更新日:2026年07月15日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「フィナステリドには効果がない」と友人の体験談や知恵袋などで聞いたことがある方もいるかもしれません。フィナステリドが効かない原因は、作用機序への勘違いや服用期間の短さ、ほかの脱毛症の可能性などが考えられます。 この記事では、フィナステリドの効果が出ないと感じる原因を解説します。対処法もあわせて紹介するので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
フィナステリドはAGA(男性型脱毛症)の治療薬です。 もともとは前立腺肥大症の治療薬として開発されましたが、臨床試験の過程で抜け毛を抑える効果が発見されたことで、AGA治療にも用いられるようになりました。
また、フィナステリドは有効成分名です。先発医薬品としてプロペシアがあり、後発医薬品(ジェネリック医薬品)としてフィナステリド錠が販売されています。成分は同様ですが、ジェネリック医薬品のため、安価に入手できるというメリットがあります。

国内未承認のAGA治療薬がある中、フィナステリドは厚生労働省に認められた医薬品です。主要なAGA治療薬として広く知られています。
フィナステリドはAGAの原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制し、抜け毛を防ぐ役割を担っています。 AGAはテストステロンという男性ホルモンが5αリダクターゼという酵素と結びつき、より強力なDHTに変換されることで進行します。DHTが毛包にある男性ホルモン受容体と結合すると、毛包が萎縮して髪の毛の成長が止まり、細く弱い毛が増えることが特徴です。

フィナステリドには5αリダクターゼII型の働きを阻害する作用があるため、頭皮内のDHT濃度を低下させる効果が期待できます。毛包が健やかな状態を維持しやすくなるため、抜け毛の減少や頭皮環境の改善につながる可能性があるでしょう。
フィナステリドにはAGAによる抜け毛の改善が期待できることがわかりました。しかし、中には効果がないと感じている方もいるかもしれません。
ここでは、フィナステリドがAGA治療に効果がないと感じる原因を紹介します。効果を実感できていない方は、どのような原因があるのかを探ることから始めましょう。
フィナステリドの効果を感じられない理由として、「初期脱毛」を抜け毛の増加と勘違いしている可能性が考えられます。
AGA治療開始後に一時的な抜け毛増加を自覚する場合があります。 初期脱毛には個人差があり、治療薬を服用する全員に起こるわけではありません。発症までの期間もさまざまです。
初期脱毛は、ヘアサイクルの改善(正常化)によって新しい健康な髪の毛が古い髪の毛を押し出すことで発生します。薄毛が進行しているわけではなく、むしろ薬が効いて改善が進んでいる予兆と考えられるため、過度な心配は必要ないでしょう。ただし、初期脱毛が発症しなかったからといって、効果がないわけではありません。
初期脱毛に関して不安がある場合は、医師へ相談しましょう。
フィナステリドの主な作用はAGAの進行抑制であるため、発毛効果に対して大きな期待をもっていると、効果がないと感じる場合があります。あくまでフィナステリドはDHTを阻害し、抜け毛を予防する「守りの治療薬」であり、発毛効果は限定的です。
発毛促進を希望する場合は、「攻めの治療薬」と呼ばれるミノキシジルを検討しましょう。治療薬の作用を正しく理解することで、自身の希望するAGA治療へと近づけます。
フィナステリドの服用期間が短いと、効果を実感できない場合があります。フィナステリドには即効性がなく、長期的に治療を継続する必要があるからです。 医薬品医療機器総合機構の「フィナステリド錠 添付文書」にも6ヶ月の連日投与が必要と記載されています。
フィナステリドを6ヶ月以上、毎日飲み続けても効果を感じられない場合は、薬が体質に合っていない可能性が考えられます。今後の治療方針を検討するためにも、一度医師へ相談してみましょう。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」
フィナステリドを服用しても、すべての方に同様の改善効果があらわれるわけではありません。AGAの進行度合いや体質による個人差があるため、薬を飲めば進行が止まるとは限らないのが実状です。 実際に、有効成分フィナステリドを含むプロペシア錠を用いた国内の臨床試験では、1年間の継続服用で改善が認められた割合は、0.2mg投与群で54.2%、1mg投与群で58.3%という結果でした。
このデータが示す通り、約4割では明確な改善が確認されませんでしたが、多くの症例で進行抑制効果が認められています。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」
フィナステリドを個人輸入や通販などで購入している場合は、効果を実感できない可能性があります。個人輸入や通販で買ったフィナステリドが粗悪品や偽造品である可能性を否定できないためです。
厚生労働省も、個人輸入による薬は健康被害などの危険性があると注意喚起しています。万が一、健康被害が起きても適切な対処が困難で、対応が遅れるおそれがあります。
反対に、クリニックで処方された薬であれば副作用などもすぐに医師へ相談可能です。安全性を考えて、フィナステリドも個人輸入などを避けて、専門のクリニックで処方してもらいましょう。

フィナステリドに限らず、AGA治療薬は必ず医師の管理下で使用しましょう。副作用の相談だけでなく、効果がない場合の治療法変更も検討できます。
フィナステリドの効果を実感できない原因を理解できたら、次はこれからどのように治療していくかを考えましょう。フィナステリドの効果がないときの対処法には、以下が挙げられます。
ここからは、それぞれの対処法について解説します。

薬の効果を実感できない場合でも自己判断での服用中止は行わず、まずは医師に相談しましょう。ほかの治療方法を検討することが、AGA改善につながります。
AGA治療の効果を実感するためには、長期的な視点で服用を継続することが大切です。 日本人男性を対象とした長期観察研究では、10年間の継続投与により91.5%で改善、99.1%で進行抑制が認められたと報告されています。半年や1年で変化が乏しいと感じても、自己判断で中断せずに医師へ相談してみるのが賢明です。
ただし、この研究データが示すように、10年間服用を続けても効果が出ない方は一定数存在するため、先述したとおり必ず改善されるわけではないことを念頭に置きましょう。
フィナステリドによるAGA治療で十分な効果が得られない場合、デュタステリドへの切り替えが検討されることがあります。デュタステリドもフィナステリド同様、抜け毛を予防するAGA治療薬です。
フィナステリドとデュタステリドの違いは、5αリダクターゼへの作用範囲にあります。フィナステリドがII型のみを阻害するのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方を阻害します。フィナステリドよりも高いDHT抑制効果が見込めるため、一部の症例ではより高い発毛・進行抑制効果が期待されます。
AGA治療では、フィナステリドとミノキシジルを併用する方法があります。「守りの治療薬」であるフィナステリドで今ある髪の毛を維持し、「攻めの治療薬」であるミノキシジルで発毛を促します。
ミノキシジルの作用機序は完全には解明されていませんが、血管を拡張させることで毛包周辺の血流を改善する働きが期待できます。これにより、毛包へ直接作用し、乱れたヘアサイクルの成長期を延長させる効果が見込めるでしょう。その結果、髪の毛が太く長く育ちやすい環境が整う可能性があります。
フィナステリドとミノキシジルは薬の作用機序が異なるため、併用すること自体に問題はありません。 しかし、どちらの薬にも副作用はあるため、医師の管理下で適切に使用しましょう。
AGAの改善方法として、投薬治療だけではなく「自毛植毛」という方法もあります。自毛植毛とは、自身の健康的な髪の毛を薄毛が気になる部分へ移植する施術です。 たとえば、AGAの影響を受けにくいとされる側頭部や後頭部の髪の毛を、AGAが進行した頭頂部へ移植するパターンが考えられるでしょう。
人工植毛と違って自身の髪の毛を用いるため、移植後に拒絶反応が起こりにくい点がメリットです。一度定着すると長期的な生着が期待できます。ただし、投薬治療などと比較すると費用が高額になるケースがあるため、予算面も含めた慎重な検討が必要です。
フィナステリドの効果がないと感じる理由として、服用期間が短いことやAGA以外の脱毛症であることなどが考えられます。
フィナステリドを服用すると、一時的に初期脱毛が生じる可能性があります。また、フィナステリドは主に抜け毛の進行抑制を目的とした治療薬であり、発毛効果はミノキシジルほど強くありません。加えて、フィナステリドの服用は最低でも6ヶ月以上の継続が欠かせません。さらに、AGAの進行度合いによって、効果を感じにくいケースもあります。
いずれにせよ、フィナステリドの効果が実感できない場合でも、自己判断で服用を中止するのは避けましょう。AGAは進行性の脱毛症で、服用を中断すれば進行が再開します。まずは医師に相談し、薬の継続・変更やミノキシジルとの併用、自毛植毛といった適切な対策を検討することが、AGA改善への近道となります。
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 添付文書」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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フィナステリドを服用していても、AGAではないほかの脱毛症であれば、効果を発揮しません。
AGA以外の脱毛症には、円形脱毛症や脂漏性脱毛症などがあります。円形脱毛症とは、円形に毛が抜ける自己免疫疾患で、一気に抜け毛が発生するのが特徴です。治療にはステロイド外用薬の使用などが考えられます。
脂漏性脱毛症とは、頭皮の皮脂が過剰に分泌されることで抜け毛が発生する脱毛症です。治療には、ステロイドや菌の増殖を抑える治療薬が用いられます。
AGAは進行度が高くなるほど、薬の効果を実感しにくくなる傾向があります。フィナステリドなどの予防薬は初期段階であれば早期に効果を発揮しやすい一方、毛包のミニチュア化が高度に進行した状態では、十分な改善が見込めなくなるためです。
フィナステリドのみで効果が不十分な場合は、発毛を促進するミノキシジルとの併用が検討されます。症状がさらに重度であれば、自毛植毛という治療法も選択肢のひとつとなるでしょう。
そもそもフィナステリドを正しく服用できていない場合は、効果を実感できないかもしれません。フィナステリドは、毎日継続して服用することが大切です。 そのため、飲み忘れが続くと、効果にも影響を与える可能性があります。服用時間をアラーム設定したり、お薬カレンダーを使用したりして、服用を忘れないようにしましょう。