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更新日:2024年02月21日

フィナステリドとミノキシジル併用の効果や注意点を説明

この記事のまとめ
  • フィナステリドとミノキシジルの併用により薄毛予防と発毛促進の効果を同時に期待できる
  • フィナステリドの副作用はリビドー減退や勃起機能不全など
  • ミノキシジルの副作用は多毛症や動悸など
  • フィナステリドとミノキシジルを併用し、一定の効果を得られれば減薬できる場合がある

AGA治療について調べている方の中には、フィナステリドとミノキシジルについて「併用できるのか」「それぞれどのような効果があるのか」といったことが気になっている方もいるでしょう。どちらもAGA治療薬ですが、作用が異なるため併用が可能となっています。

ここではフィナステリドとミノキシジルについて、それぞれの特徴や副作用、併用による効果などについて説明します。

フィナステリドとミノキシジルの併用による効果

フィナステリドには薄毛予防の効果があり、ミノキシジルには発毛や育毛の効果が期待できるため、併用によってAGA治療の効果を高められると考えられます。

フィナステリドの特徴

フィナステリドは、AGA治療薬のプロペシアに含まれる有効成分であり、プロペシアのジェネリック医薬品の名称でもあります。フィナステリドには、男性ホルモンの1種であるジヒドロテストステロンの生成を抑制し、AGAの進行を遅らせる効果があります。

フィナステリドの効果

フィナステリドは、前頭部や頭頂部にある5αリダクターゼⅡ型の働きを阻害し、ジヒドロテストステロンの生成を抑えることで薄毛の進行を抑制します。

AGAの発症機序から説明すると、還元酵素の5αリダクターゼと男性ホルモンであるテストステロンが結合し、生成されたジヒドロテストロンが毛乳頭細胞の男性ホルモン受容体に取り込まれることでヘアサイクルが乱れます。これによりヘアサイクルの成長期が短くなって髪の毛が成長する前に抜けてしまい、薄毛の症状が出るのです。

フィナステリドの副作用

フィナステリドの添付文書によると、副作用としてリビドー減退や勃起機能不全、射精障害、精液量減少などが起こりうるとされています。男性機能に関する症状以外にも、抑うつやめまいなどの副作用が起こる可能性があります。

また、フィナステリドは肝臓で代謝される薬なので、頻度は高くないものの肝機能障害が起こる可能性もあります。

なお、同添付文書には副作用について「投与中止後も持続したとの報告がある」との注意書きがあります。フィナステリドの内服時に出た副作用は使用を中止すれば基本的に治まりますが、服用中止後も続くポストフィナステリドシンドロームの報告例もあるようです。

フィナステリドについて詳しく知りたい方は、「フィナステリドの効果とは?副作用や服用時の注意点についても説明」も参考にしてみてください。

参考:KEGGデータベース「医療用医薬品:フィナステリド

ミノキシジルの特徴

ミノキシジルには外用薬と内服薬があり、外用薬はフィナステリド内服と並びAGA治療のスタンダードとされています。ただし内服薬は2023年12月時点では日本国内で未承認の薬となっているため、ミノキシジル内服薬による治療を行いたい方は、医師の説明をよく聞き、リスクについて理解することが大切です。

ミノキシジルの効果

ミノキシジルの内服薬には、血管を広げて血流を改善する作用があり、頭皮に栄養が行き渡ることで健康な髪が生えやすくなるとされています。 ミノキシジルの外用薬は、頭皮に塗ることで毛母細胞を刺激し、細胞分裂を促進して発毛を促します。

ミノキシジルの副作用

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」によると、ミノキシジルの内服薬の副作用には多毛症や動悸、むくみ、胸痛などがあるとされています。

また、同ガイドラインでは、ミノキシジルの外用薬を使用した際の副作用として、患部の赤みやかぶれ、かゆみなどを挙げています。

ミノキシジルについては、「ミノキシジルの効果とは?副作用や他のAGA治療薬との違いも解説」でも詳しく解説しています。

参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版

フィナステリドとミノキシジルの併用に関するポイント

続いて、フィナステリド(プロペシア)とミノキシジルを併用する際に注意すべきポイントについて解説します。

そもそも服用できないケースがある

フィナステリドの場合、過敏症の既往歴がある方や肝機能障害がある方は使用できません。 また、フィナステリドとミノキシジルのどちらも20歳未満に対する安全性が確立されていないため、使用できないとされています。 なお、持病により普段飲んでいる薬がある方は、併用できないAGA治療薬を服用することがないよう、治療を開始する前に医師に伝えましょう。

初期脱毛が起こる可能性がある

フィナステリドやミノキシジルの服用・使用を開始してから約1~3ヶ月の間、初期脱毛が起こる可能性があります。初期脱毛の症状は、一時的な抜け毛の増加です。

初期脱毛が起こるのは、AGAによって乱れたヘアサイクルが整い始め、古くて細い髪の毛が新しく生えてきた髪に押し出されて抜け落ちているからだと考えられます。

なお、フィナステリドやミノキシジルによる治療を開始しても、人によっては初期脱毛の症状が出ない場合があります。「治療の効果が出ていないのでは」と思うかもしれませんが、過度に心配する必要はないでしょう。 反対に初期脱毛の症状がなかなか収まらない、抜け毛の量があまりにも多くて心配という場合は、早めに医師に相談しましょう。

効果が出ない場合は別の疾患の可能性がある

薄毛の原因がAGA以外であった場合、フィナステリドやミノキシジルを服用・使用しても効果は期待できないでしょう。

AGA以外で薄毛の原因として考えられるのは、円形脱毛症や脂漏性脱毛症などです。 治療開始前にクリニックで診察・検査を受けていれば薄毛の原因を判断できますが、受診せずに個人輸入などで入手した薬を使用している場合は、効果を感じられなかったり別の病気が進行してしまったりするおそれがあります。

フィナステリドとミノキシジルによる治療に関する注意点

最後に、フィナステリド(プロペシア)とミノキシジルを服用してAGA治療を続ける際の注意点について解説します。

長期目線で治療に取り組む必要がある

フィナステリドとミノキシジルは併用により薄毛予防と発毛効果を同時に期待できますが、途中で使用をやめてしまうと再び薄毛の状態に戻ってしまいます。AGAは進行性の病気なので、長期目線で治療に取り組む必要があると考えておきましょう。

なお、AGA治療で一定の効果が出れば、医師と相談のうえ減薬できる可能性があります。ミノキシジルの使用を段階的に減らしてフィナステリドだけを服用するといった治療方法の変更が可能になる場合があるので、まずは効果を得られるまで地道に治療に取り組みましょう。

ミノキシジルの服用をやめると起こりうる事については、「ミノキシジルをやめるとAGAは進行する?中止してよいタイミングも解説」を参照してください。

毎月のコストが高くなる

フィナステリドとミノキシジルを併用する場合、1種類の薬で治療するケースに比べて毎月の治療費が高くなります。 薬の費用はクリニックによってさまざまですが、フィナステリドといった内服薬だけなら月々5,000〜10,000円程度が相場となっています。

フィナステリドとミノキシジルの外用薬を併用する場合、月々の費用は10,000円~20,000円ほどが目安になります。 ジェネリック医薬品を取り扱っているクリニックであれば費用を抑えることができるため、治療を開始する前に医師に確認しておきましょう。

個人輸入は推奨されない

どのAGA治療薬にも言えることですが、個人輸入で入手した薬を使用することはおすすめできません。

できる限り安価で入手したいからとAGA治療薬を個人輸入した場合、偽薬が届く可能性があります。基本的に説明書は外国語で書かれているため、偽物であっても気付かずに使用してしまう恐れがあるでしょう。

偽薬の服用によって健康被害が起こったとしても、国の救済措置である医薬品副作用被害 救済制度を利用できません。 独立行政法人医薬品医療機器総合機構によると、医薬品副作用被害救済制度とは、医薬品を正しく使用したにもかかわらず副作用が生じ、重篤な健康被害を受けた際に医療費や年金などが給付される制度です。個人輸入した薬によって健康被害を受けると、同制度を利用できないだけでなく、むしろ治療費かかって費用がかさむ原因になります。AGA治療をする際は、医師から処方された治療薬を服用するのが賢明です。

AGA治療薬の個人輸入については、「AGA治療薬の個人輸入は危険?AGA治療薬の安心できる入手方法を解説」でも詳しく解説しています。

参考:独立行政法人医薬品医療機器総合機構「医薬品副作用被害救済制度

まとめ

フィナステリド(プロペシア)とミノキシジルについて、それぞれの特徴や副作用、併用による効果などについて説明しました。 フィナステリドには薄毛の進行を抑制する作用があるのに対し、ミノキシジルには発毛を促進する作用があります。これらの治療薬を併用することで、薄毛の予防と発毛促進の両方の効果が期待できる でしょう。

フィナステリドとミノキシジルの併用について気になることがある方や、他の治療法について詳しく聞きたい方は一度クリニックで受診してみてはいかがでしょうか。クリニックに直接行く以外にも、オンライン診療を受けるという選択肢もあります。

レバクリでは、AGA治療のオンライン診療サービスを提供しています。 オンライン診療を活用すれば自宅などで診察ができ、治療薬は自宅に届けてもらえるため、忙しい方でも無理なく治療することが可能です。忙しくてクリニックに通うのが難しいという方は、ぜひ利用を検討してみてください。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会