更新日:2026年03月24日
「AGA治療薬のデュタステリドがどのように作用するのか、仕組みを理解したい」と考えている方もいるかもしれません。デュタステリドの作用機序は、AGAの原因となるDHTを阻害することです。
本記事では、デュタステリドの作用機序について、その仕組みなどを詳しく解説します。デュタステリドの特徴やフィナステリドとの違いを知ることで、安心して治療に進めるようになるでしょう。
デュタステリドは、DHT(ジヒドロテストステロン)の生成を阻害することで薄毛の進行を抑える薬です。DHTとは、AGA(男性型脱毛症)の原因となる男性ホルモンの一種です。
デュタステリドの作用機序を知るためには、AGAのメカニズムや5αリダクターゼの存在についてを知っておいたほうが理解が進みます。
ここからは、DHTと薄毛の関係について、デュタステリドが5αリダクターゼを阻害する仕組みを紹介します。
DHTはAGAの主要な原因物質と考えられています。DHTは、男性ホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼという酵素が結びつき、変換されたものです。

変換されたDHTは毛包(髪の毛が生える袋状の組織)に影響を及ぼします。DHTが毛包の中にある受容体と結合することで毛包が萎縮し、抜け毛が進行します。つまり、DHTが健康的な毛包へ悪影響を与え、ヘアサイクルが乱れて抜け毛につながるのです。DHTによって萎縮した毛包から生える毛は、コシがなく弱々しい特徴があります。
また、「男性ホルモンが多いとAGAになる」と考えられがちですが、実際は男性ホルモン全般ではなく、テストステロンと5αリダクターゼから変換されるDHTがポイントなのです。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「5α還元酵素1型/2型阻害薬 男性型脱毛症治療薬 劇薬、処方箋医薬品 デュタステリド製剤」によると、デュタステリドは、テストステロンをDHTへ変換する5αリダクターゼのI型とII型を阻害すると記されています。
前述のとおり、AGAでは、テストステロンと5αリダクターゼが結びつくことでDHTへ変換されます。しかし、デュタステリドを服用すると、5αリダクターゼの働きが阻害され、DHTの生成が減少する可能性が高まるのです。
表にまとめると以下のようになります。
| AGAの状態 | デュタステリド服用状態 |
|---|---|
| テストステロンと5αリダクターゼが結びつく | 5αリダクターゼの働きが抑えられる |
| DHTへと変換される | DHTへの変換が抑えられる |
| 毛包へ悪影響を与え、抜け毛につながる | 毛包への悪影響が抑えられる |
このように、デュタステリドは5αリダクターゼの活性を抑制することで、DHTの量を抑えられます。DHT濃度が低下した結果、ヘアサイクルの乱れが整い、髪の毛が育ちやすい環境へとつながるのです。
ただし、デュタステリドは5αリダクターゼを完全にゼロにするわけではなく、あくまで抑制する点に注意しましょう。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「5α還元酵素1型/2型阻害薬 男性型脱毛症治療薬 劇薬、処方箋医薬品 デュタステリド製剤」

デュタステリドのほかに、フィナステリドというAGA治療薬もあります。これらの作用機序の違いは、阻害する5αリダクターゼの種類です。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「5α-還元酵素 型阻害薬 男性型脱毛症用薬 劇薬、処方箋医薬品 フィナステリド錠」によると、フィナステリドは5αリダクターゼII型を選択的に阻害し、テストステロンからDHTへの変換を阻害します。一方、デュタステリドは、5αリダクターゼI型とII型の両方を阻害します。
フィナステリドとデュタステリドの特徴を表にまとめると、以下のとおりです。
| 薬剤名 | 特徴 |
|---|---|
| フィナステリド | 5αリダクターゼII型を選択的に阻害し、DHTへの変換を抑制する |
| デュタステリド | 5αリダクターゼI型およびII型を阻害する |
どちらの薬剤を服用すべきかは、人それぞれ異なるため、医師の判断に従いましょう。効き方にも個人差があるため、慎重な判断が必要です。
ここからは、デュタステリドとフィナステリドの違いを知るために、5αリダクターゼI型とII型の違い、デュタステリドの効果が強いといわれている理由を紹介しましょう。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「5α-還元酵素 型阻害薬 男性型脱毛症用薬 劇薬、処方箋医薬品 フィナステリド錠」
5αリダクターゼには、主にI型とII型の2種類があります。体内での分布が異なる点が特徴です。
5αリダクターゼI型は、主に全身の皮脂腺に広がっており、頭皮では、側頭部や後頭部に分布しています。一方、II型は主に髭や脇、前立腺などに多く存在し、頭皮では前頭部や頭頂部に分布しているのが特徴です。このII型は、髭や脇では発毛を促進する一方で、頭皮においては脱毛を促すといわれています。
5αリダクターゼI型とII型、どちらの型がAGAに作用しやすいかは個人差があります。そのため、フィナステリドで効果が出にくかった方が、I型とII型を抑制するデュタステリドへと変更する場合もあるのです。
デュタステリドの効果が強いといわれる主な理由は、I型とII型の5αリダクターゼを阻害できるからです。これにより、体内のDHT濃度をより広範囲に抑制できる可能性があります。
また、National Library of Medicineの「Comparison of Clinical Trials With Finasteride and Dutasteride」によると、フィナステリドが投与された患者のDHT濃度平均減少率が約70%である一方で、デュタステリドが投与された患者のDHT濃度平均減少率は約90%だと報告されています。
しかし、効果の実感には個人差があり、すべての方がこのような効果を感じるわけではありません。さらに、効果が現れ始める時期に関しても個人差が大きく、すぐに効果を期待するものではないことを理解しておきましょう。
デュタステリドには良い点もありますが、注意点もあります。注意点については後述するため、続けてご覧ください。
参考:National Library of Medicine「Comparison of Clinical Trials With Finasteride and Dutasteride」

デュタステリドを服用すると、頭皮や毛包レベルではどのような変化が起こるのでしょうか。一般的な経過を時系列で見ていきましょう。
| 服用開始~3ヶ月 | 3ヶ月~6ヶ月 | 6ヶ月~ |
|---|---|---|
| ・外見の変化は現れにくい ・一時的に初期脱毛がみられる可能性がある | ・抜け毛の減少を実感しやすい ・髪の毛が太くなったと感じやすい | ・髪の毛の密度が高まる傾向がある ・外見の変化を実感しやすい |
3ヶ月以降から少しずつ変化が感じられ、6ヶ月以上服用することで、効果が現れやすい傾向にあります。ただし、これらの変化は一般的な傾向であり、個人差があります。
最低6ヶ月以上の服用がなければ、効果の評価をしにくいため、自己判断で服用中止しないよう注意しましょう。
デュタステリドは、髪の毛のヘアサイクルに影響を与えます。ヘアサイクルには「成長期・退行期・休止期」があり、正常な状態では以下のように回っています。

しかし、AGAの状態では、DHT濃度が高いことで毛包が萎縮し、成長期が短くなるのです。これにより、毛が十分に育つ前に細く短い毛が増え、抜け毛につながります。
デュタステリドはDHT濃度を低下させることで、毛包の萎縮を抑制し、成長期が保たれやすくなります。その結果、より長い期間で髪の毛が成長でき、太く長く育ちやすい環境が整うのです。
デュタステリドの副作用は、作用機序であるホルモン環境の変化に起因しているケースがあります。独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の「5α還元酵素1型/2型阻害薬 男性型脱毛症治療薬 劇薬、処方箋医薬品 デュタステリド製剤」によると、主な副作用は「勃起不全4.3%(24/557例)、リビドー減退3.9%(22/557例)、精液量減少1.3%(7/557例)」です。リビドーとは、性的欲求のことを指します。
これらの副作用が出る可能性は個人によって異なります。気になる症状が出た場合、すみやかに医師に相談しましょう。
また、女性や重度の肝機能障害がある方への投与は禁忌とされています。理解した上で、服用を検討しましょう。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「5α還元酵素1型/2型阻害薬 男性型脱毛症治療薬 劇薬、処方箋医薬品 デュタステリド製剤」
デュタステリドにおける性機能関連の副作用は、DHT濃度の低下が関係している可能性があります。
前述しているとおり、デュタステリドの主な作用機序はDHTを低下させることです。DHTは男性ホルモンの一種で、毛髪に関する作用以外に、男性の性機能においても一定の役割を担っています。そのため、DHTが低下することで性機能関連の副作用につながる場合があるのです。
デュタステリドの副作用について、詳しくは「デュタステリドの副作用とは?主な症状や服用する際の注意点を解説」でも解説していますので、気になる方はご覧ください。

副作用は頻度と重さが大切です。不安があれば、早めに医師へ相談しましょう。
デュタステリドの効果を実感するには一定の期間が必要です。これはヘアサイクルの特性によるものです。
髪の毛は一度にすべてが生え変わるわけではなく、1本1本が各々に成長と休止を繰り返しています。AGAが進行している場合、多くの毛包がDHTの影響で萎縮し、短い成長期間で細い毛を生み出します。そこでデュタステリドを服用すると、DHT濃度が低下し、成長期が延びるため、乱れていたヘアサイクルは正常な状態へと近づいていくのです。
しかし、DHT濃度が下がっても、今生えている毛がすぐに太くなるわけではありません。新しいヘアサイクルが始まり、DHT濃度が低い環境で毛が成長することで、徐々に変化が現れてきます。つまり、髪の毛が伸びるのに時間が必要なように、デュタステリドの効果にも時間がかかるのです。
デュタステリドは、6ヶ月以上の服用が推奨されており、効果を評価するための期間も6ヶ月程度といわれています。服用を開始したら、まず6ヶ月は様子を見ましょう。もし効果が実感できないと不安に感じる場合は、自己判断せず、医師へ相談するのがおすすめです。

デュタステリドが効くまでの目安期間を知ると、継続判断がぶれにくくなります。ただし、副作用など何か気になることがあれば、すぐに医師へ相談しましょう。
デュタステリドの作用機序は、AGAの原因物質であるDHTの生成を抑えることです。テストステロンをDHTに変換する5αリダクターゼのI型とII型を阻害します。通常、AGAではDHTが毛包と結合して萎縮し、抜け毛を進行させます。しかし、デュタステリドによりDHT生成が抑制されると、毛包への悪影響が軽減され、髪が育ちやすい環境が整うのです。
デュタステリドはII型のみを阻害するフィナステリドとは異なり、I型とII型の両方を阻害するため、より広範囲に作用します。個人差がありますが、一般的に服用開始から6ヶ月で効果を実感しやすくなります。ただし、作用機序によるDHT濃度の低下によって、勃起不全やリビドー減退などの副作用リスクがあることも理解しておくべきです。
デュタステリドの作用機序を把握することで、治療の仕組みや効果、副作用のリスクが理解でき、安心して治療に臨めるでしょう。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「5α還元酵素1型/2型阻害薬 男性型脱毛症治療薬 劇薬、処方箋医薬品 デュタステリド製剤」
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「5α-還元酵素 型阻害薬 男性型脱毛症用薬 劇薬、処方箋医薬品 フィナステリド錠」
National Library of Medicine「Comparison of Clinical Trials With Finasteride and Dutasteride」