体の免疫システムが毛包の組織(髪を作る組織)を壊そうとする反応によって、毛包の周りに炎症が起こり、髪の毛が抜けてしまう病気です。
円形脱毛症には、円形脱毛が1ヶ所だけある単発型、円形脱毛が2ヶ所以上ある多発型、頭部全体が脱毛する全頭型、眉毛や脇毛などの体毛も抜ける汎発型、生え際が帯状に脱毛する蛇行型があります。
頭部白癬
頭部白癬(しらくも)は、カビの一種である白癬菌によって起こる病気です。楕円形に髪の毛が抜けたり、頭皮にフケのような鱗屑(りんせつ)が現れたりします。
円形脱毛症や脂漏性皮膚炎と間違えてステロイドを使用してしまうと、膿みや痛みが現れるケルスス禿瘡(とくそう)という状態になることがあります。
甲状腺疾患
橋本病(甲状腺機能の低下)やバセドウ病(甲状腺機能の亢進)などの甲状腺疾患によって脱毛が起こる場合もあります。甲状腺はのどぼとけ付近にあり、甲状腺ホルモン(新陳代謝を促すホルモン)を分泌する臓器です。
甲状腺機能が低下して甲状腺ホルモンの分泌量が減ると、髪の元となる毛母細胞の細胞分裂が減って髪が成長しづらくなります。また、甲状腺機能が亢進して甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、新陳代謝が活発になり過ぎて成長途中の髪が抜け落ちてしまい、薄毛につながるおそれがあります。
まとめ
20代の人もAGAを発症する可能性があることを解説しました。20代でAGAを発症する主な原因として、遺伝や過度なストレス、生活習慣の乱れ、間違ったヘアケアがあげられます。
AGAは進行性の病気で、発症したにもかかわらず放置すると症状が悪化してしまうため、薄毛が気になり始めた際は早めに診察を受けましょう。
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この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会