更新日:2026年06月19日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「フィナステリド服用中に筋トレをすると治療効果が落ちる?」と不安な方もいるかもしれません。フィナステリドを服用しながら筋トレを行っても、筋肉の発達やAGA治療の効果に悪影響を及ぼすことはありません。
本記事では、フィナステリドの仕組みや薄毛に関連する男性ホルモンの種類、筋トレとAGAの関係について解説します。AGA治療と筋トレを両立させるポイントにも触れているので、ぜひご一読ください。
フィナステリドを服用しながら筋トレを並行しても、AGA治療の効果が損なわれることはなく、同時に筋トレによる筋肉増強の効果が落ちることもありません。
筋トレによって一時的に増加するテストステロンは筋肉の発達に関連するホルモンであり、直接的に薄毛を悪化させる要因ではないからです。フィナステリドにはAGAの原因物質が体内で作られるのを抑制する作用がありますが、筋トレによるホルモンの変化が抜け毛を防ぐ働きを妨げることはありません。
また、筋肉を育てるために必要なテストステロンをフィナステリドが減少させる心配もないため、トレーニングの成果も維持されます。したがって、フィナステリド服用中であっても、筋トレを続けながら安心してAGA治療を継続できるといえるでしょう。
フィナステリドは、AGA(男性型脱毛症)の進行を遅らせ、乱れたヘアサイクルを正常な状態へ近づけることで発毛をサポートする内服薬です。ここでは、フィナステリドの仕組みや副作用についてみていきましょう。
フィナステリドには、体内の5αリダクターゼII型の働きを阻害することで、テストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換されるのを抑制する作用があります。このDHTがAGAの原因ホルモンです。
DHTが頭皮にある受容体に結合すると、本来なら数年続くはずのヘアサイクルの成長期が短縮されてしまいます。成長期が短くなると、髪の毛が十分に太く長く育つ前に抜けてしまうようになります。この状態が続くことで、毛包と呼ばれる髪の根元の組織が徐々にミニチュア化(萎縮)し、薄毛へとつながるのです。
フィナステリドを服用することで原因ホルモンDHTの発生を抑え、抜け毛の抑制が期待できます。
フィナステリドの副作用によって筋トレやその成果に直接的な悪影響を与える可能性は低いと考えられます。ただし、医薬品医療機器総合機構の「フィナステリド錠 添付文書」によると、リビドー(性欲)の減退や抑うつ症状が副作用として記載されています。
このような心理的影響により、結果としてトレーニングに対するモチベーションの低下を招く可能性が考えられます。フィナステリドの副作用について不安がある場合には、医師に相談することが大切です。
参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「5α-還元酵素Ⅱ型阻害薬 男性型脱毛症用薬」
インターネット上では、筋トレをするとAGAになるという情報がみられる場合があります。これはAGAの原因ホルモンに関する誤解があるためです。ここでは、この誤解について詳しくみていきましょう。
「筋トレをするとAGAになる」という誤解は、AGAの原因ホルモンDHTとテストステロンを混同していることが原因であると考えられます。筋トレによって分泌が増えるのはテストステロンであり、AGAの直接的な原因とされるホルモンDHT(ジヒドロテストステロン)とは異なります。テストステロンは筋肉や骨の形成に欠かせない重要なホルモンです。テストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びつくことで、AGAの原因であるDHTが生成されます。DHTとテストステロンは別のホルモンであると覚えておきましょう。
また、AGAの発症や進行は、分泌されるホルモン量で決まるものではありません。遺伝的な要因による「5αリダクターゼの活性度」や、DHTを受け取る「受容体の感受性」が関わっています。筋トレでテストステロンが増えたからといってDHTが多く生成されるわけではない点にも注意しましょう。
適度な運動による全身の健康維持は、毛髪が成長するための環境を整える間接的なサポートになります。ウォーキングや軽めの筋トレなどの運動は、全身の血流を促進する効果があるためです。
ただし、運動をするだけでAGAが完治するわけではありません。AGAは進行性の症状であるため、根本的な改善にはフィナステリドなどの治療薬による医学的アプローチが不可欠です。適切な治療を継続しながら、補助的な手段として筋トレを生活に取り入れるのが理想的な方法といえるでしょう。
筋トレは、適切に行うことで髪の健康維持に役立ちます。髪へのメリットは以下のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
筋トレの髪へのメリットとして、全身の血行が良くなり、頭皮にある毛包へ酸素や栄養が届きやすくなることが挙げられます。髪の毛は血液によって運ばれてくる栄養を元に成長するため、血行が良い状態を保つことは髪の成長にとって大切です。
血流改善はあくまで髪が育つためのサポートであり、それのみで脱毛が止まるわけではありません。しかし、フィナステリドの効果を十分に発揮させるためには、健やかな髪を育むための土台(頭皮環境)を整えておくことが極めて重要です。AGA治療と並行して、無理のない範囲で筋トレを取り入れましょう。
筋トレで体を動かして適度にストレスを軽減すると、間接的に頭皮環境の改善につながることもメリットの一つです。強いストレスは自律神経やホルモンバランスを乱す要因となるため、適切なストレスコントロールは、髪の健康を維持するうえで大きなメリットとなります。
また、ストレスは血流低下を引き起こし、毛髪の成長環境に影響を与える一因と考えられています。ストレスが直接的にAGAを引き起こすという明確なデータはないものの、強いストレスは「休止期脱毛症」などほかの脱毛症の原因になる場合があります。ストレスが髪に与える影響を考えると、適度な筋トレを通じたリフレッシュは有効といえるでしょう。
AGA治療と筋トレを両立するためのポイント・注意点は以下のとおりです。
それぞれ解説します。
AGA治療において重要なのは、フィナステリドなどのAGA治療薬を毎日決まったタイミングで服用し、血液中の薬の濃度を一定に保つことです。飲み忘れや使い忘れを防ぐために毎日同じ時間に服用する習慣を作りましょう。
AGA治療薬は即効性のある薬ではありません。たとえば、フィナステリドは効果を実感するまでに最低でも6ヶ月程度の継続的な服用が必要です。これは髪の育つ周期であるヘアサイクルの期間が決まっているためです。AGA治療薬を適切に服用しながら、長期的な視点で継続しましょう。
過度な筋トレによって疲労が溜まると全身に強いストレスを与え、ホルモンバランスや免疫機能の乱れを引き起こすリスクがあります。ホルモンバランスが乱れると、頭皮環境の悪化などの悪影響を及ぼしかねません。
トレーニングは、あくまで「健康のための運動」という範囲内に留め、無理なく継続できるメニューを組むのが理想的です。また、運動と休養のバランスをとったうえで、自分の体力に合わせた適切な強度で行うようにしましょう。
栄養バランスの整った食事をとることも、筋トレとAGA治療を両立するための重要なポイントになります。筋肉も髪も、材料となるのは良質なタンパク質です。髪の生成にはタンパク質だけではなく亜鉛やビタミン、ミネラルなども関わるため、あらゆる栄養素をバランスよくとりましょう。
また、特定のサプリメントだけに頼るのではなく、日々の食事全体でバランスよく栄養を摂取するよう心掛けましょう。「これを食べれば必ずAGAが治る」という特定の食べ物はないため、肉や魚、卵などに加え、野菜やきのこ類もしっかりとれるよう工夫するのが大切です。1日に「何を」「どれだけ」食べたら良いかの目安については、厚生労働省の「食事バランスガイド」を参考にしてみてください。
参考:厚生労働省「『食事バランスガイド』について」
AGA治療と筋トレを両立するには、専門のクリニックで定期的に診察を受けることも大切です。筋トレ中の体調変化や抜け毛の状態、副作用など、気になる場合は医師に相談できる環境をつくっておきましょう。
また、自己判断での薬の調整を避け、医師の管理下で安全に行うことが推奨されます。特に個人輸入の薬は、品質や安全性、有効性が日本の基準で確認されておらず、思わぬ健康被害に遭うリスクがあるため避けましょう。
専門のクリニックで定期的に診察を受けていれば、副作用や体調の変化が現れた場合でも、医師に相談して薬を切り替えるなどの適切な処置が可能です。自身に合った治療計画を立ててもらいましょう。

AGA治療と筋トレを両立するためには、医師による定期的な診察を受けることが重要です。「筋トレのモチベーションが下がった」「筋肉量が落ちた」など気になる症状が現れた場合には、医師に相談しましょう。副作用や体調の変化を相談しながら進めることで、不安を軽減しながら治療を継続できます。
フィナステリドと筋トレに関するよくある質問をまとめました。疑問を解消して、安心して治療とトレーニングに取り組みましょう。
フィナステリドはテストステロンを減らす?
フィナステリドはテストステロンそのものを減らす薬ではありません。体内の5αリダクターゼII型という酵素を阻害することで、テストステロンがAGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換されるのを抑える薬です。そのため、筋肉を作るために不可欠なテストステロンの働きが失われることはありません。筋トレによる身体作りへの影響を過度に心配することなく、フィナステリドの服用を続けることができるでしょう。
薄毛が気になる人が筋トレ後にプロテインを飲んでもいい?
筋トレ後のプロテイン摂取は、薄毛への悪影響はなく、まったく問題ありません。むしろプロテインは髪の主成分であるタンパク質を補給する手段として、積極的に活用するのが良いでしょう。プロテインの摂取がAGAを誘発したり悪化させたりするという医学的根拠はありません。
ただし、プロテインだけに偏らず、食事全体で栄養を整えることを意識しましょう。偏った食生活は全身の健康を損なうだけではなく、頭皮環境を悪化させる一因となり、髪が十分に育ちにくくなる可能性があります。
フィナステリドを服用する場合の費用目安は?
クリニックでフィナステリドを処方してもらう場合、診察料と薬代を合わせて月々6,000円〜1万円程度が一般的な目安です。近年ではオンライン診療の普及により、初診料・再診料無料など、より継続しやすい価格設定を提示するクリニックも増えているため、活用するのも良いでしょう。
また、フィナステリドは先発品のプロペシア以外に、成分が同じで安価なジェネリック医薬品も一般的です。薬の形や色、添加物が先発品と異なる場合がありますが、薬の効き目には影響しないとされています。ジェネリック医薬品であるフィナステリド錠の場合、月々3,000円〜5,000円が費用の目安です。費用を抑えて治療を続けたい場合は、ジェネリックを選択するのも良いでしょう。
フィナステリドの服用が筋トレの効果を下げたり、逆に筋トレがAGAを進行させたりする直接的な要因になることはありません。AGAの主な原因は、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素によって、ジヒドロテストステロン(DHT)へ変換されることにあります。フィナステリドはこの酵素の働きを阻害してDHTの生成を抑制する治療薬で、筋肉の成長に必要なテストステロンそのものを減少させるわけではありません。
AGA治療を適切に継続しながら、栄養バランスの整った食事や血流を促進する適度な運動を取り入れることは、AGA治療と筋トレを両立するために重要です。ただし、過度な筋トレはホルモンバランスを乱して髪に悪影響を与える要因となり得ます。自身の症状や体調を医師に相談しながら、無理のない範囲で筋トレに取り組むと良いでしょう。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構「5α-還元酵素Ⅱ型阻害薬 男性型脱毛症用薬」」
厚生労働省「栄養・食育対策」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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