更新日:2026年03月27日
フィナステリドに性欲減退の副作用があると聞いて、AGA治療の開始や継続を迷う方もいるのではないでしょうか。フィナステリドはAGA治療に用いられる内服薬ですが、男性ホルモンに作用するため、性欲減退などの副作用が発現する可能性はゼロではありません。
本記事ではフィナステリドで起こり得る副作用や、性欲減退を感じた場合の対処法などを解説するので、治療を検討するための参考にしてみてください。
フィナステリドの服用によって、性欲減退が起こる可能性はゼロではありません。ただし、性欲減退の原因は薬以外にも考えられるため、ほかの要因が影響している可能性も考慮する必要があります。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」によると、フィナステリドの有効性及び安全性に関する試験では、性機能に関する副作用は0.2mg投与群で1.5%(137件のうち2例)、1mg投与群で2.9%(139件のうち4例)認められたと報告されています。
また、同資料によるとフィナステリド0.2mg及び1mg投与群に認められた主な症状はリビドー減退1.1%(276件のうち3例)です。
また、勃起機能不全0.7%(276件のうち2例)の報告もあります。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」
副作用の症状を感じた場合は、自己判断で服用を中止するのは避け、処方医に相談しましょう。医師に相談することで、症状と薬の関連性が評価できます。また、症状に応じた対策をとることも可能になるでしょう。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬男性型脱毛症用薬」で報告されているフィナステリドの副作用には、以下もあります。
※いずれも頻度不明
なお、フィナステリドの服用を開始して必ずしも副作用が発現するわけではなく、個人差がある点に留意しましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」
フィナステリド服用中に性欲減退を感じたとしても、それが必ずしも薬の副作用とは限りません。たとえば、加齢によって男性ホルモンのテストステロンが減少したり、ストレスや睡眠不足が影響してホルモンバランスが乱れたりするなど、性欲に影響を及ぼす原因は複数あります。
また、複数の要因が複合的に影響する可能性もあるため、薬のせいだと決めつけず、医師の判断を仰ぐことが大切です。

副作用の発現には個人差があるため、迷ったら医師に相談するのが望ましいでしょう。体調の変化を副作用と断定し、自己判断で薬の服用を中止することはおすすめしません。反対に、治療を継続したいからと副作用の症状をそのままにするのも避けたほうが良いでしょう。
フィナステリドは、5αリダクターゼ2型という酵素を阻害する働きを持つ内服薬です。
5αリダクターゼは、男性ホルモンのテストステロンと結合するとジヒドロテストステロン(DHT)に変換されます。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
このDHTが、頭頂部と前頭部の毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体(レセプター)と結合すると、ヘアサイクルの成長期が短縮し、薄毛を引き起こします。フィナステリドはDHTの生成を抑制することで、乱れたヘアサイクルを正常化します。
AGA治療でフィナステリドを服用する目的は、乱れたヘアサイクルを正常化し、抜け毛を抑制することです。
ヘアサイクルには退行期・休止期・成長期という3つの段階がありますが、ヘアサイクルが乱れて成長期が短くなると、髪の毛が十分に成長しないまま髪の毛が抜け落ち、薄毛が進行してしまいます。このヘアサイクルを乱す原因の一つがDHTです。
なお、フィナステリドは男性型脱毛症のみの適応であり、女性や小児に対する適応はありません。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」によると、「20歳未満での安全性及び有効性は確立されていない」「女性に対する適応はない」とされています。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」
フィナステリドと性欲減退の関連が不安視される背景には、男性ホルモンに作用する薬である点が挙げられます。フィナステリドは5αリダクターゼを阻害し、テストステロンからDHTへの変換を抑制します。テストステロンは性欲に関わるホルモンのため、男性ホルモン=テストステロンと考えている人の場合、男性ホルモンに作用する薬=性機能に必ず影響があるのではないかというイメージを持つかもしれません。
しかし、フィナステリドは男性ホルモンのテストステロン自体を減らすわけではなく、あくまでテストステロンからDHTへの変換を抑制する薬です。
フィナステリド服用による性欲への影響の有無や程度には個人差がある点に留意することが大切です。
DHTについて詳しく知りたい方は、「ジヒドロテストステロンとは?抑制する3つの方法も紹介」も参考にしてみてください。

フィナステリドの作用機序や副作用に関する考え方を知ることは、冷静に判断するうえで大切です。性欲減退が話題になる背景には、男性ホルモンに関係する薬であるというイメージが影響しているかもしれませんが、イメージだけで判断しないようにしましょう。
ここでは、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」で報告されているフィナステリドの副作用を一覧にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 期待される効果 | 5αリダクターゼII型を阻害し抜け毛を予防する ヘアサイクルを正常化し、髪を太く長く育ちやすくする |
| 起こりうる副作用(性機能障害) | リビドー減退:1~5%未満 勃起機能不全:1%未満 射精障害:1%未満 精液量減少:1%未満 睾丸痛:頻度不明 血精液症:頻度不明 男性不妊症:頻度不明 精液の質低下:頻度不明 |
| 起こりうる副作用(性機能障害以外) | そう痒症 じん麻疹 発疹 肝機能障害 抑うつ症状 めまい ※いずれも頻度不明 |
次の項では、性機能障害の副作用について、具体的な症状などを紹介します。
AGA治療における副作用について詳しく知りたい方は、「AGA治療の副作用にはどんなものがある?症状や起こる確率、対処法を解説」も参考にしてみてください。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」
この項では、フィナステリドにおいて報告されている副作用について、性機能に関する内容をまとめました。副作用については、インターネット上の個人の体験談などで判断せず、報告されている臨床データを参考にすることが大切です。
以下の表は、フィナステリドの添付文書で報告されている性機能関連の副作用を整理したものです。
| 頻度 | 副作用 | 症状 |
|---|---|---|
| 1~5%未満 | リビドー減退(性欲減退) | 性欲の低下 |
| 1%未満 | 勃起機能不全 | 勃起が十分に得られない、持続しないなど(ED) |
| 1%未満 | 射精障害 | 射精が起こりにくい、時間がかかるなど |
| 1%未満 | 精液量減少 | 精液の量が減る |
| 頻度不明 | 睾丸痛 | 精巣に痛みや違和感が生じる |
| 頻度不明 | 血精液症 | 射精液に血が混じる |
| 頻度不明 | 男性不妊症・精液の質低下(精子濃度減少、無精子症、精子運動性低下、精子形態異常等) | 精子の数(濃度)が減る、動きが悪くなる(運動率低下)など |
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」
なお、上記の副作用の症状や発現頻度はすべての人に当てはまるわけではありません。発現の有無や程度には個人差があることを理解したうえで、起こり得るリスクも踏まえながら服用を検討することが大切です。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」によると、性欲減退/勃起機能不全/射精障害については、投与中止後も持続したという報告があります。また、男性不妊症・精液の質低下については、投与中止後に精液の質が正常化または改善されたとの報告があります。
副作用がいつまで続くかは一概にはいえず、まずは体調の変化に気づいた時点で処方医に相談することが大切です。薬の投薬量の調整や服用中止については、医師の指示に従いましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」

体調の変化に気づいたら記録しておくのがおすすめです。医療機関を受診する際、いつから・どのような変化があったのかが具体的に伝えられれば、医師はより正確な判断ができます。特に、症状が長く続く場合は別の原因も含めて検討する必要があるでしょう。
フィナステリドの服用中に性欲減退やEDを感じたら、以下の順番で確認してみましょう。
症状の記録の例は、「朝勃ちが減った」「性欲が少し下がった」「射精の量が減った」などです。また、生活習慣においては、アルコールや喫煙の量が増えたり、運動不足が続いていたりしないかなどを振り返ります。
フィナステリドの服用中に性欲減退やEDの症状を感じた場合、自己判断での服用中止や投薬量の変更は避けましょう。体調の変化と薬に直接的な関係がない可能性もあるため、医師の判断を仰ぐことが大切です。自己判断で薬の服用を中止すると、それまでの治療効果が失われ、AGAが再び進行する可能性があります。
また、「副作用を我慢してでも効果を得たい」との思いから、自己判断で増量するのも避けましょう。自己判断で服用量を増やすと副作用のリスクが高まる可能性があります。
さらに、個人輸入への切り替えも避けるべきです。厚生労働省の「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」によると、個人輸入した医薬品には偽造品や不純物混入のリスクがあります。また、医師の監督なしに服用することで、副作用が発現しても迅速な対応ができない恐れがあります。
個人輸入について詳しく知りたい方は、「AGA治療薬の個人輸入とは?予め知っておくべき4つのリスク」をご覧ください。
参考:厚生労働省「医薬品・医療機器」
フィナステリドの服用後に体調の変化を感じ、医療機関を受診する際に伝えるポイントを以下にまとめました。
| 伝えるポイント | 内容 |
|---|---|
| 1.症状の状況 | 症状が出始めた時期 症状の頻度・程度 症状の経過の変化 |
| 2.生活要因 | 睡眠時間や質 ストレスの有無・程度 運動・食事・アルコール・喫煙などの習慣 |
| 3. フィナステリド以外に服用中の薬など | 内服薬(抗うつ薬など) サプリメントや健康食品 |
| 4. 既往症・ほかの治療 | 持病や手術歴 ほかの治療や検査の予定 |
「以前と比べてどのくらい変化したか」「日常生活にどの程度影響しているか」といった具体的な説明があると医師も判断しやすくなります。また、仕事のストレスや睡眠パターンの変化、飲酒量の増加など、性機能に影響を与える可能性のある生活習慣についても伝えることが大切です。
これらの情報を整理して伝えることで、医師はより正確な判断ができ、適切なアドバイスや対処法を提案できます。

薬の服用に不安を感じたら、使用を中止する前に医師に相談することが大切です。
フィナステリドは妊娠または妊娠の可能性がある女性、及び授乳中の女性に投与してはならないとされています。また、粉砕・破損したフィナステリドに触れることも避ける必要があるため、薬の管理には注意が必要です。
また、フィナステリドの服用を検討または開始しており、妊活を検討している場合は、必ず医師に申告しましょう。
フィナステリドを服用している男性が特に注意すべきなのが、妊娠中または妊娠の可能性がある女性への影響です。独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」によると、フィナステリドの禁忌として、妊婦または妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性に投与してはならないとされています。
フィナステリドを妊婦に投与すると、男子胎児の生殖器官等の正常発育に影響を及ぼす恐れがあるためです。
また、パートナーが妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、フィナステリドの成分に触れることも避ける必要があります。フィナステリドの錠剤が割れたり砕けたりしないよう管理方法に注意しましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」
妊活中のフィナステリドの服用は、副作用や胎児へ影響を与える可能性がある点から処方を控えるクリニックが多くあります。フィナステリドの服用を希望しており妊活も検討している方は、受診時に医師に申告しましょう。
また、すでにフィナステリドの服用を開始しており妊活を検討し始めた方は、自己判断で服用を中断したり続けたりせず、必ず医師に相談することが大切です。
休薬するタイミングや妊活が終わったあとの服用再開については、必ず医師の指示に従いましょう。
フィナステリドの副作用が心配な方は、ミノキシジル外用薬への切り替えや薬を用いない薄毛対策などが選択肢となります。
薬を用いない薄毛対策には、不規則な睡眠や偏った食事など生活習慣の改善が挙げられます。生活習慣の乱れはAGAを直接的に引き起こすわけではありませんが、間接的に薄毛の進行に影響を及ぼす可能性があるため、薄毛対策としてできる取り組みの一つといえるでしょう。
フィナステリドの副作用が気になる方や、すでに副作用を経験した方は、代替治療としてミノキシジルへの切り替えを検討するのも選択肢の一つです。ミノキシジルは頭皮に直接塗布する外用薬で、作用機序は完全には解明されていないものの、毛包周囲の血流改善やヘアサイクルの成長期を延長する作用などがあると考えられています。ミノキシジルの場合、5αリダクターゼを阻害しテストステロンからDHTへの変換を抑制する薬ではないため、性機能への副作用のリスクを心配する必要がほとんどありません。
なお、ミノキシジル外用薬の主な副作用は、頭皮の局所的な皮膚炎です。具体的には、頭皮のかゆみや赤み、フケの増加などが報告されています。
ミノキシジルについて詳しく知りたい方は、「ミノキシジルとは?主な効果や副作用、併用できるAGA治療薬を解説」も併せてご覧ください。
AGA治療を続けるかどうかを判断する際には、治療効果と生活の質(QOL)のバランスを考慮することが大切です。薬の効果を重視する一方で、体調の変化や精神的な負担が大きくなっていないかを定期的に振り返りましょう。AGA治療に不安がある場合は医師に相談し、治療内容や進め方を見直す選択肢もあります。
相談先としては、処方を受けているクリニックがまず第一の選択肢となります。現在の症状や悩みを伝え、医師と一緒に治療方針を検討しましょう。
そのほか、通院の負担を減らしたい場合は、オンライン診療で相談する方法もあります。
自身の生活スタイルや価値観に合った方法を選び、納得したうえで治療を続けることが、長期的な治療継続につながります。
ここでは、フィナステリドによる性欲減退などの副作用について、疑問や悩みをQ&A形式で解説します。AGAの治療開始を検討中の方や、フィナステリドを服用中で副作用が気になる方は参考にしてみてください。
フィナステリドによる性機能関連の副作用が発現するタイミングについては、個人差があります。副作用の発現は、フィナステリドがホルモンバランスに影響を与え始める時期と関係しています。
また、副作用の程度も人によって異なるうえ、すべての人に発現するわけではありません。いずれにしても、気になる症状があるときは自己判断せず医師に相談することが大切です。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」によると、性欲減退/勃起機能不全/射精障害については、投与中止後も持続したという報告があります。また、男性不妊症・精液の質低下については、投与中止後に精液の質が正常化または改善されたとの報告があります。
休薬や再開は自己判断で検討するのではなく、タイミングや投薬量を医師と相談しながら決めましょう。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)「5α-還元酵素II型阻害薬 男性型脱毛症用薬」
フィナステリドの服用で性欲減退が起こる可能性はゼロではありませんが、副作用の発現には個人差があります。フィナステリドは男性ホルモンに作用する薬ですが、テストステロン自体ではなくDHTへの変換を抑制するもので、すべての人に性機能障害が起こるわけではありません。
なお、性欲減退を感じた場合は、症状を記録して医師に相談することが大切です。自己判断での服用中止は避け、医師の判断を仰ぎましょう。また、性欲減退の原因はフィナステリド以外にも、加齢やストレス、睡眠不足などの可能性もあります。
フィナステリドの副作用が心配な場合は、ミノキシジル外用薬への切り替えなど代替治療の選択肢もあります。治療効果と生活の質のバランスを考えながら、医師と相談して適した治療法を選びましょう。