レバクリ

更新日:2024年01月11日

ミノキシジルの初期脱毛が起こる理由とは?原因と対策を解説

この記事のまとめ
  • ミノキシジルの初期脱毛は、ミノキシジルの使用に伴い、休止期の毛が脱毛することで起こる
  • ミノキシジルの初期脱毛は、ミノキシジルの使用開始後約10日~2週間ごろからはじまり、1~2ヶ月で終わることが多い
  • 脱毛中は、髪型を変えたり帽子をかぶったりして対策をすると良い
  • 脱毛が4か月以上続く場合は、脱毛症の悪化や薬の副作用、日常生活の乱れなどが考えられる
  • 初期脱毛を抑えるには、生活習慣や頭皮の状態を整えるほか、かかりつけ医への相談も有効

AGAの治療のためにミノキシジルの使用を開始したにもかかわらず、むしろ脱毛が増えてきた気がすると悩んでいる方も多いのではないでしょうか。ミノキシジルを使用した際は、初期脱毛という症状が現れることがあります。

本記事では、ミノキシジルを使っているのに薄毛になってきている気がすると悩んでいる方に向けて、ミノキシジルの初期脱毛について詳しく解説していきます。

ミノキシジルの初期脱毛とは

結論からいうと、ミノキシジルの初期脱毛は発毛が起こるための正常な過程であり、初期脱毛が起こることは問題ありません。ここでは、ミノキシジルを使うとなぜ初期脱毛が起こってしまうのかを解説していきます。

初期脱毛は新しい髪の毛が生えるサイン

ミノキシジルによる初期脱毛は、新しい髪の毛が生えるサインといえます。 髪の毛には、毛周期という生え変わりのサイクルがあります。毛周期には、成長期、退行期、停止期の3つがあります。

成長期は、文字通り髪が伸びていく期間であり、頭部全体の髪の毛の約85〜90%が該当します。個人差はありますが、成長期は2〜6年程度で、この期間が終わると毛包の髪の毛を作る力が失われていきます。そして、毛包の下部の構造が縮み、毛を生成する組織を新しいものに変える準備を始めます。これが退行期です。

退行期によって委縮した毛包の下部組織は、次の成長期に備えて2〜3か月間髪の毛を作るのを休みます。これを休止期と呼び、休止期に入った髪の毛は2〜3ヶ月のうちに脱毛します。AGAを発症すると、このヘアサイクルが乱れ、成長期が短くなることによって薄毛が進行していきます。

ミノキシジルは、AGAによるヘアサイクルの乱れを正常に戻す働きがあり、休止期から成長期への移行を促進する効果があります。休止期に入り成長の止まっている髪を、新しく成長期に入った髪が押し上げるため、ミノキシジルの初期脱毛が発生するのです。 初期脱毛とは、新たな髪の毛の発毛と、髪の毛を成長させるための準備をしているサインであるため、決して薄毛の悪化を心配する必要はありません。

ミノキシジルの効果については、「ミノキシジルの効果とは?副作用や他のAGA治療薬との違いも解説」を参照してください。

初期脱毛が起こる期間

ミノキシジルによる初期脱毛は、ミノキシジルを使用をし始めてから約10日〜2週間ごろから起こり出します。初期脱毛の期間には個人差があるものの、大体1〜2か月ほどで終わるという方が多いです。しかし、人によっては3ヶ月ほど続く人もいますし、初期脱毛が全く起こらなかったという方もいます。

初期脱毛は、乱れたヘアサイクルにある髪の毛が抜け落ちることで終了します。初期脱毛が終了する分かりやすい兆候はないため、気が付いたら初期脱毛が終わっていたという場合が多いです。初期脱毛が終わればいよいよ新しい髪の毛が生えてくるので、ポジティブな気持ちで初期脱毛の期間を過ごすと良いでしょう。

ミノキシジルの初期脱毛への対策

ミノキシジルによる初期脱毛が辛く、何か対策に踏み切りたいと悩む方もいるかもしれません。ここでは、ミノキシジルの初期脱毛に対して、どのように対策すれば良いか解説します。

脱毛を隠す

初期脱毛が気になる場合、物理的な方法で隠してしまうのが、最も手軽な対策といえます。 ミノキシジルによる初期脱毛はあくまでも一時的なものですが、前兆がないためいつ終わるのかはわかりません。そのため、自分の中で薄毛が改善したと感じるまでは、頭部を覆って隠しておくと良いでしょう。

隠す方法としては、外出時に帽子をかぶったり、ウィッグをかぶったりすることがおすすめです。ただし、帽子やウィッグは長時間かぶると蒸れて頭皮環境が悪くなったり、頭部が締め付けられたりすることで血行が悪くなったりします。これにより、薄毛や抜け毛を助長することにもなりかねません。

そのため、帽子やウィッグは、頭皮が蒸れにくく頭皮環境に影響を与えないものを選びましょう。また、外出時でも外せそうなタイミングがあれば外し、蒸れを予防しましょう。

髪型を変える

帽子やウィッグをかぶるのを躊躇する方は、薄毛が目立たない髪型に変えるというのも方法の1つです。男性の場合、ショートカットやソフトモヒカンなど、短めの髪型にすると薄毛が目立ちにくいと考えられます。初期脱毛が終わるまでは髪型を変えて対策するのもおすすめです。

初期脱毛が4か月以上続く原因

ミノキシジルの添付文書によると、発毛効果が発現するまでは少なくとも4か月間の使用を推奨しています。そのため、初期脱毛が気になったとしても、4か月間は使用を継続しておく必要があります。 しかし、ミノキシジルの使用を開始してから4か月が経過しても脱毛が続く場合には、初期脱毛ではない可能性が高いです。ここでは、脱毛が4か月以上続く場合に考えられる理由について解説します。

参考:医薬品医療機器総合機構「ミノキシジルローション5%『JG』説明書

AGA以外の脱毛症

初期脱毛が4か月以上続く場合は、AGA以外の脱毛症を発症している可能性があります。AGA以外の脱毛症のケースとしては、円形脱毛症、脂漏性脱毛症などが考えられます。

ミノキシジルはAGAの治療薬であるため、AGA以外の脱毛症の場合はミノキシジルを使っても脱毛は改善されません。 円形脱毛症は髪の一部が円形に脱毛する疾患です。日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2017 年版によると、治療法としてはステロイド薬の使用や化学物質を局所に塗布する局所免疫療法がメインとなり、ミノキシジルの使用は明記されていません。

脂漏性脱毛症は、皮脂の過剰な分泌によって引き起こされる脂漏性皮膚炎が原因となる脱毛症で、抗真菌薬が治療薬として使われます。 つまり、これらの脱毛症であった場合には、ミノキシジルを使用しても脱毛症の改善効果は認められません。ミノキシジルを使用しても脱毛が続く場合は、一度医療機関を受診し、AGA以外の脱毛症を発症している可能性について調べてもらうことがおすすめです。

AGA以外の脱毛症については、「薄毛になったら何科を受診すべき?原因ごとの受診科目について解説」でも詳しく解説しています。

参考:公益社団法人 日本皮膚科学会「日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版

生活習慣の乱れ

生活習慣が乱れることで、ヘアサイクルが乱れてしまい、ミノキシジルによる初期脱毛が長引いているという可能性があります。

睡眠不足

睡眠不足は、ヘアサイクルの乱れにつながります。睡眠中は成長ホルモンの分泌が盛んになりますが、この成長ホルモンが髪の毛の成長を助ける役割を担っているためです。成長ホルモンの分泌が盛んになる22時~2時の間に十分な睡眠が取れていないと、ヘアサイクルの乱れが進んでしまうでしょう。そのため、上記の時間に眠りにつけるよう、生活を見直すことが大切です。

食生活の乱れ

ダイエットなどで過度に食事制限をしたり、暴飲暴食をしたりといった行動は、十分な栄養を摂取できなくなることにつながります。また、高脂質・高カロリーな食事は皮脂の分泌量を増やしてしまいます。そのため、頭皮のベタつきにつながり、頭皮環境へ悪影響を及ぼします。髪の成長に良い影響を及ぼすとされているたんぱく質・ミネラル・ビタミンなどを上手に取り入れながら、バランスの良い食事を心がけましょう。

ストレス

ストレスは、血管を収縮させ頭皮の血流を悪くする原因の1つです。頭皮の血流が悪くなると、髪の成長に必要な栄養を十分に届けられなくなります。いくら食事に注意したとしても、栄養が届けられなければ、ヘアサイクルを正常化につなげることができません。ストレスをためないよう、こまめに発散していきましょう。

頭皮の炎症

頭皮が炎症を起こしていると、健康な髪の毛が生えてきていても、すぐに抜けてしまう可能性があります。 頭皮の炎症は、刺激の強いシャンプーなどによって引き起こされる場合もありますが、ミノキシジルの副作用によって引き起こされる場合もある点には注意が必要です。ミノキシジルローション5%「JG」の説明書によると、ミノキシジルの副作用には、頭部のふけ、かぶれ、かゆみ、発赤があるとしており、ミノキシジルの副作用によって頭皮の炎症が起こっているということも充分考えられます。

そのため、ミノキシジルを処方されてから初期脱毛が長く続いていることに加えて、頭皮の赤みやかゆみなどの症状がある場合には、薬を処方された医療機関に速やかに相談しましょう。

参考:医薬品医療機器総合機構「ミノキシジルローション5%『JG』

頭皮環境の悪化

炎症までしていなくても、頭皮の乾燥や皮脂の過剰分泌、血行不良などにより頭皮の環境が悪化していると、ヘアサイクルの乱れが進行してしまいます。そのため、初期脱毛が続く場合は、頭皮環境に気を配ることも大切です。

整った頭皮環境とは、頭皮が清潔であり、血行が良い状態のことを指します。頭皮環境を整えるために必要なのは、1日1回は洗髪をし、洗髪後はドライヤーなどで丁寧に乾かすこと。 また、頭皮マッサージを行い頭皮の血行を良くすることも大切です。ただし、頭皮マッサージを強い力でやり過ぎると、髪が抜けたり切れたりする可能性があるので、優しい指使いで1回5分程度にとどめておきましょう。

まとめ

ミノキシジルによる初期脱毛は、ミノキシジルを使用し始めてから10日〜2週間頃より起こりだし、多くの人が経験します。休止期の毛が脱毛してしまえば初期脱毛は終わって新しい髪の毛が生えてきます。

ミノキシジルの添付文書上では、ミノキシジルは4か月は使用が推奨されており、これ以上脱毛が続く場合にはミノキシジルによる初期脱毛ではなく、他にも原因があるかもしれません。初期脱毛が長く続く場合には、かかりつけ医へ相談すると良いでしょう。 また、初期脱毛中には髪型を変えたり、帽子をかぶったりして脱毛を目立ちにくくさせたり、生活習慣や頭皮環境に気を配るなどの対策をしていきましょう。

この記事の監修:

牧野 潤医師

慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会専門医。 医師免許取得後、株式会社ボストンコンサルティンググループにてヘルスケア・IT領域にて従事。 現在は慶應義塾大学医学部助教、美容医療を主としたJSKINクリニックを経営・監修、オンライン診療サービス「レバクリ」監修。

<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS) 日本乳癌学会