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更新日:2024年03月06日

EDとはどんな症状?原因別の治療方法からセルフケアについても解説

この記事のまとめ
  • EDとは男性の性機能障害のこと
  • EDは、原因によって心因性・器質性・混合性・薬剤性の4つに分けられる
  • 医療機関でEDの治療を受ける際は、対面診療のほかにオンライン診療を利用する選択肢もある
  • ED治療薬は、主にバイアグラ・レビトラ・シアリスの3種類
  • EDの改善には生活習慣の見直しも重要

うまく勃起できず、自分はEDではないかと悩んでいる方もいるでしょう。EDとは、性行為を行う際に十分な勃起を得られない状態を指し、年齢を問わず誰にでも起こり得る症状です。

本記事では、EDの症状や原因などの基本的な情報から、EDの4つの原因別の改善方法まで詳しく解説します。また、EDの予防や改善に役立つセルフケアについても紹介します。

自分はEDではないかと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

ED(勃起不全)とは

EDとは、Erectile Dysfunction(勃起不全)の略で、男性の性機能障害の症状の一つです。満足な性行為を行うのに十分な勃起を得られない状態、または勃起が維持できない状態を指します。

勃起のプロセスは、性的刺激を受け、脳が神経を通して陰茎に勃起を促す信号を送ることから始まります。陰茎が信号を受け取ると、海綿体に入る血液の量を制限していた血管が拡張し、血液が多く流れ込むことにより、勃起します。 しかし、EDを発症している場合、勃起に関係のある神経や血管などに何らかの障害が起きており、うまく勃起しない状態になります。

ED診療ガイドラインによると、EDの発症率は年齢とともに上昇するとされています。心理的なプレッシャーやストレスによってもEDは引き起こされるため、若年層でもEDに悩む方はいます。

参考:日本性機能学会、日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン

EDの症状

EDは全く勃起しない症状だけを指すわけではありません。以下の症状もEDに該当する可能性があります。

  • たまに勃起できないことがある
  • 勃起するが十分な硬さが得られない
  • 勃起しても中折れしてしまう
  • 勃起が持続できない

たまに勃起しない場合や、性行為を完遂できない不十分な勃起も、EDと診断される場合があります。

EDの症状について詳しく知りたい方は、「EDの症状とは?EDの治療法や改善すべき生活習慣も解説」も参考にしてみてください。

EDの4つの原因

EDの原因には心理的な原因や身体的な原因などさまざまがあり、以下の4つのタイプに分けられます。

  • 心因性ED
  • 器質性ED
  • 混合性ED
  • 薬剤性ED

ここからは、それぞれの原因について詳しく解説します。

心因性ED

心因性EDは、心理的要因によって引き起こされる勃起不全です。

心因性EDでは、ストレスや不安などが原因となり、脳が性的興奮の信号を陰茎にうまく伝達できなくなります。若い方でも現れる症状で、20~40代に多いとされています。

心因性EDの原因には、以下の例が挙げられます。

  • 職場の人間関係などのストレス
  • パートナーとの関係性
  • 性行為へのプレッシャーやコンプレックス
  • 過去の性的なトラウマ
  • うつ病などの精神疾患

心因性EDの原因は多岐にわたり、トラウマのように自分では気付いていない深層心理が影響を及ぼしている場合もあります。

心因性EDについて詳しく知りたい方は、「心因性EDの原因は?治療方法や必要性についても解説」も参考にしてみてください。

器質性ED

器質性EDは、50~60代に多い傾向がある、血管や神経などの器質的な異常により引き起こされる勃起不全です。

たとえば、動脈硬化は、器質性EDの原因の一つです。動脈硬化によって血管が狭くなると、陰茎への血流が悪くなり、勃起が難しくなります。動脈硬化は、生活習慣病である糖尿病や高血圧、高脂血症のほか、加齢が原因となって起こります。

器質性EDの原因となる神経の障害は、糖尿病神経障害・てんかん・脳卒中などが挙げられます。神経がダメージを受けると、勃起に必要な信号が陰茎に届きづらくなり、勃起が難しくなります。

高血圧とEDの関係性については、「高血圧はEDを合併する可能性が高い?薬物療法や生活習慣についても解説」でも詳しく解説しています。

混合性ED

混合性EDは、ストレスやトラウマ、うつ病などの心因的要因と、血管や神経の障害などの器質的要因が複合したEDで、40~60代に多いとされています。

混合性EDは、EDの原因の中で比較的多いといわれており、問題が複雑に絡み合っているため、改善させるためには原因を一つひとつ取り除いていくことが必要です。

薬剤性ED

薬剤性EDとは、普段服用している薬の副作用が原因で起こるEDです。特定の薬剤の服用で発症するため、薬剤性EDは年齢に関係なく発症します。

薬剤性EDを引き起こしやすいとされるのは、主に以下の薬です。

  • 抗うつ薬
  • 精神安定剤
  • 降圧薬
  • 男性ホルモン抑制剤

これらの薬は、それぞれ陰茎の血管や神経、男性ホルモンに影響を及ぼし、勃起を妨げる可能性があると考えられています。ただし、薬剤性EDは自分では原因に気付けない場合が多く、また服用により必ずしも薬剤性EDを引き起こすとは限らないため、クリニックで正しく診断してもらうことが大切です。

薬剤性EDについては、「薬剤性EDとは?原因となりやすい薬や治療方法を解説」でも詳しく解説しています。

原因別のED改善方法

ここからは、原因別のEDの改善方法を解説します。

心因性EDの改善方法

心因性EDは、心理的な要因の解決を図ることで改善できる可能性があります。

カウンセリングを受けたり、パートナーと関係改善のための話し合いを行ったりすることで、根底にある心理的な問題の解決を目指します。また、日ごろよりストレスの軽減に努めることも大切です。

また、ED治療薬の使用も一つの方法です。ED治療薬によりEDの症状が改善し、性行為の成功体験を得られれば、性行為への不安を軽減できて心因性EDの改善が期待できるようになるでしょう。

器質性EDの改善方法

器質性EDの改善は、原因となる疾患の治療と合わせて、生活習慣の改善が重要となります。特に、動脈硬化や糖尿病、高血圧などの生活習慣病がEDの原因となっている場合は、生活習慣の見直しが必須です。

原因となる疾患の根本治療や、生活習慣の改善には時間がかかるため、ED治療薬の併用が効果的とされています。 ED治療薬は陰茎への血液の流入を増やす作用があるため、EDの改善が見込めます。

混合性EDの改善方法

混合性EDは、心因性EDと器質性EDの両方の原因を治療することで、改善が期待できます。

しかし、2つの問題の解決が必要なため、改善には時間がかかる可能性があります。そのため、混合性EDの治療では、根本となる原因の治療とあわせて、ED治療薬を服用してEDの改善を図ると考えられます。

器質性EDの原因である、血管や神経障害によって勃起が妨げられている場合でも、ED治療薬の服用により勃起機能の改善が期待できます。勃起できるようになることで自信が回復すれば、性行為に対する不安やプレッシャーなどの心因的な要因が解消される可能性があるでしょう。

薬剤性EDの改善方法

薬剤性EDは、服用している薬の変更や減薬によって改善される可能性があります。

ただし、自己判断で薬の服用を中止したり服用量を減らしたりすると持病の症状が悪化する可能性があるため、まずは医師に相談することが大切です。

なお、薬剤性EDの治療においても、服用している薬によってはED治療薬を併用できる場合があります。ED治療薬の服用を希望する場合は、医師に相談しましょう。

EDの治療を受けるには

ED治療においては、ED治療薬の服用が有効です。ED治療薬は市販されていないため、医師の診察を受けて処方してもらう必要があります。

EDの治療方法には、泌尿器科を受診し対面診療を受ける方法と、オンラインクリニックを利用する方法があります。ここではそれぞれの治療の流れやメリットやデメリットをお伝えします。

EDの治療方法については、「EDの治療方法は?原因やED治療薬について詳しく解説」でも詳しく解説しています。

泌尿器科やEDの専門外来で受診する

ED治療は泌尿器科やEDの専門外来で受けられます。

問診では、病歴や生活習慣などの質問に答えます。また、ED治療薬の服用が問題ないかをチェックするため、必要に応じて血圧や血液検査などを行う場合があります。

対面診療では、検査を実施してもらえることがメリットといえます。 デメリットとしては、通院の必要があるため時間や手間がかかる点や、人目が気になる点が挙げられます。

オンラインクリニックを利用する

ED治療のもう1つの方法として、オンラインクリニックの利用が挙げられます。オンラインクリニックとは、スマートフォンやパソコンを利用してインターネット上で診察を受けられる医療機関です。

オンラインクリニックで医師の診察を受け、ED治療薬を処方してもらった際は、配送で受け取ります。オンラインクリニックは、来院せずに自宅や外出先から診察を受けられるメリットがあります。ほかにも、以下のメリットが挙げられます。

  • 自分の都合の良い時間や場所で診察が受けられる
  • 周りに知られずに治療が始められる
  • 対面診療より診察料や薬代が安価な場合がある

一方で、オンラインクリニックは問診票に沿って自覚症状を確認することがメインで、検査などは受けられません。持病を持っている場合などは、しっかり相談する必要があります。

代表的なED治療薬3種類

ED治療は、ED治療薬を用いた方法が一般的です。日本で厚生労働省に認可されているED治療薬は、2023年11月時点で以下の3種類です。

  • バイアグラ
  • レビトラ
  • シアリス

ここからは、それぞれの治療薬の特徴や効果を解説します。それぞれ特徴が異なるため、自分のニーズにあわせて選びましょう。

バイアグラ

バイアグラは、世界で最初にED治療薬として承認された薬です。 バイアグラをはじめとするED治療薬は、陰茎海綿体にあるPDE5という酵素を阻害することで、陰茎への血流を増加させ、勃起を促します。

ED治療薬は自由診療のため保険適用外となり、バイアグラの料金相場は1錠あたり1,300~2,200円程度です。 なお、バイアグラにはジェネリック医薬品もあります。バイアグラのジェネリック医薬品は1錠440~1,000円ほどで購入が可能なため、予算に応じて選択するのも一つの方法です。

バイアグラの特徴は、下記のとおりです。

有効成分シルデナフィル
効果が現れるまでの時間服用後30分程度
効果持続時間3~5時間程度
勃起力強い
食事の影響受けやすい
副作用出やすい
ジェネリック医薬品あり(シルデナフィル)

レビトラ

レビトラは、即効性に優れたED治療薬といわれています。水に溶けやすく吸収が早いため、早い人で、服用後15分程度で効果を発揮します。

また、勃起力にも優れています。EDの症状が重度な方は、レビトラを選択すると良いでしょう。

なお、レビトラは2021年10月に販売中止となりました。現在はレビトラのジェネリック医薬品である、バルデナフィル錠が代替薬として処方されています。バルデナフィル錠の料金相場は、1,500〜1,800円程度です。

レビトラの特徴は、下記のとおりです。

有効成分バルデナフィル
効果が現れるまでの時間服用後15~30分程度
効果持続時間4~8時間程度
勃起力とても強い
食事の影響やや受けやすい
副作用出やすい
ジェネリック医薬品あり(バルデナフィル)

シアリス

シアリスは、2007年に発売されたED治療薬です。海外で広く利用され、世界市場で高いシェアを獲得しています。

シアリスの最大の特徴は、勃起の持続時間です。シアリスの用量には5mg・10mg・20mgがあり、20mgのシアリス錠を服用すると約30~36時間もの間、効果が持続します。

しかし、服用してから効果が現れるまでの時間が約1~3時間と長いため、性行為の3時間ほど前の服用が必要になります。シアリスの料金相場は、1,500〜2,100円程度です。

シアリスの効能や注意点は、下記のとおりです。

有効成分タダラフィル
効果が現れるまでの時間服用後1~3時間程度
効果持続時間20~36時間程度
勃起の強さマイルド
食事の影響受けにくい
副作用出にくい
ジェネリック医薬品あり(タダラフィル)

ED治療法のひとつであるICI療法について知りたい方は、「ICI療法とは?EDへの効果やメリット、副作用について解説」を参考にしてみてください。

EDの改善には生活習慣の見直しも必要

EDを改善するには、治療薬の服用と合わせて生活習慣の見直しも重要です。ここでは、EDを改善するための生活習慣について解説します。

バランスの良い食事を摂る

EDの予防や改善のためには、食生活において以下を心がけましょう。

  • 主食・主菜・副菜をバランスよく摂る
  • 脂質の過剰摂取を避ける
  • 砂糖や塩分の摂り過ぎを避ける

丼ものなどの単品のみではなく、主食・主菜・副菜をそろえることで、必要な栄養素を効率良く摂取できます。

脂質の摂り過ぎは、血管の硬化や高血圧の原因になる可能性があります。また、砂糖や塩分を多く摂取すると、高血圧や糖尿病につながる恐れがあります。 EDの予防だけではなく、自身の健康のためにもバランスの良い食事を摂りましょう。

適度な運動をする

EDの原因には、動脈硬化による血流悪化、肥満、ストレスなどが挙げられます。適度な運動は、下記のような改善効果が期待できます。

  • 全身の血流の改善
  • 代謝の改善
  • 体重の減少
  • ストレスの軽減

特に有酸素運動は、全身の血流循環を改善します。血流が改善することで、陰茎への血液の流入も増加し、勃起がしやすくなると考えられます。

ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動を習慣化して、EDの予防・改善に努めましょう。

十分な睡眠を心がける

睡眠を十分に取ることもEDの予防や改善のために大切です。睡眠不足は、EDの原因の1つである神経機能の低下を引き起こす可能性があります。

EDの予防・改善のためには、毎日7〜8時間の睡眠を取るのが望ましいとされています。また、睡眠の質が低下すると、勃起を促すテストステロンの分泌が抑えられてしまうため、睡眠の質を高めることも大切です。

毎日同じ時間に寝て起きる、寝る前にカフェインやアルコールを摂取しないなどの対策をとり、睡眠時間の確保と睡眠の質の向上を心がけましょう。

過度な飲酒・喫煙を控える

過度な飲酒と喫煙を控えることも、EDの予防や改善に効果的です。

アルコールは一時的に血管を拡張させる作用がありますが、過度に摂取すると血管を収縮させ、血流を悪化させます。血流が悪くなると、陰茎への血流が妨げられ、勃起力が低下します。また、アルコールによって中枢神経に麻痺が起こり、陰茎への信号の伝達が妨げられることにもつながります。

また、たばこに含まれているニコチンや一酸化炭素は血管を収縮させる作用があり、動脈硬化を引き起こすことでEDの原因となる可能性があります。

EDを回避するためには、過度な飲酒と喫煙を控え、動脈硬化を予防することが大切です。

まとめ

EDは、日本では34.5%の男性が経験するとされている、とても身近な症状です。加齢や病気だけでなく、ストレスなどの心理的な要因によっても引き起こされます。 EDは、治療薬の服用や、生活習慣の見直しにより改善が見込める症状です。ED治療によって、自己肯定感が向上し、パートナーシップの改善も見込めるでしょう。

自分はEDかもしれないと悩んでいる方は、QOL(生活の質)を向上させるために、ぜひ治療のための一歩を踏み出してみましょう。

参考:日本性機能学会、日本泌尿器科学会「ED診療ガイドライン

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会