更新日:2026年01月29日
「AGA治療薬を個人輸入すれば病院に通わなくても良いのでは?」と考える方もいるかもしれません。確かにAGA治療薬を個人輸入すれば通院の手間は省けます。しかし、偽造品のリスクや副作用が出た際の自己責任など、健康被害につながる危険性も潜んでいる点に注意が必要です。
本記事では、AGA治療薬を個人輸入するリスクや医療機関を受診すべき理由、オンライン診療という選択肢について詳しく解説します。
AGA治療薬の個人輸入とは、海外の通販サイトやオークションサイトを通じて、国内で処方箋が必要な薬剤を直接購入する方法です。
一般的にAGA治療薬として使用される薬剤には、プロペシアやミノキシジルといったものが挙げられます。ただし、厚生労働省の「プロペシア(PROPECIA)(男性型脱毛症用薬)に関する注意喚起について」によると、プロペシアは医師の処方箋が必要な医薬品とされています。そのため、プロペシアなどのAGA治療薬は個人輸入せず、医療機関を受診したうえで医師の処方をもとに服用するようにしましょう。
なお、厚生労働省の「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」によると、AGA治療薬の個人輸入は一般の個人が自分自身で使用する場合に限り認められています。しかし、AGA治療薬を個人輸入できるからといって、使用する医薬品の安全性が保証されているわけではありません。
また、AGA治療薬を含む医薬品の個人輸入が認められるのは、外国で受けた薬物治療を継続する必要がある場合や、海外からの旅行者が常備薬として携行する場合などへの配慮によるものです。AGA治療薬の個人輸入には、原則として地方厚生局で必要書類を提出することとなっています。
また、e-Gov 法令検索の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に違反しない輸入であることの証明を受けなければなりません。
参考:厚生労働省「プロペシア(PROPECIA)(男性型脱毛症用薬)に関する注意喚起について」 厚生労働省「医薬品等の個人輸入に関するQ&A」 e-Gov 法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」
ここまで、AGA治療薬の個人輸入について見てきました。以下では、AGA治療薬を個人輸入するメリットについて紹介します。
AGA治療薬を個人輸入するメリットの一つは、通院の手間が省けることです。忙しい仕事の合間に病院へ行く時間を設ける必要がなく、インターネット上でAGA治療薬を注文することで、自宅や自分が指定した場所に届きます。
特に地方在住者にとっては、AGAの専門クリニックが近くにない場合もあるため、通院のための交通費や移動時間の節約になります。また、仕事が忙しい方や、平日の診療時間内に病院に行けない方にとって、24時間いつでも注文できる個人輸入は便利な選択肢といえるでしょう。
ただし、通院せずにAGA治療薬を手に入れられる便利さと引き換えに、後述するリスクも背負うことになる点は覚えておかなければなりません。
AGA治療薬を個人輸入するメリットには、プライバシーが守られることも挙げられます。薄毛の悩みはデリケートな問題であり、「知人や同僚にAGA治療をしていることを知られたくない」と考える方も少なくありません。
AGA治療薬を個人輸入する場合、病院の待合室でほかの患者と顔を合わせる心配がありません。AGA治療薬の配送も一般的な荷物として届くため、何を購入したのかが外から分からないでしょう。
しかし、医師による適切な診断や指導を受けられないというデメリットもあることを忘れてはいけません。
AGA治療薬の個人輸入には、以下のリスクが潜んでいます。

この記事の監修:
慶應義塾大学医学部卒業。日本形成外科学会認定専門医。 医師免許取得後、外資系経営コンサルティング企業のヘルスケア・IT領域にて従事。 慶應義塾大学医学部助教を経て、美容医療を主としたJSKINクリニック、及びオンライン診療サービス「レバクリ」監修。
<所属学会> 日本形成外科学会 日本美容外科学会(JSAPS)
ここでは、上記に挙げたAGA治療薬の個人輸入に潜む上記4つのリスクについて詳しく紹介します。
AGA治療薬を個人輸入する場合におけるリスクの一つは、偽造品が届く可能性があることです。見た目は正規品そっくりであっても、実際には有効成分が含まれていないものが届くことが考えられるでしょう。
あやしいヤクブツ連絡ネットの「個人輸入やインターネット購入による健康被害」によると、50代男性がAGA治療目的でフィンペシア1mgをインターネット経由で入手し服用したところ、男性更年期障害の症状が出た実例があります。
また、インターネット経由で入手したミノキシジル2.5mg錠とフィナステリド1mg錠を服用していたところ、全身倦怠感や胸焼け、濃い色の尿が出るといった症状が現れた50代男性もいます。その後、医師により黄疸と肝細胞型肝障害と診断されました。
AGA治療薬を個人輸入し、届いたのが偽造品だった場合、治療の効果が得られないばかりか健康を害するリスクもあるのです。
参考:あやしいヤクブツ連絡ネット「個人輸入やインターネット購入による健康被害」
個人輸入で入手するAGA治療薬の中には、適切な製造基準(GMP)を満たさない工場で生産されたものがある可能性があります。独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の「GMP適合性調査業務」によると、GMPとはリスクの高い医薬品を製造する国内外の製造所に対して、製造設備や製造管理手法が基準を満たし、適切な品質のものを製造できるかどうかを判断するものです。
国内の正規品は厳格な品質管理のもとで製造され、定期的な検査も実施されています。一方、個人輸入されるAGA治療薬の中には、製造工程の品質管理が不十分なものや、保管・輸送環境が適切でないものが含まれることもあります。
AGA治療薬の有効期限が不明確だったり、パッケージに記載されている成分表示が不正確だったりする場合は、不衛生な環境で製造された可能性があるでしょう。AGA治療薬は見た目だけでは製造環境を判断するのが難しいため、医師の処方により入手することが大切です。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「GMP適合性調査業務」
個人輸入したAGA治療薬を使用する際には、自分で適切な用法・用量を判断する必要があります。医師による処方がない場合、自分の体質や症状に合わせた適切な使用方法を知るのは難しい場合もあるでしょう。
医師の診察を受けずに自己判断で使用量を決めると、効果が出なかったり、副作用のリスクが高まったりすることもあるでしょう。特に疾患がある方やほかの医薬品を服用している方は、思わぬ副作用が出る危険性もあるため注意が必要です。
参考:独立行政法人 医薬品医療機器総合機構「フィナステリド錠 0.2mg『TCK』 フィナステリド錠 1mg『TCK』」
個人輸入で購入したAGA治療薬を使用して副作用が現れた場合、自己責任となります。厚生労働省の「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」によると、医師の処方に基づかない医薬品は、医師や薬剤師などが薬の成分や作用に関する十分な情報を有していません。そのため、万が一個人輸入したAGA治療薬を使用して深刻な副作用が出た場合は、医療機関で迅速な対応を受けにくくなる可能性があります。
また、個人輸入によるAGA治療薬の使用で健康被害が生じた場合、医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。つまり、万が一重篤な副作用で入院が必要になった場合も、医療費は全額自己負担となる可能性があるのです。
「フィンペシアとは?効果や副作用、通販で購入する際の注意点」の記事では、AGA治療薬を個人輸入する場合の注意点について解説しているので、気になる方はご覧ください。
参考:厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
AGA治療薬を個人輸入せずに医療機関を受診するべき理由には、以下の3つが挙げられます。
ここでは、上記の3つの理由について詳しく解説します。
AGA治療薬を個人輸入せずに医療機関を受診するべき理由は、専門医による適切な診断を受けられることです。薄毛の原因はAGAだけでなく、ストレスや栄養不足、甲状腺疾患などの病気が隠れている可能性もあります。医師は問診や患者の頭皮の状態を確認し、必要に応じて血液検査なども行い、一人ひとりの症状に合った最適な治療法を提案してくれるでしょう。
また、AGAには進行度や症状のパターンがあり、それぞれ効果的な治療法が異なります。たとえば、前頭部と頭頂部では使用する薬剤の組み合わせが違う場合もあるのです。頭頂部
にはフィナステリドやデュタステリドなどの内服薬で抜け毛の進行を抑えつつ、ミノキシジル外用薬で発毛を促す方法が用いられる場合があります。
医師は患者の生活習慣や既往歴を考慮したうえで、AGAの治療法を提案してくれるため、個人輸入では得られないAGA治療に関する専門的なアドバイスを受けられるでしょう。
医療機関で処方されるAGA治療薬は、厳格な品質管理のもとで製造された国内正規品です。e-Gov 法令検索の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第12条の2」によると、医薬品の製造許可基準を満たすには品質や有効性、安全性などが厚生労働省により定められている基準に適合しなければなりません。
国内正規品は個人輸入によるAGA治療薬と違い、製造から流通、保管に至るまでの過程が管理されているため、劣化や変質のリスクも抑えられるでしょう。
また、医療機関で処方されるAGA治療薬は、偽造品のリスクがなく安心して使用できるというメリットがあります。厚生労働省の「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」によると、個人輸入したAGA治療薬は不衛生な場所や方法で製造されている可能性があり、期待する効果が得られなかったり、人体に有害な物質が含まれている場合があります。
参考:e-Gov 法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」 厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
副作用が出た場合に迅速かつ適切な対応が受けられることも、医療機関でAGA治療を受けるメリットです。医師による定期的な診察で、AGA治療薬による副作用の初期症状を早期に発見できる可能性もあります。
たとえば、フィナステリドやデュタステリドによる性機能障害の症状が現れた場合、医師は投薬量の調整や代替薬への切り替えなど、患者の症状に応じた対応をしてくれます。また、薬の変更やそのほかの治療法についても、専門的な立場からアドバイスをもらえるでしょう。
さらに、医師の処方に基づく治療で生じた副作用については、重篤な場合には「医薬品副作用被害救済制度」の対象となる可能性があります。厚生労働省の「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」によると、医薬品副作用被害救済制度は、医薬品を適正に使用したにもかかわらず重大な健康被害が生じた場合に、救済を図る公的制度です。
AGA治療薬を個人輸入して使用した場合に生じた副作用の場合は、医薬品副作用被害救済制度が適用されません。
「AGAが完治した人はいる?AGA治療で後悔しないために行うべきことを解説」の記事では、AGA治療で後悔しないためのポイントをまとめているので、あわせてご一読ください。
参考:厚生労働省「医薬品等を海外から購入しようとされる方へ」
AGA治療を行いたい方の中には、「病院に通う時間がない」「人に見られるのは嫌」という方もいるかもしれません。AGA治療のために病院に通うのが難しい場合は、オンライン診療でAGA治療薬を処方してもらうのも選択肢の一つです。
近年普及しているオンライン診療は、医療機関の通院とネット通販を組み合わせたAGA治療の選択肢といえます。スマートフォンやパソコンを使って、自宅やオフィスなど好きな場所から医師の診察を受けられます。
オンライン診療では、ビデオ通話を通じて医師と直接会話しながら症状を相談でき、顔を見合わせての診察となるため、医師と患者の間で信頼関係を築きやすいでしょう。また、オンライン診療は、通院の場合と同じく一人ひとりの症状や生活習慣に合わせた、適切なAGA治療のプランを提案してもらえます。
オンライン診療の場合、忙しい仕事の合間や夜間・休日など、従来の診療時間外も予約が取れるクリニックがあるようなので、時間の制約が少ないのもメリットです。オンライン診療は、通院の手間を省きたいという個人輸入のメリットを活かしながら、医師による適切な診断を受けられるというバランスの取れた方法といえるでしょう。
医師の処方に基づいた、国内正規品のAGA治療薬が自宅や指定場所に届くことも、オンライン診療のメリットです。オンライン診療を受けることにより、薬局に行く手間が省け、周囲の目を気にすることなくAGA治療を続けられます。
配送されるAGA治療薬は医療機関から処方されたものなので、品質や安全性が保証されています。また、AGA治療薬の使用方法や注意点についても、オンライン診療の際に医師から直接説明を受けられるため、正しく服用できるでしょう。
オンライン診療で処方されるAGA治療薬は厚生労働省が承認した医薬品であり、万が一副作用が出た場合も、次回の診察で医師に相談のうえ対処してもらえます。オンライン診療では、AGA治療薬の種類変更や用量調整なども柔軟に対応してもらえるため、一人ひとりの体質や生活スタイルに合わせた継続的な治療が可能です。
オンライン診療でAGA治療を行うメリットやデメリットについては、「AGAのオンライン診療のメリット・デメリットは?選び方も解説」の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
AGA治療薬の個人輸入は、通院の手間やプライバシー保護の点から魅力的に感じる方もいるかもしれません。しかし、AGA治療薬の個人輸入では偽造品や不衛生な環境で製造された薬剤が届く可能性、正しい用法・用量を自己判断しなければならいこと、副作用が出た際の自己責任などのリスクを背負うことになります。
AGA治療薬を安全に使用するためには医師の診断を受け、最適な治療法を選択することが大切です。医療機関では品質が保証された正規品を入手でき、副作用が出た場合も適切な処置を受けられます。「病院に通う時間がない」「人目が気になる」という方には、オンライン診療を受けるのも選択肢の一つです。
オンライン診療なら、好きな場所から医師の診察を受けられ、安全な正規品のAGA治療薬が指定した場所に届くため、個人輸入のリスクを避けつつ、AGA治療を継続できます。薄毛の悩みを解決するためには、安全性を第一に考えた治療法を選ぶことが大切です。