更新日:2024年05月09日
デュタステリドとは?効果や副作用を解説
デュタステリドとは、AGA治療薬のザガーロに含まれる有効成分であり、ザガーロのジェネリック医薬品の名称のことを指す
デュタステリドには、脱毛を抑制する効果がある
デュタステリドの副作用には、性機能障害や肝機能障害、抑うつなどがある
AGA治療薬には、主にプロペシアやザガーロ、ミノキシジルがあります。デュタステリドはザガーロの有効成分であり、ザガーロのジェネリック医薬品の名称でもあります。AGA治療薬の服用を検討している方の中には、デュタステリドはフィナステリドより薄毛改善の効果が高いという話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、ザガーロの有効成分であるデュタステリドについて詳しく紹介します。デュタステリドに期待できる効果や他のAGA治療薬との違いも解説します。そのほかに、デュタステリドの副作用や服用する上での注意点も説明するので、デュタステリドの服用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。
デュタステリド(ザガーロジェネリック)とは
デュタステリドとは、AGA治療薬のザガーロに含まれる有効成分であり、ザガーロのジェネリック医薬品の名称でもあります。
もともとデュタステリドは、前立腺肥大症治療薬の有効成分として開発され、日本では2009年7月に承認されました。ところが、後にAGA(男性型脱毛症)の治療にも効果が期待できるとわかったため、AGA治療薬としても同成分を含む薬が改めて開発・承認されました。前立腺肥大治療薬としては「アボルブ」、AGA治療薬としては「ザガーロ」の名称で販売されています。
その後、2020年7月にグラクソ・スミスクライン株式会社が、ザガーロと同様の有効成分であるデュタステリドが含有されたジェネリック医薬品として、デュタステリド(サガーロジェネリック)の販売を開始しました。
デュタステリドの概要は下記のとおりです。
有効成分 | デュタステリド |
---|---|
効果 | 男性型脱毛の進行を抑制する |
作用機序 | テストステロンをジヒドロテストステロンへ変換させる5αリダクターゼⅠ型及びⅡ型を阻害する |
服用方法 | 1日1回1錠 |
副作用 | 性機能不全(1%以上)、乳房障害(1%未満)など |
併用禁忌薬 | なし |
レバクリにおける処方価格 | 7550円(1ヶ月分購入価格) |
ザガーロについて詳しく知りたい方は、「ザガーロ(デュタステリド)の効果と副作用を解説」も参考にしてみてください。
参考:KEGGデータベース「医療用医薬品:デュタステリド」
デュタステリドの効果
デュタステリドには、脱毛を抑制する効果が期待できます。
AGAの原因であるDHT(ジヒドロテストステロン)は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5aリダクターゼという酵素と結合することで生成されます。
この5aリダクターゼには側頭部や後頭部などを含む広範囲の毛乳頭細胞に存在するⅠ型と、生え際や前頭部、頭頂部の毛乳頭細胞に存在するⅡ型の2種類があります。デュタステリドは、5aリダクターゼのⅠ型とⅡ型両方の働きを阻害し、DHTの生成を妨げることで脱毛を抑制することができるのです。
薬剤師向けの医薬品解説書では、デュタステリドには脱毛を抑制する効果だけでなく、発毛や育毛を促進する効果もあると報告されています。
また、AGA診療ガイドラインによると、AGA治療におけるデュタステリドの効果には高い水準の根拠があるため、推奨度はA(行うよう強く勧める)となっています。
デュタステリドが効かないと感じる方は、「デュタステリド(ザガーロ)が効かないと感じる原因は?対処法も解説」も参考にしてみてください。
AGAに対するデュタステリド内服の効果は、国内外の各種臨床試験にて根拠が示されています。フィナステリド内服と比較してもデュタステリドの方が有意に優れていたという報告もあり、より効果を求める方にとっては良い選択肢になりえます。
デュタステリドと他のAGA治療薬の違い
AGA治療薬として処方される薬には、デュタステリドのほかにもフィナステリドやミノキシジルがあります。それぞれのAGA治療薬の違いは下記のとおりです。
デュタステリド | フィナステリド2※ | ミノキシジル(内服薬) | |
---|---|---|---|
錠剤 | |||
効果 | 脱毛を抑制する | 脱毛を抑制する | 発毛を促進する |
作用機序 | 5aリダクターゼⅠ型・Ⅱ型の働きを阻害する | 5aリダクターゼⅡ型の働きを阻害する | 毛母細胞を活性化させる |
デュタステリドとフィナステリドの違い
デュタステリドとフィナステリドの違いは、効果の強さです。
フィナステリドは、AGA治療薬であるプロペシアに含まれる有効成分であり、プロペシアのジェネリック医薬品の名称です。
デュタステリドとフィナステリドは作用機序が同じであり、どちらも5aリダクターゼの働きを阻害しますが、フィナステリドは2種類ある5aリダクターゼのうち、Ⅱ型のみを阻害します。
AGAは前頭部や頭頂部が薄毛になりやすいとされているため、前頭部や頭頂部に存在するⅡ型のほうがAGAの発症により深く関わると考えられていますが、Ⅰ型もAGAに関わることがわかっています。
そのため、5aリダクターゼⅡ型のみの働きを阻害するフィナステリドより、Ⅰ型とⅡ型の両方を阻害できるデュタステリドのほうが脱毛を抑制する効果が高いとされているのです。
フィナステリドについて詳しく知りたい方は、「フィナステリドの効果とは?副作用や服用時の注意点についても説明」も参考にしてみてください。
デュタステリドとミノキシジルの違い
デュタステリドとミノキシジルの違いは、作用機序です。
デュタステリドは、前述した通りAGAの原因となる5aリダクターゼの働きを阻害し、脱毛を抑制します。一方でミノキシジルは、髪の毛の成長を促す毛母細胞に働きかけて、発毛を促進します。
デュタステリドとミノキシジルは作用機序が異なるため、併用することが可能です。
デュタステリドで薄毛の進行を抑え、ミノキシジルで発毛を促すことによって、片方のみを使用したときよりも高い薄毛改善効果が期待できる可能性があります。
ミノキシジルについては、「ミノキシジルの効果とは?副作用や他のAGA治療薬との違いも解説」でも詳しく解説しています。
デュタステリドの副作用
デュタステリドの副作用には以下が挙げられます。
性機能障害
乳房障害
肝機能障害
蕁麻疹
抑うつ
副作用はどれも一時的なものであり、デュタステリドの内服を続けることで改善されることがほとんどなので過度に心配する必要はありません。
いずれも発現率は低く危険性は少ないものの、万が一副作用が出た時のために症状をしっかりと理解しておきましょう。
性機能障害
デュタステリドは服用することでホルモンバランスに影響を及ぼすため**、勃起不全(ED)や性欲減退などの性機能障害**が起こる可能性があります。
男性機能の低下が不妊につながる可能性もあるため、妊活を行っている、または行う予定がある男性は医師に相談しましょう。
乳房障害
デュタステリドを服用すると、乳房の腫れや痛みが生じることがあります。
前述の性機能障害と同様に、デュタステリドによってホルモンバランスが崩れることが原因とされています。服用する中で、乳房になんらかの異変を感じた場合は医師へ相談しましょう。
肝機能障害
デュタステリドを服用することで、肝機能障害が起こるおそれがあります。
肝機能障害の症状には、全身の倦怠感や嘔気、皮膚や白がんが黄色くなる黄疸(おうだん)が挙げられます。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれているため、肝機能障害には初期症状がほとんどなく進行しないと気づきにくいのが特徴です。
発症頻度は極めて稀ですが、デュタステリドの服用中は定期的に血液検査を行って、肝機能の数値を確認しましょう。
蕁麻疹
デュタステリドに対するアレルギー反応で、蕁麻疹が出ることもあります。
そのほかにも発疹やかゆみ、喉の腫れなどの症状が現れた場合は、直ちに医師に相談しましょう。
抑うつ
デュタステリドを服用すると、気力の低下やうつ症状が生じる場合もあります。
66歳以上の男性を対象とする海外の研究によると、デュタステリドやフィナステリドなどの5aリダクターゼの働きを阻害する薬は、長期にわたって使用するとうつ病のリスクを高める可能性があるとされています。
参考:National Library of Medeicine「Association of 5α-Reductase Inhibitors With Dementia, Depression, and Suicide」
デュタステリドの服用方法
デュタステリドは、1日1回1錠を服用しましょう。
飲むタイミングに指定はありませんが、飲み忘れを防ぐためにも毎日同じタイミングで飲むのがおすすめです。
服用する際は、アルコールと同時に摂取することは避けましょう。デュタステリドは肝臓で代謝される薬のため、肝臓で分解されるアルコールと一緒に飲むと肝臓に負荷がかかる可能性があります。
また、飲み忘れに関しては、その日のうちに気づいた場合、気づいた時点で1錠服用しましょう。翌日に気づいた際は、前日の分は飲まず通常通り1錠服用しましょう。1日に2錠服用すると、副作用のリスクが高くなるおそれがあります。
服用回数 | 服用量 | 服用するタイミング |
---|---|---|
1日1回 | 1日1錠 | 毎日同じタイミングで服用する |
参考:KEGGデータベース「医療用医薬品:デュタステリド」
デュタステリドを服用できない方
下記に当てはまる方は、デュタステリドを服用することができないため注意しましょう。
女性や子供
デュタステリドは女性や20歳未満の子供に対する安全性が確立されていないため、女性や子どもが服用することができません。
特に妊婦や妊娠の可能性のある女性がデュタステリドを服用すると、男性胎児の生殖器に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、デュタステリドの成分は皮膚から吸収されるおそれもあるため、取り扱いには注意してください。
重度の肝機能障害がある方
もともと肝機能障害がある方は、副作用が強く出る可能性があるため服用できません。
デュタステリドは肝臓で代謝される薬であるため、肝機能障害がある方は成分がうまく代謝できず、血中濃度が上がってしまうおそれがあります。デュタステリドの血中濃度が高まることで、副作用を発症するリスクが高まります。
デュタステリドを服用するうえでの注意点
デュタステリドを服用する際の注意点は以下のとおりです。
飲み合わせを確認する
デュタステリドには併用禁忌薬はありませんが、併用注意薬として**「CYP3A4阻害薬」**があります。デュタステリドはCYP3A4という酵素によって代謝されるため、CYP3A4阻害薬によってCYP3A4が阻害されるとデュタステリドの血中濃度が上がり、副作用の発症頻度が高くなるおそれがあります。
CYP3A4阻害薬を服用している方は、デュタステリドを服用しないように注意しましょう。
また、デュタステリドは同じ作用機序であるフィナステリドと併用することができません。同じ作用機序の薬を服用することで、副作用が増強される可能性があります。デュタステリドのほうが効果は高いですが、費用が高く設定されている場合が多いです。どちらかの薬を選ぶ際は、それぞれの薬のメリットやデメリットを確認したうえで判断しましょう。
前立腺がん検査時に医師へ服用していることを伝える
デュタステリドの添付文書によると、デュタステリドを6ヶ月以上服用すると、前立腺がんの検査時に用いられるPSA(血清前立腺特異抗原)の値が約50%低下します。これは前立腺がんを発症した際に見落としてしまう原因となります。
前立腺がんを見落とさないために、前立腺がん検査時にはデュタステリドを服用していることを事前に医師へ伝えましょう。
参考:日本医薬情報センター「デュタステリド製剤 5α還元酵素阻害薬 前立腺肥大症治療薬」
献血をしない
デュタステリド服用中は、献血をすることができません。輸血の際に女性や子どもの体内に成分が入ってしまうと、前述したような悪影響がある可能性があるためです。
デュタステリドは血中濃度が半減するまでの期間が長いため、服用をやめても6ヶ月間は献血が禁止されています。
個人輸入にはリスクがある
デュタステリドは、クリニックで処方してもらう以外に、海外から個人輸入することでも入手することが可能です。しかし、個人輸入で入手した薬は安全性や有効性が確保されていないため、偽物や粗悪品が紛れているおそれがあります。
そのため、服用しても効果が十分に得られなかったり、予期せぬ健康被害が出たりすることがあります。安心してAGA治療を行うためにも、デュタステリドを入手する場合はクリニックで処方してもらうのがおすすめです。
デュタステリドはすでに国内外で広く使用されているAGA治療薬であり、安全性も示されています。ただし自分に合った正しい薬を使用するためにも、診療を行っているクリニックで医師に相談することが必要です。
参考:厚生労働省「医薬品等の個人輸入について」
デュタステリドの入手方法
デュタステリドを入手する方法には、下記の2パターンがあります。
- 対面のクリニックを受診する
- オンライン診療を受診する
それぞれのメリットを紹介します。
対面のクリニックを受診する
デュタステリドは、対面のクリニックを受診して、医師の診察を受けた上で処方してもらうことができます。医師と対面でコミュニケーションがとれることや、医師に直接頭皮の状態を見てもらうことで、治療に対する安心感を得られるのがメリットです。
オンライン診療を受診する
デュタステリドは、オンライン診療でも処方してもらうことが可能です。オンライン診療は、スマホやPCなどから診察を受けることができ、処方された薬は自宅やコンビニなど自分が指定した場所に届きます。予約から診察まですべてオンラインで行えるので、通院に手間がかからない点や通院していることが周囲に知られにくい点がメリットです。
また、送られてくる薬がAGA治療薬であるのを周囲に知られたくない方は、クリニックによっては送り主や箱の中身をわかりにくくすることができる場合もあります。
レバクリにおけるデュタステリドの処方価格
レバクリでは、育毛プランEXとしてデュタステリドを下記の価格で処方しています。
定期配送 | 1ヶ月分 | 3ヶ月分 | 6ヶ月分 |
---|---|---|---|
育毛プランEX(デュタステリド) | ¥6,299(税込) | ¥17,850(税込) | ¥35,701(税込) |
※レバクリでは初診料・診察料が無料のため、お薬代と送料以外に料金が発生することはありません。
※定期配送ではない場合、1ヶ月分の処方価格は¥7,000(税込)です。
AGA治療の費用相場について詳しく知りたい方は、「AGA治療の費用相場はどれくらい?保険が適用されるかについても解説」も参考にしてみてください。
まとめ
デュタステリドは、AGA治療薬のひとつであるザガーロの有効成分であり、ザガーロのジェネリック医薬品の名称でもあります。脱毛を抑制する効果が期待できます。副作用としては、性機能障害や肝機能障害、抑うつ症状が起こる可能性があります。いずれも発症頻度は稀ではあるものの、副作用が起きた場合に備えて症状を理解しておきましょう。
デュタステリドを入手するには、AGA専門クリニックやオンライン診療で医師に処方してもらうことがおすすめです。オンライン診療を利用する場合、好きな場所や時間で診察を受けられることや、周囲の人に知られずに通えることがメリットです。
レバクリではAGAのオンライン診療サービスを行っています。薄毛が気になり始めた方やAGA治療を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会