更新日:2026年04月30日


この記事の監修
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
「AGAが完治した人はいる?」と気になっている方もいるかもしれません。結論からお伝えすると、AGAは進行性の疾患であり、医学的な意味での完治は難しいとされています。
しかし、AGAは治療により薄毛の進行を抑え、髪を維持することが可能です。この記事では、AGAのメカニズムやAGAの治療法、事前に知っておきたいポイントについて解説します。
AGA(男性型脱毛症)は、遺伝やホルモンに起因する進行性の疾患であり、現代医学において根本的な完治は望めません。しかし、治療を続けることで、髪のボリュームを増やしたり、抜け毛を防いだりすることが可能です。
AGAは完治する疾患ではありませんが、治療を行うことで薄毛の進行を抑え、現在の髪の状態を維持することは可能です。AGAは遺伝や男性ホルモンの影響によって発症するとされており、何も対策をせずに放置すると徐々に症状が進行してしまう傾向があります。
しかし、AGAの進行を抑える治療や発毛を促す治療を継続することで、抜け毛を抑えたり、髪の成長をサポートしたりすることが期待できます。早めに治療を開始すれば、健やかな髪の状態を状態を長く保てるでしょう。
AGAは、男性ホルモンであるテストステロンが体内の酵素「5αリダクターゼ」の働きによってDHT(ジヒドロテストステロン)へと変化することで発症するのが特徴です。生成されたDHTが毛乳頭細胞に存在する受容体と結合すると、ヘアサイクルの成長期が短縮し、薄毛を引き起こします。

本来なら数年続くはずの成長期が短縮され、退行期・休止期へと移行してしまうため、細く短い髪が増え、抜け毛が進行します。ヘアサイクルの乱れが繰り返されることで、徐々に薄毛が目立つようになるでしょう。
AGA治療には、薄毛の進行を抑える治療や発毛を促す治療などの方法があります。症状の進行度や目的に応じて、適切な治療方法を選択することが大切です。
AGAの治療の基本となるのが薄毛の進行を食い止める内服薬による治療です。代表的な薬剤としてフィナステリドとデュタステリドがあります。フィナステリド・デュタステリドは、5αリダクターゼの働きを阻害し、抜け毛の原因となるDHTが生成されるのを防ぐのが特徴です。
フィナステリド・デュタステリドの違いは、5αリダクターゼへの作用範囲です。5αリダクターゼにはI型とII型が存在しますが、フィナステリドはII型へ作用するのに対し、デュタステリドはI型とII型の両方に効果が期待できます。
AGA治療薬のひとつであるミノキシジル外用薬は、発毛を促す薬です。作用機序は完全には解明されていないものの、血管拡張作用により毛包周囲の血流が改善し、毛根に酸素や栄養が届きやすくなることで、発毛が促進されると考えられています。ヘアサイクルの成長期を延長し、髪が太く長く育ちやすくなることも期待できるでしょう。
また、ミノキシジル外用はフィナステリドやデュタステリドと併用することで、抜け毛を防ぎつつ、発毛を促す相乗効果が見込めます。
自毛植毛は、AGAの影響を受けにくい部分の毛包を薄毛部分へ移植する治療法です。AGAの影響を受けやすいのは主に前頭部から頭頂部にかけてですが、後頭部や側頭部は、AGAの原因物質であるDHTの影響を受けにくい性質を持っています。移植した髪が定着すると、半永久的な効果を期待できるでしょう。
自毛植毛は、治療薬で効果が出にくい生え際や毛根が委縮した部分などに有効な手段のひとつです。ただし、外科手術のためダウンタイムを伴うことや、初期コストが高くなりやすい側面があります。
低出力レーザー照射は、特定の波長の光を頭皮に当てることでヘアサイクルを整え、髪の成長を促す治療法です。レーザー光が頭皮の深部に浸透すると、細胞内にあるミトコンドリアが活性化されます。これにより、細胞の増殖に必要なエネルギーが増産され、毛母細胞の活性を促すと考えられているのが特徴です。短縮していたヘアサイクルが正常化し、髪が太く長く成長するのを助けます。

AGAの進行度や薄毛の状態、治療の目的によって適した治療法は異なります。医師と相談しながら自分に合った方法を見つけていきましょう。
日々の生活習慣を整えることは、頭皮の環境を維持する役割を担ってくれます。ここでは、意識して取り入れたいセルフケアを見ていきましょう。
健康な髪を育てるためには、食生活を整えることも大切です。髪の主成分であるケラチンを確保するには、必須アミノ酸を含む良質なタンパク質を摂取しましょう。ケラチンの合成を助ける亜鉛や、血行を促進するビタミンB群・Eも髪の成長をサポートします。
不足分をサプリメントで補うのも有効ですが、あくまで補助的な物として考えましょう。バランスの良い食事を心掛けることが、健康な髪を育てる基本となります。
AGAに対する亜鉛の効果をより詳しく知りたい方は「亜鉛に薄毛の予防・改善効果はある?適切な摂取方法と注意点を解説」を参考にしてみてください。
頭皮環境を整えることは、治療薬を浸透させやすい土台作りにつながります。皮脂を落とし過ぎたり、洗い残しがあったりすると、頭皮トラブルを招く恐れがあるでしょう。また、髪が濡れた状態が続くと、頭皮トラブルを招く恐れがあります。頭皮環境を清潔に保つために、以下のことを取り入れてみるのがおすすめです。
ヘアケアの効果は数日で現れるものではありませんが、健康で清潔な頭皮を保つために、正しいヘアケアをのステップを意識して実践してみてください。
過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、頭皮の血流悪化を招く要因となり得ます。ストレスを感じると、交感神経が優位になることで血管が収縮するためです。その結果、髪の成長に必要な栄養が頭皮まで届きにくくなってしまいます。
日ごろからウォーキングのような軽い運動や、シャワーだけでなく入浴する習慣を取り入れるなど、ストレス解消の時間をつくることが大切です。
喫煙や飲酒の頻度・量を無理のない範囲で抑えることも、頭皮環境の改善につながります。タバコに含まれるニコチンは、毛細血管を収縮させるため、頭皮の酸素不足を招く原因となり得るでしょう。
また、飲酒によるアルコールの分解過程では、髪の成長に必要なアミノ酸やビタミンが消費されやすくなります。どちらも完全に断つのは難しいかもしれませんが、「タバコの本数を減らす」「休肝日を設ける」といったマイナスに働く可能性のあるものを減らす習慣を心掛けましょう。
AGA治療を始める前に、治療期間や副作用のリスクなど、事前に知っておきたいポイントがあります。安心して治療を継続するために、あらかじめ確認しておきましょう。
AGA治療は効果を実感するまでに、一般的に約6か月ほどの時間がかかるとされています。すぐに変化が現れるわけではないため、焦らず継続することが大切です。
また、AGA治療薬は服用を続けている間、AGAの進行を抑える仕組みとなっています。途中で治療を中断してしまうと再び薄毛が進行する可能性があるため、治療前に費用や治療期間の目安を理解しておくことが大切です。無理のない計画を立てることで、治療を継続しやすくなるでしょう。
AGA治療を安心して継続するためには、起こり得る副作用を事前に把握しておくことが大切です。ここでは、AGA治療薬や自毛植毛、低出力レーザー照射の副作用を解説します。
フィナステリドやデュタステリドなどの治療薬は、主に男性ホルモンに作用するため、性機能に関する副作用が出る可能性があります。具体的な症状としては、リビドー(性欲)減退や勃起機能不全(ED)などが挙げられるでしょう。また、肝機能への影響が出る場合もあり、倦怠感や食欲不振といったサインに注意が必要です。
ただし、これらの副作用はすべての人に現れるわけではありません。気になる症状が出た場合は自己判断で中断せず、医師に相談することが大切です。
ミノキシジル外用薬の主な副作用としては、塗布した部位のかゆみや赤み、かぶれなどの皮膚トラブルが挙げられます。また、血管拡張作用により、まれに動悸やめまいなどの循環器系の症状が現れる場合もあります。
これらの症状には個人差があり、すべての人に起こるわけではありません。異常を感じた場合は使用を続けず、医師に相談することが大切です。自分の体調や体質に合わせて、無理のない治療薬を選択するようにしましょう。
自毛植毛は外科手術を伴うため、一時的な腫れや痛み、ドナーを採取した部分の傷跡がリスクとなります。また、手術後には、もともと生えていた髪が一時的に抜ける「ショックロス」が起きる場合もありますが、多くは時間の経過とともに回復するとされています。さらに、まぶたや額の腫れ、患部のかさぶたなどのダウンタイムが生じることもあるため、術後の生活への影響も考慮しておくことが大切です。自毛植毛を検討する際は、医師と相談しながら計画的に進めましょう。
低出力レーザー照射は体を傷つけない治療方法のため、AGA治療の中でも副作用は比較的軽いとされています。ただし、照射部位の赤みや一時的なかゆみ、蕁麻疹などの皮膚症状がみられる場合があるでしょう。これらの症状には個人差があり、多くは軽度で自然におさまることが多いとされていますが、症状が強い場合や長く続く場合は注意が必要です。もし異常を感じたら、早めに医師へ相談するようにしましょう。
薄毛の原因には、AGA以外の脱毛症が潜んでいる場合があります。たとえば、円形脱毛症や脂漏性脱毛症、甲状腺疾患などが挙げられるでしょう。。
AGAは額の生え際や頭頂部から徐々に進行するのが特徴ですが、髪全体が均等に薄くなる場合や、特定の部分だけが急に抜ける場合は、別の疾患が関係している可能性も考えられます。

薄毛は原因によって治療法が異なります。正しい原因を把握するためにも、自己判断せず医療機関で診察を受けることが大切です。
厚生労働省の「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」によると、個人輸入した薬は偽造医薬品や不純物混入の恐れがあり推奨されません。偽造医薬品を服用したことによる健康被害も報告されています。
万が一副作用が起こったとしても、公的な医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。AGA治療を検討する際は、クリニックで医師から処方された薬を使用することで、安心して治療を進められるでしょう。
参考:厚生労働省「医薬品・医療機器」
AGAが完治した人がいるか気になっている人もいるかもしれません。ここでは、よくある質問とその回答を紹介します。
「AGAになったら終わり」と絶望する必要はありません。AGAは進行性の脱毛症ではあるものの、現在ではフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジル外用薬など医学的根拠のある治療薬が確立されています。これらの治療薬を適切に使用することで、抜け毛の進行を抑えたり、髪の維持や発毛を促したりするなど、症状をコントロールすることが可能です。
AGAは薄毛に気づいた段階で、早めに治療を開始することで、薄毛の進行を抑えやすくなるため、一人で悩まず医師に相談することから始めてみましょう。
AGAは進行性の疾患であるため、治療の継続が前提となります。AGA治療の目的は完治ではなく、抜け毛の抑制です。
AGA治療を続ける目安については、「いつまで、どの程度の状態を保ちたいか」という将来のビジョンを明確にし、自分に合った無理のない治療プランを立てていきましょう。たとえば、「結婚式が終わるまで」「60歳まで」など、ライフステージに合わせて維持したい期間を設定し、計画的に治療を進めるのも一つの方法です。
短期間での結果を求める人や、予算計画が不十分な人は、AGA治療を始めてから後悔してしまう可能性があります。AGA治療はヘアサイクルを整える過程を経るため、効果を実感するまでに6ヶ月程度の時間が必要となるケースが多いです。この期間を理解せずに短期間での変化を期待してしまうと、成果が出る前に「効果がない」と断念し、それまでの治療費用を無駄にしてしまうことになりかねません。
治療開始前に、総額費用や効果が出るまでにかかる期間を把握し、無理のない範囲で治療計画を立てましょう。
AGA治療について、事前に押さえておきたいポイントを「AGA治療を始めると後悔する?原因や正しい知識を押さえ不安を払拭しよう」で紹介しています。気になる方は、参考にしてみてください。
AGAは進行性の疾患のため完治はしませんが、症状に合わせた治療とケアで薄毛の進行を抑えたり、髪を維持したりすることは可能です。治療の効果を実感するまでにかかる期間や治療にかかる費用、副作用のリスクなどを理解しておくことで、安心して治療を継続しやすくなります。
AGA治療だけでなく、食生活やストレスをコントロールするなど、生活習慣を見直すセルフケアを取り入れることで、健康な頭皮環境が整います。AGAによる薄毛を改善したいなら、医療機関を受診して自分に合った治療を進めていきましょう。
薄毛は生活習慣で改善できる?薄毛を予防・改善するための生活習慣とは?
AGA治療にかかる費用は?内訳や月額、進行度別の相場費用も紹介
厚生労働省「医薬品・医療機器」
記事を読んでAGAの治療に関心を持ったものの、こんな不安やお悩みはありませんか?
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AGA治療は、主に内服薬・外用薬で行われます。
| 代表的な成分 | 分類 | 主な効果 |
|---|---|---|
| フィナステリド・デュタステリド | 内服薬 | 抜け毛の進行を食い止める |
| ミノキシジル | 内服薬・外用薬 | 毛包を活性化させ発毛を促す |
治療期間について
効果実感には個人差がありますが、ヘアサイクル改善のため3ヶ月〜半年ほどの継続が推奨されます。
費用について
AGA治療は、保険適用外の「自由診療」です。対面診療では、薬代(1ヶ月数千円ほど)の他に、初診料や診察料がかかる場合もあります。
治療の継続には期間と費用に加え、定期的な通院が必要です。時間や費用、人目などの通院の負担が、忙しい方にとって課題となる場合があります。
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