更新日:2026年10月28日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
フィナステリドを服用中でも妊活ができるのか疑問を持っている方もいるかもしれません。妊活する場合、フィナステリドは3ヶ月前からの休薬が目安とされています。精液中への成分移行や、割れた錠剤を女性が触ることで男児胎児の生殖器発育に悪影響を及ぼすリスクが報告されているためです。妊活開始3ヶ月前からの休薬の目安や、代替治療に関しては医師に相談してください。
フィナステリドは精液中へ微量移行することが報告されていますが、通常量の服用によって胎児へ悪影響を及ぼすことを示す十分な証拠はありません。
一方で、万が一のリスクを懸念して休薬を検討するケースもあります。 押さえておきたいポイントは下記の通りです。
レバクリを通じた診療では、妊活中の方に対しては慎重を期す観点から、医師によるフィナステリドの処方を行っていません。

フィナステリドを服用すると成分が血液や精液中に移行するため、休薬して体内から成分を排出しておきます。
海外の研究では、フィナステリドの服用を中止した後に、精子濃度や精子の運動率が改善したという調査結果もあります。精子の数が多く、活発度が高いと、妊娠につながりやすくなります。 妊活を計画する3ヶ月前には医師に相談のうえ、計画的に休薬を進めることが大切です。
参考:ELSEVIER「Finasteride use in the male infertility population: effects on semen and hormone parameters」 National Library of Medicine「Finasteride use in the male infertility population: effects on semen and hormone parameters」

フィナステリドを服用することで、稀に副作用が発現することがあります。特に妊活と関連の深い性欲減退やEDなどについて、以下で解説します。
フィナステリドの服用に伴って、性欲が減退することで性行為に消極的になり、妊活に影響が出る可能性があります。フィナステリドの添付文書によると、発症頻度は1~5%未満とされています。また、国内の臨床試験のデータでは、1.1%と報告されています。 なお、フィナステリドによる性欲減退の詳しい発現機序は明らかになっていません。
フィナステリドの添付文書によると、ED(勃起障害)の発症頻度は1%未満と報告されています。 EDを発症すると、十分な勃起が得られなかったり、勃起が維持できなくなったりするため、妊活に影響を与える可能性があるといえるでしょう。
フィナステリドの服用によって起こる精液量の減少はED(勃起障害)と同様に1%未満とされています。 精液量は精液検査で評価する項目の一つですが、妊孕性(妊娠するための力)は精液量だけで決まるものではありません。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」
妊活中や妊娠中、授乳中の女性、および未成年の子どもにおけるフィナステリドの服用や接触は厳禁です。そのため、下記の項目に注意して取り扱う必要があります。
最大のリスクは、妊娠中の女性が成分を取り込むことで、お腹の男児の生殖器に発育異常(奇形)を引き起こす恐れがある点です。また、授乳中の女性については、母乳中への移行や乳児への影響に関する十分な情報がないため、使用は避けてください。 フィナステリドの成分は経口摂取(服用)だけでなく、触るだけで皮膚からも吸収されます。そのため、コーティングされていない割れた錠剤や粉末などに触れるだけでも影響が及ぶ可能性があるため、危険です。 女性や子どもが意図せず薬剤に接触しないよう、保管には細心の注意を払ってください。

妊娠中の女性がフィナステリドを服用したり、接触したりすることは厳禁です。パートナーとも事前に薬の扱いについて話し合っておきましょう。
日本で承認されているAGA治療薬は、フィナステリドのほかにも、デュタステリドやミノキシジル(外用薬)があります。
| 治療薬 | 妊活への影響 | 休薬の目安 | 女性の取り扱い |
|---|---|---|---|
| フィナステリド | 精液中への移行はごくわずか。性欲減退・ED・精液量減少の可能性がある。体内から成分が抜けるまで約1ヶ月かかる | 妊活の3ヶ月前を目安に検討 | 妊娠中・妊娠の可能性がある方は服用・接触禁忌 |
| デュタステリド | フィナステリドと同様で、体内から成分が抜けるまで約6ヶ月かかる | 妊活の6ヶ月前を目安に検討 | 妊娠中・妊娠の可能性がある方は服用・接触禁忌 |
| ミノキシジル(外用) | 男性が使用するミノキシジル外用薬について、妊活への影響を示す十分なデータはない | 定めなし ※気になる場合は医師に相談 | 妊婦・授乳婦は使用しない |
フィナステリド以外のAGA治療薬が妊活に及ぼす影響について解説します。
デュタステリドは、妊活を開始する約6ヶ月前からの休薬が推奨されます。 デュタステリドは、フィナステリドと同じく薄毛の原因となる5αリダクターゼの働きを阻害する薬です。フィナステリドがII型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害します。 デュタステリドは消失半減期が長く、服用中止後も一定期間体内に残存するため、休薬については医師と相談することが重要です。
男性が使用するミノキシジルの外用薬(塗り薬)について、妊活への影響を示す十分なデータはありません。また、ミノキシジル内服薬は日本ではAGA治療薬として承認されておらず、男性の妊活への影響については十分なデータがないため、服用中の場合は医師に相談しましょう。 妊娠中または妊娠の可能性がある女性、および授乳中の女性は、ミノキシジル外用薬を使用しないでください。また、ミノキシジル内服薬についても、妊娠中・授乳中の使用は避ける必要があります。市販の外用薬(リアップなど)の添付文書にも、妊婦・授乳婦は使用しないことと明記されています。胎児や乳児への安全性が確保されていないため、使用は控えてください。
個人輸入により入手した医薬品は、品質管理の状況が確認できない場合があります。 また、健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる点にも注意が必要です。妊活中はパートナーや将来生まれてくる子どもの健康にも関わるため、フィナステリドは医療機関を通じた診察と処方を受け、出所を確認できるものを使用することを推奨します。
参考:厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
フィナステリドやデュタステリドなどを使わないAGAの治療方法として、自毛植毛やLEDおよび低出力レーザー照射といった治療方法が挙げられます。 日本皮膚科学会が策定した診療ガイドラインにおいても「行うよう勧める(推奨度B)」と位置づけられており、医学的な根拠が認められています。 これらの代替療法について解説します。
自毛植毛は、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部にある自身の毛包を採取し、薄毛が気になる部分へ移植する外科手術です。 自身の組織を使用する自毛植毛は、人工毛を用いる人工植毛とは異なり、免疫による拒絶反応が起きない点が大きな特徴です。移植した毛髪は定着すれば元の性質を保ったまま成長を続けるため、長期間にわたる生え変わりが期待できます。 自毛植毛は、フィナステリドなどの継続的な内服を必要としない治療法ですが、手術時には局所麻酔薬などを使用します。妊活中の場合は、その旨を事前に医師へ伝えましょう。 施術後に一時的な痛みや赤み、腫れなどが生じる可能性はありますが、かさぶたの形成や時間の経過とともに治まることがほとんどです。
LEDおよび低出力レーザー照射は、特定の波長の低出力レーザー光やLED光を頭皮に照射する治療法です。 LEDや低出力レーザーの照射により、毛包細胞の働きや毛髪の成長が促される可能性が示されています。ただし、発毛を促す詳しい作用機序については、十分に解明されていません。 治療に伴い、頭皮のかゆみや赤み、不快感などが生じる場合があります。薬剤を使用しない治療法であり、精子や胎児への悪影響を示す明確な報告はありませんが、妊活中の場合は治療の適応について医師に相談しましょう。
フィナステリドは、体内からの成分排出と精子の形成サイクルを考慮し、妊活の3ヶ月前からの休薬が目安とされています。 同様に、デュタステリドも妊活の6ヶ月前を目安にした休薬が推奨されます。ミノキシジル外用薬は妊活への影響を示す十分なデータはないものの、パートナーへの付着リスクがあるため医師への相談が推奨されます。 薄毛治療と安全な妊活を両立させるため、妊活中のAGA治療は必ず医師に相談し、パートナーとも話し合いながら適切な計画を立てましょう。
ELSEVIER「Finasteride use in the male infertility population: effects on semen and hormone parameters」 National Library of Medicine「Finasteride use in the male infertility population: effects on semen and hormone parameters」 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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