更新日:2026年07月31日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
亜鉛を摂りすぎるとはげるのではないかと、不安に感じている方もいるかもしれません。亜鉛の摂りすぎが直接はげる原因になるわけではありませんが、過剰摂取は銅欠乏などを通じて間接的に髪へ影響する可能性があるため注意が必要です。この記事では噂の理由や適量、亜鉛が及ぼす髪への影響、安全な摂り方を紹介します。不安を解消するためにも、正しい知識を身につけることから始めましょう。
亜鉛の摂りすぎが、直接はげる原因になることはありません。「亜鉛を摂りすぎるとはげる」という噂は、亜鉛の過剰摂取によって体内の栄養のバランスが崩れ、髪へ間接的に悪影響を与えるケースがあるためです。まずは、亜鉛と薄毛の関係を正しく整理しておきましょう。
亜鉛そのものが脱毛を引き起こすわけではありません。亜鉛は髪や体の健康維持に関わるミネラルで、適量を守って摂取する分には薄毛の直接の原因にはならないとされています。むしろ亜鉛は不足に注意したい栄養素で、欠乏すると皮膚炎や味覚障害などの症状が現れることが知られています。「亜鉛=はげる」と単純に捉えるのではなく、適量を守ることが大切です。
亜鉛が薄毛と結びつけて語られるのは、亜鉛の過剰摂取による銅欠乏という間接的な影響が背景にあります。亜鉛を長期間にわたり過剰に摂取し続けると、体内で銅の吸収が妨げられ、銅欠乏を招くことがあるためです。銅は髪の色を保つ成分をつくったり、毛髪の質を維持したりする酵素をサポートする役割があります。したがって、銅が不足すると、髪の質が弱くなり抜け毛につながる恐れがあるでしょう。つまり、問題なのは亜鉛という成分そのものではなく1日の摂取目安量を超えた「摂りすぎ」です。適量の範囲で摂る分には過度に心配する必要はありません。
亜鉛が髪と結びつけて語られるのは、亜鉛が髪の生成に関わる栄養素だからです。「髪に良いかもしれない」という期待があるからこそ、同時に「摂りすぎるとどうなるのだろう」という疑問や関心にもつながっているでしょう。ここでは、亜鉛と髪の関係を整理します。髪の悩みを根本から見直すためにも、まずは亜鉛の本来の役割を確認しておきましょう。
亜鉛は、髪の主成分であるケラチンというタンパク質の生成に関わる栄養素です。ケラチンは髪の強さやハリを保つために必要な成分であるため、亜鉛が不足することでケラチンが十分に生成されず、髪が細くなったり抜け毛が増えたりする可能性が指摘されています。
亜鉛が「髪に良い」といわれるのは、こうしたケラチンの合成をサポートすることで健康的な髪をつくる働きが理由です。
亜鉛を摂ったからといって、それだけで髪が増えるわけではありません。亜鉛はあくまで今ある髪やこれから育つ髪の土台を整える栄養素であり、医薬品のような発毛効果をもたらすものではないためです。
特に男性の薄毛の代表格であるAGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの影響でヘアサイクルの成長期が短くなることで起こります。こうした進行性の脱毛症に対しては、栄養を補っても原因を根本から抑えることはできません。AGAによる薄毛を改善したい場合は、食事の工夫だけでなく、原因に合わせた適切な治療が必要です。

亜鉛は髪の主成分であるケラチンの生成に関わるため、髪に良い栄養素として知られています。ただし、亜鉛をはじめとする栄養素は、あくまで髪が育つための土台を整える役割にとどまります。そのため、「亜鉛サプリを飲んでいるから大丈夫」と考えて様子を見ているうちに、AGAが進行してしまうケースは少なくありません。バランスの良い食事で土台を整えることは大切ですが、薄毛そのものが気になる場合は、栄養管理と並行して早めに医師へ相談し、適切な治療を検討することをおすすめします。
亜鉛の摂りすぎによって間接的に髪に悪影響を及ぼすとされるのは、銅の吸収や他成分の摂取などに影響を与える可能性があるためです。いずれも食事から摂取する限りでは起こりにくいため、過度に心配する必要はありません。ただし、サプリメントなどで適量を超えて摂りすぎた場合にはこれらのリスクが起こる可能性があります。ここでは、それぞれのリスクについて詳しく解説するので、亜鉛のサプリメントを使用したい方は事前にチェックしておきましょう。
亜鉛を摂りすぎると、体内で銅の吸収が妨げられてしまい、結果として毛髪の質が低下する恐れがあります。亜鉛と銅の吸収経路が共通しており、亜鉛を過剰に摂ると銅が不足しやすくなるためです。銅は毛髪の色素形成などに関わるため、銅が不足すると白髪につながったり、ハリが失われて脆くなったり、抜けやすくなったりする可能性があります。
亜鉛のサプリメントには、セレンやクロムなどの微量ミネラルが一緒に配合されている場合があります。亜鉛を摂るつもりでこれらも同時に過剰摂取してしまうと、思わぬ健康被害につながる可能性があります。 なかでも、セレンの過剰摂取は脱毛などを引き起こすことが報告されているため注意が必要です。日本人は通常の食事からセレンを十分に摂取できているとされるため、サプリによる意図しない過剰摂取をしないよう、サプリを選ぶ際は配合成分も確認しましょう。
亜鉛を目安量より多く摂りすぎると、吐き気や下痢、腹痛などの消化器症状が現れる可能性があります。こうした消化器系の体調の乱れが続くと、食欲不振などを通じて全身の栄養状態に影響し、間接的に髪のコンディションの悪化につながる恐れがあるためです。亜鉛は適量であれば健やかな頭皮や健康維持に役立つ栄養素ですが、過剰摂取は逆効果になりかねません。サプリメントを使う場合は、推奨量を超えないよう注意しましょう。
亜鉛の適切な摂取量は年代や性別によって異なります。亜鉛の摂りすぎを避けるには、1日の推奨量と上限の目安を知っておくことが大切です。ここでは具体的な数値を紹介します。
年代・性別ごとの亜鉛の1日の推奨量と耐容上限量は次のとおりです。
| 年代 | 推奨量(男性) | 上限量(男性) | 推奨量(女性) | 上限量(女性) |
|---|---|---|---|---|
| 18〜29歳 | 9.0mg | 40mg | 7.5mg | 35mg |
| 30〜49歳 | 9.5mg | 45mg | 8.0mg | 35mg |
| 50〜64歳 | 9.5mg | 45mg | 8.0mg | 35mg |
| 65〜74歳 | 9.0mg | 45mg | 7.5mg | 35mg |
| 75歳以上 | 9.0mg | 40mg | 7.0mg | 35mg |
耐容上限量は、過剰摂取による健康障害を防ぐための目安です。この上限を長期的に超え続けると、銅欠乏などのリスクが高まります。
参考:厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書」
過剰摂取を防ぐためには、亜鉛の摂取量をサプリメントと毎日の食事の合計値で考える必要があります。亜鉛は食事からも摂れているため、サプリの量だけを見ていると、気づかないうちに上限を超えてしまう場合があるためです。通常の食事だけで上限を超えることはまれですが、複数のサプリを併用すると過剰摂取になりやすくなります。
サプリを使う場合は1粒あたりの含有量を確認し、自分の食事内容とあわせて調整しましょう。
亜鉛は、身近にある食材からも摂取できます。サプリメントに頼りすぎず、まずは日々の食事から補うことを意識しましょう。亜鉛を多く含む主な食材は次のとおりです。
| 食材 | 亜鉛量(可食部100gあたり) |
|---|---|
| かき(養殖・生) | 14.0mg |
| 豚レバー(生) | 6.9mg |
| かたくちいわし(田作り) | 7.9mg |
| かぼちゃの種(いり・味付け) | 7.7mg |
| ごま(いり) | 5.9mg |
| アーモンド(乾) | 3.6mg |
かきやレバーは特に亜鉛が豊富で、食事の主役にもしやすい食材です。ナッツ類は手軽に食べられるため、間食として取り入れやすいでしょう。なお、亜鉛はビタミンCと一緒に摂ると吸収されやすくなるため、レモンや野菜と組み合わせるのもおすすめです。上記の食材を参考に、日々の食事をベースにバランスよく亜鉛を摂りましょう。
薄毛を引き起こす要因には、亜鉛の摂りすぎ以外にも生活習慣の乱れが関わっています。なお、生活習慣の改善が抜け毛防止・発毛促進に直接的に影響を与えるわけではありません。ただし、頭皮環境を整えるといった効果から、間接的に抜け毛防止などに影響を与える可能性はあるため、頭皮環境を整える土台づくりとして、生活習慣を整えることも大切です。ここでは、薄毛を起こす恐れのある生活習慣を紹介するので、当てはまっていないかをチェックしてみましょう。
慢性的な睡眠不足は、髪の発育を妨げて薄毛のリスクを高める要因となる恐れがあります。なぜなら、睡眠中には細胞の修復や髪の成長を促す成長ホルモンが分泌されるためです。睡眠の時間が足りなかったり質が低下したりすると、成長ホルモンの分泌が妨げられ、髪の毛が十分に育たなくなる可能性があります。
髪の成長を支えるためにも、十分な睡眠時間を確保することが大切です。成人ではおおよそ6〜8時間が目安とされています。寝る直前の食事やスマートフォンの使用を控えるなど、睡眠の質を高める工夫も取り入れましょう。
参考:厚生労働省「成人のためのGood Sleepガイド」
喫煙は、頭皮への栄養補給が滞る原因となり髪の健康に悪影響を及ぼす恐れがあります。タバコに含まれるニコチンには血管を収縮させる作用があり、体全体の血流を悪くしてしまうのが原因です。血流が悪くなると、髪の成長に必要な栄養素や酸素が頭皮へ届きにくくなる可能性があります。喫煙は髪だけでなく全身の健康にも関わるため、できるだけ控えることが望ましいでしょう。
過度な飲酒は、髪に必要な栄養を不足させ、髪の健康に影響する可能性があります。アルコールが体内で分解される過程において、髪の主成分の合成を助ける亜鉛が体外へ排出されやすくなるためです。せっかく食事で亜鉛を適量摂取していても、過度な飲酒をすると亜鉛不足に陥ってしまう恐れがあります。
飲酒は適量にとどめることが大切です。節度ある飲酒量は1日あたり純アルコール20g程度が目安とされています。これは、ビールなら中瓶1本(500ml)、日本酒なら1合(180ml)ほどの量です。いきなり禁酒をするのは難しいという方も、まずは飲みすぎないよう意識することから始めてみましょう。
参考:厚生労働省「アルコール」
過度なストレスや不適切なヘアケアによる頭皮環境の乱れも、薄毛につながる可能性があります。過度なストレスは自律神経のバランスを乱して頭皮の血行不良を招くことがあります。また、肌に合わないシャンプーの使用や洗髪不足による毛穴の詰まりは、炎症やフケ、かゆみなど頭皮環境が悪化する恐れがあるため注意が必要です。
適度な運動や趣味の時間でストレスを発散し、自分に合ったシャンプーで頭皮を清潔に保つことを意識することで、髪の健康を支える土台づくりに役立つでしょう。
ここでは、亜鉛と薄毛に関するよくある質問にFAQ方式で回答します。
亜鉛サプリと育毛剤は併用してもいいですか?
亜鉛サプリと育毛剤の併用自体に大きな問題はないとされています。なぜなら、口から摂取する栄養素と頭皮に直接塗布する育毛剤では、体へのアプローチ方法が異なるためです。ただし、育毛剤には発毛効果や薄毛の原因物質である男性ホルモン(DHT)を抑える効果はなく、あくまで現状維持や頭皮環境の調整が目的です。薄毛が気になり、発毛を望む場合は、自己判断でサプリメントや育毛剤に頼るのではなく、医師へ相談することをおすすめします。
亜鉛サプリでAGAは治りますか?
亜鉛サプリでAGAは治りません。AGAは男性ホルモンの影響で進行し、栄養補給だけで改善するものではないためです。亜鉛は髪の成長を支える土台を整える役割にとどまるため、発症したAGAを治すような治療効果はありません。AGAによる薄毛が気になる場合は、医療機関を受診し、治療薬による対策を検討しましょう。
亜鉛の摂りすぎが、直接はげる原因になることはありません。むしろ、亜鉛は髪の主成分であるケラチンの生成をサポートする大切な栄養素です。
ただし、亜鉛の過剰摂取は、銅欠乏を引き起こし、髪の質に影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。また、亜鉛のサプリメントに含まれるセレンやクロムを過剰摂取することで、吐き気や腹痛といった消化器症状により食欲不振を引き起こすことで食事での栄養摂取量が減り、間接的に髪へ影響する可能性があります。
亜鉛の成人男性の推奨量は1日9.0〜9.5mg、上限は40〜45mgが目安です。サプリと食事の合算で上限を超えないよう注意しましょう。なお、過剰に摂取したからといって髪が増えるわけではない点を理解しておくことが大切です。亜鉛はあくまで健康的な髪をつくる土台を整える役割にとどまるため、薄毛そのものが気になる場合はAGA治療薬での対策が基本です。AGAは男性ホルモン(DHT)が原因とされる進行性の脱毛症のため、進行を抑えるには医療機関で処方される治療薬が必要となります。薄毛が進行しているように感じる場合は、早めに医師へ相談しましょう。
厚生労働省「『日本人の食事摂取基準(2025年版)』策定検討会報告書」
厚生労働省「成人のためのGood Sleepガイド」
厚生労働省「アルコール」
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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